空戦シミュレーターを極めたので異世界でエースとして君臨します   作:PlusⅨ

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第8話・神のみぞ知る

――――

 

 

 満州湖水上警察の航空部隊基地を訪れた後、私はヘル・ミツキと共に国から充てがわれたアパートメントへと帰ってきた。

 

 私は満州国の協力によってここまで逃げ延びたものの、まだ私の立場は難民であり、亡命者としてこの国での暮らしを公的に認められたわけではなかった。それにも関わらず軍事基地を訪れ、最前線で戦う司令と面会した私の行動は、担当機関内で問題になってしまったようだ。

 

 今、ミツキはアパートメントにかかってきた電話の対応をしてくれているけれど、その相手、おそらく上司の方から、かなり強い口調で責め立てられてしまっているようだった。

 

「はい、申し訳ございません。ですがその件につきましては、すでに報告をあげてますし、八八隊司令との調整を終えた上で訪問しているので手続き上に問題は……勝手に出歩くなって言われても、そんな行動制限は指示されて無いでしょう。彼女は囚人じゃない。……それはそっちの都合でしょう?こちらとしては、亡命者の保護という任務に従っているだけです。……八八隊に借りを作ったって、そんな言い方……そりゃ確かに八八隊に支援要請したのは俺ですけど、あの状況じゃ仕方ないじゃないですか……増援出さなかったのはそっちでしょ、俺たちに死ねって言うんですか!……わかりましたよ、責任とりゃいいんでしょ? ええ、はい、はい、それで責任とやらが取れるのなら構いませんよ。ではこれにて失礼!」

 

 ミツキは乱暴に受話器を置き、大きくため息をついた。

 

「大丈夫ですか?ヘル・ミッキ…ミ、ツーキー」

 

「ミツキだ。三つの木という意味。…いや、君には発音しづらい名前だってのはわかってる。すまない、少し苛ついていた。俺のことはミッキーでいい」

 

「ありがとうございます。ミッキーさん」

 

 私がそう呼ぶと、彼の疲れた表情で目だけが笑ったように見えた。きっと収まりが悪い気持ちなのだろう。私もそうだ。なんだかファーストネームで彼を呼んでいるような気分になる。

 

「そういや、大丈夫かって話だったな。まあ大丈夫だ、君はな。俺は……君が気にすることじゃない」

 

「でも、私が加藤さんの仲間にお会いしたいと言ったせいでしょう?」

 

「俺が君の意見に賛同した。だからこれは俺の責任でしたことだ。自分の意思で仕事をしている。だから、後悔もしていない」

 

 そう言って、彼はクックッと含み笑いを漏らした。

 

「レイだったかな、あのパイロットもそんなことを言ってたな。俺たちの生死は俺たち自身のものだ。自分で責任をとる。君が背負う必要は無い」

 

「でしたら、私は何故、生き延びたのでしょうか。収容所に潜入して逃してくれた名前も知らないスパイの方、私たち家族を先に行かせるために囮となって殺された他の収容所の方々、私を庇ったお父さんとお母さん……そして、加藤さん。私は、数えきれない人々の死のお陰でここにいます。だったら、私は……」

 

「やめとけよ、そういうことを考えるのは」

 

「でも」

 

「生きる理由なんてのは今だから悩むことができるんだ。戦場じゃ生き延びることしか考えてない。だったらそれが答えだ。死んだ奴の分まで背負ってちゃ早死にするぜ」

 

 ミッキーさんはそう言って、部屋の片隅の机の引き出しから、封筒と一枚の書類を取り出し、リビングのソファーに腰掛けている私の前の机に置いた。

 

「当座の生活費だ。といっても慎ましく暮らすなら一年程度は働かなくてもいい。余計なことは考えるな。君のような立場の人間が生きる理由を外に求め出したら、都合よく利用されるだけだ」

 

 私は目の前の封筒に目を落とす。かなり分厚い。おそらくこの中に現金が包まれているのだろう。

 

 もう片方の書類についてミッキーさんは教えてくれなかったが、そこに書かれている内容に目を通すと、既に彼が私のために警告してくれていたことが分かった。

 

 それは志願票だった。満州湖水上警察特別航空戦術隊への、入隊志願書。

 

「満州国は、私に反共戦線の先方に立て、と言っているんですね」

 

「都合のいい広告塔だ。君の復讐心を煽り、プロパガンダに利用しようという腹づもりさ。祖国の解放だとか、家族の仇討ちとか、考え無い方がいい」

 

「復讐は、私には向いていません。加藤さんを憎んでしまったことで、それがよく分かりました」

 

「なら良い。こいつはしょせん志願書だ。強制じゃない」

 

 ミッキーさんが書類を取り上げようとした。でも、私はそれより早く、その書類を取り上げた。

 

「おい!?」

 

「ミッキーさんの言う通りかもしれません。けれど、私の行動が誰かの役に立つのなら、私はそうしたいと思います」

 

「復讐じゃないなら、なんだ。償いのつもりか」

 

「神さまから与えられた、試練だと思います。父はよく言っていました。人生の苦難は、全ては神の思し召しであらせられる。全てに意味はあるのだと。その言葉を頼りに、私たち一家は生きてきました」

 

「君に人殺しをさせることが、神の御心か。ふざけるな」

 

「それを推し量るのは、私には畏れ多いことです。でも私は、求められた役割を果たすべきだと、そう思います。きっと父もそう言ってくれるでしょう」

 

 私が微笑むと、ミッキーさんは呆れたようにため息をついた。

 

「君はバカだ。大バカ者だ」

 

 神の前では人は皆等しく愚かで罪人だ、と言ったら、きっとこの人は侮辱されたと思うだろう。だから私は、無言で席を立ち、部屋の隅の机からペンを手に取り、書類にサインをした。

 

 それをミッキーさんに渡す。

 

 彼は険しい顔でそれを受け取り、懐に収めながら、私に言った。

 

「俺は神とやらに会ったことがある。君の信じる神とは違う類だろうが、奴は自分をこの世界の神と名乗っていた」

 

「神の名を騙るのは恐ろしい罪です」

 

「俺もそう思う。いけすかない最低な野郎だった。だが奴の力は本物だ。俺はそのせいでこの世界で生きる羽目になったんだ。奴は君も利用するだろう。この書類にサインするということは、その力の支配下に置かれるということなんだ」

 

「おっしゃる意味が、よくわかりませんが、神を騙る者が居るのであれば、その者はいずれ神の名の下に罰せられるでしょう」

 

 私がそう言うと、ミッキーさんは顔を歪め、皮肉な笑顔を浮かべた。

 

「神の名をもって神を殺すか。そいつはいい」




―――第8話あとがき―――

 AIが文脈を判断するために認識する文章量は、概ね5千文字程度(ボイジャー会員の場合)なので、AI任せにして展開を続け過ぎると、すぐに内容が破綻します。

 整合を取るには、シーンごとの登場人物設定、会話や描写のテーマを別枠で入力したうえで出力する必要があります。でもその作業がめちゃくちゃ面倒。それするぐらいなら自分で描いたほうが早いわ。

 「aiのべりすと」のAIは大量のビッグデータを持っていますが、利用者が書いた文章はビッグデータとしては収集されない仕様になっています。私の小説を学習したAIとか興味あるので個人的には収集して欲しいですけど。

 やらない理由はきっと、有象無象の素人文章をビッグデータとして収集したところでノイズにしかならんという判断かもしれません。

 まあ、私としては、AIの突拍子もない出力文書を見て、発想を刺激されているところもあるので、サポートツールとしてはそこまで精密さを求めていませんね。今のままでも十分面白いです。
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