空戦シミュレーターを極めたので異世界でエースとして君臨します   作:PlusⅨ

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 AIが色々とぶっこんできた。


第9話・ライバル

 クラリスが面会に来たあの日から二週間後、第八八隊に新たなパイロットが二名、機体と共に補充された。

 

 日本にある養成所から海を渡ってこの基地へ渡ってきた、二機のフィアットG.91――イタリアが開発した軽戦闘機――が、滑走路に着陸し、大勢の報道関係者が集まった格納庫前へと牽引されてくる。

 

 一機が報道陣の前で止められ、コクピットの風防が開かれた。

 

 一斉にカメラが向けられフラッシュが炊かれる中、そのパイロットは姿を表した。この二週間、新聞やラジオ、そして街頭テレビのニュースで何度も報道された有名人、クラリス・フェルナーその人だった。

 

 コミンテルンが支配するドイツで反逆者の汚名を着せられ、流刑の果てに家族を失いながらも、満州国へ逃れてきた悲劇の美少女。

 

 その地獄を乗り越え、彼女は今、これ以上の悲劇を繰り返さないために、戦闘機パイロットとして戦う決意を固めた。

 

 そう話し終えたクラリスの横に、狭山司令が進み出る。

 

 我々はフェルナー女史の苦難に同情し、その覚悟に涙した。その彼女を迎え入れ、並び立って戦えることは光栄である。彼女の祖国解放への情熱と勇気ある決断を、我々は称えなければならない。

 

 明日の新聞の見出しを飾るに相応しい言葉が発せられるたび、記者たちが忙しくメモを取り、カメラマンがシャッター音が鳴り響かせる。

 

 俺はひとつ隣の格納庫のそばから、その馬鹿げた記者会見の様子を眺めていた。実は、ここからはクラリスのインタビュー内容なぞ聞こえはしないが、しかしその内容は聞かずともわかっていた。何しろ昨日、この会見のリハーサルを見ていたからだ。

 

 クラリスも狭山司令も、一言一句、台本通りに喋らされている。その台本は政府広報機関が用意したもので、本人たちは一切関わっていないし、訂正も許されなかった。

 

 狭山司令は昨日、自分が会見に参加すると勝手に決められて不機嫌だったところへ、台本まで押し付けられて憤慨し、そしてリハーサルで台詞を三回とちったあたりで遂にブチギレた。

 

 キレた狭山司令はリハーサルの中断と休憩を一方的に宣言して、パイロット控室へやってきた。

 

 そのとき、俺は控室の窓越しにリハーサルの様子をぼんやり眺めていた。狭山司令はそんな俺に気づいていたんだろう、控室にやってきた途端に、俺に向かって台本を投げつけてきた。

 

「こんなことは私の仕事じゃない。レイ、貴様がやれ」

 

「意味がわからんぞ。なんで俺が?」

 

「クラリスの配属先は第一小隊だ。マオと組ませる。上司が会見しろと言うのだから、小隊長がやってもいい」

 

「バカ言うな」

 

「バカなことを言わされてるのは私だ」

 

「混ぜっ返すな。俺はやらんぞ」

 

「上官への反抗は軍規違反だ」

 

「正当性のない命令には従わない権利がある。そもそもこの会見は上からの命令だろう。そいつを投げ出すなら、あんたこそ軍規違反でしょっ引かれるぜ」

 

「ふん……コーヒーを淹れろ」

 

「へいへい」

 

 俺は控室に備え付けのドリッパーでコーヒーを淹れてやった。別に彼女の好みなんざ知らないが、俺が淹れる、俺の好みに合わせた味が彼女の好みでもあるらしい。

 

 俺の淹れたエスプレッソ並みに濃いブラックコーヒーを狭山司令は眉間に皺を寄せながらゆっくりと飲み干し、そして長い長いため息をついた後、俺の手から台本をひったくってまた出て行った。

 

 正直、俺は狭山司令が何を考えているのか分からんし、興味も無いが、少なくとも俺のコーヒーが気に入っていることと、俺の前でコーヒーを飲みたがる時だけはやたら愚痴っぽくなることは確かだった。

 

 その後彼女は今日、なんとか怒りを抑え込んで会見を続けていた。しかしその様は、用意された原稿を読み上げるだけのロボットのようだった。

 

 側のクラリスは終始、和やかな笑顔を崩さなかった。あの子の内心も俺には知る由も無い。

 

 しかし知る気もない、と突っぱねるわけにもいかなかった。俺の部下になるのなら、ある程度は知らなければならない。最低限、俺を背中から撃つようなタイプかどうか見極めないことには一緒に飛ぶわけにはいかない。

 

 そんなことを考えている内に、俺のそばにもう一機のフィアットが牽引されてきた。クラリスの護衛兼ダミー役を務めていた機体だ。

 

 国家の広告塔になった彼女が移動中に狙われないよう、記者会見場に着く直前までどちらのフィアットがクラリス機なのか分からないようになっていた。

 

 そのダミー機からパイロットが降りてくる。見覚えのある顔だ。あの日、司令室でクラリスと面会した時、一緒にいたスパイの男だった。

 

「もう一人の補充兵のミッキーてのは、あんただったのか」

 

「レイ、だったな。三木 光(ミツキ ヒカル)だ。ただ彼女が俺の名を発音できなくてな、だからTACネームをミッキーにしてもらった」

 

「スパイってのは多芸なんだな。彼女の護衛のためにパイロットまでやるのか」

 

「もともとこっちが本業だ。…俺も転生者だよ。最初に獲得したスキルに異言語習得ってのがあったんだ。そっちの面で情報部に注目されてな、養成所にいる間に引き抜かれた」

 

「そんな奴も居たのか。意外だな。みんなパイロットにされるものだと思ってた」

 

「似たような奴は他にもあちこちに居るよ。ただ、どこに配属されようが所詮、俺たちは捨て駒さ。俺の同期もシベリアの収容所に潜入させられたあげく、そのまま処刑された」

 

「…クラリスに入れ込むのは、その同期の意思を継ぐためか?」

 

「他人の死を背負ってちゃ長生きできねえよ。あんたもわかってるだろ」

 

「だったら、どうしてここに来た」

 

「スパイはお払い箱にされた。あんたらに支援を求めたり、面会したりと色々やったからな。上司がヘソを曲げやがった。自分が何もせずに現場に丸投げしておいて、手柄だけ持っていって都合の悪い部分は俺に押し付けやがったのさ。第八八隊への借りを返すための人身御供だよ」

 

「ここはそんな奴らの吹き溜まりさ」

 

「レイ、TACネームか、本名か?」

 

「TACネームはスカイレイ、本名は巣飼零士。好きに呼べ」

 

「じゃあ、レイ、これからよろしくな。クラリスはあんたに預ける」

 

「押し付けるな。彼女のナイトなら最後まで面倒見ろ」

 

「ごめんだね。俺は長生きしたいんだ」

 

 ミッキーはそう言って、俺に背を向けてその場から逃げるように立ち去っていった。

 

 逃げるように、ではなく、逃げたんだ。俺は、こちらへ新たな人物が歩み寄ってきたのを認めた。

 

 クラリスだ。どうやら記者会見はようやく終わったようだ。ミッキーめ、本気で俺に彼女の面倒を押し付けるつもりらしい。

 

「失礼します、レイ隊長ですね。お久しぶりです」

 

「……ああ」

 

「この度、第一小隊への配属が決まりました。改めて自己紹介させていただきます。クラリス・フェルナーです。以後、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします」

 

「そんなバカ丁寧な挨拶をされたのは初めてだ。敬語なんてやめろ。ここは傭兵部隊だ」

 

「私の命を預ける方です。礼節と敬意を尽くして然るべきかと」

 

「俺が欲しいのは君の本音だけだ」

 

「本音、ですか?」

 

「俺の背中を撃ちたいか、どうか。知りたいのはそれだけだ」

 

「……おっしゃる意味がよくわかりません。私が何故、隊長の背中を撃つと思うのですか」

 

「敵機を見つけたら反射的に殺す。見敵必殺。それが空の掟だ。ここはそれが本能まで染み付いた輩ばかりさ。そんな物騒な奴の本音が見えないのは怖い。背中を預けたくはないね」

 

「だから、常に本音で話せ、と?それが他人を不快にさせて更なる諍いの火種になるかもしれませんが、その場合はどうするのですか?」

 

「少なくとも背中を撃たれた理由はわかる。訳も分からず死ぬよりマシだ」

 

「なるほど」

 

 クラリスはそう言って、かすかに微笑んだ。

 

「なんとなく理解できた気がします。どんな形であれ、納得して死にたいのだ。私はそのように解釈しました」

 

「君がどう解釈しようが、俺にはどうでもいい。本音で話せ。これは命令だ」

 

「了解いたしました。では、ご質問をどうぞ」

 

 どうぞ、と言われて俺は一瞬、言葉に詰まってしまった。我ながら間抜けなものだ。そもそも俺は彼女の何を知りたいのだったか。

 

 ああ、俺の背中を撃つ気があるか、だったか。しかしこれは我ながら無茶な言葉だった。これは質問ではなく、俺の他人に対するスタンスの話しであって、彼女の立場ではいくら悩んでも答えようがないだろう。

 

 俺は、クラリスが常に本音で話してくれるようになればそれでいいのだ。そして彼女はそれを一応、理解してくれたようだ。

 

 なら、それを確かめる意味で、質問をしてみるのもいいかもしれない。

 

「では、質問だ。君はこれから戦場で人を殺す。それについてどう思う」

 

 俺の質問に、彼女はわずかに目を伏せ、しばし押し黙った。

 

 そんな彼女に、俺は言った。

 

「言葉を選ぶな。本音をそのまま口にしろ。それで相手の機嫌を損ねようが、関係ない。ここはそういう部隊だ」

 

「……私は、殺したくないんです」

 

「何だって?聞こえないぞ」

 

「守りたいものがあっても、できれば、殺したくはありません。私はきっと、いつまでも中途半端な覚悟のままでしょう」

 

「臆病風に吹かれた、とでも言うのか」

 

「違います。ただ、誰かを殺すことよりも、誰かを守る方がずっと難しい。そんな気がするだけです」

 

「俺には理解できないな」

 

「それで結構です。これが私の本音です」

 

「そうだ、それでいい。他人の理解など求めるな。それで恨みを買って殺しにくる相手がいるなら、それが誰であっても関係ない、返り討ちにしろ」

 

「それでは周り中が敵だらけになりそうですね」

 

「自分の本音を曝け出してそうなるなら、それはそれで諦めがつくというものだ。自分を偽った結果、そうなっては目も当てられん」

 

「隊長はこの部隊の最古参と聞きました。敵が多ければ生きて来れないと思います。貴方の本音は善良だと信じます」

 

「返り討ちにしてきた、と言ったらどうする?」

 

「本音ではありませんね。それぐらいはわかります」

 

 あっさりと返された。やれやれ、自分が情けない。

 

「……冗談だ。いいだろう、俺の負けだ。君は本音で話せという命令を実行した。これからもその調子で頼む」

 

「了解しました。ところで、私からも質問をよろしいですか?」

 

「なんだ?」

 

「隊長はなぜ、ここで戦っていらっしゃるのでしょうか」

 

「……何故そんなことを訊く」

 

「純粋な好奇心です。特に理由もなく、なんとなく。これも私の本音というものでしょう?」

 

「…別に、話すほどのことは無い」

 

「ノーコメント、ということですか。確かに、話したく無いという気持ちも本音かもしれませんね」

 

「そうじゃない。本当に無いんだ。俺には語るべき過去なんて無い。ここで戦う必然性もな。……俺は、このまま無意味に死にたくない。それだけだ」

 

 そう、これは嘘偽りのない俺の本音だ。この世に生まれてきたにも関わらず、何一つ成し遂げてこなかった空っぽの人生、それが俺だ。

 

 だから俺はこのまま死にたくない。せめて、何でも良いから、自分の人生に納得してから死にたい。

 

 クラリスの質問に答えることで、俺は再び自分の心と向かい合っていた。

 

 クラリスはそんな俺を暫く見つめ、そして目を伏せた。

 

「そうですか。……立ち入り過ぎたことを訊いてしまったようですね。申し訳ありません」

 

「気にするな、俺がそうしろと言ったんだ」

 

「そう言ってくださると、助かります」

 

 クラリスは少し力の抜けたような、ホッとした雰囲気を見せた。

 

「隊長、ありがとうございました。おかげで少し、気が楽になりました」

 

「どういうことだ」

 

「久しぶりに本音を零せた……ここしばらく台本通りの言葉しか話していなかったので、窮屈だったんです」

 

「そうか」

 

「隊長となら上手くやれそうです。安心して下さい。黙って背中を撃つ真似はしません」

 

「そう願う。事前通知は忘れずにな」

 

「その時はサイン付きの書面にしてお渡しします」

 

 軽口に軽口で返しながら、彼女は俺に手を差し伸べた。俺はそれを握り返す。

 

 タフな少女だ。修羅場を幾度も潜り抜けてきただけある。握手を放し、俺は彼女に背を向けて格納庫へ向かった。

 

 その時、背後から声がした。

 

「隊長は、私が守ります」

 

 振り返ると、クラリスが小さく敬礼し、そしてさっと踵を返して、その場から立ち去っていった。

 

――誰かを殺すことよりも、誰かを守る方がずっと難しい。

 

 俺は遠ざかるクラリスの背中を見送りながら、彼女の言葉を思い出した。

 

 その背中に、ふと、加藤の影が重なった。

 

 いや、きっとそれは加藤だけじゃない。クラリスの細く華奢な後ろ姿には、背負いきれないほどの多くの影が重なっているように、俺には思えた。

 

 

 

 しばらくして、俺は格納庫の中へ足を踏み入れた。

 

 半開きになっていた扉の横を通り抜けたとき、すぐ近くに人の気配を感じた。

 

 足を止めて横を向くと、ちょうど扉の内側に、背中をもたれて立っていた女が居た。

 

「アレックス、こんなとこで何やってるんだ」

 

「あ、えと……私が格納庫に居たら悪いわけ?」

 

「悪くはないが、ここに居たなら声くらい掛ければいいだろう」

 

「なんでそんなことしなきゃいけないわけ?それじゃまるで、私が常にあんたの側に居るみたいじゃない」

 

「違うのか?」

 

「……〜〜っ!」

 

 アレックスめ、急に俯いて黙りやがった。なんだ、そんなに俺の前に出て来たくなかったのか。

 

「お前もしかして、クラリスが苦手なのか?」

 

「なんでそうなるのよ!?」

 

「話したく無いから隠れたまま出てこなかったのかと思って」

 

「全然違うわよ!見当違い!バカ!」

 

「じゃあ何だってんだ?」

 

「ノーコメント!」

 

「そうか」

 

 俺はそのまま通り過ぎようとしたが、彼女が俺の腕を掴んだ。

 

「待って!」

 

「なんだ」

 

「あ、あのさ……レイは、私も…背中を撃つかもしれないって……思ってたりするの……?」

 

 何かと思えばそんなことか。俺は肩をすくめた。

 

「あるわけ無いだろ」

 

「ほ、ホント…?で、でも」

 

「でもも何も、お前以外に背中を預けたことなんて、一度も無いじゃないか。……まあ、クラリスとのやりとり訊いて、そんな気持ちになったんだろうけどな」

 

「う…そ、そんなこと…」

 

「お前がそばに居たらそんな言葉は出さなかったよ。聞かせてしまって悪かったな」

 

「あ、う、うん……そう、そうだよね…あはは、私こそごめんね、変なこと聞いてさ」

 

 腕を掴む力が緩む。

 

「うん、そう、あんたの背中を守るのは、私の役目だからね」

 

「ああ、頼りにしてるぜ、相棒」

 

「それ、本音だよね」

 

「世辞が言える男だと思うか?」

 

「……いや、全く」

 

「そういうことだ」

 

「だよねー。…あっ、そうだ」

 

 と、アレックスは俺の腕を放し、いつもの調子に戻って言った。

 

「狭山司令から私たちに呼び出しだよ。司令室に来いだってさ」

 

「今度はいったいどんな用件やら」

 

「すごく不機嫌そうだったよ。レイ、あんたまた司令に失礼なことでもしたの?」

 

「またと言われる覚えは無いぞ。不機嫌な理由は会見のせいだ。薄っぺらいプロパガンダ演説を無理やり言わされたんだ。会見の時の司令、死体みたいな目をしてたぜ」

 

「……それを他人事みたいに見てた、あんたのそういう態度が司令を不機嫌にさせたんじゃないの?」

 

「そうなら、会見が終わった途端に俺のところに来て散々愚痴るよ。あの人はそう言う人だ」

 

「人となりをよく理解してるわね。あんたと司令の関係って、ホントよく分からないわ」

 

「俺にもよく分からん。ま、とにかく司令室に行けば分かることだ。行くぞ」

 

 俺たちは格納庫を後にして、司令室へ向かった。

 

「巣飼零士、入ります」

 

「アレクサンドラ・カー、入ります」

 

「入れ。レイ、コーヒー」

 

 いきなり何を言ってんだ、この女。

 

「コーヒーデリバリーのために俺を呼んだのか?」

 

「いいから淹れろ。…淹れてくれ。自分で淹れてもあの味にならん。ストレスを発散したいのに溜まる一方で、仕事にならん。要件はその後だ」

 

 そう言った狭山司令の声は疲れ果てていた。まったく、しょうがない。

 

「了解しました、司令殿」

 

 俺はため息をついて司令室の片隅にある備品のコーヒーメーカーに向かった。

 

 その間、立ちっぱなしだったアレックスに、司令は中央のソファに腰掛けて待つように指示した。

 

「アレックス、君も飲むといい。砂糖とミルクは好きなだけ使っていい」

 

「ブラックでお願いします」

 

「レイのコーヒーはバカみたい苦いぞ。平気か」

 

「知ってます。慣れてますから」

 

 うそつけ、と俺は言いたいのを堪えた。こんなの飲めたもんじゃ無い、体に悪いからやめろといつも口うるさく言っているのは何処のどいつだ。

 

 俺はカップに注いだ黒い液体を、司令の前に置いた。

 

「どうぞ」

 

 司令はそれを手に取って、一口すする。

 

「相変わらず、クソまずいな」

 

「だったらなんで毎回頼むんだ」

 

「良薬口に苦し、だ。気付け薬にちょうどいい」

 

 俺は肩をすくめて、アレックスと自分の分のコーヒーを用意した。

それをもってソファーに座り、隣のアレックスにカップを手渡す。

 

「ありがとう、レイ」

 

 アレックスめ、受け取ったは良いものの、顔が引き攣っていた。何のための対抗意識か知らないが、司令の前だからって変な意地を張るからだ。

 

 それでも、アレックスは意を決してカップの中の液体に口をつけた。

 

 一口飲んだ次の瞬間、アレックスの目が見開かれた。その目が隣の俺に向く。

 

 俺も横目で彼女と一瞬だけ目を合わせると、すぐに目を逸らして自分のコーヒーを飲んだ。

 

 俺と司令のコーヒーは、刺々しい酸味と苦味の、まさに気付け薬みたいなコーヒーだ。しかしアレックスの分はお湯で割って、そこに砂糖を加えて飲みやすくしてあった。いわゆるアメリカン風コーヒーだ。

 

 日本の世間一般じゃお湯で割った薄いコーヒーをアメリカンと呼ぶが、これは誤りで、本来のアメリカンコーヒーは浅煎り豆を使ったものを指す。さっぱりとした酸味が特徴だが、俺の気付けコーヒーをお湯で割るとちょうど似たような感じに飲みやすくなるので、だから俺もたまにそうやってアメリカン風を楽しんでいる。

 

 アレックスもこれなら飲めるようで、彼女は俺の隣でカップを両手で包み込むように持ちながら、一口ずつ味わうように飲み続けた。

それはともかく、

 

「それで? 要件って何ですか」

 

 俺の問いに、司令はコーヒーを飲みながらデスクの上にあった書類を俺に向かって差し出した。

 

「カナード付きの件だ。ようやく詳細が判明した。これは情報部やマッキー婆さんからの情報、そしてお前の交戦記録をまとめて分析した資料だ」

 

「そいつは良いニュースだ」

 

「対策会議だ。リリィも呼んである。彼女が来るまで資料に目を通しておけ」

 

 俺は立ち上がり、司令から資料を受け取った。ソファーに戻り、アレックスと一緒に目を通す。

 

「……なるほど、こいつは厄介だ」

 

「えぇ、そうね……」

 

 Ye-8。それがカナード付きの機体番号だった。開発したのは、ソ連のミコヤン・グレビッチ設計局。まだ正式採用されていない試作戦闘機だ。

 

 機体そのものはソ連の主力戦闘機MiG-21フィッシュベッドをベースにしているものの、フィッシュベッドの弱点だった電子兵装を強化するためにノーズコーンを大型化。それに伴い空気取り入れ口を胴体下面に移設。さらに運動性能や高速時の安定性を高めるために機首に小型水平翼つまりカナードを装備している。

 

 武装は空対空ミサイルが二発のみ。機銃は固定武装に含まれていないが、20ミリ機関砲ガンポットを一基装着可能。搭載可能重量は約6トン。最高速度は推定2.2マッハ。

 

「外見はフィッシュベッドと別物だが、主翼周りなんかは意外と似通っているんだな」

 

「そうね。でも、速力や運動性能がまるで違うわ。カナード翼も効果はあるんでしょうけど、大型化したレドームと空気取り入れ口が変更されたことが一番の理由でしょうね」

 

「米海軍のF-8クルセイダーと同じ効果ってことか。ノーズコーンが空気取り入れ口の上に突き出すことでショックコーンの役目を果たし、エンジンの性能を最大限に引き出しているんだな」

 

「制作数は…今のところ確認されているのは二機だけみたいね。いったいどういう経緯で反乱軍に流れたのかしら?」

 

「おそらく、実戦テストだろう」

 

 と、俺たちとは別の声が答えた。

 

 その声がした方に振り向くと、司令室の入り口にリリィ・ホワイトが立っていた。

 

「軍事顧問リリィ・ホワイト、入ります。遅れて失礼いたしました、司令」

 

「気にするな、ちょうどコーヒーブレイクが終わったところだ」

 

 司令はコーヒーを飲み干し、席を立って、俺とアレックスとは向かい合わせのソファーに座った。

 

 ホワイト教官も狭山司令の隣に座る。

 

 司令が言った。

 

「さて、これで役者が揃ったな。では始めるとしよう。カナード付きの機体詳細は資料の通りだ。で、実戦テストという意味についてだが、リリィ、君から説明してやってくれ」

 

「了解です。先ず、ソ連では現在、フィッシュベッドの後継機を選定中だ。今のところ我々が知る限り候補は三機種ある。スホーイ設計局の『T-58D』、それとミコヤン設計局の『Ye-23』と、同じく『Ye-8』だ」

 

 スホーイはミコヤンと並ぶソ連の航空機メーカーだ。現在、ソ連ではスホーイが開発したSu-9フィッシュポットが迎撃戦闘機として配備されている。ただ、ソ連本国にしか配備されていないので、こっちの満州戦線では見かけない機体だ。

 

 反乱軍が主力として運用しているMiG-21フィッシュベッドはミコヤン製の機体だ。単純で頑丈な機体に高出力エンジンを積んだ高機動戦闘機。電子兵装に難があるが、格闘戦に持ち込まれたらなかなか厄介な相手だった。

 

 ホワイトは続けた。

 

「選定中の三機種だが、T-58Dはまだ初飛行を終えたばかりの開発中の段階、Ye-23に至ってはまだ地上試験を繰り返している状況らしい。どちらも旧機種とはまったく違う新機軸を色々と盛り込んでいるらしく、その分、開発が難航しているという事だな。しかしこのYe-8は既存のフィッシュベッドをベースに改装したため、開発が速かった。それで他機種との差を広げるために、実戦データを欲しがったのだろう。反乱軍としてもまったく違う新型よりも、運用し慣れたフィッシュベッドの改装型なら扱いやすい」

 

「この満州での内乱は」

 

 と、狭山司令が言った。

 

「いまや、東西冷戦の最前線だ。世界中の航空機メーカーが我々の空中戦をメモを片手に見守っている。戦闘機の見本市にして試験場だよ、ここは」

 

 司令は腕組みをして天井を見上げた。

 

 俺は資料に目を落としながら言った。

 

「カナード付きはフィッシュベッド譲りの高い運動性能に加えて対戦略爆撃機用の迎撃戦闘機にも劣らない超音速飛行能力を併せ持っている。だが、一番の脅威は電子兵装だ。超音速飛行しながら正確にミサイルを狙い撃ってきた。1対1じゃコイツに勝てない」

 

 俺の言葉にホワイトも頷いた。

 

「確かに、我が部隊にはこれと並ぶ性能をもった機体は居ないだろう。だが、それは反乱軍も同じことだ」

 

「どういうことだ?」

 

「フィッシュベッドと性能が違い過ぎて連携できていない可能性がある。これまでの目撃例からして、カナード付きが常に単機で行動しているのがその証拠だ。それにカナード付きはまだ試作機だ。制作された二機とも反乱軍に供与されているにしても、内一機は予備機として保管されているはずだ」

 

「つまり、その稼働率はあまり高くはないってことか」

 

「そのとおり。1対1では勝てない相手でも、2対1の状態に持ち込めるなら勝算はある」

 

「といってもさ」

 

 とアレックスも口を開く。

 

「向こうもそれは承知の上だと思うよ。カナード付きはいつも主力から遅れて参戦してくるけど、多分、それが理由なのよ。バディを組める相手が居ないから、単機で支援に徹しているんだと思うわ」

 

 アレックスの指摘に、俺も頷いた。

 

「俺もそう思う。あいつはいつも乱戦状態になったときに、横合いから殴りつけるように突っ込んで場をかき乱す。そしてこっちが態勢を立て直す前に仲間を連れて引き上げていくんだ」

 

「しかし、前回は違った」

 

 と、ホワイトが俺を見て行った。

 

「二週間前の戦闘では、カナード付きは君にドッグファイトを挑んできた。何故だと思う?」

 

「いや、わからん」

 

「警戒されていたからだ。レイ、君は反乱軍から優先目標としてマークされているんだよ。スカイレイを捨てておけば被害が拡大すると、カナード付きは判断したんだ」

 

 そう言われて俺は複雑な気分になった。敵も脅威と認める本物のエースと言えばカッコいいが、しかしそれで命を狙われては堪ったものではない。

 

 アレックスが俺の様子に気づき、「どうしたの、難しい顔をしてさ」と訊いてきた。

 

「反乱軍も今頃、俺を殺すための対策会議しているのかもしれん、と想像してな」

 

 俺がそう言うと、アレックスは呆れたように肩をすくめた。

 

「ウチのトップエース様はナーバスだこと」

 

「レイの気持ちはさておき、スカイレイが戦場に出れば、カナード付きは優先的に狙ってくる可能性は高い」

 

 と、ホワイト。さておかないでくれ。いや、それより、

 

「じゃあ何か?俺にカナード付きを誘い出す囮になれ、と言うのか?」

 

「端的に言うと、その通りだ」

 

「断る。冗談じゃない。奴が俺に食らいついたあとはどうする?俺とアレックスの二人がかりなら勝てるかもしれないとは言え、どちらかは落とされかねない。それだけヤバい相手だ」

 

「撃墜しろとは言ってない」

 

 そう言ったのは狭山司令だった。司令は続けた。

 

「カナード付き対策の目的は、奴から受ける被害を局限することだ。つまりカナード付きの乱入を防げればいい」

 

 司令の言葉を受け、ホワイトが引き続き言った。

 

「案としては、君たち第一小隊を哨戒パトロール任務のローテーションから外し、援護に専念してもらおうと思う。カナード付きが就いている任務と同じことをやるんだ」

 

「奴が来たら、俺たちが現場に駆けつけて相手するわけか。カナード付きの注意を惹くことができれば、そのまま撤退しても構わないんだよな」

 

 とは言え、マッハ2級の戦闘機相手から逃げるのは至難の業だ。

 

「無理強いはしないが、引き受けてくれると助かる」

 

「……わかった」

 

 俺はため息をついて言った。

 

「ただ、一つだけ条件がある」

 

「なんだね」

 

「俺たちの機体ではスペックが足りない。当面はスキルと改装でなんとかしのいでみせるが、戦術でどうこうするのも限度がある。奴を超えるスペックの機体が早急に必要だ」

 

「わかっている」

 

 と、狭山司令が頷いた。

 

「現在、大統領府にアメリカ軍の最新鋭機をまわしてもらえないか要請中だ」

 

「機種は選べるのか?アメリカ空軍の主力機はデルタダートだが、あれは戦略爆撃機を撃墜するのに特化した迎撃戦闘機だ。高高度で性能を発揮する。ミサイルキャリアーだよ。格闘戦性能も悪くはないが、せいぜい俺の改装スカイレイと似たようなもので、カナード付きには劣る」

 

 俺に続けて、今度はアレックスが口を開いた。

 

「アメリカ海軍のファントムⅡは?配備されたばかりで性能は未知数だけど、大出力の双発エンジンと長い航続距離を確保するための大容量の燃料タンク、それに電子兵装も視界外射撃に対応した遠距離仕様よ?」

 

 俺は腕組みした。確かにファントムⅡは名機だ。現時点ではそれが最適の選択かもしれない。しかし、マストであってもベストでは無い。

 

 ファントムⅡは前世でも航空自衛隊が何十年にも渡って採用を続けただけに馴染みが深いが、体感としては運動性能だけならカナード付きは既にそのレベルに達しているように思えた。

 

「おそらく最新鋭のファントムⅡでカナード付きと互角というところだろうな。ファントムⅡの格闘戦性能は確かに高いが、しかしあれはもともとミサイルキャリアーとして開発されたもので、やはり本格的な空戦になると厳しい部分は多い」

 

「私も同じ考えだ。自分の本国への文句になってしまうが、最新鋭機の開発思想がミサイル万能論に支配されてしまったツケが早くも出てしまったようだ。とはいえソ連を前提とした本国防衛を主眼にすると、広い太平洋上空で敵の戦略爆撃機を遠距離から撃ち落とすというのが一番合理的となってしまうのは致し方ないが……」

 

「欲しいのは中〜短距離での制空能力だ」

 

 と、俺は口を挟んだ。

 

「満州湖の制空権を奪い合うここの戦場に一番必要なのは、大出力のエンジンと、高い旋回性能、戦闘後も空域に留まれるだけの燃料。そして陸上基地との連携可能な早期警戒能力と、それを活用した先制攻撃力だ」

 

 まあ、無い物ねだりとは理解しているが、俺たちは命を賭けているのだから、要望ぐらい好きにあげたっていいだろう。

 

 狭山司令とホワイトは二人揃って考え込む素振りを見せた。てっきり「無茶を言うな」だの「そんなもの都合のいい戦闘機など無い」と一蹴されるかと思って今のだが。

 

 ややあって、ホワイトが口を開いた。

 

「実は、無いこともない。ただし、君たちの要求を全て満たす機体は現時点では存在しない。しかし、その全てを満たす可能性を持った機体が、たった今開発中の試作機の中に存在する」

 

「本当か!?︎」

 

「どんなやつよ?」

 

 俺とアレックスは身を乗り出して訪ねた。

 

「VFX-14トムキャット。グラマン社が現在開発中の艦上戦闘機だ」

 

「トムキャット!?もう開発されてたのか!?」

 

「レイ、知ってるの?」

 

「ああ、前世じゃファントムの後継機として開発された大型戦闘機だ。図体はでかいがそれをものともしない大出力エンジンと、コンピュータ制御の可変翼によって圧倒的な格闘戦能力を持っていた。さらに射程200キロの遠距離ミサイルも搭載した、まさに死角なしの戦闘機だ」

 

「うわ、早口」

 

 と、アレックスが笑い、すぐに真面目な顔に戻って続けた。

 

「でもレイの要求どおりの戦闘機じゃない。もしかして、このトムキャットを念頭に置いて言ってたの?」

 

「まあ否定はしない。だが、前世の開発経緯を考えると、こっちでトムキャットの開発が始まるのはまだ数年先と思っていた」

 

「君たち転生者への聞き込みによって、前世世界の歴史については我々もそこそこ把握している。特にベトナム戦争については本国アメリカでも注目している者は多い。だが、それ以上にこの満州での内乱が、軍事メーカーに大きな影響を与えているんだ。とはいえ、アメリカ軍内部では、今現在、二つのドクトリンが対立関係にある。一つは従来どおり、戦略爆撃機から本土を守るための高高度超音速のミサイルキャリアーを主眼とするもの。そしてもう一方が、この満州で明確化しつつある、制空権の確保、維持を目的とした大出力及び格闘戦能力の向上を主眼とするものだ」

 

「その後者がVFX計画ってことか」

 

「そうだ。グラマン社はこの計画を『第4世代ジェット戦闘機開発計画』と呼んでいる。既に試作機が十機ほどロールアウトしているが、しかし、前世世界のベトナム戦争と違って、満州内乱戦線にはアメリカ軍は直接関与していないからな、制空戦闘機の需要がなかなか高まらず、注目が薄いらしい」

 

 ホワイトの言葉の後に続けて、狭山司令が言った。

 

「それで、だ。グラマン社から内々に、この試作機をうちの基地で試験してくれないか、という打診があった」

 

「驚いたな、そんな都合のいい話があったのか。さすがはアメリカだな。抜け目ない」

 

「いや、違う。これはグラマン社の非公式な依頼だった。いくらアメリカで注目されてないとはいえ、機密の塊みたいな試作機を会社の一存で国外に流すのをアメリカが許すとは思えん。私の権限で了承できる話じゃない」

 

「じゃあ何か。結局、ただの絵に書いたモチってことか」

 

「ま、手がないわけじゃないがな」

 

 狭山司令がニヤリと笑った。

 

「マッキー婆さんなら非公式ルートでこいつを調達することも可能だろう。もっとも、それなりに値は張るし、時間もかかる。当然、私とリリィの立場と人脈もフル活用しての話だ。そこまでして、果たしてこの試作機が実戦でどれだけ使えるかは未知数だが、しかし、何も無いよりマシだ。……その代わり、だ」

 

 と、狭山司令は俺に対して、上体を乗り出すように傾けた。

 

「レイ、この試作機は貴様が責任を持って管理しろ。調達費用はこちらで持つが、維持費は貴様持ちだ」

 

「ちょっと待て。どうしてそうなる」

 

「そもそも貴様が言い出したことだぞ、この機体に乗せろというのは」

 

「個人で欲しけりゃ自分でマッキー婆さんに頼むさ。俺は部隊全体の戦力の底上げという意味で提言したんだ。だから維持費も部隊で持つのが筋だろう」

 

「そのマッキー婆さん相手に、勝手に私の名義で買い物をしたのは何処のどいつだ」

 

「あんたが婆さんから情報を仕入れて来いと言ったんだ」

 

「買ってこいとは言ってない」

 

「婆さんがロハでものを寄こす訳が無いだろう。あんたもそれは承知のはずだ」

 

「減らず口め。…ふん、コーヒーのお代わりだ。それで勘弁してやる」

 

「へいへい」

 

 どっちが減らず口だ、と思いつつ俺はもう一杯注いでやる。狭山司令がそれを眉をしかめて飲むのを、隣のホワイトが呆れ顔で眺めながら、俺に目を戻して、言った。

 

「レイ、維持費はともかく、試作機の管理は君にやってもらいたい。ただ、実戦で乗れという訳じゃない。使い物になるかどうか君の評価が欲しいという事だ。グラマン社も現場の所見を参考にしたがっている」

 

「仕事が増えるな。給料は上がるのか?」

 

「出来高制だ」

 

 と、狭山司令。ホワイトが苦笑いを浮かべた。

 

「まあそういう事で、君にはこれから、VFX-14トムキャットの慣熟飛行を行ってもらう。もちろん君一人でじゃない。アレックスも一緒に乗って評価して欲しい。機体は複座式だが、パイロットは二人まで搭乗可能だ。整備員も用意するから、万全の整備体制で臨んでくれ」

 

 俺は頷く前に、隣のアレックスを横目で見た。

 

「私も構わないよ。報酬はフィフティーフィフティーでよろしくね、相棒」

 

「了解。とはいえ、仕事はトムキャットを手に入れてからだ。当面はカナード付きを追い払うことが最優先だな」

 

「そのとおりだ。しばらくは地上でスクランブル待機が続いて負担が大きいだろうが、よろしく頼む」

 

 ホワイトが表情を引き締め、そう告げた。その横で、狭山司令が相変わらずコーヒーを啜っている。これじゃどっちが司令かわかりゃしない。

 

「分かった。それじゃあ失礼する」

 

 俺とアレックスが席を立って、司令室から退出しようとしたとき、狭山司令が「レイ」と、俺を呼び止めた。

 

「なんだ?」

 

「……コーヒー、今度は私にもアメリカンを淹れてくれ」

 

「………」

 

 気づいていたなら最初からそう言えばいいものを。俺は無言のまま、肩をすくめた。隣ではアレックスが怒りというか恥ずかしそうというか、なんとも言いようがない顔をしている。ホワイトは意味が分からないという顔だ。

 

「以上だ。 早く行け」

 

 真顔のままの佐山司令に手を払われて、俺たち二人は司令室の扉を閉めた。




―――第8話あとがき―――

 狭山司令が急にあざとくなった。外見も年齢もバックボーンも何も決めてない分、この人は次にどう動くのか本当にわからん。AIはこの人をどうするつもりだ。

 アレックスから負けヒロインの気配が漂ってきた。
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