仮面ライダージオウ✕仮面ライダーゼロワンーIF令和ザ・ファースト・ジェネレーション 作:K/K
ゲイツ、ツクヨミ、ウォズと滅、迅との戦いは最終局面を迎えようとしていた。
カブトアーマーを纏ったゲイツはクロックアップにより瞬時に滅たちの背後へ回り込み、ジカンザックスを構える。
「はあっ!」
だが、ジカンザックスが振り下ろされることはなかった。迅がゲイツを見失うと同時に周囲に羽根を飛ばし、地面に突き刺さった羽根が炎上して炎の壁となってゲイツを阻んだからだ。
アーマー越しでも熱を感じさせる迅の炎に、つい刃を止めてしまうゲイツ。ゲイツの動きが一瞬止まった隙を狙い、迅は赤色の翼を羽ばたかせることで高熱の風を巻き起こし、ゲイツをその風で覆う。
「くっ!」
反射的に後方へ下がるゲイツ。迅はすぐさま飛翔して追い掛けた。
ゲイツが背後から仕掛けるタイミングでツクヨミは前から攻めようとしていた。キバーラアーマーが持つ翼により低空を飛びながら専用の武器であるキバーラサーベルを水平に構えた。
すると、滅はいつの間にか伸ばしていたアシッドアナライズを引き戻す。アシッドアナライズの先がアタッシュアローに巻き付いている。戦場となっているのは飛電インテリジェンス内部。人間との戦闘に備えてフロアの各部にアタッシュウェポンが仕込まれており、当然のことながら滅はその位置を全て把握している。
『ARROW RISE』
アタッシュケースから弓矢へ変形したそれを滅は即座にツクヨミへ向ける。
アタッシュアローから放たれる紫の光矢。正面から来ているツクヨミを射抜こうとする。
「はあっ!」
ツクヨミはキバーラサーベルで光矢を斬り払う。だが、矢の後ろには二本目の矢が隠されていた。斬り払った直後のキバーラサーベルではそれを防げない。
「くっ!」
ツクヨミは手刀から光の刃を伸ばし、それにより二本目の矢を弾く。これにより矢を防いだ──
「えっ!?」
──つもりであったが、二本目の矢の後ろには三本目の矢があったのだ。三本の矢を一直線に並べて射るという人間では不可能な精密技巧。ヒューマギアだからこそ為せる技。
三本目はキバーラサーベルでも光刃でも間に合わない。為す術もなくツクヨミは光の矢によって射抜かれた。
そして、それに合わせたかのように迅に追い付かれ、追撃を受けていたゲイツがその胸を灼熱の手刀によって貫かれる。
二人のライダーが同時に倒されてしまった。
「むぅ!?」
瞬間、ゲイツとツクヨミの体は煙に包まれた後、ゲイツとツクヨミの顔が描かれた紙が貼り付けられた丸太へ入れ替わる。
『フューチャリングシノビ! シノビ!』
その音声へ滅と迅が目を向けると紫の忍装束姿となったウォズが居り、その両隣には倒し損ねたゲイツとツクヨミも居た。
フューチャリングシノビの忍法による変わり身で滅と迅を見事に欺いた。
「貴様……どうやって?」
「これぐらい忍にとっては嗜み程度さ」
「何それ、意味わかんない!」
ウォズは得意気に言うと、初めて目の当たりにする忍法に流石に滅たちも困惑を隠せない。
しかし、すぐにその感情の揺れを正す。初見のせいで驚かされたが、所詮は手品の延長に過ぎない。優れたラーニング能力を持つヒューマギアならば次は見破ると自信を以って言える。
滅らは気を取り直して三人に攻撃を仕掛けようとする
「……うん?」
ゲイツとツクヨミを見て違和感を覚えた。さっきまであったものがそこに無い。
「あっ。アーマーが無い!」
迅も気付き、基本形態に戻っているゲイツとツクヨミを指差す。その直後、滅たちに影が掛かった。
「しまっ──」
「うわっ!」
ゲイツたちから分離していたアーマーが滅たちに装着されていく。規格の違う装甲が無理矢理張り付くようにして付けられていき、二体の動きが鈍っていく。
「くっ!」
「う、動き難いよぉ!」
キバーラアーマーとカブトアーマーを強制装着され、苦しむ二体。動きが阻害されるだけでなく能力も使用することも出来ないので二体にとってライダーアーマーはただの錘にしかならかなった。
「おまけでこれもとっておきたまえ」
『ビヨンド・ザ・タイム!』
ビヨンドライバーを操作し、シノビミライドウォッチの力を極限まで引き出す。
ウォズが両手で印を結ぶとウォズの分身たちが滅と迅の周りに出現し、二体を囲む。
『忍法! 時間縛りの術!』
ウォズと分身たちが片手を床に着ける。すると、緑と紫の光が無数の糸として伸びていき、二体が纏わせられているアーマーの表層を根を張るように包んでいく。
「これは……!?」
「う、動けないっ! 何で!」
先程までは動きを制限されるだけであったが、ウォズの忍法時間縛りの術によりアーマーの時間を縛られてしまい、アーマーが二体の動きを完全に封じる拘束具と化した。
「さて、とどめといこうか二人共」
「お前が仕切るな」
「揉めないの」
フューチャリングシノビを解除し、基本形態へと戻ったウォズが二人に指示を出す。ゲイツは不満気な態度をとりながらもジクウドライバーとゲイツライドウォッチの操作をする。ツクヨミはそれを窘めながらゲイツと同じ行動をとっていた
『フィニッシュタァァイム!』
『フィニッシュタァァイム!』
『ビヨンド・ザ・タイム!』
ゲイツ、ツクヨミ、ウォズが同時に跳躍。示し合せたかのように空中でキックの体勢に入る。
『タイムバースト!』
『タイムジャック!』
『タイムエクスプロージョン!』
ウォッチのエネルギーが三人の右足に集まり、それぞれを象徴する色の光を放つ。
受けたら不味いことは視認するだけで分かっている筈なのに滅と迅は防御することも回避することも不可能。頭の中で喧しい程に警告音が鳴り響くがそれを止める方法が何一つ見つからなかった。
『はあああああああっ!』
掛け声と共に三人は降下し右足を滅たちへ同時に打ち込んだ。右足が命中すると内包されていたエネルギーが輝きを増し、三色が合わさり変化し虹のような光となる。
『はあっ!』
更なる力で押し込むと滅と迅は蹴り飛ばされ、地面を転がっていく。その最中に変身が解除されてしまう。
「こいつら強いよ……!」
三人の実力に迅が泣き言を言い出してしまう。
「くっ……!」
滅もそれを理解しており、悔しそうに呻くしかない。
「どうしよう、滅……!」
「かくなる上は──」
迅が滅を頼るが、滅の方は何か覚悟を決めた表情をしていた。その覚悟は相手と刺し違えるというもの。捨て身となって三人を道連れにしようとする。
決断を実行に移そうとしたとき──
「うっ!?」
「あうっ!?」
──滅と迅は頭を抱えて苦しむ素振りをする。それを追えると周りをキョロキョロを見回す。その動作には困惑の色が見えた。
「……何だ? 何処だここは……?」
「うぇぇ。何この格好……」
滅は自分たちが居る場所に、迅は自分たちの今の姿に驚いている。そして、ゲイツたちを見た後、滅は言った。
「──迅、行くぞ」
「うん! 何か訳分かんないからとっとと行こっ!」
戦闘を続ける意思をすっかり無くし、すぐに離脱してしまった。
「もしかして、あれって……」
「恐らくはアナザーライダーが倒された影響だろうな」
アナザーライダーが倒されると改変された歴史は元に戻る。滅と迅は改変前の人格に戻った様子。
「だが、倒されたとしても片方だろうね。両方倒されたのなら全て元に戻っている筈だ」
冷静に状況を分析するウォズ。歴史改変は完全に正された訳では無く、滅たちが元に戻ったのも一時的なものである。
「手古摺ったが我々も……はっ!」
何故か急に声を上げたウォズ。ウォズの急変にゲイツとツクヨミは驚かされる。
「何だ! 急に声を上げて!」
「どうかしたの? ウォズ?」
「い……」
『い?』
「祝わなければ……」
『……はぁ?』
ウォズの素っ頓狂な発言にゲイツ、ツクヨミは思わず気の抜けた声を出してしまった。
「行かねばっ!」
駆け出して何処かへ向かおうとするウォズをゲイツとツクヨミが慌てて止める。
「何処へ行く気だ!」
「まだ戦っている人たちが居るのよっ!」
「離してくれ! 私は行かねばならぬ! 恐らく我が魔王たちが私の祝福を求めている!」
「何を言っている!? あと、たちって何だ! ソウゴは一人だけだろうが!」
「ウォズがしたいだけでしょ!」
ウォズの勘は的中しているのだが、ソウゴたちの状況を知らないゲイツたちからすればウォズの言動は意味不明である。
「兎に角! お前もここで俺たちと戦うぞ!」
「私たちはまだやる事があるの!」
ウォズを絶対に単独行動させないという強い意志の下で拘束し続ける二人。
「こうなったら……仕方ない」
ウォズは諦めたのか抵抗する力が弱くなる。すると──
「祝えっ!」
「うおっ!?」
「きゃあっ!」
天まで届く程の大声量を発するウォズ。
「全てのライダーを従え、過去と未来、全ての時代を知ろしめす時の王者! その名も仮面ライダージオウ! 時空を越え、最高最善の魔王たちが降臨した瞬間である! 我が魔王たちへ届け! 私の祝福よぉぉぉ!」
駆け付けることが出来ないのであれば、この場でソウゴを祝福するウォズ。ゲイツとツクヨミはウォズの奇行に仲間ではあるが引いてしまいそうになる。
「こいつ……おかしな奴なのは知っていたが遂に極まったか……」
ゲイツの感想にツクヨミも否定することが出来なかった。
そのときであった。
「ニンゲンハミナゴロシダ」
「ニンゲンハミナゴロシダ」
「ニンゲンハミナゴロシダ」
「ニンゲンハミナゴロシダ」
無数の足音と共にトリロバイトマギアたちが集まってきたのだ。
「何だこいつら! 急にワラワラと湧いて!」
「……多分、さっきのウォズの声で集まって来たんだと思う」
「傍迷惑な!」
ウォズに文句の一つでも言ってやろうとしたが、ウォズは二人に掴まれていた腕をスルリと抜き、別人のように落ち着いた態度で二人に話し掛ける。
「さあ。ゲイツ君、ツクヨミ君。まだまだ戦いはこれからだ?」
すっかり暴走が落ち着き、スッキリとした様子。あの祝福の叫びである程度欲求が解消されたらしい。
一方で腑に落ちないのはゲイツとツクヨミの方である。
「勝手な真似をして敵を呼び寄せた挙句に勝手にスッキリするとは……!」
「今は割り切りましょう、ゲイツ……物凄く言いたいことはあるけど」
文句どころか顔に一発打ち込んでやりたい気分であったが今は我慢する。あまり認めたくないが、ウォズがトリロバイトマギアたちを引き寄せてくれたので戦っている人々らの負担も減らせられる。
殺到してくるトリロバイトマギアたちにゲイツたちは各々の武器を構えた。
◇
「本当にどうなってのそれ……?」
三人になったジオウにゼロワンは未だに混乱が治まっていない。能力の原理を知らなければ疑問符しか浮かばない光景だろう。仮に原理を知っていても同じ反応かもしれないが。
「或人」
ジオウがゼロワンに掌を向ける。ジオウの背後で黄金の時計針が逆向きに回った。ゼロワンの体が黄金の光に包まれる。
その様子を見ていたアナザーダブルライダーは怒りに震えそうになる。ジオウの目はアナザーダブルライダーに向けられていない。眼中に無いと言外に告げているように見えた。
オーマフォームだけでなくグランドジオウ、オーマジオウが召喚されたことに驚かされたが、アナザーダブルライダーとてオーマジオウの力を素にして変身した姿。ジオウらと同じ土俵に立っている。
冷静になれば過剰に恐れる必要も無い。
己の力に自惚れて余所見をしているジオウに対し、アナザーダブルライダーは周囲にエネルギーの球体を大量に発生させ尚且つ口を開き、充填した力を発射しようとする。
そのとき、ジオウがアナザーダブルライダーを横目で一瞥する。たったそれだけ。それだけのことでアナザーダブルライダーの周囲に展開されていたエネルギー球体だけでなく今まさに発射しようとしていた光線も掻き消された。
(何っ!?)
驚きの声を出るかと思ったが出せなかった。先程まで開いていた口が気付かない内に閉ざされていたからである。
アナザーダブルライダーの驚愕を余所にジオウはゼロワンへ話し掛けていた。
「これでもう大丈夫」
ゼロワンを包んでいた黄金の光が消える。ゼロワンは自身に起きた変化にすぐに気付く。
「痛くない!」
アナザーダブルライダーによって負傷させられていた右足から痛みが消えていた。
「体が軽い!」
それだけでなく、連戦に次ぐ連戦、フォースライザーの反動などで酷使された体から疲労と痛みが全て消え元通りの体調になっている。
何が起こったのか分からず、喜びと興奮と若干の戸惑いを覚えるゼロワン。ゼロワンの身に何が起きたのかアナザーダブルライダーは察する。そして、同時に自分が何をされたのかも。
(時間を戻したのか……!)
その事実にアナザーダブルライダーは震える。時間を巻き戻してゼロワンの傷や疲労を一瞬で回復させ、アナザーダブルライダーの攻撃も無かったことにした。何よりも重要なのはジオウが時間を戻したのはゼロワンの為であり、アナザーダブルライダーは物のついでであるということ。アナザーダブルライダーは怒りで震えてしまう。
アナザーダブルライダーは怒りの衝動のままジオウたちに突進しようとしていた。時間を戻す暇も与えずに轢いてしまおうと走り出す──ことが出来なかった。
どんなに前進しようとも何故か前に進めず、後輪が地面に穴を掘る。
何故進めないのかアナザーダブルライダーが視線を下ろす。
「ッ!?」
アナザーダブルライダーは驚きのあまり言葉を発することが出来なかった。
前輪の前に立つオーマジオウ。オーマジオウが片手を翳しているだけでアナザーダブルライダーの前進を止めていたのだ。
つい先程までジオウと並んで立っていたオーマジオウ。いつの間にか移動していたのかアナザーダブルライダーには分からなかった。
触れることなくアナザーダブルライダーを止めていたオーマジオウは、掌を突き出す。アナザーダブルライダーの巨体は突き飛ばされた。
自分が出せる速度以上で飛んで行くアナザーダブルライダー。掌打の衝撃によって声を発することも出来ない。
このまま何処まで飛んで行くのかと考えた矢先、飛行は唐突に終わる。
突き飛ばしたオーマジオウがいつの間にか進路方向に立っている。しかも、アナザーダブルライダーに背を向けたままで振り返りもしない。
オーマジオウが背後に手を伸ばす。それだけでアナザーダブルライダーの巨体は止まった。
急停止させられたことでアナザーダブルライダーの全身は軋みを上げる。
アナザーダブルライダーは未だに宙に浮いたまま。オーマジオウが後輪を片手で掴み、アナザーダブルライダーの巨体を持ち上げているせいである。
何かしなければならないと分かっているが、この敵を相手にどう戦えばいいのかイメージすら湧かない。
動けないアナザーダブルライダーをオーマジオウは真上へ放り投げる。
『アギト!』
『ブレイド!』
『響鬼!』
『キバ!』
『W!』
『フォーゼ!』
そこへすかさず攻撃を与えるのはグランドジオウ。全身に纏う仮面ライダーのレリーフから煌めく双刃刀──シャイニングカリバー、重醒剣──キングラウザー、音叉の刃──アームドセイバー、王の剣──ザンバットソード、結晶剣──プリズムソード、超銀河剣──バリズンソードが射出された。
銀、金、紅、虹、白の光がアナザーダブルライダーを貫く。
光線のように射られた武器はアナザーダブルライダーを射抜いて背面へ突き抜けていった。
すると、光の先に現れる黄金の扉。それが開くと中から出現する仮面ライダーたち。彼らはグランドジオウが射った武器の所持者でもあった。
仮面ライダーアギトシャイニングフォーム、仮面ライダーブレイドキングフォーム、仮面ライダー装甲響鬼、仮面ライダーキバエンペラーフォーム、仮面ライダーWサイクロンジョーカーエクストリーム、仮面ライダーフォーゼコズミックステイツ。各々が武器を掴み取り、アナザーダブルライダーへと斬りかかる。
折り返すように付けられた強烈な斬撃。畳み掛ける攻撃にアナザーダブルライダーは声を出す暇すら無い。
必殺に等しい斬撃を与えた仮面ライダーたち。その前に黄金の扉が現れ、中へ飛び込んでいく。そして、入れ替わるように新たな仮面ライダーたちが召喚された。
『ファイズ!』
『カブト!』
『オーズ!』
『ドライブ!』
『鎧武!』
『ゴースト!』
仮面ライダーファイズブラスターフォーム、仮面ライダーカブトハイパーフォーム、仮面ライダーオーズプトティラコンボ、仮面ライダードライブタイプトライドロン、仮面ライダー鎧武極アームズ、仮面ライダーゴーストムゲン魂が武器を構えながら登場する。
強烈な斬撃の後に待ち構えるのは苛烈な砲撃。仮面ライダーたちの一斉砲撃がアナザーダブルライダーへ放たれた。
鮮烈な光線の奔流がアナザーダブルライダーを呑み込み、空高く打ち上げていく。普通なら形も残らないだろうが、幸か不幸かアナザーライダーの性質がまだアナザーダブルライダーを生かしていた。
凄まじい力で圧倒されたが、まだアナザーダブルライダーは倒されていない。
(このままでは終わらない──!?)
執念を燃やすアナザーダブルライダーであったが、上空にて待ち構えている影を見て、絶句した。
それは仮面ライダーエグゼイドムテキゲーマーに似ていた。しかし、金ではなく黒と紫を主としており、エグゼイドの宿敵であるライダーと酷似していた。
それは仮面ライダーWファングジョーカーに似ていた。しかし、半身が黒ではなく鋼の銀色に置き換わっていた。
それは仮面ライダーオーズタジャドルコンボに似ていた。しかし、頭部に鮮やかな色が追加されており、変身者の相棒を彷彿とさせる姿をしていた。
その三人のライダーをアナザーダブルライダーは知らない。彼らは終わらないライダーの戦い、物語の中で新たに生み出された存在。狭い見識しか持たないアナザーダブルライダーにとっては、想像もつかない存在であった。
『ポーズ!』
そこから先のことをアナザーダブルライダーは認識出来なかった。
四方八方から襲い掛かる連続の蹴り。真紅に燃え盛る猛禽の爪撃。弾丸のように錐揉みしながら突撃してくる鋼の刃。それらが一斉にアナザーダブルライダーにダメージを与えるが、停止した時の中では分かる筈も無い。
『リスタート!』
気付いたときには身に覚えのないダメージがアナザーダブルライダーの全身を襲い、空から地面へと叩き付けられる。
呻きながら起き上がるアナザーダブルライダー。そして、気付いた。そこは最初にアナザーダブルライダーが立っていた場所。前方にはジオウとゼロワンが構えている。
同じオーマジオウの力を持っている筈なのにここまで差が出ることがアナザーダブルライダーは信じられなかった。何故、こんなに差があるのかも分からなかった。
怒りと屈辱と悔しさのあまりアナザーダブルライダーは咆哮を上げようとする。だが、開かれた口はアナザーダブルライダーの意志とは無関係に閉じさせられる。
視線の先でオーマジオウが立てた人差し指を口の前に当て、黙れという無言の圧を飛ばしている。
ジオウという王の前では戦うことも指一本動かすことも喋ることも許されない。突き付けられた現実にアナザーダブルライダーは絶望した。
「全部終わらせて、俺たちは前に進む!」
「そして、新時代を切り拓く!」
先に動いたのはゼロワン。いつの間にかアナザーダブルライダーの側面へ移動しており、アナザーダブルライダーが反応するよりも先に蹴り飛ばす。ゼロワンはジオウに回復されたことで今まで以上に動きにキレがあった。
「ジオウ!」
アナザーダブルライダーが蹴り飛ばされた先にはジオウが瞬間移動をして待ち構えていた。飛んで来る巨体に対し、ジオウは拳を握り締め、タイミングを合わせて叩き込む。
黄金の光が閃光のように発せられて巨体が殴り飛ばされた。
「ゼロワン!」
殴り飛ばされた先にはゼロワンが既におり、アナザーダブルライダーを蹴り飛ばす。その先にはジオウ。ゼロワンとジオウのラリーのような攻撃にアナザーダブルライダーは為す術も無い。
二人の動きは音よりも速く、攻撃は重い。アナザーダブルライダーに一切の反撃を許してくれない。
打ち合いが数度続いた後、離れていたジオウとゼロワンは並んで立ち、飛ばされてきたアナザーダブルライダーを上空目掛けて突き上げた。
アナザーダブルライダーの巨体が再び打ち上げられていく。その最中に二つの光がアナザーダブルライダーを追い越して高く、もっと高く空へと上がる。
二人がアナザーダブルライダーを見下ろす高さまで来たとき、最後の一撃が放たれる。
『キングフィニッシュタァァイム!』
『DOUBLE―ONE DESTRACTION!』
空中に出現する黄金の時計盤。その中心で攻撃の体勢へ移る二人の仮面ライダー。
ジオウの右足からは金とマゼンタの輝きが放たれ、ゼロワンの両足からは黄と青緑が混ざった光が発せられる。
光と共に急降下する仮面ライダーたち。アナザーダブルライダーは辛うじて保っていた意識で何とか反撃を試みようとする。
そのとき、アナザーダブルライダーは見た。
迫ってくるジオウとゼロワン。その背後に見える無数の幻影。異なる姿をしたジオウとゼロワンたち。
幻影らは無言で伝えて来る。どんな策を巡らせようが、どんなに攻めてこようが、必ずお前を倒す、と。
『お、ああああああああああっ!?』
悪の仮面ライダーとして正しい姿、歴史を為そうとした者が、自由と平和の為に戦う仮面ライダーたちの光に焼かれ絶叫を上げた。
そこに訪れる終幕の一撃。
ダ
ブ
ル
ワ
ン
インパクト!
キングタイムブレーク!
長い戦いもこれで終わりとなりました。
最後は戦力用意し過ぎて一方的な戦いになりましたが。