仮面ライダージオウ✕仮面ライダーゼロワンーIF令和ザ・ファースト・ジェネレーション   作:K/K

13 / 32
アナザー1号

「ツクヨミ。ここは俺たちに任せて」

「分かった。頼んだわ、皆!」

 

 アナザー1号が後退している内にツクヨミを発射台の方へ向かわせる。

 アナザー1号は衛星破壊に向かったツクヨミを黙って見送る。アナザー1号にとってツクヨミは然程の脅威では無い。注意を払うべき目下の敵はサイキョウトリニティの方であった。

 アナザー1号の前に降臨したサイキョウトリニティ。それは、アナザー1号が見てきた歴史の中で初めて見る姿であった。

 オーマジオウの力を奪った時点でジオウたちなど敵では無いと思っていた。ジオウたちが否定しようがアナザー1号はライダーと言う力を純化させて生み出された原点であり頂点。それに敵う筈が無いと絶対的な自信を持っていた。

 だが、サイキョウトリニティの登場によってその自信が僅かに揺らぐ。未知という存在はそれだけで脅威なのだ。

 

『──姿形が少々変わろうが所詮は寄せ集めの延長! ライダーの頂点である私に敵う道理など無い!』

 

 アナザー1号の周囲にマゼンタの光球が数え切れない程に発生する。その全てがサイキョウトリニティを狙い、発射されようとする。

 通常のトリニティならば回避することは不可能な弾幕。良くて武器で防ぐぐらいだろう。しかし、サイキョウトリニティならばその上を行く。

 胸部のジオウⅡの額にある長針、短針が残像を残しながら回転する。サイキョウトリニティの脳裏に浮かぶのは数秒先の未来の光景。全ての光球の軌跡がジオウⅡの能力である未来予測によって導き出される。

 ただし、予知出来るだけでは逃げ場を埋め尽くす程の光球を避け切ることは不可能。だが、サイキョウトリニティには不可能を可能にする力がある。

 

『ゲイツリバイブ疾風!』

 

 右肩のゲイツリバイブ剛烈の仮面がゲイツリバイブ疾風の仮面へと換装された。

 次の瞬間、アナザー1号は光球を発射する。光球がサイキョウトリニティへ命中するかと思った刹那、無数の光球の僅かな隙間を縫う様にして青い光が通り抜けていく。逃げ場無しと思われたアナザー1号の一斉攻撃をサイキョウトリニティはいとも簡単に駆け抜けていったのだ。

 未来予測に加え、予知された未来すらも置き去りにしてしまう疾風迅雷の速度があれば回避出来ないものなど無い。

 青い光は弾幕を抜けるとアナザー1号の頭上へ移動。アナザー1号はサイキョウトリニティの動きに目が付いていけず見失っている。

 

『ワクセイ!』

 

 ウォズギンガファイナリーの仮面が『ワクセイ』という文字へと変わると、サイキョウトリニティの周囲に惑星を模したエネルギー弾エナジープラネットが生成される。

 サイキョウトリニティが腕を振り下ろすとエナジープラネットが落下し出し、アナザー1号へ降り注ぐ。

 

『ぐおおおおおっ!』

 

 着弾と同時に爆発が起こる。アナザー1号は巨体が仇となってエナジープラネットが全弾命中する。しかし、ダメージは薄い。上げられている声も苦悶というよりも驚きの方に近かった。

 エナジープラネットに乗じてサイキョウトリニティも降下。爆弾を浴びせられているアナザー1号の脳天に左掌打を叩き込んだ。

 

『ぬぅぅ!』

 

 全力を込めた一撃だが、アナザー1号は呻く程度。頂点を豪語するだけのことはあって流石の頑丈さであったが、サイキョウトリニティの攻撃はこれで終わらない。

 掌打と共にアナザー1号は薄い膜の様なものに覆われる。サイキョウトリニティはそれを見た後にアナザー1号の前方へ降り立った。

 

『小癪な!』

 

 アナザー1号は大地が抉れる程の勢いで後輪を回転させ、サイキョウトリニティへ突っ込もうとする。

 

『むっ!』

 

 しかし、後輪は空回りするだけで前に進まない。アナザー1号も何かがおかしいことに気付いたが、それが分かった時には目で分かる程の変化が起こっていた。

 アナザー1号の体が地面に沈む。アナザー1号が立っている地面が陥没し出している。

 

『これは!? 貴様!?』

 

 アナザー1号は自分が何をされたのかすぐに気付いた。サイキョウトリニティは掌打の際に宇宙のエネルギーでアナザー1号を包み込み、重力操作によってアナザー1号の自重を何十倍にもし動けなくさせようとしたのだ。

 体全体が重くなったせいで上手く動けないアナザー1号。

 

『サイキョー! フィニッシュタァァイム!』

 

 追い打ちの様に聞こえて来る音声。アナザー1号が見れば、サイキョージカンギレードを掲げたサイキョウトリニティの姿。

 

『キング! ギリギリスラッシュ!』

 

 長大な光刃がアナザー1号の頭部へ振り下ろされた。必殺の斬撃を振り抜くことでアナザー1号の巨体が地面の奥深くへ消えていく。

 サイキョウトリニティは残心を取り、アナザー1号が反撃してもいいように構える。

 

『……やったのか?』

『だといいのだが……』

 

 アナザー1号を倒したどうか半信半疑の二人。ソウゴから奪ったオーマジオウの力を素にしたアナザーライダーだとしたら少々手応えが無い。サイキョウトリニティがそれよりも強かったと言われればそれまでだが。

 

「……っ! 来るよ!」

 

 サイキョウトリニティは念の為に未来予測を開始。その直後に見えた光景により、立っていた場所から即座に離れる。

 先程までサイキョウトリニティが立っていた地面が隆起する。限界まで盛り上がった土は割れ始め、隙間からマゼンタの光が漏れ出す。

 その直後、火山の様に大地から光球が噴き出した。

 噴出した光球は最高点に達すると、反転して降って来る。しかも、一発一発がコントロールされており、サイキョウトリニティを狙っていた。

 地面を駆けるサイキョウトリニティ。それを追う光球。ゲイツリバイブ疾風の力で安全圏まで移動しようとした時、地面から巨大な手が現れてサイキョウトリニティを掴む。

 

「うっ!」

『くっ! しまった!』

『おびき寄せられたか……!』

 

 サイキョウトリニティは両腕に力を込めて掴む手を離そうとするが、もう一本の手が地面を突き破って伸び、両手でサイキョウトリニティを締め上げる。

 

「ぐううっ!」

 

 締め付ける両手に抗うサイキョウトリニティ。一瞬でも気を抜いたら体がスポンジの様に握り潰されてしまう。

 地面を吹き飛ばしながら本体であるアナザー1号もサイキョウトリニティの目の前に現れた。

 

『掴まえたぞ』

 

 アナザー1号が嗤う。表情など変わらない筈の仮面なのにそう見えた。アナザー1号の悪意が嗤っている様に錯覚させたのかもしれない。

 

『貴様の歴史ごと私の中へ取り込んでくれる!』

 

 アナザー1号は顎部を限界まで開く。口内は生物の様な構造はしておらず、奥底まで見えない闇が広がっていた。

 

「うっそ!?」

『あいつ、俺たちを食う気だぞ!?』

 

 異形らしい凶悪な攻撃手段に驚きと焦りを覚える精神世界のソウゴとゲイツ。

 

『ここは私が!』

 

 ウォズも焦りながらもギンガミライドウォッチを操作。

 

『タイヨウ!』

 

 仮面の『ワクセイ』の文字が『タイヨウ』へと変わると同時にサイキョウトリニティの全身が炎に包まれる。

 

『ぬうっ!?』

 

 怪物然としたアナザー1号でも火達磨のサイキョウトリニティを嚙み砕くことは出来ず、高熱によって両手が焼かれたことで反射的に拘束する力を緩めてしまう。

 少しでも力が弱まればサイキョウトリニティの方に分がある。

 

「やあああっ!」

 

 気合の籠った声と共にアナザー1号の両手を弾き飛ばすと、全身を包み込んでいた炎を両手の間に収束させ、火球としてアナザー1号の顔面へ放つ。

 

『ぐおっ!?』

 

 爆発と共に炎上するアナザー1号の頭部。アナザー1号が炎に苦しんでいる内にサイキョウトリニティは地面に降り立ったが──

 

「──え?」

 

 ──唸るエンジン音が聞こえた瞬間、サイキョウトリニティの前には壁が迫っていた。それがアナザー1号の巨躯の側面だと気付いたときにはサイキョウトリニティは撥ね飛ばされていた。

 発進から最高速度までの間がほぼ無い急加速に反応が遅れてしまい、まともに攻撃を受けてしまう。

 地面を何度もバウンドしながら吹っ飛ばされていくサイキョウトリニティ。百メートル近く飛ばされた地点で殴られた衝撃が抜け、体勢を変えて着地することが出来た。

 頭の中が混ぜられた様な気持ち悪さと全身に針が仕込まれた様な痛みを感じながらもサイキョウトリニティはアナザー1号へ構えを取り、追撃を避けようとする。

 

「ぜんぜん効いてない……」

 

 ほぼ無傷のアナザー1号を見てサイキョウトリニティは思わず言葉を洩らす。

 

『アナザーライダーのルールを忘れたのかな? 我が魔王。アナザーライダーは同じライダーの力が最も有効だ。……尤もこの場合、フィーニスはオーマジオウの力を再構築して全く別のライダーの力に変えてしまったけどね』

『だが、俺たちの力は異なるアナザーライダーにも通用した筈だ!』

 

 ゲイツが言う様にジオウⅡ、ゲイツリバイブ、ウォズギンガファイナリーは元となった仮面ライダーの力を使わずにアナザーライダーを撃破したことがある。

 

『それはそのルールを破れるぐらいの力が我々にあったからさ。だが、あのアナザーライダーには効いていない。つまり、私たちとあのアナザーライダーには力の差など無いということさ』

 

 ウォズが言う様にサイキョウトリニティであってもアナザー1号を完全撃破する程の力は無い。アナザー1号を倒すことが出来るとすればそれこそグランドジオウやオーマジオウの力が必要だが、その唯一の攻略法もフィーニスに奪われている。

 

『或いは原点の仮面ライダーの力があれば……』

 

 アナザー1号は言った。自らを原点にして頂点だと。それに類似する仮面ライダーの力があればもしかしたら、とウォズは推測した。

 

『そんな都合の良いものなど無いぞ!』

『私も、或いはとしか言っていないよ』

 

 すぐにはゲイツとウォズはすぐには手に入らない力だと思っているが、ソウゴはウォズの言葉に引っ掛かるものを覚えた。

 その引っ掛かりが何なのか深く考える前にアナザー1号がエンジンを吹かして急加速、急突進して来る。

 

『ゲイツリバイブ剛烈!』

『ギンガ!』

 

 右肩が疾風から剛烈に変わり、右手にのこモードのジカンジャックローが装備される。左肩もタイヨウフォームからギンガファイナリーとなり、左手周囲に重力操作による空間の歪みが発生。

 剛力と重力を兼ね合わせた両腕から繰り出される突きが、急接近してきた身の丈以上の前輪に真っ向から衝突した。

 触れる者全てを圧壊させるか削り切るであろう前輪の高速回転が勢いを弱め、やがて止まる。

 遥かに上回る巨体の突進がサイキョウトリニティによって止められていた。だが、アナザー1号は後輪を激しく回転させ車体のマフラーから火を吹かせ、前進し続ける。

 

『く、うおおおおおおっ!』

 

 押し返そうとするサイキョウトリニティ。

 

『おおおおおおぉぉぉぉぉ!』

 

 粉砕しようとするアナザー1号。

 両者の力は拮抗し、凄まじい力がその場に加わるせいで二人を中心にして大地が罅割れていく。

 

『消えろぉぉぉぉぉ!』

 

 アナザー1号の周囲に光球が出現する。アナザー1号を押し留めているサイキョウトリニティにそれを防ぐ術は無い。

 光球が発射され、サイキョウトリニティは爆発に呑まれる。

 アナザー1号はサイキョウトリニティへの勝利を確信──することはせず、視線を上空へと向けた。上空には疾風の力で飛翔するサイキョウトリニティ。

 避ける術が無いと思われていたが、実はサイキョウトリニティはジオウⅡの未来予測でアナザー1号の攻撃を読んでいたのだ。そして、爆発に乗じて疾風の力で高速離脱し、っそこからアナザー1号が油断している内に攻撃しようとしたが、アナザー1号の方もサイキョウトリニティの動きを読んでいたらしく動揺する様子は無かった。

 空中に居るサイキョウトリニティは一度アナザー1号から距離を取る。アナザー1号は、逃走の為では無く攻撃の為のものだとすぐに察した。

 十分な間合いが出来ると、サイキョウトリニティは反転してアナザー1号に向かって疾走する。

 ただ真っ直ぐに突っ込むのでは無い。疾風の高速移動能力を活かし、無数の残像を生み出してアナザー1号を攪乱させる。

 

『むっ!?』

 

 数十の残像に一瞬だけアナザー1号は驚きを見せるが、すぐに全てを撃ち落とすつもりで光球を展開する。

 この時のアナザー1号は一つ勘違いをしていた。サイキョウトリニティの分身がただ相手を惑わせるだけのものだと。

 三人の仮面ライダーの最強の力を一つとしたサイキョウトリニティがそんな生易しい小手先の技で済む筈が無い。

 

『タイヨウ!』

『何っ!?』

 

 タイヨウフォームが起動したことによりサイキョウトリニティは灼熱の炎を身に宿す。これにより残像による分身は炎の分身へと置き換わった。

 炎の分身がアナザー1号目掛けて一斉に飛び掛かる。炎という形を得たことで攪乱の分身はそのまま攻撃へと転じたのだ。

 サイキョウトリニティを模った無数の炎がアナザー1号へ飛び込んでいく。光球でそれを迎撃するが、炎の分身の方が数が勝っており光球で撃ち洩らした分身がアナザー1号へ命中し炎上。

 一体が通ると他の分身も次々に命中していき、アナザー1号の体を炎で覆う。

 

『ぐうぉぉぉぉ!?』

 

 アナザーライダーの特性により効果は薄いものの、纏わり付く炎にそれなりの鬱陶しさや苦しさを感じるアナザー1号は、炎を振り払おうと両腕を滅茶苦茶に振り回す。

 サイキョウトリニティはその間にアナザー1号の頭上へと移動。そこでジオウライドウォッチのボタンを押す。

 

『フィニッシュタァァイム!』

 

 続けてジオウトリニティライドウォッチのスイッチを三回押した。

 

『ジオウ! ゲイツ! ウォズ!』

 

 二つのライドウォッチに内包されたエネルギーがサイキョウトリニティの全身を満たし、サイキョウトリニティは三人のライダーをイメージする三色の光を発光させる。

 

『トリニティ! タイムブレーク! バースト! エクスプロージョン!』

 

 ジクウドライバーを回転させることで生み出されたエネルギーは、相手を倒す為の攻撃へ転じ、三色の光がサイキョウトリニティの両足へ集中し、アナザー1号目掛けて急降下する。

 アナザー1号は未だに炎を払おうとしており、サイキョウトリニティの攻撃に気が付いていない。

 必殺の一撃が決まるかと思った次の瞬間──

 

『2号ォォ』

 

 ──あってはならない音声の後、前のめりになったアナザー1号の背中が裂け、そこから巨大なタイヤが突き出される。

 

「なっ!?」

 

 驚愕の直後にサイキョウトリニティのキックとタイヤが激突。頑丈且つ弾力性に富んだタイヤがサイキョウトリニティの必殺技により大きく凹むが、その状態からタイヤを回転させ回転力によってサイキョウトリニティを弾き飛ばした。

 

「うわっ!?」

 

 凄まじい勢いで飛ばされるが、すぐに疾風の飛翔能力で態勢を立て直して着地。サイキョウトリニティのダメージは無かったものの、思わぬ反撃に動揺していた。

 サイキョウトリニティの動揺を余所にソレはアナザー1号の背中から這い出て来る。

 タイヤを裂け目の縁に引っ掛け、中を引き摺り出す。するともう一つタイヤが現われ、同じ様に縁に引っ掛けた。

 二つのタイヤを使い、中から飛び出す巨体。まるで脱皮の様な光景であった。

 アナザー1号と並ぶのは、アナザー1号に勝るとも劣らない異形の巨人であったアナザー1号とは配色の違う暗緑と黒の体。胸には同じく赤い十字がある。

 注目すべきはその両腕。アナザー1号は下半身がバイクになっていたが、このアナザーライダーは右腕と左腕がバイクの前輪と後輪の形をしていた。しかも下半身がその前輪、後輪よりも小さく短い。というよりも両腕の前輪後輪が大きく、長い為に両足が地面に着いておらず宙吊り状態になっており両腕で立っている状態になっている。

 

『アナザーライダーからアナザーライダーが生まれただと!?』

 

 一つの体に二つのライダーの力を持ったアナザーライダーや自らの分身を生み出すアナザーライダーとも戦ったことがある。それでも目の前のアナザーライダーは異質に感じた。増殖したというよりも元々二人居た様な印象を何故か受ける。

 

『厄介な事になってきたね……』

 

 ウォズもこの展開を予想していなかったのか、精神世界内で冷や汗を流す。

 

『あはははは! 驚いたかい? とはいえ僕の方も驚いているよ』

 

 新たに誕生したアナザーライダーが発した声はフィーニスのもの。アナザー1号の低い男性の声ではなく、女性のものでありアナザーライダーの姿と相まって違和感しかない。

 フィーニスがアナザー1号へ変身する前にアナザー1号ウォッチは何故か二つへ分裂し、新たなアナザーウォッチを生み出していた。

 何故そんなことになったのかフィーニス自身も理解出来なかったが、戦力が増えることは喜ばしい誤算であったので機会を見て使用することを決めていた。

 赤黒い目に不気味な光を宿すこのアナザーライダーは、アナザー2号。

 仮面ライダーの原点は間違いなく1号であろう。しかし、その歴史を語る上で2号の存在を欠かすことは出来ない。

 2号がいなければ1号の歴史は無く、1号がいなければ2号の歴史は無い。どちらも切っても切れない存在。つまりは仮面ライダーの歴史に於いて1号と2号の存在は共に在ることが絶対なのである。

 尤も、仮面ライダーについて上っ面しか知らないフィーニスがこの事実を気付く筈も無く、気付く日も永遠に来ないだろう。サイキョウトリニティにとって運悪く歴史にとっての絶対が最悪の形でフィーニスに微笑んでしまったと言える。

 アナザー1号でもほぼ互角であった戦況。そこに加わるアナザー2号。戦況は大きく傾いたことを意味する。

 アナザー1号は下半身のバイクを疾走させ、アナザー2号は両腕のタイヤを回転させ激走。

 アナザーダブルライダーがサイキョウトリニティへ牙を剝く。

 

 

 ◇

 

 

 或人はフォースライザーのトリガーを引くことで強制解放されたライジングホッパープログライズキーからライダモデルが出現する。

 

『FORCE RISE!』

 

 或人は変身の過程で其雄の変身も見ていた。

 

『CYCLONE RISE!』

 

 ライジングホッパープログライズキーのライダモデルは全身に黄色に光るラインが巡らせてあるが、ロッキングゼツメライズキーから召喚されたロストモデルのバッタは、同型ではあるがラインが無く、より無骨で鋼鉄の飛蝗という印象を与える。

 

『RISING HOPPER!』

 

 ライダモデルが分解、再構築され或人へと装着され彼を仮面ライダー001へ変身。

 

『ROCKING HOPPER!』

 

 同様にロストモデルも分解され、装甲となって其雄へ装着されていく。001の前身であるだけに変身過程はほぼ一緒であった。

 

『BREAK DOWN』

 

 重々しい音声と共に変身完了が告げられる001。

 

『TYPE ONE』

 

 原点であり最初の仮面ライダーを告げる音声。

 001は其雄が変身した仮面ライダー1型の姿を見て、場違いな感情かもしれないが胸が熱くなり感動をした。父の勇姿に誇らしく思ったのだ。

 

「行けるな? 或人」

「ああ! 一緒に戦おう! 父さん!」

 

 脚部に力を込め、一気にそれを解放する。

 強靭な脚力から生み出される跳躍は素早く、鋭く、アナザーバルカンを守護する様に立ち塞がっていた暴走ヒューマギアたちを一瞬で蹴散らした。

 

「うおっ!?」

 

 先に戦っていたバルカンも一瞬でヒューマギアたちが吹き飛ばされる光景に思わず驚きの声を上げてしまう。

 瞬きよりも早くアナザーバルカンへ接近した1型と001は左右から中段蹴りと上段蹴りを同時に繰り出す。

 アナザーバルカンは視線を向けることなく001の上段蹴りを腕で、1型の中段蹴りを肘で防いでみせた。

 

「──それだけの技術と力があれば、お前はヒューマギアたちの頂点に立てたというのに」

 

 この期に及んでも其雄の能力を惜しむアナザーバルカン。

 

「言った筈だ。そんなものに興味は無いと」

「お前の最大の欠陥は、その傲慢とすら思える無欲さだな!」

 

 優れた能力を活かそうとしない。アナザーバルカンの視点からすれば1型の在り方は頂点に立つ者の余裕に映る。

 故にアナザーバルカンはヒューマギアらしからぬ嫉妬の感情を湧き立たせ、片腕で001たちの蹴りを押し返した。

 

「はっ!」

 

 体を捻り、1型へ爪を振るうアナザーバルカン。1型はアナザーバルカンの手首を、膝を突き上げ、肘を下ろすことで挟む。

 1型がアナザーバルカンの動きを封じている内に001はその背に蹴りを放つが、アナザーバルカンは見向きもせず後ろ蹴りで001の蹴りを相殺する。

 

「ふん!」

 

 腕力に物を言わせて挟まれていた腕を引き抜き、爪による連続攻撃を仕掛ける。

 001はその軌道を正確に読み、的確に回避。攻撃の合間に反撃もしていくが、アナザーバルカンも容易く避けてしまう。

 互いの能力を知っているが為に互角の状態となる。

 

「はああああっ!」

 

 しかし、互角の戦いも001は入ることで簡単に崩れる。

 側面から攻撃が迫っていることを探知し、アナザーバルカンは突き出される001の拳を弾くが、その間に1型のボディブローを貰ってしまう。

 

「ぐっ!?」

 

 すぐに1型へ反撃しようとするが、その瞬間、割って入って来た001の蹴りを胸部に受けて反撃を中断させられた挙句、逆に1型の拳を顔面に受けてしまった。

 1型の動きだけなら即座に演算出来るが、001が乱入することでその演算も狂わされてしまう。近い性能の仮面ライダー二体を相手にすることは、現在のウィルの人工知能では荷が重い。

 どちらの動きを予測すれば、もう片方を疎かにしてしまう。

 

「ちっ!」

 

 アナザーバルカンは苛立ったように舌打ちをし爪を突き出すが、001がそれを蹴り上げて防ぐ。そしてがら空きになった胴体に1型の蹴りが完全に入った。

 

「ぐうぅぅ!」

 

 獣毛で衝撃をある程度分散させることが出来るが、それでも1型の蹴りは重く響く。

 よろめくアナザーバルカン。1型と001は一気に畳み掛ける。

 

『ROCKING SPARK!』

『RISING DYSTOPIA!』

 

 ライザーのトリガーを引くことでエネルギーを蓄積させ、それにより高速移動する二人。

 001は光のラインを残し、1型は首周りの機構から余剰エネルギーが排出され、赤いマフラーの様な軌跡を残しながらアナザーバルカンへ急接近。

 同じタイミング蹴りと拳を繰り出す。

 

「うわあああっ!?」

「ぐはっ!?」

 

 だが、吹き飛ばされたのは001と1型の方であった。攻撃が届くと思われた刹那、アナザーバルカンは二人と同等の速度で動き、二人を爪で斬り裂いたのだ。

 

「何で……!?」

 

 倒れた体を起こしながら001は驚愕する。未来で戦った時、アナザーバルカンは001の高速移動に対応出来なかった筈である。

 

「その能力は……!」

 

 同じく1型もアナザーバルカンの動きに驚いている。

 

「飛電其雄。お前にしては詰めが甘かったな。アークを利用して仮面ライダーを生み出し、アーク内部にそのデータを残さないようにしていたみたいだが、アークはお前の思い通りにはならなかった」

 

 其雄の仮面ライダーに関する研究は彼個人が所有しており、他の目に触れないようにしていた。しかし、アナザーバルカンが言う様に一度アークを使用してしまったことで、その時のデータはしっかりとアークの中に記憶されたのだ。わざわざ消去したという偽造すらして。

 

「お前のロッキングホッパーゼツメライズキーのデータはダウンロードさせてもらった。もうお前たちの力は私には通用しない」

 

 言葉の最後にアナザーバルカンは001の方を見る。1型に言っている様で実は001に聞かしている様であった。

 アナザーバルカンが高速移動能力を得ていたことを001は初めて知る。それならば未来の戦いでも使っていてもおかしくない筈なのだが。

 

(まさか……!?)

 

 001の中で一つの仮説が生まれる。自分たちが未来から過去へ来てしまったせいで過去が変わってしまったのではないか、と。

 001の考えは正しかった。この世界にはタイムジャッカーのフィーニスが居る。フィーニスは未来の観測者であり、過去の干渉者。当然、001とアナザーバルカンの未来の戦いも知っている。そこで彼女はアナザーバルカンに入れ知恵をしたのだ。001や1型に対抗する為に基となったロッキングホッパーゼツメライズキーの能力を手に入れろ、と。

 その結果、001たちは予期せぬ反撃を受けてしまった。

 

「お前にアークは破壊させない。飛電其雄」

 

 アナザーバルカンの姿が消える。次に姿を現した時、アナザーバルカンは1型の胸に爪を突き刺していた。

 

「ぐあっ!」

「父さん!」

 

 アナザーバルカンの攻撃はそれでは済まない。直接接触したことで内部の其雄にハッキングを仕掛け、其雄を通じてアークの自爆プログラムを停止させてしまった。

 

「これでアークは自爆しない。アークは私の手で打ち上がる!」

「止め、ろ……!」

 

 1型も再度アークの自爆を行おうとするが、アナザーバルカンのハッキングの影響でアークに干渉出来ない。

 

「止めろぉぉぉぉぉ!」

 

 001が父を救う為に駆け寄って来るが──

 

 アオォォォォォォン! 

 

 ──アナザーバルカンが発する咆哮により吹き飛ばされてしまう。

 

「──さて」

 

 アナザーバルカンはアークの自爆だけで終わらない。

 

「お前の頭脳と力。人類滅亡の為に利用させてもらう!」

「ぐ、ぐあああああっ!」

 

 アークの尖兵へと変える為に其雄の人格を破壊する為のハッキングが始まる。

 




というわけで予告にもあったアナザー2号の登場となります。
アナザー1号が下半身バイクのせいでライダージャンプ、ライダーキックが出来ない、と言われているように
アナザー2号は両腕で移動するのでライダージャンプが出来ず、手の代わりにタイヤなのでライダーパンチが出来ない、という感じになっています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。