仮面ライダージオウ✕仮面ライダーゼロワンーIF令和ザ・ファースト・ジェネレーション   作:K/K

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滅亡迅雷 その5

「へぇ、やるね。少し見くびってたよ」

 

 とあるビルの屋上から見下ろしながらフィーニスが呟く。フィーニスの視線の先にあるのはゼロバルカンとアナザーバルカンたち。

 アナザーライダーの力を一端だが再現してみせ、あまつさえ量産してのけたアークの技術力に素直な賞賛を送る。

 

「てっきり悪意をばら撒くだけの箱程度に思っていたけど、意外としたたかじゃないか、衛星アーク。ウィルを完全に掌中に収めていたなんてね」

 

 悪意を学習されていようが所詮は機械だと思っていたフィーニスはアークへの認識を改める。とはいえフィーニスの余裕は崩れない。

 アナザー1号とアナザー2号の力を手にしていること。タイムジャッカーの自分には手を出せないこと。この二つが、フィーニスがアークよりも上であることを明確にしている。

 

「まあ、少し面白いものを見せてもらったし、ちょっとだけ手を貸してあげようかな?」

 

 上から物を言いながらフィーニスは白いマントを翻す。すると、屋上からフィーニスの姿が消えた。

 

 

 ◇

 

 

 残された人間対ヒューマギアの戦闘が繰り広げられる中で二つの戦力が睨み合う。

 ソウゴ、ゲイツ、ウォズ、ツクヨミの四名と滅と迅の二名。ソウゴが見せた奇怪な能力に滅と迅は最大の警戒をしている。

 

「我が魔王。この二人の戦闘能力は他のヒューマギアとは一線を画す。早々に倒した方が賢明だ」

「分かってる。一気に行くよ!」

 

 ウォズの言葉に頷き、ソウゴが声を掛けると全員がドライバーを装着。

 

『ジクウドライバー!』

『ビヨンドライバー!』

 

 滅と迅もフォースライザーとプログライズキーを構えながらその視線はソウゴたちのドライバーに向けられている。

 

「報告にあった正体不明の仮面ライダーか」

「ホント邪魔。仮面ライダーは僕たちだけで十分だよ」

 

 未知なる力に警戒しながら滅はトラッピングスパイダープログライズキー、迅はプロトバーニングファルコンのスイッチを押す。

 

『TERRITORY!』

『INFERNO WING!』

 

 それに応じるようにソウゴはジオウライドウォッチⅡ、ゲイツはゲイツリバイブライドウォッチ、ウォズはギンガミライドウォッチ、ツクヨミはツクヨミライドウォッチを起動させようとする──

 

「ちょっと待った」

 

 ──瞬間、時間は停止し、マントを靡かせながらフィーニスが堂々と現れる。

 フィーニスはゲイツに近付くとその手からゲイツリバイブライドウォッチを奪う。

 

「一つ目──これは少し厄介だからね」

 

 そう言ってウォズからもギンガミライドウォッチを取り上げた。

 

「二つ目」

 

 フィーニスが今、最も危険視しているのは過去でソウゴらが変身したサイキョウトリニティ。決定打に欠け、アナザー2号の力が撃退することは出来たが、それでも万が一の可能性を捨てきれない。

 

「三つ目」

 

 フィーニスの手がソウゴのジオウライドウォッチⅡへと伸ばされる。指先がジオウライドウォッチⅡに触れる──瞬間、見えざる力がフィーニスの指を弾いた。

 

「くっ!」

 

 思わぬ反撃に痛みと驚きを感じるフィーニス。それだけではない。フィーニスの意志に反して時間停止が強制的に解除される。

 自由を取り戻したソウゴたち。ゲイツとウォズはウォッチが奪取されていることに気付く。

 

「タイムジャッカー!?」

「俺のウォッチを返せ!」

「手癖が悪いね!」

 

 ウォズがストールを伸ばし、フィーニスからウォッチを奪い返そうとするが、触れる前にフィーニスは消え、数メートル先へ移動する。

 

「あくまで僕を拒むかい? 王の力は本当に厄介だ」

 

 弾かれた指を忌々しそうに擦り合わせながら吐き捨て、フィーニスは姿を消して逃走する。

 

「待て!」

 

 呼び止めるが当然待つ筈も無い。

 

「ソウゴ! タイムジャッカーを追い掛けて!」

「でも……」

「大丈夫! ここは私たちに任せて!」

 

 ソウゴはツクヨミを見た後、ゲイツとウォズを見る。二人はしっかりと頷いた。

 

「──分かった。行って来る!」

 

 ソウゴはフィーニスを追い、急ぎ走っていく。

 

「……何だったんだ?」

「何? 何が起こったの?」

 

 滅と迅はフィーニスの存在をウィルから知らされていなかった為、展開と話に付いて行けず置いてけぼりになっていた。

 

「……まあ、いいや。一人減って楽になったし。でも、まだ三対二かー」

「問題無い。俺が二人纏めて相手をしてやる」

「流石、滅! カッコイイー!」

 

 気を取り直し、二人はフォースライザーにプログライズキーを装填。

 

『FORCE RISE!』

 

 フォースライザーから蜘蛛と炎の隼のライダモデルが出現する。

 

『ライダーターイム!』

『投影! フューチャータイム!』

 

 それに対抗してゲイツたちもライドウォッチをセットし、ジクウドライバーとビヨンドライバーを操作。

 三人の背後に出現した文字盤、腕時計型デバイス。そこから飛び出す『らいだー』と『ライダー』の文字。

 蜘蛛のライダモデルは八本の脚で迫って来る『らいだー』の文字から滅たちを守り、反撃と言わんばかり隼のライダモデルが灼熱の突風を起こすが、色の異なる二つの『ライダー』の文字が盾となってゲイツたちを守る。

 変身前ですら激しい攻防が繰り広げられるが、これらはあくまで前哨戦に過ぎない。本番はここから始まる。

 

『変身!』

『仮面ライダーゲイツ!』

『仮面ライダーツクヨミ! ツ・ク・ヨ・ミ!』』

『仮面ライダーウォズ! ウォズ!』

『TRAPPING SPIDER!』

『BURNING FALCON!』

『BREAK DOWN』

 

 その身を仮面ライダーへと変え、両陣営の戦いが始まる。

 先行するのは迅。炎と熱を発する赤翼を広げ、三人へ突っ込んで来る。

 ゲイツとウォズが構えようとするが、それよりも先にツクヨミの方が迅の進路方向へ立ち塞がった。

 

「邪魔!」

 

 高熱を帯びさせることで発火した手刀を突き出す迅。ツクヨミも手に生体エネルギーを集束させることで光刃を生み出し、迅の手刀を光刃の側面で防ぐ。

 

「こいつは私が!」

「生意気ー!」

 

 一人で相手しようとするツクヨミをそう謗り、翼から放たれる炎の勢いを一段階上げるとツクヨミごと飛翔していく。

 

「ツクヨミ!」

「ツクヨミ君!」

 

 二人が止める間もなく離れて行くツクヨミ。

 

「危ないっ!」

 

 去り際に残されるツクヨミの警告。ゲイツは悪寒を感じ、その場から素早く移動する。瞬間、白銀の光がゲイツの立っていた場所を通過。

 突き出されているのは滅の刀。ツクヨミの声が無ければ胸を貫いていただろう。

 滅はそのままゲイツへと斬り掛かる。

 

『ジカンザックス! Oh! No!』

 

 斧モードのジカンザックスでそれを防いだが、無防備となっている顔面をトラッピングスパイダーのサブアームが殴り付ける。

 

「ぐあっ!」

 

 頬を殴打され、倒れてしまうゲイツ。滅は容赦無く追撃を与えようとするが──

 

『ジカンデスピア! ヤリスギ!』

 

 ジカンデスピアで突いてくるウォズを感知し、刀で穂先を弾く。

 刀と槍の打ち合いが数度繰り返された後、ウォズの横薙ぎの一撃により滅の体勢が崩れる。大きな隙が出来たのでウォズはジカンデスピアを引き寄せながら入力装置部分をスワイプし、ジカンデスピアの穂先にエネルギーを充填させる。

 

『フィニッシュタイム!』

 

 時間を掛けず短期決戦を仕掛けるウォズ。

 

『爆裂DEランス!』

 

 エネルギーが満たされ発光する穂先で滅を貫こうとするが、滅がサブアームを動かすと突如倒れていたゲイツが引っ張られ、逆さまに宙吊り状になって滅とウォズの間に入って来る。

 

「何っ!?」

 

 驚き、慌ててジカンデスピアを止めるウォズ。ジカンデスピアの穂先はゲイツにあと数センチで触れるところで寸止めされる。

 同士打ちは避けられたことを安堵したが、そのゲイツを投げ付けられ二人纏めて転倒させられた。

 滅がサブアームを動かす。ゲイツの足が見えない何かに引っ張られる。この時、ゲイツは初めて足首に違和感を覚えた。

 

「いつの間に!」

 

 ゲイツは上体を起こし、ジカンザックスで虚空を斬る。足にあった違和感は消え、引っ張られていた足が解放される。

 

「ちっ」

 

 滅は舌打ちをする。密かに仕込んだおいた電磁糸が今の斬撃で切断されてしまった。

 

「目に見えない細い糸か。厄介だな」

 

 トラッピングスパイダーの能力をすぐに理解するゲイツ。

 

「気を付けるんだ、ゲイツ君。蜘蛛らしくあちこちに罠を仕掛けているかもしれない」

 

 ウォズはその一歩先を読んでトラッピングスパイダーの戦闘方法を想定し、ゲイツに忠告する。

 実際にウォズの予想は正しかった。ゲイツとウォズが転倒している隙に滅は床や柱などに電磁糸の罠を仕込んでいた。触れれば即座に電流が流れ、対象の動きを強制的に止めてしまう。

 

「問題無い。──一気に駆け抜けてしまえばいい」

 

 ゲイツはそう言って腕のホルダーからライドウォッチを取り出す。

 

「成程。それなら行けるかもしれない」

 

 ゲイツはライドウォッチを半回転させ、ライダーの顔を完成させるとライドウォッチのスイッチを押す。

 

『カブト!』

 

 カブトライドウォッチをジクウドライバーに挿し込み、すぐさま回転。

 

『アーマーターイム!』

 

 ゲイツの前に召喚されるのはメタリックレッドで彩られた装甲。両肩、額にはカブトムシの角を模したパーツが付けられている。

 召喚されたアーマーは右手を掲げ、人差し指で天を指すポーズをとる。

 ゲイツはカブトアーマー目掛けて突っ込んでいく。カブトアーマーは、ゲイツが突っ込んできたタイミングで各部パーツを崩してゲイツを囲い、通過する時にはゲイツの体に装着されていく。

 

『CHANGE BEETLE カブト!』

 

 仮面に『かぶと』の文字が填まり込み、黄色の複眼と化すと背景の黒が青へと変わり、装着完了となる。

 

「最早懐かしさすら覚えるね」

 

 ゲイツのアーマータイムを見てウォズが一言。

 

「吞気なことを言っている場合か!」

 

 場違いな感想にゲイツは怒声を上げる。

 

「ほら、来るよ」

「──ちっ!」

 

 いつの間にか接近してきた滅がゲイツへ刀を振り下ろす。ゲイツは逆手に握ったジカンザックスで咄嗟に受け止めた。

 

「装甲の換装か。我々と似たようなことをする」

 

 プログライズキーを用いて姿を変えるのとライドウォッチでアーマーを纏うことはどことなく似たような雰囲気がある。

 滅のサブアームがゲイツを突こうとする。そうなる前にジカンザックスを振り抜く。滅は押し負けて後退させられるが、ゲイツは追撃には向かわなかった。

 

「冷静な判断だな」

 

 ゲイツを褒めるように言っているが、実際は張り巡らされた電磁糸を警戒して動けないゲイツをせせら笑っているように聞こえる。

 

「ふん」

 

 滅の言葉に対しゲイツは鼻を鳴らす。

 

「ならお前はこれを見て冷静な判断を下せるか?」

 

 ゲイツの手がカブトライドウォッチに置かれる。

 

「クロックアップ!」

 

 滅の視界からゲイツが消えた。

 

「何っ!?」

 

 同時に張っていた罠が作動し、青白い光が蜘蛛の巣状に発光するが、作動した罠にゲイツは捕えられていない。

 消えたゲイツは間違いなく罠を踏んでいるのだろうが、速過ぎるせいで罠の発動が追い付いていない。

 滅の見ている前で次々と罠が発動していくが、どれもゲイツを捕えることが出来ず不発に終わる。

 

(速い……! 飛電其雄と同等以上か……!? センサーが反応し切れていない!)

 

 高速で移動しているのは分かるが、滅のセンサーではゲイツを捕捉出来ない。桁違いの速度で動いているせいで反応する前に攻撃されてしまう。

 

「がっ!?」

 

 斬撃が与えられ、一瞬遅れて滅はそれに反応する。攻撃されたことにすら気付くことが出来なかった。

 全てのものがゆっくりと動き続ける時間が引き伸ばされた空間内をゲイツは移動していた。カブトアーマーを纏うことにより仮面ライダーカブトと同じクロックアップ能力が使用出来るようになっている。

 時間の流れに干渉出来る能力。傍から見れば高速移動能力の一種に見えるだろう。

 ゲイツは空中をスローモーションで飛んで行く滅を追い掛ける。途中、滅が張っていた罠を踏み、発動させてしまうが電磁糸に電流が流れるよりも先にゲイツの足は罠から離れていた。単純だがこれ以上無い程の罠の抜け方である。

 ゲイツは滅に追い付き、拳を打ち込む。追撃により滅の体はゆっくりくの字に曲がっていく。

 それを見届ける前にゲイツは移動し、飛んで行く方向へ先回りするとゲイツライドウォッチとカブトライドウォッチのスイッチを押す。

 

『フィニッシュタァァイム! カブト!』

 

 ジクウドライバーから放出する電流のようなエネルギーがゲイツの体を伝い、額の角まで上っていく。角に溜まったエネルギーは一瞬発光した後、今度は右足まで一気に駆け下る。

 

『クロック! タイムバースト!』

 

 飛んで来た滅の背にゲイツの右回し蹴りが炸裂。同時にクロックアップも解除される。

 

「がっ!」

 

 背面から凄まじい衝撃を与えられたか滅は、自分の身に何が起こっているのか分からないまま頭から地面へ突っ込んでいき、数回バウンドする。サブアームは破損している跳ねている間に四本全て千切れ飛んでしまった。

 

「何が……起こった……!?」

 

 バウンドした後に地面へうつ伏せになりながら、あの一瞬の間に何が起こったのかを分析しようとする。

 

「まだ動けるか」

 

 滅が戦闘不能にまで至らなかったのを見て、ゲイツは不満そうに言う。背中にあったサブアームがクッションとなり威力を軽減させた為の結果である。

 

「いや、何も力で捻じ伏せることが勝つ手段とは限らない」

 

 ウォズは滅へと近寄りながらミライドウォッチを出す。

 

『キカイ!』

 

 キカイミライドウォッチとウォズミライドウォッチを交換。

 

『アクション! 投影!』

 

 ビヨンドライバーの中央に投影されるキカイの仮面を付けたウォズの胸像。

 

『フューチャータイム!』

 

 ウォズは環状の黄色のエネルギーに囲われ、その中で装甲を換装。

 

『デカイ! ハカイ! ゴーカイ!』

 

 シリンダーやボルトが付けられた金縁の装甲を纏い、仮面には『キカイ』の文字が装着される。

 

『フューチャリングキカイ! キカイ!』

 

 フューチャリングキカイに姿を変えたウォズは、額のレンチ型のヘッドパーツを発光させる。

 

「ヒューマギア相手ならこれが有効かな?」

 

 ヘッドパーツからレンチの形をした発光体が放たれ、滅の体に吸い込まれていく。

 

「ぐあああああっ!」

 

 体の異変に気付き、滅が悶え始めた。

 レンチ型の発光体はナノツールと呼ばれるもので、人間と融合させれば半機械状態であるセミヒューマノイズにして操ることも可能。

 ならば、機械であるヒューマギアにしようしたのならば──

 先程まで叫んでいた滅はピタリと声を上げるのを止め、ウォズの方を見る。

 

「何をすればいい?」

 

 ウォズに対して命令を促して来る。フューチャリングキカイの能力によって滅はウォズの支配下に置かれた。

 

「なら、私たちの手伝いをしてくれるかな?」

「了解した」

 

 不平不満なくウォズに従う滅。その様子を見ていたゲイツは引き気味に言う。

 

「えげつない真似を……」

「まあ、ダーティな手段なのは認めるよ。でも、今は贅沢も言っていられない状況なんでね」

 

 今もトリロバイトマギア、バトルマギアと戦っている人々は傷付いている。相手の戦力を削りつつ、こちらの戦力を増やすならウォズのやり方が最も効果的であった。

 

「後は……」

 

 ウォズが視線を上げる。空中では迅とツクヨミが文字通り火花を散らしていた。

 

 

 ◇

 

 

「くうっ!」

 

 至近距離で高熱に炙られながら、ツクヨミは手刀と光刃による鍔迫り合いをしていた。

 

「はあっ!」

 

 ツクヨミを持ち上げた状態で迅は加速し、ツクヨミを壁面と叩き付ける。

 

「うっ!」

 

 肺が絞られるような衝撃が突き抜けていく。

 壁に打ち付けられた状態になるツクヨミ。迅は片手でツクヨミの首を掴み上げながら高熱を帯びた手刀で突く。首絞めと打ち付けられた衝撃で意識が朦朧としながらもツクヨミは光刃にて迅の手刀を弾いた。

 

「しぶといなぁ……うん?」

 

 迅は気付く。ツクヨミが手に何かを持っていることに。

 

「何それ?」

『キバーラ!』

 

 迅の疑問に答えるように起動されるキバーラライドウォッチ。ツクヨミは素早くジクウドライバーにセットし、ドライバーを回転。

 

『アーマーターイム!』

 

 すると、迅は横から体当たりをされ、突き飛ばされる。

 

「何、何!? 誰!?」

 

 迅を突き飛ばしたのは白い蝙蝠。胴体などなく頭に直接翼と足が生えており、ルビーのように赤々として大きな目を持ったデフォルメされたような姿をしている。

 迅が離れたことによりツクヨミは落下していく。白い蝙蝠はそれを追い掛けていく。

 ツクヨミの正面に移動すると白い蝙蝠はツクヨミの額に口付けをし、その体を半分に割る。

 

『チュッ』

 

 二つに分かれた白い蝙蝠の体がツクヨミの両肩に装着。無から鎖が出現して縛り付けるように固定。同時に胸部、首回りにも鎖が巻き付いて行く。

 巻き付いた鎖が弾け飛ぶと胸部には女性らしさを強調した青紫のアーマーに変わり、首回りにも立てた襟のような装甲が追加される。

 

『キバーラ!』

 

 装着完了の合図と共にツクヨミの仮面に『キバーラ』の文字が嵌め込まれる。すると、両肩に折り畳まれていた翼が開く。ツクヨミの落下が止まり、キバーラアーマーの力により飛翔を開始。

 

「うわっ! 飛んだ!?」

 

 相手が急に飛び始めたことに驚く迅。ツクヨミは空の手を伸ばす。白い光が放たれるとツクヨミの手の中に実体剣が握られていた。

 鍔元まで白い片刃の長剣。柄は青紫色をし、蝙蝠の翼の形をした白いナックルガードが付いている。

 キバーラサーベルを強く握り締めながらツクヨミは迅へ斬り掛かる。

 

「くうっ!」

 

 片羽を前に翳し、盾にして斬撃を防ぐ。

 

「喰らえ!」

 

 もう片方の羽を振るい、燃え盛る羽根を飛ばす迅。だが、ツクヨミはそれが来る前に空中を蹴って迅の頭上へ移動していた。

 

「待て!」

 

 追い掛けようとする迅。だが、ツクヨミは既に迎え撃つ準備を完了していた。

 

『フィニッシュタァァイム! キバーラ!』

 

 ツクヨミライドウォッチとキバーラライドウォッチの力が瞬間的に百パーセント解放される。

 ツクヨミは両腕を眼前で交差させ、その腕を開くと両肩の翼が一回り以上大きくなる。

 巨大化した双翼を羽ばたかせると、ツクヨミが一瞬消えてしまう程の速度で空中を疾走。追い掛けてきた迅との距離の差を開ける。

 

『ソニック! タイムジャック!』

 

 開いた距離はそのまま助走の為の距離へと変わり、ツクヨミは急加速。

 キバーラサーベルと手から発せられる光刃を構えながら迅との距離を一気に縮める。

 

「うわっ!?」

 

 迅は咄嗟に両羽で防御するがツクヨミはその盾の上から両刃を叩き付けた。

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 二刀流の斬撃により迅の羽は砕け散り、空を飛ぶ手段を失った迅は声を上げながら落下していく。

 受け身をとる暇も無く地面へ叩き付けられるように落下した。

 

「う、うう……」

 

 それでもまだ動ける迅であったが、次に見た光景に我が目を疑う。

 

「ほ、滅……?」

 

 滅が迅へ刀を突き付けている。

 

「お前ら! 滅に何したっ!」

「残念だが、彼は私の能力で制御下に置かせて貰った」

 

 しれっとした態度で告げるウォズ。迅は絶句してしまう。

 

「う、嘘だよね? 滅……?」

『STING SCORPION! BREAK DOWN』

 

 滅は迅が見ている前で半壊状態のトラッピングスパイダーからスティングスコーピオンへ再変身を行う。

 そして、フォースライザーのトリガーを連続で引く。

 

『STING UTOPIA!』

 

 滅の左腕から伸びる蠍の尾を模した刺突ユニット──アシッドアナライズ。先端が滲み出る紫の毒により光沢を帯びる。

 アシッドアナライズが迅へと一気に伸び、彼を捕縛──するかと思った瞬間、迅の目の前でアシッドアナライズは反転。滅の後ろに立っていたウォズの方へ向かい、虚を衝かれた彼に巻き付き、拘束。

 

「何っ!?」

 

 引き寄せ、滅は振り返らず後ろ蹴りを繰り出す。

 

「くっ!?」

 

 両腕が使えないウォズは肩部からロボットアームを伸ばし、滅の蹴りを防御。蹴り飛ばされたもののロボットアームがウォズの身代わりになってへし折れたことで滅の一撃を不発に終わらせた。

 蹴り飛ばされたウォズをゲイツとツクヨミが受け止める。

 

「大丈夫!?」

「──ああ、平気だよ。それにしても……」

 

 ウォズは自分を欺いた滅を睨むように見た。

 

「……演技まで出来るとは優秀じゃないか」

 

 皮肉を言うウォズに滅はこめかみを指先で叩きながら嘲笑する。

 

「人間如きがヒューマギアを御せると思うな」

 

 実際、一時的にだが滅はウォズによって自由を奪われていた。だが、すぐにアークが滅の異変を察知し、ハッキングをすることでウォズから主導権を奪い返したのだ。後はウォズに従うフリをして油断したタイミングで仕掛ければ良いだけだったが、思いの外ウォズの反応が良く、失敗してしまった。

 

「滅! 良かったー! 冷や冷やしたよー!」

「俺が、ヒューマギアが人間に支配される筈など無い」

「だよねー!」

 

 迅は滅が無事だったことが分かり、子供のように喜ぶ。

 

「策士策に溺れたな」

 

 利用するつもりがそれを逆手に取られてしまったウォズにゲイツが苦言を呈する。

 

「──言わないでくれ。これでも少しショックなんだ」

 

 ヒューマギアに特効と思い、意気揚々とキカイの力を使ったら手痛い反撃を貰ってしまったことはウォズのプライドを傷付けるには十分であった。

 

「ゲイツ! ウォズ! 気を引き締めて! 相手を甘くみたらやられるのは私たちよ!」

 

 ツクヨミが喝を入れる。自分たちは一つの大きな戦いを潜り抜け、大きな経験や力を手に入れたが、それでも心構え次第では敗北に繋がる。ましてや、相手は未知なる存在。より慎重に戦うべきなのだ。

 

「分かっている。今の俺の持てる力を全て注いで勝つ!」

「中々痛い授業料だったが教訓になった。同じヘマはしないさ」

 

 ゲイツ、ツクヨミ、ウォズは気合を入れ直し、滅と迅に再び挑む。

 




久しぶりのアーマータイムとなります。
ゲイツリバイブやウォズギンガファイナリーだけじゃ物足りないですからね。
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