仮面ライダームラサメ   作:正気山脈

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 京都にて対峙する、二人の仮面ライダー。
 一人は建造物の屋上で見下ろすLOTの封魔司書、紫乃が変身するムラサメ。
 もう一人はモルガン・ル・フェの配下となったアダンが変身する、仮面ライダーゲイボルグだ。
 彼はつい今しがた周囲のAオートマータと源氏八領の使い手である戯我を倒し、さらにムラサメへと挑発をかけた。
 だが、ムラサメは武器を構えつつも首を横に振る。

「生憎だが、今はお前に構っている場合ではない」

 実際のところ、オートマータの暴走は封魔司書からすれば一刻を争う事態だ。
 これは本部で開発された新兵器、しかもアレックスによって既に磐戸に導入されている。今暴走しているというのであれば、京都だけでなく本部の状況も危うい。
 加えて、戦力を大幅に削がれている磐戸支部より深刻だ。
 大規模な被害が出る事は想像に難くない。故に紫乃は今すぐにでも京都にいるであろう元凶を討ち、磐戸の救援に向かいたいと考えているのだ。

「しかしお前が邪魔をするのなら、話は別だ」

 これも彼の本音だ。先刻の攻防から強敵である事は疑うべくもないが、相手がそのつもりなら戦わないという選択肢はない。
 ゲイボルグを見据え、刀を構える手に力を込める。
 するとアダンは、変身を解いてフンと鼻を鳴らした。

「勘違いするな。俺も今はお前と戦わん」
「なに? どういうことだ」

 どうやら戦意がないのは事実のようで、武装解除もしている。
 一体どういうつもりなのか。自身も変身を解き、紫乃はその真意を問う。無論、警戒は解いておらず、不用意に近づくような事はしないが。
 アダンは夜空を見上げながら、そのまま紫乃に背を向けた。

「決着は必ずつけるが……それは今ではない。この場に到着した以上、戦うべき相手はロゴス・シーカーと決まっている」
「本気でバルトに歯向かうというのか。革命でも起こす気か?」
「……そうだな」

 拳を握り締め、アダンは振り向く事なく語る。

「これは俺たちの革命だ。手始めに、ここ京都でヤツらの目論見を潰しに来た」

 京都、日本支部を狙ってのロゴス・シーカーの行動。一体何が目的だというのか。
 少しでも情報を聞き出そうと考えた紫乃は、警戒しつつもアダンに尋ねる。

「お前は敵の正体を知っているのか? 一体ここで、何が起きようとしているんだ?」

 意外にもアダンの方は、あっさりとその問いに答えを提示した。

「ヤツは南光坊天海。目的や仔細は俺たちも知らんが、モルガンはヤツを危険視している」
「モルガン・ル・フェが……?」

 紫乃がその言葉に訝しんでいると、街の至る場所から騒音と悲鳴が木霊する。
 どうやら、まだ数多くのオートマータや戯我が動いているようだ。あるいは他の源氏八領を装備したゾンビもいるかも知れない。
 野放しにはできないが、しかしアダンの事も放置できない。紫乃は歯を噛み締め、どう動くべきか考える。
 すると、小さく息をついたアダンがゆっくり歩き出した。

「LOTの使命は世界の真実の秘匿だろう。これ以上、悠長に俺と話す余裕があるのか?」
「む……」

 狙いを最初から察していたのか、アダンの方はこれ以上の情報を明かす気はないようだ。
 別行動になったロゼとも合流しなければならない。故に紫乃も、今は彼を放置して自分の役割を果たすべく動き始めた。
 双方、その胸に「いずれ必ず決着をつける」という決意を秘めて。


第三十二頁[黒き宰相]

「……クソッ! 完全に見失っちまった!」

 

 変身を解き、京都市内の大型ビルの前でクリスが何もない床を蹴る。

 その隣にはバイクに同乗して来た菫がおり、腕を組んでじっと黙っていた。

 紫乃とアダンが戦っている最中、彼女らも別の場所に到着していたのだ。

 

「さっさと任務を終わらせなきゃならねぇってのに……あいつらを放っとくのも面倒になりそうだし、アダンも見つけねぇとだし……」

「それなら私が紫乃くんやロゼちゃんを見張っておいてあげるわ」

「おぉ! 頭良いなアンタ!」

 

 ポンと手を叩くクリス、しかし直後にハッとして疑問を投げかける。

 

「けどホントに任せて平気かよ、捕まったらどうする?」

「心配無用よ。仮に捕まったとしても、多分あの子たちは私を危険な目に遭わせる事はない」

「どういうこった?」

 

 再びクリスが不思議そうに首を傾げると、菫は薄く微笑んで返答した。

 

「私は戦う力を持たないか弱い一般市民だから。LOTからすれば単なる保護対象……ロゴス・シーカーの情報を握っているから手荒に拘束はされるかも知れないけど、それでも命の危機はあり得ないわ」

「はー、なるほどね」

「まぁそもそも、捕まるような下手もなるべく踏まないわよ。だからそっちはそっちで目的を果たしなさい」

 

 菫からの言葉を受け、クリスは首肯。天海を探すために走り出した。

 彼女の背中を見送った後、菫もゆっくりと周囲を見回しつつその場を後にする。

 

「速くあの子を見つけなくちゃ……」

 

 誰もいないビルの前で、そんな呟きを残して。

 

 

 

「なんとか撒いたようね」

 

 一方、クリスに追われていたロゼも変身を解除して京都に到着。

 まずは紫乃と合流を果たすべく、通話を試みる。

 するとすぐに、Aガジェットに応答があった。

 

「紫乃くん? 今どこに?」

『無事だったか、ロゼ。オレは京都駅の方だ。できれば落ち合いたいところだったんだが……』

「もしかして何かあった?」

 

 尋ねると、ロゼは彼から手短に説明を受ける。

 いつの間にか日本支部にAオートマータが配備されておりそれが暴走している事、源氏八領を装備した戯我が歩き回っている事、この騒動を起こしたのが南光坊天海である事。

 そしてアダンたちも天海を追っており、ロゴス・シーカーと敵対しているという事を。

 

「アダンがロゴスを裏切った!?」

『革命を起こすと語っていたぞ。モルガン・ル・フェと共に』

「……予想外の第三勢力ね」

『オレとしては、ヤツとクリスが組んでいるのが一番予想外だがな。呉越同舟という事か』

 

 クリスの名前が出てくると、ロゼの唇は不機嫌そうに『へ』の字に曲げて黙る。尤も、受話器越しで紫乃には見えていないのだが。

 しかしそのせいで少し反応が止まったため、向こうから『どうかしたか?』と心配そうな声がかかった。

 

「ううん、なんでもないわ。ところで天海という人物について良く知らないのだけれど、教えて貰えないかしら?」

『オレもさほど詳しくはないが、良いだろう』

 

 南光坊天海。

 安土桃山から江戸時代に『現れた』大僧正であり、徳川家康の側近として暗躍した黒衣の宰相である。

 現れた、と表現するのには理由があり、生年や出自・本名が不明瞭なのだ。恐らくは100歳以上と考えられており、当時としては異常とさえ言える長命の人物として知られている。

 陰陽術にも通じており、風水の知識から関ヶ原の戦いを制した家康に江戸を幕府の本拠にする事を進言し、さらに平 将門を祀った設備を要所に配して鎮護を行うといった活躍も見せた。

 一説によれば、彼は山崎の戦いで羽柴 秀吉から逃げ延びた『明智 光秀』であるともされているが、その点についても真偽は不明。

 とにかく謎めいた人物で、同様に長く生き続けた陰陽師の晴明でさえも天海僧正とは出会った事がない。

 

「話を聞く限りだと、どうしてロゴス・シーカー側に付いているのか分からないわね……江戸を守っていたんでしょう?」

『確かにな。どちらかと言えばLOT側のように思える。今回の行動も、素性が分からない以上は意図が何も掴めん』

 

 移動しながら、ロゼは唸る。相手について詳細が分からないのでは、目的や潜伏先などの推測も立てようがないのだ。

 

「ひとまずどこかで合流しましょう。その……源氏八領だったかしら? その遺物を使う戯我も倒さなければいけないのだし」

『そうだな、二人がかりで確実に潰すぞ。お前の端末のマップデータに合流できそうな地点を送る、そこまで移動してくれ』

「了解」

 

 短く答えて、ロゼは早速地図を確認して走り始める。

 どうやら現地の封魔司書が避難誘導を行ってくれているようで、街からは人影がなくなり始めている。

 支部長の晴明が不在という状況でこの迅速さは、見習うべきものがあるだろう。

 そう考えていた矢先、あと少しというところで視界の先に古い甲冑を纏う戯我の姿が映った。

 

「むっ!」

 

 件の源氏八領の使い手だ。ロゼは表情を強張らせ、デュアルリキッドを手に取る。

 既にドライバーは装着済み。よってそのまま、バックルへとセットした。

 

Turning Color(ターニング・カラー)! BRIGHT GRADATION(ブライト・グラデーション)!》

「変身!」

BRUSH-UP(ブラッシュ・アップ)! 輝け! 華麗なる紫薔薇の竜乙女! ブリリアントヴィーヴル!》

 

 選んだのはローズパープルのカラー。武器が刀しかないと見て、高く飛翔して頭上からブリリアントジェムによる射撃を浴びせるこの形態を選んだのだ。

 

「行くわよ!」

 

 敵は源氏八領『八龍(はちりょう)』の使い手。

 ブリューナクへの変身を完了し、想定通りに空からライフルとジェムを用いて殲滅に移る。

 だが、予想と違って八龍の方は攻撃を受けるだけでは終わらなかった。携えた弓を頭上に構え、矢を放ったのだ。

 

「きゃっ!?」

 

 剛弓からまるで弾丸のように凄まじい速度で射ち出された矢を、寸前のところで回避するブリューナク。

 鏃は右翼を掠め、僅かだが傷を作る。

 今回は咄嗟に避ける事ができたが、もしもこれが命中したら。そう思うと、彼女は息を呑まざるを得なかった。

 

「油断大敵、ね」

 

 気を引き締め、銃口を八龍に向けながらブリューナクが飛び回る。

 八龍も変わらず再び矢を射掛けて来るが、今度は簡単には当たらない。

 弓矢を向けた瞬間には既に視界の外まで高速飛行し、隙を突いて銃弾で攻撃。兜の内側にある脳天を貫いた。

 

「よし!」

 

 安堵したような言葉だが、ブリューナクは気を緩めていない。完全にトドメを刺したと確信できるまで、武器を向けたままでいた。

 すると案の定というべきか、八龍は引き絞った弓から指を離し、矢を発射する。

 ゾンビというだけあり、やはり頭に多少ダメージを受けた程度では倒れず、戦闘を継続できるようだ。

 

「完全に頭を破壊しないとダメなようね……」

 

 そう呟くと、彼女は意を決してAウェポンをLモードに変形させる。

 次なる手は槍による突撃での一点突破。これで兜ごと完全に頭部を砕く事ができれば、間違いなく勝利できる。

 だがそう考えた直後、八龍のいる方とは異なる場所から、ヒュンッという風を切るような音が聞こえた。

 

「えっ!?」

 

 再び身をかわそうとするが、間に合わず。翼を矢に射られ、ブリューナクは空中で姿勢を崩し、徐々に降下していく。

 

「そ、んな……!」

 

 振り向いて確認すれば、そこにはもう一体の源氏八領『楯無』がいた。

 二体の武士の挟撃。このまま地上戦に持ち込まれてしまっては、不利なのはブリューナクの方だ。

 しかしそれでも彼女は諦めず、槍を強く握る。紫乃と合流するためには、ここで活路を開かなければならない。今が正念場だと考えて。

 

「来るのなら来なさい! 意志のないゾンビ程度に負けるつもりなどないわ!」

 

 穂先を向け、リキッドを二つ手に取る。そして、八龍と楯無が矢をつがえている間にそれらをリードした。

 

《フラッシュ! ポイズン! Charging Color(チャージング・カラー)! Last Calling(ラスト・コーリング)!》

「ハァァァーッ!」

《バイカラー・クロマティックスクリュー!》

 

 二つの光を宿す猛烈な一突きが、二体の武人の弓を砕き、体勢を崩す。

 またとないその好機に、すぐさまブリューナクは飛び出した。

 

「後は合流地点に……!?」

 

 紫乃と待ち合わせた場所は、もう目と鼻の先。

 であるというのに、そこへもう一体、甲冑を身に付けたゾンビが姿を見せた。

 源氏八領『薄金』を装備したその戯我は、二本の長槍を器用に両手で振り回して襲いかかって来る。

 

「そんな、ここで新手!?」

 

 空を飛べない状態で一対三はあまりにも分が悪い。しかも既に立ち直った八龍と楯無に囲まれており、退路も進路も断たれ、その上に薄金はオートマータも引き連れている。

 もはや合流どころではなく、ロゼは一気に窮地へ陥ってしまった。

 だが、彼女もここで諦めるワケにはいかない。このままでは戯我とオートマータの破壊活動を見過ごす事になる、LOTの一員として放置できない問題だ。

 

「もうすぐ紫乃くんが来る……戦う音に必ず気付くはず! それまでは耐えてみせる!」

 

 そしてブリューナクが戦って食い止めようと決心した、その瞬間。

 

《アーツツクヨミ! Calling(コーリング)!》

 

 音声と共に、無数の光条がオートマータと甲冑の武士を貫く。

 ブリューナクが振り返れば、そこにいたのはやはりムラサメであった。

 窮地と見てオリエンタルトリニティの使用を決断し、暴走する自動人形たちを八尺瓊勾玉の力で圧倒したのだ。

 

「遅れたか?」

「ううん! 良いタイミングよ!」

 

 ムラサメの奇襲により、消滅まではせずとも武者たちは体勢を崩している。

 攻め込むなら、今が最大のチャンスだ。二人は息を合わせ、一気に必殺技を発動した。

 

Reloading Color(リローディング・カラー)! Last Calling(ラスト・コーリング)!》

「お前を塗り潰す色は決まった」

優雅(エレガント)に、そして華麗(ブリリアント)に!」

《アーツツクヨミ・クロマティックハウリング!》

《ブリリアントヴィーヴル・クロマティックストレイフ!》

 

 緑色の龍がムラサメの背後に出現し、咆哮。

 そして勾玉が生み出す数多の光弾とブリューナクの宝珠が、轟音を立てて鎧武者たちへと殺到する。

 これによって、遺物である甲冑すらも亀裂が走って破損していく。

 

「よし……ロゼ!」

「ええ!」

 

 二人は頷き合って同時に跳躍、そして背後で龍が緑色に輝く炎を吐き出す。

 その爆炎に乗り、ムラサメとブリューナクのダブルキックが、三体のゾンビを粉々に打ち砕いた。

 周囲に敵影はなし。変身を解除したロゼは安堵の息を吐き出し、紫乃に向き直る。

 

「助かったわ紫乃くん。一対一だったらどうにかできたのだけれど」

「無事に合流できて良かった。行こう、日本支部の状況が気がかりだ」

 

 ロゼは力強く頷き、彼と共に移動を始める。 

 そんな二人の後ろ姿を――物陰に隠れた菫が、唇を釣り上げて静かに見つめていた。

 

※ ※ ※ ※ ※

 

 同じ頃。

 紫乃とロゼを見送ってオノゴロ島に残った面々は、生き残った黄泉の鬼がまだいないか、調査に動いていた。

 その面々の中には、渋々ながらもイシュタルも加わっている。

 

「まったく、美の女神たる私がなんでこんな汗臭い肉体労働なんてしなくちゃならないのかしら」

「あはは……まぁまぁ」」

 

 彼女の背後には、若葉がついて来ている。

 なんだかんだお互い気が合うらしく、まるで親しい友人か姉妹かと言うような距離感だ。

 

「大体あいつら、この私をぞんざいに扱い過ぎじゃない!? 女神なのよ私!? あなたもそう思うでしょ!!」

「でも女神様、文句言ってたらまた緊箍児が反応しちゃいますよ」

 

 指摘を受けると、イシュタルはハッとして頭に手をやる。

 が、あの恐怖の頭痛はいくら待ってもやって来ない。あまりにも静かなので、若葉もキョトンとしていた。

 

「あれ? 今のもノーカウントなんですかね?」

「そうなのかしら……急に判定が甘くなったような――」

 

 イシュタルの言葉は最後まで紡がれる事はなく、彼女は視線を山の方へと真っ直ぐに向けてハッと息を呑んだ。

 急な様子の変化に若葉は目を丸くして、イシュタルに尋ねる。

 

「どうしたんですか? 怖い顔して」

「……ごめん若葉、ちょっと先にホテルに戻っててくれる?」

「えぇ? でも」

「大丈夫よ、大した事じゃないしすぐ済むから。お願い」

 

 明らかに慌てているイシュタル。必然、若葉もより疑念を深める。

 しかし取り繕う事もできないほど焦っているのか、あるいはそれさえ頭に入っていないのか、ともかく女神は一目散に飛び出していく。

 それはまるで、何かから逃げるというよりも、決して見られてはならないものを隠しに行くような、そんな様相だ。

 少々の逡巡の後。若葉は彼女を信じ、追いかけずに戻る事に決めた。

 

「イシュタル様が大丈夫って言うなら……きっと、何事もないわよね」

 

 そんな呟きを残した後、若葉は走ってその場を去る。

 一方そのイシュタル自身は、息を切らせつつもあるものを辿って走り続けていく。

 辿るのは、彼女が先程目撃した人物の『匂い』だ。

 イシュタルはその香りを知っている。その人物の事も、昔から知っている。なぜこの島にいるのか、いつからそこにいたのか。そんな疑問など全て投げ出して、ただひたすらに追いかけ続ける。

 

「かなり近くにいる……どこ!?」

 

 存在を感じるものの、正確な位置が分からない。

 焦りながらも周囲を探っていると、不意に背後から虫の羽音と、何かが地に着地する音が響く。

 

「島を訪れた時に懐かしい匂いがすると思っていた」

 

 続いてそんな声が耳孔を撫で、腰にするりと細腕が絡んだ。

 

「随分と久しいな、アスタルテ。いや、今はイシュタルと呼ぶべきか? アスタロトではないようだが」

「……バアル・ゼブル様……!?」

 

 振り向いたイシュタルの目は驚きに満ち、視線の先にいる人物の名が口から漏れる。

 その正体は、カグツチを見張っていたロゴス・シーカーの幹部、金髪の美女、ビヨンデッタであった。

 

「余所余所しい呼び方をする必要もあるまい? お前は我輩の妹であり……妻なのだから」

 

 続いて、ビヨンデッタの指先が滑らかな髪をするりと梳き、互いの鼻先が触れ合う寸前の距離まで顔が近づいた。

 だがそれ以上近づく前に、イシュタルの手が体を突き飛ばす。

 

「ど、どうしてそのような御姿で顕現を!? 今のあなたは何者なんです!?」

 

 頬を上気させつつも、叫ぶように問い質した。

 しかしビヨンデッタは彼女の行動の全てを咎める事なく、その唇に自らの唇を覆い被せて食んだ。

 

「んんっ!?」

「そんなに恐れる事はない」

「あ、んっ……!!」

「我輩はいつでもお前の愛するバアル・ゼブルであり、ベルゼブブだ」

 

 ビヨンデッタはそう言って、さらにイシュタルの頭に嵌められている緊箍児に目をつけると、それをツゥッと指でなぞる。

 

「随分窮屈そうだな。我輩であれば、こんなものすぐに外せるぞ」

「え……?」

「忘れたワケではあるまい。我輩は穢れを齎す悪魔の王にして超獣戯我、ベルゼブブ……故にたかが人間の僧侶如きの術など、何の意味も持たぬ」

 

 直後、輪を掴んで一息に取り外す。見れば、清浄なる金色の輪は、彼女が手にしただけで黒ずみ鈍くくすんでいた。

 ――ベルゼブブ。それは本来ならば嵐と慈雨の神であったバアル・ゼブルが、悪魔へと貶められた存在。

 豊穣の神とは真逆の、不浄なる蝿の魔王。それがこの戯我だ。緊箍児の痛みがなくなっていたのも、周囲の聖別された物質の効力を失わせるビヨンデッタが近くにいたためである。

 

「もう痛みはないだろう。お前は自由だ」

 

 苦しめられていたあの玄奘三蔵の術すら打ち破る、圧倒的な呪いの力。

 その脅威に、イシュタルは舌を巻くばかりだ。

 

「あ、あなたは一体……何が目的でここに? 私に会いに来たワケではないのでしょう?」

「まぁ確かに、ここで会ったのは偶然だ。島に来た目的は別にある……そうだな、お前には話しても良いだろう」

 

 ビヨンデッタは頷きながら、未だ混乱の中にいるイシュタルへと語り始めた。

 

「我輩はロゴス・シーカーという組織に属している。五大幹部のひとり、ビヨンデッタとしてな」

「あなたが……ヤマトの出会った幹部!?」

「その様子なら色々と事情を知っているようだな、説明する手間が省けるのは都合が良い」

 

 ニヤッと笑みを見せ、ビヨンデッタはさらに続ける。

 

「黄泉から復活させたヒノカグツチを見張っていたのだが、あやつめは意外にもあっさりと倒されてしまったのでな。やられるだけやられて手ぶらで帰るのは癪であるし、どうしてくれようかと思っていたところだ」

「そして私に出会った、と」

「うむ。イシュタル、我輩と共にロゴスに来い。少々頭が弱いとは言え、お前は凡百の神などよりも余程強い。何より」

 

 ビヨンデッタの釣り上がった唇の端が裂けていき、凶悪な牙が露出し始めた。

 

「我輩の最大の目的は『神の敵』に到達すること。かつて(バアル・ゼブル)の力を取り戻し! 悪魔(ベルゼブブ)の力を高め! ラジエルの書を奪い! 究極の完全体となって戯我や他の神どもを屈服させ! 創造主を超えて支配者の頂点となる事だ!」

「……!」

「お前ならば分かるだろう? 美の神(イシュタル)として人間を惑わし、悪魔の女大公(アスタロト)として軍勢を率いて戦って来たお前なら! 我々は夫婦として、もう一度共に道を歩めるはずだ!」

「では、あなたはバルト・アンダースも倒すというの?」

「当然だ。我輩がラジエルの書を手に入れれば、あやつとの協定など破棄すれば良い。まぁ問題はヤツが既に大半のページと共にラジエルの書の『裏表紙』を保管している点だがな」

 

 それはイシュタルにとっても初耳の情報だった。頁が世界中に散らばってLOTやバルト以外の者たちも集めている事は知っていたが、表紙の存在など考えもしなかったのだ。

 加えてビヨンデッタが実在を認知しているということは、恐らくロゴス・シーカーの拠点で目撃したのだろう。

 さらに引っかかるのは、表紙が片方しかないというところだ。もう半分の表紙はどこにあるのか? これだけの時を経て、誰も見つけていないというのか?

 ほぼ間違いなくそれはあり得ない。誰かが既に回収し、秘密裏に保管しているのだろう。そしてそれが可能な組織は、イシュタルの知る限りひとつだけ。

 

「まさか、LOTが……?」

「そういえばお前がここにいるということは、既にLOT側で情報を握っているワケだな」

 

 独り呟いた彼女の言葉を聞き逃さずに、ビヨンデッタはくつくつと笑って舌舐めずる。

 

「ならばやはり、共に来い。お前と我輩が組めばもはやバルト以外の敵などいないも同然だ」

 

 目を細めて優しく笑みを見せ、ビヨンデッタは言う。

 美の女神の心さえも揺るがせる、甘い誘惑。耳孔をくすぐる艶めいた声が、判断力を狂わせていく。

 だが、その時。

 

「そこにいんのは誰だ!」

 

 一人の男の声が、イシュタルの返答を遮った。

 灰矢だ。足音も徐々に、二人の神の方へと近づいている。

 ビヨンデッタは舌打ちし、しかし緊箍児を咄嗟に被り直したイシュタルへもう一度声をかけた。

 

「月が変わった後、磐戸市の港で待つ。その気があれば会いに来い」

「バアル様……!」

「愛しているぞ」

 

 最後に頬へ口づけを残して、ビヨンデッタは飛び去ってしまう。

 灰矢がその場に姿を見せた時には、イシュタル一人だった。

 

「なんだお前かよ。こんなとこにひとりで何してんだ?」

 

 呆れたような灰矢の言葉。対してイシュタルの口をついて出たのは、虚言だ。

 

「もちろん私も調査をしていたの、成果はないけど」

「そうか。こんだけ探しても痕跡がねぇってのは、完全に敵は鎮圧できたって事だろうな」

 

 言いながら灰矢は背を向け、溜め息と共にホテルの方を見る。

 一方、イシュタルは驚いていた。緊箍児を付け直したというのに、痛みが来ないのだ。それはつまり、輪に未だベルゼブブの呪いが残留しているという事を意味していた。

 これもビヨンデッタの狙い通りなのだろう。情報を得るべくLOTとイシュタルの関係を維持させ、潜入させておくのが目的なのだ。

 

「きっと……そう、よね」

「さっさと戻ろうぜ」

 

 振り返る事なく灰矢が歩き出すのを見て、イシュタルもそれに続く。

 その胸の内に、葛藤を抱え込んで。

 

※ ※ ※ ※ ※

 

 紫乃とロゼが鎧武者を調伏してから、数十分後。

 二人は無事に日本支部へと到着、合流を果たしていた。

 

「島副支部長、久しぶりだな」

「紫乃くん! 君が来てくれたのか!」

 

 京都の地下空間にある広大な施設。その入口で出迎えたのは、一人の男。

 ロゼは紫乃へと、視線で問いかける。この人物の正体を。

 それを受け、すぐに紫乃も説明を始めた。

 

「この人は島 左紺(シマ サコン)。日本支部の副支部長……つまりは晴明の片腕だ」

「はじめましてお嬢さん。支部長から君の話は聞いている、紫乃くんのガールフレンドだとか」

「……今はそういう話をしている場合じゃない」

 

 困ったように、恥ずかしそうに頬を押さえつつ、紫乃が指摘する。

 その姿を見て島は一瞬目を丸くした後、フッと微笑んで強く頷いた。

 

「まずは状況を整理しよう。君たちの知る限りの事を教えてくれ」

「了解」

 

 紫乃はロゼを混じえ、これまでの経緯を島に伝達する。

 磐戸に本部の査察が入ったこと、オノゴロ島で修行している最中にヒノカグツチが現れたこと、三貴神の力を得てそれを調伏したこと、しかしそのカグツチから京都で事件が起こると聞かされたことも。

 島は納得した様子で首肯し、続いて自分も情報を共有する。

 

「確かに今の京都はマズい状況だ。支給されたAオートマータは突然暴走を始めるし、源氏八領を纏う戯我が現れるし」

「そもそもどうしてあの兵器がここに? 磐戸で支給されたのは知っているんですが」

「そこは私も不思議に感じていたよ。恐らくは例の本部から来た封魔司書……ブラウベルク氏が手配したのだろう、仮面ライダーを快く思わない彼が君の活躍の場を潰すために送り込んだんだ」

「では、今回の騒動も彼の仕業なんですか?」

 

 島とロゼの問答。そこに、紫乃が頭を振って介入した。

 

「断言しても良いがあり得ない。各地の支部長にすら場所を隠すほど慎重な本部の者たちが、誰も叛意に気づかないとは思えない。ましてブラウベルクは兵器開発の中心人物だ、念入りにチェックが入っているはずだろう」

「うぅん、そうよね。じゃあこの暴走は一体? ブラウベルク卿が無関係とは思えないのだけれど」

「……お前の言う通り完全に無関係ではないはずだ。あの男が裏切ったワケではないにしても、原因の一端にはなっているはず」

「と、なると……ひょっとして」

 

 ハッとロゼが紫乃の方に視線をやると、彼の方も同じ結論を出した様子で、神妙な面持ちになっている。

 それを受け、ロゼは再び尋ねた。

 

「副支部長、Aオートマータの思考部分……人工知能についてチェックはしましたか?」

「いや。上からのお達しで、そこはかなり専門的でデリケートな部分だから、破損させないために誰も手を出すなと言われていた」

「だったらもう間違いありません、暴走の原因はその人工知能です!」

「待ってくれ。確かに私も怪しいとは思うが、それでは結局ブラウベルク氏が犯人で裏切り者という事にならないか?」

 

 島からの問いに答えるのは、首を横に振る紫乃だ。

 

「Aオートマータ製造の責任者があの男なのは確かだろう。しかし、搭載された機能の全てを開発できるとは考えられない。というより、ヤツだけでは無理だろう」

「どういうことだ?」

「ブラウベルクの技術はあくまでも『武装の開発』に重きを置いたものだ。それはオートマータに多彩な武器を配備させている点でも明らかなはず。問題は、そんな連中がいきなり高度なAIを作る事ができるのか……という部分にある」

 

 紫乃からの言葉で、島は彼の言わんとしている事を完全に理解した。

 即ちそれは、Aオートマータ作成に必要な部分を本部・ドイツ支部外の者に依頼した可能性がある、ということである。

 この兵器を本部やドイツ支部の技術びぬで開発可能なものなのかという点については、島も疑問に思っていた。

 しかし調査を行う前に今回の騒動が起こってしまったので、対処に追われて結局何もできずにいたのだ。

 

「ブラウベルク氏は他支部の人間にAI開発を委任したという事なのか!? 裏切り者が内部にいるかも知れないと!?」

「本当にそうだったらまだ犯人探しが楽になるから良いが、事態はもっと深刻かも知れないぞ」

「……ま、まさか……外部の人間を!?」

 

 紫乃が深く頷く。

 不慣れな作業で無駄に時間と資金を費やすよりも、LOT関係者以外から人材を雇った方が速く確実だ。

 情報漏洩という点に関しても、LOTに関する情報や兵器の事を伏せておけば防ぐ事ができるという判断をブラウベルクは下したはず。

 そして、結果的にそこに付け入られて失敗したからこそ、今の事態が引き起こされていると考えられる。

 

「恐らくロゴス・シーカーの手の者は、最初から暴走するようにAIを仕込んでいたんだろう。そしてこのタイミングで起動した」

「なんということだ……」

 

 これ以上ないほど疲弊した表情で、片手で頭を抱えて呻く島。

 紫乃の仮説が正しければ、日本支部のオートマータだけではなく、配備されているもの全てが同じように暴走しているはずだ。

 さらに問題は京都内だけでなく、本部でもAオートマータが暴走して大打撃を与えている可能性があるということ。早急に被害を食い止める事ができなければ、ロゴスの者たちに位置を特定されるかも知れないのだ。しかもこちらからは場所が分からないため、救援を出す事もできない。

 

「これも南光坊天海が仕組んだ事なのかも知れないな」

「天海だって?」

「アダンという男が言っていた。天海はロゴス・シーカーの幹部で、今も京都にいるらしい」

「……キュクロプスの眼の事件の、あの男か」

 

 名を聞いて、島の表情が緊張で強張る。しかしそれも一瞬のことで、すぐに咳払いして落ち着きを取り戻した。

 

「こちらからも有力な情報を得た。君たちが倒した源氏八領の戯我についてだが」

 

 島曰く。

 例の甲冑を纏った戯我が消滅するのとほとんど同じタイミングで、そこから生じたエネルギー体が山の方へと流れ込んで行ったのだという。

 どうやら以前から山中に何かが仕込まれていたらしく、どんどん一点に力が集約しているらしい。

 それを聞いた紫乃は、訝しんで眉根を寄せる。

 

「どこかで聞いた事象だな」

「……もしかして。前に磐戸でもあった、あのヤマタノオロチの骨杭の……?」

 

 ロゼからの指摘を聞き、紫乃は彼女とハッと顔を見合わせる。

 島の方も骨杭の詳細は晴明から聞いているようで、苦虫を噛み潰したかのように眉をしかめていた。

 

「まさか今度は京都に洪水を起こすつもりか」

「さもありなん、だな。濁流で無差別に街を破壊しつつ、我らの拠点にも大打撃を与えられる。早急にその杭を破壊しなければならない」

 

 彼の視線を受けて、紫乃とロゼは強く頷く。

 ロゴスに目をつけられている今の状況で日本支部が崩壊してしまえば、戯我の跳梁をさらに許す事に繋がり、LOTにとって不利に働いてしまう。

 そうなる前に、確実に止めなければならない。

 

「副支部長、詳しい位置を教えてくれ。オレとロゼが必ず食い止める」

「ああ、頼んだ」

 

 頭を下げて島が言い、杭のある地点のデータを送る。

 準備は整った。急ぎ紫乃は出口に移動し、ロゼと共に現場へ向かうべく疾走する。

 そうして外へ出た後で、ロゼが密かに声をかけた。

 

「アダンたちが何も知らないのなら、きっと源氏八領を全て破壊しようとするでしょうね」

「だからそうなる前に杭を壊す。できるのはオレたちしかいない」

 

 とは言ったものの、今のアダンの実力は相当なものだ。クリスも全く侮れない。下手をすればここに来るまでの間に、既に何体か倒されているやも知れない。

 距離は遠いし山にあるので急がなければならない。しかし、そんな二人の耳に入った声が、足を止めさせた。

 

「もしアダンとあの娘を説得できるとしたら、どう?」

『!?』

 

 目を凝らしてみると、建造物の影から人が現れた。彼らも良く知る人物だ。

 

「菫……!!」

「ようやく話ができそうね、紫檀」

 

 自身の顔を見ながらそう言った菫を見て、紫乃は訝しげに眉をしかめる。

 

「なんだ、その紫檀というのは? オレに言っているのか? オレは紫乃だぞ」

「いいえ違うわよ。あなたは自分の本当の名前を知らないだけ」

「……何を喋っている?」

「あなたの本名は八重垣 紫檀(ヤエガキ シタン)。私の弟なのよ」

 

 突然に明かされた事実。紫乃もロゼも、脳が理解に至れず瞠目するしかなかった。

 

「な……な、に? なんだって……?」

「一目見た瞬間に分かったわ。キュクロプスの眼に誘拐された……紫檀、あなたなんだって」

 

 紫乃の息遣いが動揺によって荒くなり始め、困惑する間にゆっくりと菫が近付いて来る。

 彼女はただ薄く微笑んで、手の届く距離まで近づくといきなり紫乃を抱き寄せた。

 

「ようやくあなたに触れる事ができたわ。あぁ、私のかわいい弟……」

 

 菫はそのまま、紫乃の下顎に手をやって顔を上げさせ、唇に向かって顔を近づけ――。

 触れ合う寸前に、ロゼが二人を引き剥がした。

 

「あら」

「一体何を!! しようと!! しているんですか!!」

 

 声を荒らげ、守るように紫乃を抱き寄せるロゼ。

 それを見ると菫は面白くなさそうに鼻を鳴らして、自らの腕を組んで彼女を睨む。

 

「姉としてこの子を愛しているだけよ。あなたこそどきなさい、この泥棒猫」

「はぁ!? ふざけるのもいい加減にして下さい!! あなたの話が事実だとしても、こんなの姉弟同士でする事じゃないでしょう!?」

「ふたりとも落ち着いてくれ、今はそれどころじゃないぞ」

 

 咳払いしてロゼから一度離れつつ、紫乃は菫の目を真っ直ぐに見据えた。

 

「先程の言葉、アダンたちを説得できると言ったな。それはオレたちに協力するという意味なのか?」

「私を捕らえずにいてくれるのならね」

「なに?」

「だって、せっかくあなたに会えたのにLOTのせいで閉じ込められたら元も子もないでしょう」

 

 むぅ、と隣で聞いていたロゼが唸る。

 封魔司書として、このままロゴス・シーカーである彼女を野放しにはできない。しかしそれでは今回の任務に大きな危険が伴う事になるだろう。

 それに、時間も限られている。もはや迷っているこの瞬間さえも惜しい。

 紫乃は頷き、結論を出した。

 

「分かった、良いだろう。とりあえず今はお前たちを信用する」

「ありがとう紫檀、本当に優しい子……」

 

 再び菫が近づいて頬に手を触れようとするが、今度は紫乃の手がそれを振り払った。

 

「その名でオレを呼ぶな。オレは行雲 紫乃、お前の弟じゃない。お前のことなど知らない」

 

 無情にも強く胸を刺す一言。菫は表情を一瞬強張らせるも、すぐに笑みを取り繕ってN-フォンを取り出す。

 

「……とりあえず、アダンたちに話を通しておくわ」

 

 そう言って菫は背を向け、通話を始める。

 状況の打破には、か細いが一筋の光明が差している。だというのに、紫乃とロゼの胸中には不安というなの暗雲が立ち込めているのであった。




付録ノ三十二[バアル・ゼブル]

 かつて『気高き主』や『高き館の主』という異名を取っていた嵐と慈雨の神。
 古き時代、人々から多くの信仰を集め恵みの雨を齎していた豊穣神であった。妹の中で最も美しいアナト(あるいはアスタルテ)を妻とし、戦いにおいては猛々しく風と水を操る強大な神としての側面も持つ。
 だが、ある時『創造主(唱えてはいけない名)』の遣いによってその神性を貶められ、バアル・ゼブブ(蝿の王)と嘲笑される事になる。
 ベルゼブブという名に変わってしまったのには、そういった事情があるのだ。
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