仮面ライダージオウ✕仮面ライダーゼロワンーIF令和ザ・ファースト・ジェネレーション   作:K/K

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アナザーダブルライダー その1

 アナザー1号とアナザー2号を纏めて貫いたゼロワンは、加速したまま地面に着地する。足が地面に触れると凄まじい勢いで削れ出す。両足で地面を強く踏み締めるが超高速の勢いは中々緩まず、力を入れた分だけ地面が深く抉れていく。

 その内摩擦による熱が発生し、熱が一定以上まで高まることで発火。ゼロワンが滑っていった跡に炎の轍が出来る。

 

「燃える! 燃える!」

 

 足元が炎上することにリアクションしながら何とか停止したゼロワン。振り返るとアナザー1号たちから数百メートルも離れた場所まで移動してしまっていた。

 

「倒した……?」

 

 重なるようにして倒れているアナザー1号とアナザー2号を見ながらゼロワンは呟く。

 手応えはあった。しかし、自分で言っておいて現実味を感じない。ゼロワンの直感というべき感覚が今も警鐘を鳴らしている。

 その感覚が正しかったと証明するように倒れていたアナザー1号とアナザー2号が体を揺らす。

 反射的に身構えるゼロワン。二体のアナザーライダーが起き上がる。

 

『危なかった……本当に危なかった……』

 

 焦りと恐れ、そして安堵が混じった声を出すのはアナザー2号。アナザー1号の巨体を背中で支えた状態で立っている。

 一方でアナザー1号の方は完全に沈黙していた。

 

『先にやられたのが君で良かったよ……』

 

 物言わぬ己の半身に対し礼を言うアナザー2号。

 アナザー1号の胸部にはゼロワンのキックにより大きな風穴が開いていた。明らかな致命傷であったが、アナザー1号が沈黙するだけで変身解除などの変化は見られない。一方でアナザー2号は脇腹が深く抉られていた。ゼロワンは二体纏めて倒すつもりだったが、アナザー1号によりキックの起動をずらされ、アナザー2号に深いダメージを与えるだけで倒すには至っていない。

 

『ほんの少し。あとほんの少しでもずれていたら、僕のウォッチまで破壊されていた……もしそうだったら、僕たちの負けだった……』

 

 アナザー1号とアナザー2号は元々一つのアナザーウォッチから誕生した特殊なアナザーライダー。故にゼロワンが破壊したのはアナザーウォッチの片割れに過ぎない。完全に破壊出来ていないのだ。

 

『理解したよ。このままじゃ勝てない。なら──』

 

 アナザー2号は背負っていたアナザー1号を地面へ下ろす。そして、体を低くして顔をアナザー1号へ近付けていく。

 何をしようとしているのか分からず、ゼロワンが訝しんでいるとアナザー2号は突如口を開き、歯牙をアナザー1号の首筋へ突き立てる。

 

「なあっ!?」

 

 アナザー2号の捕食行為に唖然とさせられるゼロワン。だが、気付く。アナザー2号がアナザー1号を喰らっているのではないことに。

 喰らいついたアナザー2号の口がアナザー1号の肩へ沈み込んでいた。アナザー1号とアナザー2号は同化し始めている。

 アナザー2号の顔がどんどんアナザー1号の体の中へ入り込んでいく。それに伴い深緑であった体色が変化し、色が抜けて灰色に近い体色になっていく。

 アナザー1号の心臓の位置にアナザー2号の顔が埋まるように移動。前輪、後輪の形をしていたアナザー2号の両腕はアナザー1号の肩から生えたように同化していた。

 アナザー2号が足代わりにしていた巨大な両腕は、肩から生えていても地面に着きそうな状態であり、アナザー1号の下半身のバイクもあって変則的な四輪になっている。

 アナザー1号のピンクの複眼が赤に染められると今まで沈黙していたアナザー1号は口を開き、息を吹き返す。

 

 オオオォォォォォッ! 

 

 野太い叫び声。アナザー2号のときはフィーニスの声であったが、融合することでアナザー1号の声に統一される。

 アナザー1号とアナザー2号が歪な融合を果たし、その複眼でゼロワンで睨む。

 元々はフィーニスの人格は一つであったし、アナザー1号ウォッチとアナザー2号ウォッチも一つであった。元の形に戻っただけの筈なのにそれが非常に歪に見えて不快感を覚える。

 仮面ライダーの最初の歴史は確かに二人の仮面ライダーによって創り出された。それを知る者がいればその二人の仮面ライダーを一心同体と称しただろう。だが、それはあくまで比喩である。それを誤った解釈で体現すると異様さしか感じられない。

 

「一心同体ってこと……? いや、そういう意味じゃないだろ……」

 

 ゼロワンも思わず自分で言って自分で否定してしまう程に醜悪な姿。一つとなったアナザー1号とアナザー2号──アナザーダブルライダーにそう言ってしまうのも仕方がないと言える。

 四つのタイヤが急回転し、アナザーダブルライダーが疾走。

 

「速い!?」

 

 巨体が急加速し、一瞬で最高速度に達する。アナザー1号やアナザー2号を上回る速度であり、アナザーダブルライダーが走った後は地面の舗装が捲れ上がり、衝撃波で建物のガラスは粉砕され、街路樹が薙ぎ倒される。

 間合いをあっという間に詰めると、アナザーダブルライダーは速度を緩めずゼロワンを轢殺しようとする。

 ゼロワンは轢かれる前に跳躍して回避。アナザーダブルライダーの速度は上がったが、まだゼロワンの方が優っている。

 ゼロワンを轢き損ねたと分かる否や急停止すると、その付加で道路の舗装が波打つように撓み、アナザーダブルライダーが加速で引き連れていた風が突風となって吹き抜けていく。

 止まるだけでもこの迫力。内包している力を見せつけてくるが、ゼロワンからすれば立ち止まってくれたのは好都合であった。

 アナザーダブルライダーが四つの目に捉えられる前にゼロワンはアナザーダブルライダーの背後へ高速移動し、振り返られない内に背中へ蹴りを打ち込む。

 

(重っ!?)

 

 一発目を打ち込んだ時点で爪先に伝わってくるアナザーダブルライダーの重量。アナザー1号、アナザー2号の二体分の体重が合わさり容易に蹴り飛ばせない。逆に蹴ったゼロワンの方が痛みを覚えるぐらいであった。

 

(こんのっ!)

 

 爪先の痛みに耐えて同じ箇所へ蹴りを集中させる。だが、何十発打ち込んでもアナザーダブルライダーが倒れる気配が無い。アナザー1号とアナザー2号だったら既に転倒していてもおかしくない。

 体重の増加だけでなく外骨格のような装甲も強化されている。事実、ゼロワンが集中攻撃した箇所は凹んですらいない。

 単純な足し算とは異なる強化。1号と2号という存在が組み合わさることで生まれる相乗効果。皮肉にもライダーの歴史に記されている特別な存在だからこそ納得出来てしまう図式でもあった。

 手応えの無さを感じつつも数十発打ち込んでも効かないならば百発以上打ち込む気概で、より鋭く、速い蹴りを繰り出そうとする。

 不屈のゼロワンのキックがアナザーダブルライダーの背中へ吸い込まれていく。硬い外装を打つ感触──ではなく空を切る感触が返ってきた。

 

「──え?」

 

 打ち込む筈だった背中に何故か裂け目が出来ており、ゼロワンの右足はその裂け目へ突っ込まれている。すると、裂け目が急に閉じ、ゼロワンの右足を挟む。

 

「いっ!?」

 

 ゼロワンの装甲は急ごしらえの継ぎ接ぎ。脚部の装甲は他と比べると丈夫に出来ているが頑丈とは言えない。今のゼロワンは足を挟まれた痛みをダイレクトに体感している。

 閉じた裂け目の周囲が盛り上がってくる。盛り上がったそれはアナザー2号の顔となった。

 

「そんなのありっ!?」

 

 右胸にあったものが背中へ移動してきたのを見て、ゼロワンは仰天して叫んでしまう。

 ゼロワンが驚いている間に裂け目──アナザー2号の口がゼロワンの右足に牙を突き立てる。

 

「ぐうっ! いっつ!? 離せ!」

 

 ゼロワンを逃がすまいと歯牙が食い込む。ゼロワンも動かせる左足を使い、アナザー2号の顔面を高速で踏み付け続ける。

 そのとき、ゼロワンの体が横から来る衝撃に折れそうになる。

 

「うおっ!」

 

 攻撃の緩んでしまう。すぐに再開しようとするが、横からの衝撃が強くなっていく。

 アナザーダブルライダーはゼロワンを捉えると四つのタイヤを器用に操りその場で回転し始める。

 回転の速度は一回転ごとに増していき、その回転が生み出す力は風を生み、風は風速を増していき遂には竜巻へ昇華する。

 

「うおおおぉぉぉぉっ!?」

 

 竜巻の中心で捕まっているゼロワンは風圧と遠心力の暴力に晒され、万歳の姿勢となって振り回され続けていた。

 目が回す前に身体中の血液が上半身へ集まっていき、経験したことの無い命の危機を感じさせる気持ち悪さを体験することとなる。

 何とか脱出を試みようとアナザー2号の顔を蹴り付けるゼロワン。すると、視界の端に飛来する物体を捉え、上半身を力尽くで起こす。

 物体はゼロワンの背中の下を通過する。それはそこら辺に立て掛けてある看板であった。

 ゼロワンはこのとき気付いた。塵や土などで色付けされた竜巻だが、それ以外の物も混じっていることに。

 自然災害そのものと言ってもいいアナザーダブルライダーの竜巻は、建造物を破壊してそれを取り込み、また既に破壊されてある建物の瓦礫を吸い込んでいた。それにより竜巻内に閉じ込められているゼロワンは、集められたそれらの的と化す。

 このままでは瓦礫によって押し潰される未来しか見えず、ゼロワンは渾身の力を込めてアナザー2号の顔面を蹴り付けた。

 ピシリ、という音を立てゼロワンの足を嚙んでいる牙の一本に罅が入る。ゼロワンも適当に攻撃をしていた訳では無い。パニックになって攻撃を散らすことはせず、冷静に一点へ攻撃を集中させていたのだ。

 もう一度蹴り付けると牙が根本から折れ、閉じていた口に隙間が生じる。その隙間から急いで足を引き抜くゼロワン。

 

「うおおおぉぉぉぉぉ!?」

 

 抜いた途端、巻き上がる風によって上へと飛ばされた。アナザーダブルライダーから逃れてもまだそれが造り出した竜巻の中へ囚われている。

 

「この……! うおっ!?」

 

 渦巻く風の中で体勢を立て直そうとするゼロワンであったが、すぐ傍を車が通過して驚く。巻き上がっているのは建物の瓦礫だけではない。今通過した様々な車や街路樹、電信柱や大きな看板など竜巻に吸われ、ゼロワンを襲う凶器と化す。

 このまま竜巻に巻き込まれ続けていたらいずれは力尽きる。瓦礫などだけでなく未だに竜巻の中心部で回り続けているアナザーダブルライダーが襲ってくる可能性もあった。

 いつまでも流されてはいられない。逆にこちらから仕掛ける。

 だが、今のゼロワンは空中で身動きがとれない。飛行能力があったとしてもこの竜巻の中では上手く飛ぶことは出来ないだろう。

 

(何か? 何かないか?)

 

 この状況を抜け出す為の方法を探すゼロワンであったが、そんな思考を中断させる大きな影がゼロワンを覆う。

 風によって巻き上げられた大きなコンクリートの塊──恐らくは竜巻に破壊された建物の一部──が勢い良くゼロワンへ突っ込んで来る。衝突すればゼロワンも無事では済まない。

 

「これだっ!」

 

 しかし、それこそゼロワンが待ち望んでいたもの。大きな衝撃にも十分耐えることの出来る頑丈な物体であった。

 ゼロワンは強風によって不安定な体勢を上手くコントロールし、両足の裏をコンクリートの塊へ向ける。

 コンクリートの塊がゼロワンへぶつかる。両足裏が着く、ほんの一瞬しかない刹那のタイミングでゼロワンは両膝を曲げ、大腿部を持ち上げて膝が胸に着くまで体を縮ませる。衝突の際の衝撃が巧みな技術で分散され、ゼロワンは張り付くようにコンクリートの塊へ着地した。

 竜巻の中で漂う塊の上でゼロワンは周囲を見渡す。網膜に焼き付けるそれらの光景。風の流れ、それぞれの配置、そこから導き出されるアナザーダブルライダーへのルートがゼロワンの脳裏に描かれる。

 

『ZERO―ONE DESTRACTION!』

 

 ライジングホッパープログライズキーを押し込むことで発動を告げる音声が鳴らされる。

 ゼロワンの左足にプログライズキーとゼツメライズキーのエネルギーが流れ込む。本来ならば利き足である右で撃つべき技だが、ゼロワンの右足はアナザー2号の顔に噛み付かれたせいで強い痛みを感じていた。負傷した右足よりもまだ左足で放つ方が威力を損ねないという判断から左足を使う。

 エネルギーが充填されると共にゼロワンは跳ぶ。踏み台にしたコンクリートの塊は跳んだ反動で砕け散った。ゼロワンの強過ぎる脚力を生かすにはある程度の頑丈さが必要になってくる。

 光のラインを残しながら跳ぶゼロワン。その先には車。ゼロワンは車の屋根に着地すると同時にまた跳ぶ。

 強風を突き破る程速く、鋭い跳躍。跳んだ先には建物の瓦礫。それを踏み台に跳ぶ。

 荒れ狂う竜巻の中で浮かび上がる稲光のような光のライン。上下左右関係無く縦横無尽に軌跡を描く。遠回りしているように見えるそれは、ゼロワンにしか見えないルートを辿り、倒すべき敵へと自らを導く。

 跳躍の連続により最大まで速度を高めると同時に最後の目標へ向けて跳ぶ。

 目標地点に浮かぶのは自販機。その自販機は位置が竜巻の中心へ跳ぶ為に最も適した位置であった。

 ゼロワンは自販機に着地。そして、コンマ一秒も満たない間に蹴って跳ぶ。ほぼ間隔の無い二度の衝撃によって自販機は中身ごと木端微塵になった。

 猛風に逆らい中心部へ跳んで行くゼロワン。竜巻の中心には当然ながらアナザーダブルライダーが待ち構えている。

 高速回転して竜巻を生み出し続けていたアナザーダブルライダーだったが、ゼロワンの接近を感じ取ったらしく両腕のタイヤを掲げる。

 タイヤが二輪減って回転の勢いは弱まるが、それでもまだ竜巻は止まらない。

 ゼロワンは荒ぶる風の中で体勢を変え、左足を真下へ向けて急降下。左足に満ちた黄色の光がライン状のエネルギーを四方へ伸ばしていく。

 アナザーダブルライダーは回転の勢いのまま真上へ両腕を突き上げた。ゼロワンを迎撃し、粉砕する為に。

 竜巻の中心で大きな力と力が衝突し合う。

 街を壊滅させてもおかしくない巨大竜巻が真っ二つ裂ける。吸い込み、巻き上げていた様々な物が竜巻が消えた影響で落下。或いは遠心力によってあちこちに飛んで行く。

 それはさながら空襲であった。車がビルの三階へ突き刺さり、コンクリートの塊が建物を穴だらけにし、木がマンションに突き刺さって生えているような形になっていたりなど後に出来上がるのは現実味が無い光景。

 見渡す限り無事な物は存在しない破壊された大地。そこへ上空から勢い良く落下してくる影。

 地面に着地したのはゼロワン。目立った外傷は無かったが、しゃがみ込んだ体勢から立ち上がると負傷している右足が痛み、前屈みになる。

 

『──ちっ。やってくれる』

 

 竜巻の中心部だった場所で不動を貫いたアナザーダブルライダー。こちらは右手のタイヤがパンクした状態になっている。竜巻内部での戦いはゼロワンに軍配が上がったが、その前に右足を傷付けられたので実質的には引き分けである。

 しかし、アナザーダブルライダーが片手に対してゼロワンは片足を負傷。尋常ならざるスピードが最大の武器であるゼロワンにとっては言葉通り痛い代償である。今の状態だと元のスピードから二、三割低下してしまう。ゼロワンが強いといっても万全ではない状態で勝てる程楽な相手ではない。

 目の前に聳えるように立つアナザーダブルライダーに脅威を感じながらもゼロワンは別のことを考えていた。

 

(ソウゴ、大丈夫かな……)

 

 周囲の惨状を見て、身を隠させておいたソウゴの心配をする。

 なるべくアナザーダブルライダーに見つからない場所を選んだつもりだったが、先程の竜巻のせいで広範囲に被害が及んでいる。変身していない状態で建物の倒壊に巻き込まれていたらと考えてしまうと不安を覚えてしまう。

 一刻も早く無事を確かめたいが、アナザーダブルライダーがそれを許さない。今もゼロワンを轢殺しようとタイヤを唸らせている。

 ゼロワンが怪我を負っていることは見抜かれている。時間を掛けたくないが現実がそれを無理だと諭してくる。

 アナザーダブルライダーが気筒から火を噴いて突撃して来る──と思っていたが、何故か直前で止まった。

 アナザーダブルライダーの不審な行動にポカンとしてしまうゼロワン。すると、視界の端から何かが差し出される。

 目の前に現れたのは人の手。前のめりになっているゼロワンを立たせる為に差し伸べられた手。その手が誰のものか確認しなくても分かった。

 ゼロワンは仮面の下で苦笑する。

 

「もっとゆっくり休めばいいのに……」

「ずっと或人一人で戦わせる訳にはいかないでしょ? そういうのって俺が目指す王様じゃないし」

 

 ソウゴの手を取り、ゼロワンは立ち上がる。

 

『今更一人増えた所で──』

「それはどうかな?」

 

 ソウゴが遮り、ある物を掲げる。それを見たアナザーダブルライダーは動揺した。

 

『そ、それは……!?』

 

 ソウゴがアナザーダブルライダーに見せたのはグランドジオウライドウォッチ。ソウゴからオーマジオウの力を奪った時点で消失した筈のウォッチを持っていることに驚きを隠せない。

 

『何故……はっ!?』

 

 アナザーダブルライダーは何かに気付いた。

 

「或人が頑張ってくれたおかげだよ」

 

 アナザー1号をゼロワンが貫いたとき、その力はアナザー1号のアナザーウォッチにまで届いていた。それによりアナザーウォッチに傷が入り、そこから封じ込めていたオーマジオウの力が漏れ出したのだ。

 漏れ出した力は光の粒となって本来の持ち主であるソウゴの許へ返ってきた。全部ではないとはいえ、ソウゴがグランドジオウライドウォッチを再び顕現させるには十分な力を取り戻した。

 

『勝っていた……私たちは勝っていた筈なんだ……! オーマジオウの力を使い、始まりのライダーになった時点で私たちの新時代が約束された筈だったんだ……!』

 

 全ての計画が白紙になりつつある現実。それを認めたくないのか譫言のように呟き続けるアナザーダブルライダー。

 

「いや、お前はここで負ける。俺たちがお前を倒す!」

『ジクウドライバー!』

 

 ジクウドライバーを装着し、ソウゴがグランドジオウライドウォッチを起動させようとしたとき、それは起った。グランドジオウライドウォッチがまるで太陽のような強い輝きを放ち始めたのだ。

 ゼロワンもアナザーダブルライダーもその光の眩しさに顔を背けてしまう。そんな強い輝きの中心に立つソウゴは──

 

「え?」

 

 ──何かに驚いていたが、急に笑い始める。

 

「そっか……」

 

 何かに納得するソウゴ。

 

「あんたも怒ってたんだ……じゃあ、一緒にやろうか!」

 

 輝きが消えたとき、ソウゴの手の中にはグランドジオウライドウォッチは無かった。

 

『そ、それは……!?』

 

 アナザーダブルライダーがグランドジオウライドウォッチを見たとき以上の驚き──否、恐れを見せる。

 それはソウゴが創造の為に捨てた破壊の力。時の果てで君臨する魔王が仮面ライダーの名を穢す者に誅伐を与える為にもう一度力を貸してくれたことで再びソウゴの手の中へ蘇る。

 今の自分と未来の自分の気持ちを重ね合わせ、ソウゴはそのウォッチのスイッチを起動させた。

 

『オーマジオウ!』

 

 起動したオーマジオウライドウォッチから膨大な量の光が溢れ出す。アナザーダブルライダーはその光を恐れて近付くことも出来ない。

 オーマジオウライドウォッチをジクウドライバーに挿し込み、ソウゴは叫ぶ。

 

「変身っ!」

 

 ジクウドライバーが回転すると共に世界も回るような錯覚をゼロワンは覚えた。それだけ凄まじい力が発動しているということである。

 

『キングターイム!』

 

 溢れ出した光がソウゴの背後で一つとなり、オーマジオウの巨大像を創り出す。

 

「でかっ!? 誰っ!?」

 

 オーマジオウの像の登場に叫ばずにはいられないゼロワン。

 

『仮面ライダージオウ! オーマー!』

 

 像が崩れてソウゴの中へと吸収されていき、ソウゴの姿を変身させる。

 その姿はまさに王としか表現出来ない。神々しいまでに煌めく黄金を宿し、『ライダー』の文字を仮面の中で煌めかせる。

 世界を救う為の力であり最強の力──仮面ライダージオウオーマフォームが再誕する。

 

「うおっ! 何か凄っ!」

 

 オーマフォームを間近でまじまじと眺めるゼロワン。

 

「もっと凄いの見せてあげようか?」

「へ?」

『ジオウ!』

 

 何処からともなく聞こえてきた声。すると、オーマフォームの両隣に黄金の扉が現れ、中から二人のライダーが召喚される。

 くすんだ金と黒の鎧を纏う時の果てで君臨する魔王──仮面ライダーオーマジオウ。

 ライダーたちの力をその身に宿した偉大なる魔王──仮面ライダーグランドジオウ。

 

「増えたぁぁ!? 三つ子!?」

 

 オーマフォームの力を目の当たりにし、ゼロワンが驚きの叫びを上げた。

 時の壁を超え、三人のジオウがここへ並び立つ。

 

 

 




タイムジャッカーが色々と地雷を踏み抜いた結果、こうなりました。
散々好き勝手やったので今度は好き勝手される立場となります。
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