イナズマイレブン~クロスライジング~   作:shoogel(復活)

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鬼道の実力!千羽山戦前編!

《き、鬼道!?間違いありません!帝国学園のキャプテン鬼道です!》

 

解説が驚いたように実況すると、観客達がざわめき始めた。

 

どよどよどよどよ

 

「どうなってんだ!?」

 

「そんなのあり!?」

 

「出来るのかそんなこと!?」

 

観客はまさかの帝国学園の鬼道の登場で大揺れに揺れるスタジアム。そんなとき解説の声が響いた。

 

《えー、しばしお待ちを…あ、ありました!大会規定第64条第2項!プレイヤーは試合開始前に転入手続きを完了していれば、大会中でのチーム移籍は…可能である!!》

 

「俺は信じていた、絶対に来てくれるってな!」

 

俺が鬼道に向かい話すと、皆も寄ってくる。

 

「鬼道…!俺には分かってたぜ、お前があのまま諦めるような奴じゃないってことは!」

 

円堂が鬼道に話すと、鬼道は

 

「あのままでは引き下がれない…!世宇子(ゼウス)には必ずリベンジする!!」

 

「な、なんて執念だ…!」

 

その鬼道の言葉を聞いて、染岡も呟いた。

 

「鬼道さんがいれば、必殺技がなくても千羽山の守りを崩せるかも…!よぉぉぉし!頑張るぞぉぉぉっ!」

 

宍戸に今まで以上に気合いが入って、宍戸が叫ぶと響木監督が宍戸に声をかけた。

 

「宍戸、お前はベンチだ」

 

「え…?」

 

「代わりに鬼道が入る」

 

「え…あ…お、俺です、か…」

 

俺もまさか宍戸が下ろされるとは思っていなかった。俺が宍戸を見るとガックリしたように肩を落としている。

 

「……」

 

そんななか、半田が複雑そうに宍戸を見ていたのが気になったが、時間だ。

 

 

 

《さあ雷門ボールでキックオフだ!》

 

今回のスタメンは以上だ。

 

FW 雷藤 染岡 豪炎寺

MF 鬼道 マックス 半田

DF 壁山 風丸 栗松 土門

GK 円堂

 

鬼道が加わったことで、宍戸が抜けていまったが、確かにこのメンバーが今の時点では最高メンバーだろう。

 

ピ───────!!

 

しかし、俺たちの試合(ゲーム)の出だしは最悪だった。

 

「染岡ぁっ!」

 

半田が出したパスは弱く、染岡が上手く取ることが出来ない。

 

「ぐっ…弱い!半田、もっと強くだ!」

 

その後も

 

「栗松!」

 

「ひぃ!?大きすぎるでヤンス!」

 

「わっと…!」

 

「うわっ!?」

 

《どうした雷門!まったくパスが通らないぞ!?》

 

俺たちは勝手に自滅しまくり、攻撃が成り立たない。ボールを持たない守備は今まで通り出来るが、攻撃が成り立っていなけりゃ意味がない。

 

「……」

 

流石の鬼道も無言で見つめる。

しかし鬼道には考えがあった。

 

 

────────

「勝負は後半…前半はゆっくり円堂達の力を見極めてくれ」

 

前日の夜、雷雷軒に招かれた鬼道は監督から今日の試合、千羽山戦の試合方針を聞かされていた。

 

「前半…?ふん、10分で充分だ!!」

 

監督の言葉とは裏腹に鬼道は、10分で充分と断言していた。

 

 

──────────

「栗松ぅっ!」

 

壁山が栗松に出したパスは大きくそれ、相手の選手に渡ってしまう。そして一気に円堂と1対1になり、相手選手は必殺シュートを放った。

 

「シャインドライブゥッ!!」

 

このシャインドライブは強い光を発しながら、円堂を襲う。

 

ピカァァァァァッ!!

 

「う、うわっ!?」

 

ピ───────!!

 

円堂は目くらましでボールを認識する事が出来ず、ゴールにシュートを叩き込まれてしまった。

 

相手は今まで1点たりとも失点を許していない…。この先取点は痛いかもな…。

 

しかし、俺がそんなことを思っているとき鬼道はニヤリと笑った。

 

(ふ…これで全て揃った…!)

 

監督が時計を確認すると試合開始からジャスト10分、宣言通りの時間で鬼道はすべてを把握していた。

 

「栗松、お前はいつもより2歩後ろに守れ」

 

「えっ?」

 

「それから松野、豪炎寺と雷藤にパスを出す時は3歩、染岡には2歩半いつもより前に出せ」

 

「えぇ…?」

 

鬼道は今の実力に合わせたプレーをさせるため、仲間に細かく指示を出し始めた。そしてこの作戦は大成功する。

 

《ああっとこれは!?雷門のパスが繋がり出した!?》

 

「栗松、土門へパスだ!3歩先!」

 

「さ、3歩先でヤンスか…通ったでヤンス!?」

 

「よし…マックス!」

 

「待て土門!(1…2…)行け!」

 

「は、はい!」

 

「ドンピシャだ!」

 

鬼道がタイミングの調整をすることにより、ようやくまともにパスが繋がり始めた。俺たちはそのまま怒涛の勢いでゴール前まで攻め上がった。

 

「松野!染岡にパスだ!」

 

マックスが出したパスも、綺麗に染岡に渡りそのまま染岡はシュート体勢に入った。

 

「うおぉぉ!ドラゴンクラッシュ!!」

 

「まき割りチョップ!!」

 

バシーン!

とドラゴンクラッシュは相手キーパーに弾かれ、クリアされてしまった。

 

《これはナイスセーブだぁ!だが雷門中、この試合初めて雷門らしい攻撃を見せた!》

 

「すっげぇぜ鬼道!さすがお前は天才ゲームメーカーだぜ!」

 

円堂が興奮気味に鬼道に話す。

 

「ふふ…今のがゲームメイクと言えるならな」

 

「どういうことだ?」

 

俺が鬼道に聞くと、鬼道は俺たちを見た後、話し始めた。

 

「お前たちは自分の力に気づいていない。走力、キック力…どれを取ってもお前たちの実力は格段にアップした。だがそれには個人差があり、当然今までの感覚でやっていればズレが生じる…俺はそのズレを修正しただけだ」

 

鬼道のこの並外れた観察能力…、鬼道が居ればこの千羽山からの得点も可能かもしれないな。

 

「へっ、ちょっとパスが繋がったくらいで調子に乗ってるぺ」

 

「だから都会っ子は甘いっぺ」

 

そんななか千羽山のメンバーはこっちを見ながら笑っていた。

 

 

─────────

「「「かごめ、かごめ、かーごめかごめ、かごめ、かごめ、かーごめかごめ」」」

 

千羽山のDF陣が誇る必殺技・かごめかごめの3人同時に飛びかかってボールを奪い取る技によって、マックスがボールを奪われてしまうが、すぐに鬼道がスライディングで奪い返す。

 

「さすが鬼道だ、初見の技を冷静に対応してる」

 

俺が呟いている間にも、鬼道は敵陣深くへとラストパスを送る。

 

「雷藤ぉーっ!」

 

「よしっ!」

 

俺は鬼道のパスを受け取り、シュート体勢に入る。

 

「決めるっ!ライトニングアロォォー!!」

 

俺の渾身のシュートが千羽山のゴールに向かう。

 

「「はぁぁぁっっ!!」」

 

その時、DFの2人がGKに駆け寄り、雄叫びを上げた。

 

「「「無限の壁!!」」」

 

ギュュュンンンン シュゥ…

 

「な、何!?」

 

俺の渾身のライトニングアローは、千羽山中最強のディフェンス技・無限の壁にあえなく阻まれていまった。

 

「さすが今まで無失点の鉄壁技だ…、ライトニングアローの威力を完全に殺し切るなんてな…」

 

俺はつい呟いてしまう。

 

ピッ ピ───────!

 

そしてここで前半終了のホイッスルがグラウンドに鳴り響いた。

 




雷藤「無限の壁、やっかいだな…」
豪炎寺「ああ、だがまだ後半がある」
雷藤「そうだな、後半逆転するぞ!」

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