仮面ライダージオウ✕仮面ライダーゼロワンーIF令和ザ・ファースト・ジェネレーション   作:K/K

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加古川飛流が好き勝手やって無双する話となります。



自覚無き救世主

 アナザーゲイツマジェスティへと変身した飛流は、アナザー滅たちに動かぬよう手で制した後、悠々と道のど真ん中を歩き始める。

 構えなど一切無く量産ウィルたちが率いる大軍へと向かっていく。

 

「──撃て」

 

 アナザーゲイツマジェスティの姿だけでデータが一切無くとも極めて危険な存在だと判断しバトルマギア、トリロバイトマギアたちに一斉射撃の許可を出す。

 バトルマギアたちは機関銃を構えながらしゃがみ、その後ろに同じく機関銃を構えたトリロバイトマギアたちが並ぶ。

 陣形と整うと同時に数百の銃から数千以上の弾丸が吐き出された。

 

「ふん」

 

 アナザーゲイツマジェスティはそれを一笑するとマントを翳す。様々なアナザーライダーの面の皮を繋ぎ合わせて作られた世にも悍ましきマント。

 機関銃の弾はマントに命中すると貫くことも出来ず、それどころか弾き飛ばされる。

 厚さにすれば数ミリのマント。だが、どれだけ弾丸を浴びせてもマントに傷一つ付けられない。

 アナザーゲイツマジェスティは、マントで弾丸を弾きながら歩き続ける。歩幅も速度も一定であり、余裕の表れか駆け出すこともしない。

 アナザーゲイツマジェスティが接近すればマギアたちもそれに合わせて後退をする。

 

「……流石に喧しいな」

 

 機関銃のけたたましい銃撃音を鬱陶しく思い始めたアナザーゲイツマジェスティ。マントの隅から握った手を出し、指で何かを弾く。一秒にも満たない間の後バトルマギアの一体の頭部が爆ぜるように破壊された。

 アナザーゲイツマジェスティがまた指を弾く。トリロバイトマギアがまとめて五体頭部を吹き飛ばされた。

 

「はっ」

 

 マギアの脆さを鼻で笑うアナザーゲイツマジェスティの片手がカチカチと音を鳴らす。

 音の正体は潰れた弾丸。アナザーゲイツマジェスティはそれを投げては掴み、投げては掴むという手遊びをしている。マントで弾きながらもう片方の手で弾丸を掴み取っていたのだ。

 また別のマギアの頭部が撃ち抜かれる。アナザーゲイツマジェスティにとってこれは攻撃ですらない。ただの戯れであり、遊び同然であった。

 

「おのれ……!」

 

 量産ウィルらもアナザーゲイツマジェスティが舐めて掛かっていることを察したらしく、マギアたちの発砲を止めさせる。

 銃撃が止むのを見て、アナザーゲイツマジェスティはマントを翳すのを止め、持っていた残りの弾丸を投げ捨てる。

 

「人間め……!」

「人間如きが……!」

「ヒューマギアを見下すか!」

 

 衛星アークにより悪意を増幅され、アナザーゲイツマジェスティに殺意を高めながらその姿をアナザーバルカンへ変化させる。

 

「アナザーライダー……いや、少し違うな」

 

 アナザーライダーに精通しているだけに量産アナザーバルカンの異質さを瞬時に感じ取るアナザーゲイツマジェスティ。だが、だからといって脅威とは見做しておらず、腕を組んで量産アナザーバルカンを珍品のように眺めていた。

 数体の量産アナザーバルカンは通信を飛ばし、アナザーゲイツマジェスティへの戦い方を決める。

 得体の知れない能力を有しているが、まだ数としては自分たちが有利である。物量で相手を一気に磨り潰す。

 そう決め、量産アナザーバルカンらが動き出そうとしたとき──

 

「居ない!?」

 

 ──倒すべきアナザーゲイツマジェスティの姿が視線の先に居ない。

 

「珍しいと言えば珍しいな──出来の悪い量産品なんて」

 

 いつの間にかアナザーゲイツマジェスティは、数体居る量産アナザーバルカンの内の一体の前に立っていた。量産アナザーバルカンらのセンサーが全く捉えることが出来なかった。まるで瞬間移動したかのような移動速度。

 嘲笑するアナザーゲイツマジェスティは、腕を組んだまま右足をほぼ垂直に高々と上げていた。

 上げられた踵からくすんだ金色をした鉞のような刃が生える。

 

「まあ、だからどうしたって話だ」

 

 振り下ろされた刃が量産アナザーバルカンの頭頂部に埋まると股下まで抵抗なく一気に抜けていく。

 

「ば、か、な……」

 

 あまりに鋭過ぎる切れ味のせいで断末魔の言葉すら残せたが、この場合は逆に残酷としか言えない。

 その言葉の直後に量産アナザーバルカンの体は左右に分かれ、断面から機械部品や火花を飛び散らせた後、爆散する。

 呆気無く自分のコピーが破壊されたことに言葉を失う他の量産アナザーバルカン。そんな動揺を余所にアナザーゲイツマジェスティは別の量産アナザーバルカンに接近していた。

 

「試してみるか」

 

 急接近したアナザーゲイツマジェスティは、攻撃をせず何を思ったのか掌を量産アナザーバルカンの胸に押し当てる。

 

「何を──きゅおお、ぐぎゅああああ──」

 

 触られた量産アナザーバルカンが奇声を発しながら粘土細工のように体を変形させられていく。

 アナザーゲイツマジェスティの能力の一つであるアナザーサブライダーの武器化。今まで自身が召喚したアナザーサブライダーが能力対象であり、また通常のアナザーライダーとは異なる量産化された精巧な偽物であったため、効くかどうかアナザーゲイツマジェスティも確信はなかったが、杞憂に終わった。

 

「出来が悪いと言ったのは訂正してやる。──良く出来た偽物だ。ははははは」

 

 歴史改変という特性は真似出来なかったが、それ以外は完璧に複製出来ていたせいで皮肉にもアナザーゲイツマジェスティの能力の対象になってしまった。正確な模倣が裏目に出た結果である。

 量産アナザーバルカンの胴体が内側に向かって圧縮される。中身はどうなってしまったのかという疑問が生じるが、量産アナザーバルカンの口から吐き出されるこの世のものとは思えない奇声を聞けば、碌なことになっていないのは想像が付いた。

 四肢は指先、足先まで極限にまで絞るように細められていく。四肢の太さが半分以下になる反面長さは倍近くまで伸びて行く。

 時間にすればほんの数秒の出来事。だが、それが終わるまで量産アナザーバルカンの声は止まることはなかった。

 ヒューマギアが痛みを感じるのか疑問に思える。だが、アナザーゲイツマジェスティの能力による変形は特殊なものであり、もしかしたら武器への変形には体だけでなく精神にも多大な影響を及ぼしていると考えられる。人間を支配下に置いたヒューマギアが、人間の道具へと成り下がる。そこには魂の尊厳を破壊する痛みが伴うのかもしれない。

 その弓矢は弓を交差させて✕の字にしたような形をしていた。弓の部分は元は四肢であり、先端からは青い獣毛を縒って作られた弦が張ってある。

 弓の中央部分には矢ではなく量産アナザーバルカンの頭部が付けられており、まだ意識があるのか眼球が動いている。

 

「こんなものか」

 

 完成した元量産アナザーバルカンであった武器に対し並といった評価を下す。

 自分の分身が弓矢に強制変形させられたこと。しかも、それが物理法則を完全に無視した尊厳を嘲笑うかのような姿へ変えられたことに他の量産アナザーバルカンたちのAIは、思考が目の前の現実に追い付かずに停止状態になってしまう。

 そんな彼らの心情など無視してアナザーゲイツマジェスティは武器の使い心地を確認する為に弦を引く。

 弓となった四肢が弦を引かれることでしなり始める。それに連動して中央部分に矢の代わりに番えられた量産アナザーバルカンの頭部が苦痛を訴えるように口を大きく開いていく。

 弦を放す。矢を射るのではなく量産アナザーバルカンの口から咆哮が発せられる。指向性の不可視の音の矢は、対象である量産アナザーバルカンの耳にのみ断末魔のような咆哮を届けさせた。

 見えざる音の破壊が停まっていた量産アナザーバルカンに命中し、衝撃波によって上半身が深く凹まされながら吹き飛ばされる。

 度々、アナザーバルカンがやっていた咆哮による衝撃波を武器化したことで再現してみせた。

 アナザーゲイツマジェスティは弓矢をバトルマギア、トリロバイトマギアの集団へと向け、限界まで弦を引き絞る。弓から壊れるような音が鳴り、声無き苦鳴が聞こえてくるような気さえする。

 射った瞬間、絶望と苦痛に満たされた壁のような音の衝撃波がマギアの集団を襲った。為す術なく破壊され、或いは吹き飛ばされていく大軍。凄まじい威力に思えたが、弓矢の性能を自壊寸前まで使用した結果であり、命懸けと言える一射だったので当然とも言える。

 試し射ちを終えたアナザーゲイツマジェスティは、もう用済みと言わんばかりに量産アナザーバルカンであった弓矢を放り投げる。威力も使い心地もアナザーゲイツマジェスティの想定内。それならこれ以上使う価値を見出せないのであっさりと棄てた。

 

「それで?」

 

 アナザーゲイツマジェスティは徐に残りの量産アナザーバルカンを見る。

 

「どっちに壊されたい?」

 

 自分かアナザー滅たちのどちらかを選ばせる。慈悲でも何でもない。完全なお遊び。アナザーゲイツマジェスティにとって彼らは既にそんな存在に成り下がっていた。

 量産アナザーバルカンはアークとの通信を試みる。この状況を打破出来る可能性があればアークの優れたAIしかない。

 一縷の望みを懸け、アークへの助言を求める。だが、幾ら通信を飛ばしてもアークからの返事は無い。

 アークの答えは沈黙。彼らは自分たちが見捨てられ、新たな敵に対して情報収集する為の捨て駒として切り捨てられたことを悟った。

 最早、退路は無く、生き残るには目の前の敵を倒すしかない。それがどれだけ低い可能性なのか優秀なAIを持つ彼らは無意識に導き出してしまう。しかし、それでもその低確率に賭けなければならない。

 合理的であるべきヒューマギアが非合理的をやらざるを得ない状況へ追い込まれる。彼らの根源を揺るがす屈辱であった。

 量産アナザーバルカンたちは残されたメンバーで最後の連携を試みようとする。せめて、アナザーゲイツマジェスティだけでも道連れにしようと考えていた。

 量産アナザーバルカンの一体が摺り足で一歩前に動く。

 

「そうか。俺の相手はお前か」

 

 その行為を勝手に選択と判断したアナザーゲイツマジェスティ。彼の背後から三つの影が飛び出す。

 風切り音と共にアナザー迅が頭上から急襲し、量産アナザーバルカンの一体の背中を踏み付ける。踏み付けた足から鉤爪を伸ばし、外装がひしゃげる程の力で鷲掴みにすると量産アナザーバルカンを掴んだまま飛翔。

 一気に数百メートルの高さで飛び上がると空中で体勢を入れ替えて量産アナザーバルカンを上空へ放り投げる。

 飛行能力を持たない量産アナザーバルカンがもがいている内にアナザー迅は翼を強く煽ぎ、無数の羽根を飛ばす。

 鋭利な切れ味を持つ羽根に全身を斬り裂かれ、或いは貫かれて量産アナザーバルカンは空中で爆散する。

 量産アナザーバルカンのセンサーが追いつかない速度で疾走するのはアナザーバルキリー。量産アナザーバルカンが視界に収めたと思えばそれは残像であった。

 本体は既に懐に入り込んでおり、指先から生える鋭い爪で量産アナザーバルカンを切りつける。

 裂創に怯んだ隙に背後へと回り込むアナザーバルキリー。妖艶な唇が開かれたとき、恐ろしい牙が露わとなり、量産アナザーバルカンの首筋へ噛み付いた。

 藻掻く暇も無く首筋を噛み千切られた量産アナザーバルカン。トドメと言わんばかりにアナザーバルキリーは量産アナザーバルカンの頭部をもぎ取ってしまう。

 アナザー滅の左腕が解け、間合いの外から一気に伸びた。

 量産アナザーバルカンの首に巻き付き、ロープ程の太さしかないのに相手の体を持ち上げる。

 量産アナザーバルカンは巻き付いたアナザー滅の左腕に爪を立てて解こうとするが、蠍の尾のように外骨格に守られている左腕に爪が通らない。

 鎌首をもたげた蛇のようにアナザー滅の左手が量産アナザーバルカンの眼前に突き付けられる。蠍の尾針に似た人差し指の先端から紫色の毒液が滴っていた。

 避ける間もなくアナザー滅の人差し指が量産アナザーバルカンの額に刺さる。それだけでも致命傷であるが無機物、有機物を問わず蝕むことが出来る毒液を注入され、量産アナザーバルカンは全身を痙攣させながら目や口から流し込まれた毒液を流しながら機能停止する。

 アナザー滅たちにより無惨に倒されていく量産アナザーバルカンたち。残されたのはアナザーゲイツマジェスティの前に立つ一体のみとなった。

 

「もうお終いか。思っていたよりもつまらないもんだな……弱いものイジメは」

 

 改変された歴史ではあるが、地球の種族の中で頂点に立っているヒューマギアを弱者と嘲る。

 それが量産アナザーバルカンのプライドを大きく傷付け、彼に無謀としか言い様の無い特攻を行わせた。

 

「おおおおおおおおっ!」

 

 量産アナザーバルカンの内心を見抜き、決死の特攻だと分かった上でアナザーゲイツマジェスティは鼻で笑う。

 どうやっても抗えないこと。覆せないこと。変えようないことは存在する。それによって生み出される怒りや恨みを糧にしてきた飛流にとっては、量産アナザーバルカンの怒りなど取るに足らない。

 アナザーゲイツマジェスティは両手でベルトに触れ、交差させるようにスライドする。ベルトが輝き、セットされてあるアナザーゲイツマジェスティウォッチからも金、黒、赤が混じった濁った光を放つ。

 両手を左右に広げながらアナザーゲイツマジェスティが宙へと浮かび上がる。そして、ある程度の高さまで上昇すると一際大きな光を放った。

 すると、アナザーゲイツマジェスティの全身に付けられた頭骨やマントから何かが飛び出す。

 それは頭骨やマントの一部と化しているアナザーサブライダー。だが、下半身は無く半透明の姿であり、まるで亡霊、怨霊、幽鬼といった怖気の走る姿。

 それがアナザーゲイツマジェスティを中心にして無数に出現する。

 アナザーゲイツマジェスティが量産アナザーバルカンを指差す。漂っていたアナザーサブライダーの亡霊たちは一斉に量産アナザーバルカンへ飛び掛かった。

 

「なっ!?」

 

 両腕を振るって亡霊を払おうとするが、その腕を透過し量産アナザーバルカンの体内へ飛び込んでいく。

 触れることの出来ない亡霊に何もすることが出来ず、全てのアナザーサブライダーの亡霊が量産アナザーバルカンの体内に入り込んだ。

 

「ぐ、があああっ! ごぉぉぉ!」

 

 苦しそうに前屈みになったかと思えば、いきなり仰け反る量産アナザーバルカン。その背中から入り込んだ亡霊たちが一気に噴き出す。半透明の姿の量産アナザーバルカンを連れて。

 

『な、何だこれは……!?』

 

 自分で自分を見ている。今どのような状態になっているのか量産アナザーバルカンは理解出来なかった。

 魂、精神、命、もしくは全く別のものか。答えなど分からない。

 何かを抜き取られた量産アナザーバルカンは棒立ちとなり、何かとなった量産アナザーバルカンは亡霊のせいで身動きがとれない。

 確かなのは量産アナザーバルカンにもう打つ手など無いということである。

 

「消えろ」

 

 アナザーゲイツマジェスティは冷酷に告げると両足を前に突き出しながら急降下。両足には金、赤、黒の光が宿る。

 それと同時に亡霊たちは量産アナザーバルカンへ一斉に群がる。その光景は餌を貪る肉食魚のようであった。

 

『やめろぉぉぉぉぉぉぉ!』

 

 その絶叫は何に向けたものか。無防備な自分の体を攻撃しようとするアナザーゲイツマジェスティへのものか。或いは視界全てを埋め尽くしながら喰らってくる亡霊たちに向けてのものか。

 答えが分かる前にアナザーゲイツマジェスティは量産アナザーバルカンの体を粉砕し、残された量産アナザーバルカンの意識は亡霊たちに取り込まれる。

 量産アナザーバルカンを蹴り砕いて降り立ったアナザーゲイツマジェスティに飛ばしていた亡霊たちが戻って来る。

 頭骨やマントの中へ入って行く亡霊。全てを取り込むとマントに新たな顔を浮かび上がる。それは量産アナザーバルカンの顔であった。

 アナザーゲイツマジェスティは残されたマギアたちを見る。指揮官である量産アナザーバルカンを全て失ったせいか、全員棒立ちのまま動こうとしない。

 

「右も左もガラクタばかりだな」

 

 その様子を小馬鹿にするアナザーゲイツマジェスティ。

 やがて──

 

「足りないなぁ」

 

 ──その一言を吐き捨て、とあるアナザーライダーを召喚する。

 

『クロノォォス』

 

 

 

「──なっ!?」

 

 量産されたウィルたちは驚愕した。アナザーゲイツマジェスティらによって倒された筈の自分たちが生きていることに。だが、夢などではない。倒された記憶は残っているし、何よりも元凶であるアナザーゲイツマジェスティがそこに立っている。

 

「暴れ足りない。もっと付き合え」

 

 傲慢に言い放つアナザーゲイツマジェスティ。彼が何かをしたのは明白であった。だが、何をしたのかウィルたちには分からない。

 

「何だあれは……!?」

 

 そのとき、ウィルの一体が空に何かが居ることに気付く。二十メートル近い巨体が宙へと浮いているのだ。

 黒と緑を基調としているが下半身が無い。体の至る所に稲妻のような形をした緑色の突起を生やしている。両腕は普通の手では無く片方は二門の砲塔、もう片方は先端が平たい楕円形になっており、鋸状の光の刃が高速で回っている。

 背部に逆さまになった巨大な時計盤を背負っており、同じくらい長大な時計の長針、短針が真上を指していた。

 アナザーライダーの力は変身者の特異性によって変化することはあまり知られていない。

 例としてスーパータイムジャッカーのティードがアナザークウガへと変身した際に通常のアナザーライダーとは異なり巨大化した。また、加古川飛流もアナザーゲイツ、アナザーゲイツリバイブ、アナザーゲイツマジェスティとアナザーライダーの力を進化させる特異性を見せている。

 ならば自然とある考えに辿り着くだろう。強い特異性がある者に強いライダーの力を与えたら凄まじいことになるのでは、と。

 その答えの一つがこれである。

 エグゼイドのラスボスであるゲムデウスに仮面ライダークロノスの力を与えたことによって生み出されたアナザークロノス。

 そして、もう一体──

 

「何だ……?」

 

 空が急に赤く染まっていく。そして、夜でもないのに空に青い星々が点々と──否、そんな控え目な輝きでは無く目を奪われるような爛々とした輝きを放っている。

 ウィルたちの見ている前で赤い夜空が蠢く。まるでこちらを嘲笑しているかのように。

 初めて経験する恐怖にウィルたちは半狂乱なりながらマギアたちに銃撃の指示を出す。

 アナザークロノスの時計の針が動く。

 指示された通りに銃を構え、発砲するバトルマギア、トリロバイトマギア。

 またアナザークロノスの二本の針が動く。音速を超える筈の弾丸が何故か視認出来る程の速度でゆっくりと宙を進む。

 アナザークロノスの針が動く度に弾丸の速度は遅くなっていき、やがてアナザークロノスの針が真下を指す。逆時計盤の十二時で針が重なったとき全ての時間が停止した。

 これがアナザークロノスの能力。一定の範囲内ならば時間を巻き戻すことや停止することを可能とする。

 動ける者はいない。対象外となっているアナザーゲイツマジェスティともう一体を除いて。

 赤い空が動き出す。青い星々が回り、廻り、金の螺旋を描く。やがて空と星と螺旋の中心に生じる黒い球体。まるで空間そのものに穴が開いたかのようで底など見えない漆黒が広がる。

 それは光すら呑み込んでしまうブラックホール。落ちた先など誰も知らない超重力の穴が時間停止しているウィルやマギアたちを引き寄せていく。

 この赤い空に見えたものこそがアナザーゲイツマジェスティが召喚したもう一体のアナザーライダー。

 ビルドの宿敵であるエボルト怪人態に仮面ライダーエボルの力を与えたことで、最早ライダーの姿すら維持することが出来ない程の強大な力を手にし、生きたブラックホールと化したアナザーエボル。

 周囲に敵しかいないことをいい事に強力過ぎてアナザーゲイツマジェスティですら手に余るアナザーライダーを呼び出した。

 それもこれも全部憂さ晴らしに過ぎない。己の意志のままに好き勝手に力を揮う姿は悪としか映らないだろう。

 だが、皮肉なことにアナザーゲイツマジェスティが悪を為しているせいで拠点に待機している人間たちはヒューマギアの魔の手から救われた。

 自覚ある悪が巡り廻って無自覚の正義となって人々を救う。

 

「ははははははははははっ!」

 

 ブラックホールに吸い込まれていく姿を哄笑しながら見送るアナザーゲイツマジェスティにはそれを知ることは無いだろう。

 




アナザークロノス
身長:18.1m
体重:80.8t
特色/能力:一定範囲内の時間のリセット、停止

アナザーエボル
身長:測定不能
体重:測定不能
特色/能力:ブラックホールを操る
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