〜獣戦基地〜
龍の形を模した獣戦基地‥そこに鳥の形をした戦闘機が戻って来る
葉月「ご苦労だったな藤原」
忍「ありがとうよ葉月のおっさん」
戦闘機から降りてきたパイロット-藤原忍-に獣戦基地の司令官である葉月が労いの言葉をかける
忍「ムゲ帝国の連中以外に機械獣まで出てきやがるなんてな‥予想以上に疲れたぜ」
葉月「それを含めてご苦労だと言っているんだ。光子力研究所の彼らとは協力して当たらなけばならないからな」
忍「解ってるよ」
葉月の言葉に肯定の言葉を示す忍
忍「にしてもおっさん。沙羅と那月の二人はどうしたんだよ?」
葉月「結城と深山の二人はテスト機の調整に入っている」
忍「あの機体‥完成したのかよ?」
葉月「その最終調整だ。後は実戦でどれだけやれるかだ」
忍「なるほどな」
葉月「私も最終調整に入る。藤原‥君はゆっくり休んでいるんだ」
忍「ありがとうよ」
葉月が出て行くと忍も暫くしてその場から出て行く
忍(それにしても‥ゾンダーやボアザン星人、ゼラバイアとの戦いが終わったばっかだってのによ‥次から次へと‥困ったもんだぜ‥)
〜東京 蘭月高校〜
暖かな春を過ぎ、蝉の鳴き声が響き渡る夏の季節‥後、数週間で夏休みに差し掛かる直前のとある高校の放課後の教室
その教室で赤い髪をショートボブにした幼さを残す顔の小柄な少女が帰り支度をしていた
恵那「さて‥今日の予定は‥」
皐月「恵那ー。遊びに行こう!」
恵那「ゴメン皐月ちゃん。今日は真っ直ぐ帰りたいんだ」
クラスメイトに声を掛けられた少女の名は鷺森恵那‥彼女は友人である橘皐月に手を合わせて謝る
恵那「今日はお婆ちゃんに夕飯作ってあげたいから」
皐月「あぁ〜‥なら仕方ないね」
恵那「本当にゴメンね」
皐月「いいよいいよ。恵那がお婆ちゃん想いなの知ってるし。それより恵那。もうすぐで夏休みだけど予定ある?」
謝る恵那に皐月は夏休みの予定はあるか訪ねる
恵那「まだ未定かなー‥お婆ちゃんの事もあるし」
皐月「そっかー。解ったら教えてよ。真夏君達誘って旅行でも行こうよ」
恵那「うん。解ったよ。あっ‥アタシそろそろ行くね」
皐月「了解。じゃあね」
恵那は友人である皐月に声を掛けると鞄を持って教室を出て行き、帰路に着いていく
この時はまだこの平穏が崩れ去る事はまだ誰も知らなかった
第1話 始まりを告げる崩壊
学校を後にした恵那は買い物を済ませ、自宅への帰路に着いていた
恵那「お婆ちゃん待ってるよね‥早く帰らないと‥お婆ちゃん一人にしたままに出来ないし何より最近、物騒だし‥」
恵那(まだこの辺りは大丈夫だけどムゲ帝国って名乗る人達や機械獣の事もあるし‥早く帰らないと‥唯一の家族なんだから‥)
恵那は両親代わりに一緒に暮らしている祖母の事を思いながら自宅への帰路を急ぐ
恵那は両親がおらず、唯一の家族は自身の祖母だけだった、そんな祖母のために恵那は自宅への帰路を急いでいた‥そして、あと少しで自宅に着く‥その時、恵那の耳をつんざくような強烈な爆発音が響き渡る
恵那「爆発音!?‥あれは‥ムゲ帝国の戦闘機!?」
恵那(この辺りにはムゲ帝国は来てなかったのに!?)
恵那「ハッ!?お婆ちゃん!?」
ムゲ帝国の戦闘機が起こした爆発に一瞬、立ち止まった恵那だが祖母の事を思い出し急いで家に戻る
恵那「お婆ちゃん!」
ミヲ「恵那。さっきの音は何だい?」
恵那「ムゲ帝国の戦闘機の攻撃だよ!?それより早く避難しないと!」
ミヲ「そうだね‥恵那!?」
自身の祖母である祖母の手を引っ張り、避難所へと向かおうとするしかし、玄関の扉を開けて外に出ようとした瞬間、ムゲ戦闘機の攻撃により近くの壁が壊れ、自宅の玄関の扉が塞がれてしまう
恵那は祖母であるミヲが咄嗟に突き飛ばしたため自宅の外に放り出された
恵那「お婆ちゃん!?‥お婆ちゃん!?」
ミヲ『私は大丈夫だよ。アンタは無事かい?必ず私も避難所に行くからアンタは先に行きなさい』
恵那「ううん。誰か呼んでくる。一緒に避難所に行こう。だからか待ってて」
ミヲ『待ちな恵那!』
ミヲが呼び止めるものの恵那は制止を聞かず助けを呼びに行った
〜東京 上空〜
恵那が助けを呼びに行く数分前、ムゲ戦闘機が破壊行動を続ける中、一機の輸送機が戦場を飛んでいた
その輸送機内のロボットの中でパイロットである女性が通信していた
葉月『深山君。すまない‥いきなりの実戦が君一人になってしまって‥』
那月「いえ、大丈夫です長官。藤原君と沙羅の機体の整備が済んでいないんですから」
葉月『本当にすまない‥すぐに二人を向かわせる。それまでは耐えてくれ』
那月「了解です。では出撃します」
輸送機から紺と白のカラーリングのロボットが出撃し、破壊行動を続けるムゲ戦闘機に攻撃を仕掛ける
那月(最終調整が終わった直後にいきなり実戦になるなんて‥だけど‥!)
那月「このアルテリアス‥使いこなしてみせる!」
紺と白のカラーリングのロボット-アルテリアス-に装備されているライフルの引き金を引き、那月はムゲ戦闘機を落していく
那月「(戦況は上々‥この調子なら藤原君達が来る前に何とか終わり)‥アグっ‥アレはムゲの戦闘ロボ!?応援が来たの!?」
ムゲ戦闘機が減っていき、あと少しで全てが終わると思われたがムゲ帝国の増援にしてもよりさらにムゲ戦闘機とムゲ戦闘ロボが現れ、那月の乗るアルテリアスは回避しながら反撃するも次第に被弾していく
那月「クッ‥(数が多い‥いくら最終調整が済んでいるからと行ってこの数は‥!)」
どうにかならないものかと那月が思案していた一瞬、ムゲ戦闘ロボの攻撃を横から受け、アルテリアスは大きく吹き飛ばされ、地面に激突する
那月「グッ‥うぅ‥」
恵那「ロボット!?何でこんな所に‥」
アルテリアスが激突した場所は誰かを呼びに行っていた恵那が数十m先だった
那月「何でこんな所に子供が‥!そこの貴女!早く逃げなさい!」
恵那「解ってます‥でも‥でもお婆ちゃんが‥!」
恵那に気付いた那月がハッチを開け、恵那にそう叫ぶも恵那は祖母の事もありそこから中々動けずにいた
そんなやり取りをしている二人に対して地面に激突したアルテリアスにムゲ戦闘が攻撃を仕掛けようとしていた
那月「(マズイッ!今からじゃあの子供が逃げ切れない‥!)貴女!そこは危ないからコレに乗りなさい!」
恵那「で、でも‥」
那月「いいから早く!そこにいると死ぬわよ!?」
その那月の言葉に恵那は急いでアルテリアスに向かうと那月は恵那を引き上げる
那月「とにかくシートの後ろにいていなさい‥そうすれば安全だから」
恵那「は、はい」
アルテリアスのコックピットに乗り込んだ恵那は言われるがままシートの後ろに周る
那月はアルテリアスの体勢を立て直し、ムゲ戦闘ロボに攻撃を仕掛けるもののライフルの攻撃は全て外れてしまい、戦闘ロボの攻撃を被弾していく
恵那「キャア!?」
那月「ゴメンナサイ‥でもこの中は安全だから‥ッゥ!」
恵那「!‥怪我してるじゃないですか!」
那月「こんなの怪我の内に入らな‥ッゥ!」
恵那「無理ですよそんな怪我でロボットの操縦何て!」
那月「だけど私がやらないと貴女も死ぬ!民間人の貴女が心配する程の事じゃない!」
恵那「怪我してるのに操縦する方が無謀ですよ!」
那月「ちょっと!?貴女何を!?」
シートの後ろにいた恵那は怪我をしている那月を無理矢理押し退けるとシートに座る
那月はそんな恵那を慌ててシートから降ろそうとする
恵那「‥‥‥こんなOSで動かしていたなんてそれこそ無茶苦茶‥」
コックピットシートに座った恵那は那月が止めようとした手を振り払うとOSをも確認すると物凄い勢いで書き換えていく
恵那「最終調整が終わってこのOS‥この機体のOSに合ってない‥それなら此処を‥‥最適化完了‥機体名‥アルテリアス‥‥武装はライフルの残弾が0‥後、使えそうな武器は‥レーザーサーベルとミサイルのみ‥後は‥」
那月(な、何なのこの子‥)
恵那「全最適化完了‥コレで!」
恵那がOSを書き換え、最適化が終わると同時にムゲ戦闘メカがレーザーを放つ
しかし、最適化の終わったアルテリアスはレーザーを避けると同時にムゲ戦闘メカにレーザーサーベルを突き刺す
那月(さっき私が操縦していた時とスピードが違う)
恵那「早く助けを呼んでお婆ちゃんを助けなきゃダメなんです‥だから邪魔しないで!」
アルテリアスは物凄いスピードでレーザーサーベルを構えてムゲ戦闘メカ、ムゲ戦闘機に向かって行くとムゲ戦闘メカとムゲ戦闘機の攻撃を回避し、レーザーサーベルで落していく
恵那「やぁぁぁぁ!」
那月「闇雲に突っ込んではダメ!まだムゲ戦闘メカは残って‥ッ!‥後ろ!」
アルテリアスの背後からムゲ戦闘メカがレーザーを放とうとしていた直後、ムゲ戦闘メカは横から浴びせられたビームに貫かれ、爆発する
沙羅「すまないね那月。遅くなったよ」
忍「何とか持ち堪えたみてぇだな」
那月「えぇ‥何とかね‥」
恵那「‥味方ですか?」
沙羅「子供!?ちょっと那月、何で子供がそのテスト機に乗ってるんだい!?」
忍「それも操縦してるみてぇだしな」
那月「事情は後で説明するわ。とにかく今はムゲの戦闘機と戦闘機メカを片付けないと」
沙羅「‥了解だよ」
忍「何か事情がありそうだしな‥今は気にしねぇ。やぁぁぁぁてやるぜ!」
那月の言葉に言いたい事を込み込んだ忍と沙羅は己の乗るイーグルファイターとランドクーガでムゲ戦闘メカ達を破壊していく
イーグルファイターのレーザーと突撃、ランドクーガのビームにより戦闘メカ達は数を減らしていき、アルテリアスはその周りの戦闘機を次々とレーザーサーベルで撃ち落として破壊していく
忍「こんなもんだな」
数分後、破壊行動をしていたムゲの機体は姿を消し、イーグルファイターとランドクーガ、そしてアルテリアスだけが残っていた
恵那「ふぅ‥何とか終わりました‥」
那月「‥鷺森恵那‥」
恵那「えっ?‥どうしてアタシの名前を‥」
那月「貴女が戦闘している間に鞄の中の学生証を確認させてもらったわ‥貴女、何者?」
恵那「あ、アタシは普通の‥」
那月「普通の一般人がOSを書き換えたり、操縦出来たりするものですか!」
アルテリアスのコックピット内部で那月に問い詰められる恵那は反論しようとするも那月に遮られ、銃を突き付けられる
沙羅「那月!やり過ぎだよ!」
那月「えぇ、自分でもそう思うわ‥でもこの子をこのままにはしておけない」
沙羅「だけど那月」
葉月『深山君の言う事も最もだ。藤原、結城‥君達はテスト機と深山君。そしてその子を連れて帰還するんだ』
忍「だけどよ葉月のおっさん!」
葉月『いいから帰還するんだ。理由はどうあれ彼女はテスト機を操縦したんだ‥このままにはしてはおけん。解ったか藤原、結城?』
沙羅「‥了解」
忍「わぁたよ」
葉月の言葉に何とか納得し、忍達は輸送機に自身達の機体の進路を向ける
那月「鷺森恵那さん‥そう言うわけだから貴女にも同行してもらうわ」
恵那「‥‥‥」
那月「他人の心配をしたいのは解るけど‥まずは自分の心配をする事ね」
恵那「‥‥解りました」
那月に言われるまま恵那は納得し、アルテリアスの進路を輸送機に向け、帰還させる
恵那(お婆ちゃん‥アタシ、どうなっちゃうんだろ‥)
偶然アルテリアスに乗り込んだ恵那は忍、沙羅と共にムゲ帝国の機体を撃退する事に成功する
しかし、普通の高校生である恵那がアルテリアスを動かした事に疑問を持った那月と葉月によって獣戦基地に連行される
獣戦基地に連れて行かれた恵那の運命はどうなるのか‥!
次回スーパーロボット大戦X-DRIVE 第2話『その名はマジンガー!』