空戦シミュレーターを極めたので異世界でエースとして君臨します   作:PlusⅨ

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 AIちゃんさあ、展開を動かすとき、すぐ新キャラ出そうとしてない?


第4話・罪びと

 数日後、俺はアレックスと共に再びパトロール飛行を行っていた。

 

 あの日以来、反乱軍との戦闘は無かった。

 

 その代わり、このところ反乱軍の陸上部隊が満州湖の近くに集結しつつあるらしいとの情報があった。

 

 先日、サイモンが爆撃して返り討ちにされた陸上部隊もおそらくその一部だった可能性がある。

 

 どうやら反乱軍の連中は、かつて隕石が落下して出来た満州湖への侵攻を狙っているようだ。

 

 かつて満州帝国時代の首都・新京があったその場所は、世界大戦を終結させるきっかけとなった隕石落下によって、全長100kmにも及ぶ広大な湖と化していた。

 

 この湖には、隕石由来の大量の鉱物資源がいくつも沈んでいるらしく、それを狙うソ連や中国が反乱軍を支援して泥沼化してしまったのが、この内乱の現状だ。

 

 だが、そんな世界情勢は俺にはどうでも良かった。

 

 俺はこの国を護るために戦っているんじゃない。俺は、俺自身が生きるためにこの国を護るだけだ。

 

 俺とアレックスは特に敵機との遭遇も無く、哨戒任務を終えて帰還しようとしていた時だった。

 

 陸上基地の要撃管制官から、俺たちに緊急支援命令が下令された。

 

『加藤とエナのペアからの支援要請だ。敵機と遭遇しこれと交戦中。君たちが一番近い。急行せよ』

 

 指示されたポイントは隣の哨区だった。アフターバーナーを使えば数分も経たずに辿り着ける。燃料も十分残っている。

 

「こちらレイ、了解した。行くぞ、アレックス」

 

「オッケー。先日、助けてもらった借りを返さなきゃね!」

 

 俺たちはスロットルを叩き込み、アフターバーナーを起動させて一気に加速する。

 

 機体はぐんぐんと速度を上げていく。レーダーコンタクト。六機が空中で入り乱れている。加藤とエナを除くと、敵は四機。俺たちが加勢すれば数は互角だ。

 

 俺は僚機の位置を確認する。いた。二時の方向だ。

 

 加藤のF101ヴードゥーが敵機の追撃を振り切ろうと高度を落とし暖旋回しながら、こちらに近づこうとしていた。

 

 そのすぐそばに、真っ赤に彩られたMiG21フィッシュベッドが一機、並んで飛行している。あれがエナの機体だ。更にその後方から同じくMiG21が四機襲いかかろうとしていた。エナの機体は敵からの鹵獲品だ。

 

「アレックス、加藤とエナは俺たちに向けて敵を誘い込む気だ。スパローでやる」

 

「了解」

 

 俺は中距離ミサイルであるスパローの発射準備にかかる。

 

 その瞬間、俺の耳元で警告音が鳴り響いた。ロックオンアラート。レーダー照射を受けている。

 

 レーダーを照射しているのは、前方の敵機では無かった。四機とも俺たちに機首を向けていない。ということは別の方角からのレーダー波だった。敵はまだ他にも居る。

 

「ブレイク!」

 

 俺は回避を宣言しながら反射的に操縦桿を押し倒し、フットペダルを蹴飛ばすようにして機体を右旋回させた。

 

 その直後、俺の視界端で左斜め後ろにいたアレックスのスーパーセイバーの翼端が爆発を起こしたのが見えた。

 

「アレックス!?」

 

「大丈夫、直撃じゃない、まだ飛べる!」

 

 アレックスは至近距離での爆発で一瞬、失速しかけたものの、そのまま機首を下げ、急降下して速度を保ち、機体を安定させながら旋回。回避を続けた。

 

 俺もその後方に続きながら、周囲を確認。今、攻撃してきた敵機を探す。

 

「レイ! 三時の方向、上空に居る。あいつよ!!」

 

 アレックスの声に俺は右手を見る。

 

「あれか……!」

 

 俺の視線の先に、黒い点のような物が見える。俺たちはそのまま右旋回し、ヘッドオンの態勢になる。

 

 FCSがロックオンを告げる。俺はスパローの発射ボタンに指をかけたが、しかし、敵の速度が速すぎる。

 

 敵機が真正面から急接近。俺はスパローミサイルの発射を中止し

機銃に切り替える。

 

 敵機は真正面、衝突コース。俺は機銃を発砲。即座に機体をロールさせ、敵機をかわす。

 

「くっ……」

 

 俺の視界を敵の放った曳光弾の光がいく筋もの線となって横切り、直後にその敵機が俺の真横をすれ違った。

 

 お互いに音速に近い速度を出していたはずだ。相対速度は軽く音速を超え、俺の機体が衝撃波に激しく揺さぶられた。

 

 紙一重だった。回避が一瞬でも遅れていたら、敵の機銃攻撃がコクピットに直撃し俺は蜂の巣になっていただろう。

 

 しかし敵もいい腕だ。俺の機銃攻撃もかわされた。

 

 だが、奴は一体何者だ? 俺は一瞬すれ違った際に目に焼きついた奴の機体を思い出す。

 

 細い円筒状の機体に三角翼の単発機はフィッシュベッドと同じだが、鋭く尖ったノーズコーンと、その機首にカナード翼を装備し、さらにその下部にエアインテークが位置した形状は、初めて見る機体だった。

 

 どことなく米軍の戦闘機・F-16ファイティングファルコンを思い起こさせるが、こちらの世界ではファルコンはまだ開発計画さえ存在しない。それに反乱軍はソ連から技術や兵器の供与を受けているのだ。だとすれば、あれはソ連の新型機の可能性が高い。

 

 俺は急旋回しながら奴の姿を探す。

 

 居た。加藤とエナに向かっている。あの二人は、俺たちが援護できなかったことで、再び敵の四機に囲まれていた。

 

 しかし、それでもまだ持ち堪えられているのは、その高度がかなり低いからだった。加藤とエナは地上スレスレを旋回飛行していた。

 

 加藤のF101ヴードゥーは低空での運動性能に優れた機体だ。対する敵のMiG 21フィッシュベッドは小回りと上昇力に優れるが、低速低空での安定性に欠ける。

 

 その点はエナのフィッシュベッドも同じだが、加藤のヴードゥーが低空低速で敵を誘い込んだところへエナが高速で一気に敵の後方へ回り込んで撹乱するというコンビプレイでなんとか凌いでいた。

 

 あのカナード付きは俺たちに目もくれず、攻めあぐねている仲間の四機の援護のためだろう、加藤のヴードゥーへ急降下しながら襲いかかろうとしていた。

 

 俺も即座にその後を追う。

 

「アレックス、ついて来れるか!?」

 

「無理。主翼のダメージで高機動はできそうに無い」

 

「そのまま離脱しろ。あとは俺がやる!」

 

「ごめん、任せた!」

 

 俺は無線を切り換えて加藤とエナへの通信回線を開く。

 

「加藤! 七時の方向から敵機だ。ブレイクポート!!」

 

「ブレイクポート!」

 

 加藤からすぐに応答があった。ヴードゥーが左旋回。ほぼ同時にカナード付きがヴードゥーへ向けミサイルを発射。

 

 俺もカナード付きへ向け、サイドワインダーを発射する。しかしカナード付きは既に急上昇に転じていた。物凄い上昇力だ。カナード付きはサイドワインダーを振り切って、そのまま俺との距離をグングンと離していった。その後を他の四機が付いていく。

 

 見事な引き際だ。あっという間に視界の果てへ遠ざかっていく敵の編隊から目を逸らし、加藤の様子を確認する。

 

 加藤のヴードゥーは地面スレスレを高速で飛び続けていた。その背後の大地で爆発が起き、火球が膨れ上がっていた。どうやら加藤機を追尾していたミサイルは低く飛びすぎて地面に激突したようだ。

 

 流石は加藤だ、と感心しかけたところで、俺はその地面での爆発の周囲に、人影を視認した。

 

 誰か倒れている。まさか…?

 

「レイ……」

 

 通信機から、加藤の声が聞こえた。

 

「……人が、いた……民間人だ……避難民だ…畜生…巻き込んじまった……畜生……」

 

 俺は言葉が出なかった。




―――第4話あとがき―――

 空戦描写をAIに任せると、高確率で別方向から新たな敵の不意打ちを食らう展開を繰り返す傾向が有りますね。

 しばらくAI任せに書かせてみたら敵が四方八方から次々と現れてはそれを回避するという展開をひたすら繰り返していました。敵機はいったい何機襲ってくんねん。

 それを修正し、敵の増援は1機のみとしました。機体の形状は1960年代に制作されたソ連の試作機がモデルです。
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