幻想禍津星   作:七黒八白

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 幻想郷で一般的な水着って外の世界みたいな物じゃなくて、サラシに銭湯の三助みたいな薄着なんだろうか……………夢が広がるね!(下衆以下)




第四十六話 無償の愛故の

 

 

 

 私こと博麗霊郁(れいか)の朝は早い────────事も無い。

 

 いやまぁ、大体早朝に起きて朝餉の準備したり、夏は暑いから境内の掃除をパパッと朝に済ませたりするから早起きしなくも無いのだが。ここ数日は割と日が登るまで霊夢とグッスリと寝てる。何故なら私の代わりに家事をしてくれる者がいるからだ、めっちゃ楽、惰眠サイコー。

 

「…………うー……ん……れいか……?」

 

「…………ん、起きた? 霊夢、そろそろ顔洗って歯磨きしましょうか」

 

「えー……まだねたい……」

 

「そうねぇ…………正直私も眠い…………二度寝しましょうか」

 

「うん、おやすみー…………」

 

 チチチ、と雀の(さえず)りが聞こえ出した早朝。霊夢は私の胸元に潜り込み丸くなる、正直冬はいいけど、夏は暑いからやめて欲しいが押し退けるのも可哀想だ。何にせよ夢の世界に旅立てば同じ事────────

 

「はい朝ですよー。さっさと起きて下さーい、朝食は出来てまーす。昨日みたいに昼まで寝たら飯抜きでーす」

 

 ………………無情で無慈悲な同居人が勢いよく障子を開けて、私達は布団から引き摺り出された。霊夢は脇に抱えられ、私は寝巻きを引っ張られて縁側を引き摺られる。

 

「あと五分…………あと五分でいいから……」

 

「そのセリフ言って五分で起きた奴人類史上いませんから、顔洗って歯磨きして下さい霊夢さん」

 

「やめてー…………引っ張らないでー……おっぱい出ちゃう……」

 

「なら自分で歩いて下さい。酒ガブ飲みして吐瀉処理を私に任せた霊郁さん」

 

 畜生…………根に持ってやがる…………一昨日彼が博麗神社に居候する事になり、“祝い酒だ! ”と、これ幸いと酒を呑みまくった際にペース配分を間違えて盛大にぶち撒けた。霊夢は既に寝ていたのが不幸中の幸いだった。

 

「少しは巫女らしく規則正しい生活を送ったらどうですか?」

 

「私生活まで肩肘張ってらんないわよ…………あー……太陽が眩しい……」

 

 寝惚(ねぼ)(まなこ)を擦って、博麗神社の朝が始まった。

 

 

 

 

 

 ♢

 

 

 

 

 

「朝食はなーに?」

 

「肉じゃが、納豆、ほうれん草のお浸し、白米」

 

「…………ほうれん草いらなーい」

 

 ちゃぶ台に並べられた朝食の中で、霊夢はほうれん草の皿だけ遠ざけた。やっぱり子供って野菜を食わず嫌いするのねー。聞いてはいたけど、実際に目にするとどうすれば食べてくれるのか…………私がそんな事を考えていると、狐の面を着けた輝雄が。

 

「霊夢さん、食わず嫌いは良く無いですよ」

 

 割と至極真っ当な事を言う。彼は意外な事にも常識人だ、私が知る限り霊力やら能力やらに恵まれた人間は、良くも悪くも頭のネジが何本か飛んでるとしか思えない奴が多いのだが…………妖怪なんて、その最たる例だろう。

 

「…………だって、ぐちゃぐちゃしてて青くさいもん」

 

 しかし霊夢もそこまで素直では無い。我儘というわけでは無いが“こうする”と決めたら、かなり頑なである。ふふふ…………どれどれ、ここは私の腕の見せ所────────

 

 

 

「我儘ばかり言っていると霊郁さんみたいになりますよ?」

 

「じゃあ食べる」

 

 

 

 ────────いやちょっと待てぃ!!!!!! 

 

「私みたいなるってどういう意味よ!? 私が霊夢ぐらいの時は食わず嫌いなんかしてなかったし、寧ろ私になれるなら最高でしょう!?」

 

「そういうところですよ」

 

「どういうところですよ?!」

 

 売り言葉に買い言葉、何故か口調が移り変な喋り方になってしまった。ここ数日で既に調子が狂う、彼の方が弁は立つからだ。なんだろうか、慣れている様な気がする…………私みたいな巫女の知り合いでもいたのか? 霊夢以外に? 

 

「お酒のみすぎて、よくダラシない恰好で寝てるところとかじゃない?」

 

「霊夢ちゃ〜ん? お口チャックしましょうねー」

 

「人、それを言論統制という」

 

「だまらっしゃい!!!」

 

 今までは霊夢と二人で囲んでいたちゃぶ台に、新しい三人目が増えた。しかしだからといってぎこちない空気が流れるわけでも無く、既に霊夢も、そして私も彼がいる事が日常とかしていた。

 

「豚肉の肉じゃが案外イケるわね……」

 

「牛より味が染みて歯応えがあるから私はこっちが好きなんですよ」

 

「わたしも牛より豚の肉じゃがの方がいい」

 

 ……………………私より料理上手いのがちょっと、ちょっとだけ気に食わないが。

 

 

 

 

 

 ♢

 

 

 

 

 

 博麗神社に人は滅多に来ない、だからと言って境内の掃除を怠るとそれはもう凄い事になる。例え落葉の季節でなくとも普段から掃除はしなくてはならない、虫も湧いちゃうしね。

 

「────────境内の掃除終わりました」

 

 彼は霊夢が居る為敬語で話し、狐の面を外さない。正直に言うと彼の歴史の整合性やら時間旅行の矛盾とか未だに理解出来ている気がしないのだが、彼がそうする事で周りに迷惑をかけないと判断しているのなら特に私は止めるつもりは無い。

 

「ありがとー、じゃあ次は家の方お願い」

 

「既に朝方済ませました」

 

「………………マジね、埃一つない」 

 

 いつもなら私が掃除をしてから霊夢に修行をつけるのだが…………彼が来てからというもの、掃除の時間は完全に無くなった。何だ万能家政婦、一家に一台欲しい。年頃の男の人ってもっとガサツで見栄を張りそうな印象があったが、彼は何というか…………必要がないと判断したらトコトン存在感が無い。居候だから気が引けているのだろうか? 気にしないでいいのに。

 

「じゃあ霊夢、修行の時間よ」

 

「えぇー………………いつもならまだ昼寝とかしてるじかんでしょー?」

 

「修治が掃除を早めに終わらせてくれたからね、その代わりに今日の修行は早めに終わるから。ほら! さっさと準備する!」

 

 縁側で足をぶらつかせながら霊夢はぶつくさ言って修行を嫌がる。この子は歴代の博麗の巫女と比較してもかなりの才覚を秘めている。

 

 しかし同時にかなり物臭で面倒臭がりな性格をしている、確かに夏の暑さの中での修行を嫌がるのは分からないでもないが、予定なら霊夢が十歳になる頃には私の()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。今のうちに教えられる事は全てを教えなくては。

 

「いやよ、こんなに暑いのに修行はなんて…………“ねっちゅうしょう”になるわ」

 

「どこでそんな言葉覚えたのよ…………」

 

「修治からー」

 

「修治~?」

 

「いや、これは私のせいでは…………あるんですかね? なら霊夢さん、こうしませんか?」

 

 彼は私のジト目に気まずそうに顔を背けるが、思い直したのか少し考えてから霊夢に提案した。疑わし気な目をしながらも霊夢は、一応その提案を聞くことにしたらしい。この子にしては珍しい、頑固な為取り付く島もない事も多くないのに。

 

「五分以内に私の顔面に一発でも入れられたら、今日の修行は無しにしましょう」

 

「なにそれ? そんなのラクショーよ!」

 

「ちょっと修治? 勝手に決めないでよ」

 

「まぁまぁ、偶にはいいじゃないですか。彼女の努力次第で飴が手に入る、これも修行と言えるでしょう?」

 

 そんなこんなで、勝手に決まった休日になるかどうかが掛かった二人の戦い、霊夢は彼の力量が察せていないのか楽勝だと見るからに慢心している。あー…………これは、何というか、彼も結構底意地が悪い。

 

「ふふん! 言っとくけどにげるんじゃないわよ!!」

 

「はい勿論、霊夢さんも博麗神社の敷地から出ないように」

 

「てかげんはしてあげるけど────────怪我するんじゃないわよ!」

 

 言うや否や、霊夢は霊力で肉体を強化して彼の顔面目掛けて飛び蹴りをかました。小さいとはいえその才能は本物、身長差など物ともせず一気に加速する。

 

「軽率に距離は詰めない」

 

「────えっ!?」

 

 対する修治────────もとい輝雄は真っ直ぐ自分目掛けて飛んでくる霊夢の脚を人差し指を引っ掛けて弧を描くように受け流す、空手の廻し受けに近いがどちらかというと見た感じ合気道だろう。空中で受け流されて体勢を崩した霊夢はそれでも隙を最小限に身を翻して着地する。

 

 彼はその気になれば追撃出来た筈なのに、ただつっ立て待っていた…………飽くまでも霊夢の修行、受け身に回るのだろう。

 

「くっ! ちょっとはできるみたいね!」

 

 負けん気に火がついたのか、霊夢は本気で彼を攻め立てる。あの子の実力は既にその辺の雑魚妖怪なら軽く捻る事が出来る、しかし私の見立てなら、恐らく────────輝雄は大妖怪が相手でも戦い方次第では充分勝機がある。はっきり言って実力差は天と地…………いや、それ以上だ。

 

(理解した上でこの提案したのね………………今の霊夢じゃ絶対に無理ね)

 

 今度は馬鹿正直に顔を攻めずに脛の弁慶の泣き所を狙って動きを止めようとする、しかし霊夢の頭に手を置いて逆立ちする様に立ち位置を変える。それでも果敢に霊夢は、攻める、攻める、攻め続ける。

 

「よけてばっかいないで! 攻めてきなさいよ!」

 

「貴方を怪我させるわけにはいきませんので」

 

 輝雄の身長に合わせる為に宙に浮きながら突きと蹴りの連打、彼はそれを片手で軽く捌いていく。両手と両足、手数では勝っている筈の霊夢の攻撃は悉く、しかし丁寧に迎撃される。

 

「はぁ……はぁ……! まだまだ!」

 

「ギアが上がってきましたか?」

 

 大粒の汗をかいている霊夢に対して、輝雄は涼しげだった。明らかに戦い慣れしている、それも尋常じゃない戦歴だろう。動きに無駄が無さ過ぎる…………余程良い師に恵まれたか、それ程の使い手と立ち合ったか、或いは両方か。

 

(しかも()()()使()()()()()()()()()()()()()()()…………素の身体能力が凄いわね、逆に輝雄は霊力から霊夢の動きを先読みしてるから手数の利が働いていない…………)

 

 年齢は私と同じくらいだとして、どうすればこの域に達せるのか。才能と修行だけじゃない、命の保証など無い死線を乗り越えた者にだけ授けられる先読みの感覚。戦いという刹那を試される環境では()()()()()()()()()()()()

 

「(もう生物としての格が違うわね…………考えてはいたけど、()()()()()()()()()()()()────────)霊夢ー? もう今日の修行はいいわよー? 彼との戦いで充分だからー」

 

「まだよ! まだ一発も入ってない!」

 

 顔を真っ赤にして、肩で息をして、既に全力を出しているにも関わらず輝雄には顔は愚か、まともに一撃も入っていない。霊夢は真っ直ぐ行っても無駄な事を学んだのか、左右に揺さぶるをかけながら彼に迫る。しかも弾幕を放ち相手の意識を撹乱する。

 

「一般人相手にはやり過ぎでしょう」

 

「ウソつけ! アンタみたいないっぱんじんがいるか!」

 

 輝雄は周囲に舞う弾幕を紙一重で避けて、追尾する弾幕は拳で撃ち落とす。岩位なら簡単に砕ける威力の弾幕を素手で砕けるという事は、彼の拳はそれ以上だという事。しかし霊夢もそれを織り込み済みだったのだろう、拳を振り抜いた瞬間に弾幕の向こう側から霊夢が飛び出してきた。

 

「うぉりゃあああぁぁぁ!!」

 

「巧いですね、ですが────────」

 

 輝雄は霊夢の拳が触れる直前で倒れるより滑らかに地面に移動────────古流武術に見られる“膝抜き”と呼ばれる動作。体を倒した体重移動から生じた勢いは彼の右足に集約され、カウンターとして霊夢の顔面に────────

 

「ッッッッッ!!!」

 

「………………ま、ここまでにしましょうか」

 

 ────────当たる瞬間に寸止め、紙一枚挟まるかどうかという所で霊夢の鼻先で停止した。霊夢は避けられ無い事を察したのか目を瞑り、固まっていた………………無理も無い、才能よりもこれは精神的な問題だ。

 

「やっぱりかが………………修治が勝ったわね。霊夢、落ち込まなくてもいいわよ。この人近接戦闘だけなら私より強いから」

 

「ぜー……ぜー……なんで、そんな奴が、妖怪にのろわれたのよ……!」

 

「さぁ? その妖怪に聞いてみないとそれは分からないわ」

 

 ────────うん、まぁ、そんな奴いないんだけど。

 

 勿論それは心の中に留めておいて、私は汗だくの霊夢の顔を拭いてやる。子供らしいぷにぷにした顔はなんとも愛らしい、いやー将来は私に似て美人になるだろうなー、親として鼻が高い! 

 

「いいわよ! 自分でふけるから! それよりれいかは水持ってきてよ」

 

「私が持って来ます」

 

「あ、いいわよ、私が行くから。それに今日はもう休日にしましょ、今から皆で涼みに行くわよ!」

 

「えー…………わたしもうおフロはいって寝たい」

 

 霊夢は如何にも面倒くさそうな顔でぶーたれているが私は聞こえないふりして準備する。ここ数日かけて探していた物が見つかり、やっと夏らしい事が出来そうで年齢よりも幼くなった様に気分が浮つく。

 

「涼みに行くって…………何処に?」

 

「こんなに暑くて蝉がうっさいのよ? 行くしかないでしょ────────玄武の沢!」

 

 私は自分と霊夢の分の水着を持って、彼に西瓜を投げ渡す。

 

 

 

 

 

 ♢

 

 

 

 

 

「れいかー! カニ! カニ! サワガニいるー!」

 

「でかしたわ霊夢! 塩揚げすると酒に合うのよ!」

 

「一昨日呑んだばかりですから、お酒は控えて下さい」

 

「甘いわね修治! 私はもう既に“出来上がっている”!!」

 

「何処に出しても恥ずかしい駄目人間です本当にありがとうございました」

 

 霊夢が川底から元気よく沢蟹を手に取り、それを見た霊郁が水着姿でバケツ片手に近寄っていく。おかしいなー……川遊びする筈が何故か酒のツマミ採取になっている、あとスタンド使いみたいな言い回しになっている。

 

 あとついでに霊郁がいつの間にか酒を呑んだのか、ほろ酔いなっている、川遊びしながら飲酒って、お前…………溺れるフラグじゃん、止めろよ子供の前で。

 

(言うて霊郁も十七だもんな…………そりゃ、はしゃぐか)

 

 つくづく親子というよりも歳の離れた姉妹、若しくは親戚の子といった関係性に近い。俺は川に流されない様に岩で囲いを作った中に、冷やしている西瓜を見張りながら二人を眺めている。霊夢は子供っぽいレオタードタイプの水着を着て、霊郁は黒ビキニ。

 

(幻想郷って水着とかあんだな…………海無いのに)

 

「暑い日差し……冷たい川の流れ……酒ッ! 呑まずにはいられない!!」

 

(なんのかんの理由づけて、いつも呑んでそうだな。コイツ…………)

 

「いつものんでるじゃん、れいか」

 

(やっぱりいつも呑んでんのか…………)

 

 もしかすると十年後の霊夢のだらしなさは、霊郁から遺伝したのかも知れない。という現状その可能性がバリ高である。

 

「いいじゃな〜い。霊夢も大人になれば分かるわよ、この味! 背徳感!」

 

「少なくとも後者は覚えないで欲しいですね。ほら、二人とも三十分は泳ぎっぱなしですよ、休んで下さい。魚も焼けました」

 

 濡れた髪を拭う手拭いを二人に投げ渡しながら、焚き火で焼いた魚に塩を振る。汗をかいているから丁度いいだろう。パラソル代わりにデカい番傘の下で三人でヤマメに齧り付く、やはり美味い、良い水で育った天然の川魚。十年後の幻想郷と変わらない味だ。

 

「いやー美味いわね! いつも食べてる味なのにシチュエーションが変わるだけで最高!」

 

「そうねー…………れいか! こんどは神社で“ばーべきゅー”したい!」

 

「おっ! いいわねー、そういう事だから修治! よろしく!」

 

「まさかの丸投げですか、そうですか、やってやりますよ畜生」

 

 良い様に扱われてんなぁ…………俺。いやまぁ別にいいけどさ、それくらい。下準備くらい手伝ってくれるよな? そうだよな? てか境内でそんな俗っぽい事してもいいのか? 寧ろお前は止める側じゃないのか、霊郁。

 

「お詫びにぃ〜………………ほら、いい感じに酔った美少女が隣にいるわよ〜? なんかして欲しい事とか無いの? うりうり〜」

 

 酒を呑んだからか、頰が紅潮している霊郁。俺の腕を取り胸を押し付けこちらに熱っぽい視線を送ってくる、コイツ絶対巫女向いてない。

 

 柔らかい感触、水を弾く肌、僅かに漂う女の色香────────己の内から湧く本能を、理性で殴り殺す。

 

「子供の前でやめて下さい」

 

「カマトトぶってんじゃないわよ! 好きなんでしょう!? デッカいおっぱい! 略してデッぱい!!!」

 

「貴方本当に巫女ですか!?」

 

「れいか、いつもより下品ねー」

 

 酒に酔っているからか、もう発言が完全アウト。この場にいるのが霊夢だけで良かった、いや本当は良く無いけど。おい誰だよ、先代巫女が厳格とか礼儀正しいとか書いた奴。

 

「ぐへへへ、にぃちゃん良い体しとるのぉ」

 

「「キッショッ」」

 

「あ、霊夢に言われるのはちょっとショック…………」

 

 

 

 ────────これが第十二代目博麗の巫女だぞ!? 

 

 

 

 艶かしい手つきで俺の腹筋を弄る姿はまさに変質者、信じたい、酒に酔っているだけなのだと、俺は切に信じたい!!! だって人里の人達にどんな顔すればいいか分からないから! コイツに斃される妖怪も浮かばれないよ!! 

 

「で? どうなの?」

 

「………………何がですか?」

 

「おっぱい大きい子は好き? てか女の好みは?」

 

「………………清楚な────「嘘ね、てか性格じゃなくて容姿で答えなさいよ」…………霊夢さん、西瓜切りましょうか」

 

 博麗の勘なのか、適当に(あし)らおうとしたが一発で見抜かれる。だが答えれば最後、この先一生マウントを取られる事は想像に難くない────────死んでも答えない。

 

「わたし大きいのがいい」

 

「分かりました、じゃあ切り分け────────」

 

「ちょっとまだアンタの女の好み聞いてないわよ! 言え! 言いなさい! 胸と身長(タッパ)がデカい女が好みと言いなさい!」

 

 ────────それお前じゃん。自己顕示欲の化け物かよ、コイツ。

 

 遠くに入道雲が見える澄んだ青い空、鬱陶しくも懐かしさを感じさせる蝉達の合唱、汚い物を含まない爽やかな風は森をそよがせる。夏の香りが見る物全てから感じ取れる────────いつかのトラウマは、思い出さなくなっていた。

 

「しゅうじー、もうメンドクサイかられいかが一番って言ってあげなさいよ」

 

「無いです、天と地がソーラン節を踊っても無いです」

 

「んだとコラァ!! 霊郁さんの何が不満なんだぁ!」

 

「控えめに言って全部」

 

「控えめに言って全部!?」

 

 ────────美しい沢の側で俺達は馬鹿馬鹿しくも穏やかな時間を刻んでいた。

 

 

 

 




 
 血筋で強い奴って元を辿ると最初の人はなんで強かったんですかね?
 後輩は公式で神の血を引いている事が確定ですけど、じゃあ霊夢は?

 ん?主人公?まぁ彼はそのうち。
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