「あぁ、これで四鬼も失敗だ。封魔司書ども、まさか二度も俺様のプランを邪魔しやがるとはなぁ」
夜、磐戸市内のとあるビルの屋上で、壁に背を預けてN-フォンを使って通話をしている人物がいた。
赤茶色の髪で、迷彩柄のズボンを穿いた無精髭の目立つ男。
以前テスカトリポカを蘇らせようとした信奉者に協力し、そして用済みとして彼を殺害したあの男だ。
四鬼とは即ち金鬼・水鬼・風鬼・隠形鬼の四体の戯我。彼らにヤマタノオロチの骨杭を渡したのも、この男だったのだ。
「そうだな。これ以上妨害されるのは面白くない……」
二言三言と通話相手と言葉を交わした後、男は壁から離れる。牙を見せつけるような、凶悪な笑顔で。
「今度は俺様が直々に出向いてブチのめしてやるよ」
愉快そうに言った後、男は自分の右手に握っていたものを見下ろす。
それは、巨人の姿が描かれたモンストリキッドだった。
※ ※ ※ ※ ※
鬼たちによるヤマタノオロチ召喚を防ぎ、洪水を阻止してから数日。
放課後、すっかり平和が取り戻された磐戸の街にある磐戸高校で、紫乃とロゼの元にまたも来訪者が現れる。
「やぁ、紫乃くんとロゼちゃん」
「やっほー! 一緒に遊ぼうよ!」
駿斗と若葉だ。いつものように彼らのいる教室に足を運んで来たのだ。
ロゼは華やかな笑みを返すが、紫乃はあからさまに眉をしかめる。
「何の用だ」
「えっと、紫乃くんが今は特に重要な任務に関わってないって安倍さんから聞いて。だから折角だし遊びに誘おうかと」
「あいつめ……」
深く溜め息を吐き、頭を片手で押さえて首を横に振る紫乃。
そこへ、ロゼがクスクスと笑いながら彼に声をかける。
「良いじゃない、藍原支部長も弓立さんも『休める時は休め』と言っていたでしょう? ここは先輩方のお言葉に甘えて、羽根を伸ばすのはどうかしら?」
「しかしだな」
「後でお礼にパフェ奢るから」
「そこまで言うなら仕方ないなよしすぐに行くぞ」
紫乃は即答し、すぐさま駿斗と若葉の後ろに移った。
ロゼは呆れつつも微笑むと、そんな紫乃の隣に並んで歩き出す。
「それで、一体どこへ行くつもりだ?」
「うーん……紫乃くんは何がしたいかな? 普段何をして遊んでるの?」
駿斗に尋ねられると、紫乃はピタリと立ち止まって腕を組んで考える。
「普段している事……趣味、と言う事なら読書だが」
「うーん、みんなで遊ぶとなるとそれはちょっと違うかも」
「ならば映画鑑賞……いや、今は気になるものが特にないな。そもそも映画館に足を運んで見ているワケでもない」
「ちなみにいつもはどんな映画見てるの?」
「過去に話題作と呼ばれていたものばかりだ。最近見たのは『ゾンビヤクザvsドラキュラギャング』だな」
「ゾンビヤクザシリーズ!? 意外なところ見てるね!?」
「名作だったぞ」
「しかもかなりハマってる!?」
その後も悩むが、やはり紫乃からは先の二つ以外の答えが出せない。
「そもそも他人と遊んだ事が全くない」
「うーん、それかなり重症だね。何かやりたい事はないの?」
「……思いつかない」
「そっかぁ……」
今度は駿斗の方が頭を悩ませる事になった。理由は全く聞かされていないが、友人を作らなかった紫乃に対して何をすれば良いのだろうか?
すると若葉が「はいはーい!」と、元気良く手を挙げブンブンと振る。
「じゃあじゃあ、とりあえずまずはあたしに付き合ってよー!」
「何をするんですか?」
ロゼの質問に、彼女はニコーッと唇を吊り上げた。
「コスプレ撮影!」
その提案からおよそ二十分後。
四人は最寄りの駅から電車で移動し、市外の街にあるコスプレスタジオに来ていた。
「……ここは一体何をする場所なんだ?」
それまで何も聞かずに付いて来た紫乃が、若葉へと尋ねる。
どうやら慣れない場所に戸惑っている様子だ。ロゼの方も様々なシチュエーションに沿った部屋を眺め、興味深そうに目を輝かせていた。
対して、若葉はフフンと笑いながら答える。
「もちろんコスプレだよ!」
「そもそもそのコスプレというものが分からんのだが」
小首を傾げる紫乃やロゼへと、駿斗が説明に入った。
「ここは色んな衣装を着て写真撮影を楽しめる場所なんだよ。例えばアニメとかマンガとかに登場したキャラクターの服装だったり、現実の職業みたいなのでも良いし」
「コスチュームは色んなの貸し出ししてくれるよ! というワケで、早速選んじゃおうね!」
鼻息を荒くして二人に迫る若葉。あまりのハイテンション振りに、紫乃も押され気味になっていた。
「選べ、と言われてもな」
「私はそういうものに疎くて」
「右に同じだ」
その言葉を聞くなり、若葉はさらに目を輝かせる。
紫乃は何やら嫌な予感がしたが、何かを言う前に若葉は即座に動いた。
「じゃああたしが似合いそうなの選んじゃって良い!?」
「え? あ、ああ。構わんが……」
「ヤッホー! じゃ、駿くんも速く速く!」
そうして三人はそれぞれ試着室へと押し込まれ、外から若葉に渡された服に着替えていく。
それから、さらに数分後。
着替え終わった順番に、試着室から出て若葉に衣装を見せる事になった。
最初は駿斗だ。男性用の袴の上に、背中に『誠』の一文字が付いた、浅葱色のだんだら模様の羽織を着ている。
「今回は新選組だね」
「うん! アニメのヤツでね、全員それで合わせてみたの! 駿くんは
「あはは、僕が局長なんだ?」
刀の柄に手を当て、楽しそうにその場で自分の身体を眺める駿斗。
若葉も駿斗の姿を見て、ニッコリと笑いながら「良いね!」とサムズアップした。
続いて、ロゼの試着室のカーテンが開く。
「あの……どうですか?」
彼女が着ている袴も男性用だが、元々身長が高めという事もあって違和感なく着こなせている。
髪は後ろで縛ってポニーテールにしており、同じくだんだら模様の羽織姿だ。
「いーじゃんいーじゃん!
「ふふふっ、ありがとうございます」
「まー、やっぱりおっぱいは目立っちゃうけど」
「きゃっ!?」
ペタペタ、と若葉に胸をソフトタッチされ、ロゼは思わず声を上げてしまった。
駿斗の視線は、二人のじゃれ合う姿に釘付けになる。
「んー、おっきいなー。あたしも胸はそれなりに自信あるつもりだったけど、さらに大きいもんなぁ」
「わ、若葉……その辺でやめときなよ?」
「あははー、ゴメンゴメン。良いおっぱいだからつい」
舌を出して笑い、若葉はロゼの胸から手を離した。
そして最後、紫乃の番なのだが――。
「おい……これはどういう事だ」
僅かに怒りを含んだ声が試着室から聞こえる。
直後、そのカーテンが開かれると、三人は大きく目を見開いた。
新選組の羽織や袴を着ているのは同じだが、袴の丈がミニスカートのように短く、明らかに女性ものとして作られていた。
「なぜオレだけ女物の衣装なんだ」
「うっひょー! いいねいいね、イメージ通り超似合う!」
「話を聞け、
眉をひそめて彼女を非難する紫乃。しかし、若葉は首を横に振る。
「いやぁ、それで合ってるよ? このアニメの沖田 総司は女の子だからね」
「……なぜわざわざオレに着せる……!?」
「えー、だって紫乃くん女の子みたいにキレイで美人だもん」
言いながら、じっくりと紫乃の身体に視線を這わせる。
彼の身体には全くムダな体毛が一切生えておらず、腕も足も瑞々しく透き通るように滑らかな肌だ。
加えて細くしなやかな体型や形の良い尻なども、彼の魅力を引き立たせており、艶かしさすら感じさせる。
怒り顔でさえも、羞恥でほんのり赤く染まった頬と、僅かに濡れ気を帯びた眼や睫毛により、情欲を掻き立てる材料になっていた。
「うーわすごいねぇ! お肌スベスベだし、腰も細くて太腿とかお尻とか……マジでドスケベだよコレ!」
「オイ触るな!」
「いやーこれは性癖ブレイカーだわ。この美貌で今まで何人の男女を堕として来たんだろー」
「何を言っているんだ!?」
しゃがみこんで覗き込むようにして、指先で太腿を小さく撫でる若葉。
指先の感触にビクッと身を震わせ、紫乃は声が出そうになるのを抑えて飛ぶように退く。
「く……もう着替えさせてくれ! 下半身がスースーする、落ち着かない!」
「何言ってんの、ダメに決まってるじゃん。まだ撮影してないんだから」
「だったら速くしろ!! お前からも何か言え!!」
そう言って紫乃は駿斗に視線を向ける。
しかし、駿斗は苦笑いして首を横に振った。
「僕も着せられた事あるからね、諦めて慣れるしかないよ。我慢我慢」
「ぐぅ……!」
続いて、今度はロゼに目をやる。
彼女は紫乃の
見惚れているようであるが、紫乃はそれに気付かず顔を覗き込む。
「……おい?」
「わひゃいっ!?」
「どうした? いきなり呆けて」
「な、なななななんでもありませんよぉ!? 速く撮りましょう、先輩方!! 速やかに!! ね!?」
ロゼが叫ぶように慌ててそう捲くし立てると、駿斗はニコニコと暖かい眼差しを後輩二人に送り、若葉は楽しそうなニヤケ顔になった。
「いやぁ~、甘酸っぱい甘酸っぱい」
「んなっ、何を言ってるんですか……!?」
「なんでもないよー、ウフフフフ。そんじゃご要望通り撮っちゃおっか! まずは一人ずつポーズ取ってー!」
こうして、若葉による撮影が始まった。
「いいねいいいね! じゃあ次、駿くんが紫乃くんに壁ドンで!」
「えっ、このアニメそんなシーンあるの!?」
「もっちろん! ほら、その後はロゼちゃんが紫乃くんに顎クイね!」
「あごくい……とはなんですか?」
「とりあえず言う通りにやってみて!」
そんなこんなで、紫乃たちはシチュエーションやポーズ、若葉が満足したら衣装も変えて撮影を行う。
ロゼは途中から男装から通常の女性用衣装も用意されたものの、紫乃は基本的にスカート、あるいは短パンのような丈の短い足を見せるものばかりだ。
最後の撮影が終わる頃には、元の服に戻った紫乃は疲弊した様子で座り込んでいた。
「大丈夫?」
駿斗は苦笑しながら、壁に背を預けるようにしてそんな紫乃の隣に立った。
「正直、戯我の対処のために街を見回る時よりも遥かに疲れた。これで休んでいると言えるのか?」
「あはは。ごめんね、まさか僕も紫乃くんを女装させるとは思わなくて」
「いつもこんな事をしているのか?」
「いやいやまさか! 流石に普段からここに遊びに来てるワケじゃないよ」
手を横に振りながら微笑みかける駿斗。紫乃は彼の顔を見上げ、質問を投げかける。
「なぜお前らはそこまでオレに関わろうとする? 遊びに誘うというなら、クラスに友人がいるんじゃないのか?」
「君に楽しんで欲しかったんだ」
「なに?」
「僕は君を友達だと思ってる。それに、僕の命を助けてくれた恩人だ」
駿斗は紫乃と目を合わせ、懐かしむように言葉を紡ぐ。
「じいちゃんが昔言ってたよ。『友達とは喧嘩をしても良い。けど、人間やっぱり心から笑い合って生きていく方が幸せだ』ってね」
「……」
「まだ、君が心から笑った顔を見た事ないからさ。一緒に楽しみたいなって思ったんだ」
まるで手を差し伸べているかのように優しい暖かい声色で駿斗が言い、しかし紫乃は静かに頭を振った。
「オレはお前の友達じゃない。友達は必要ない」
そう言いながら、紫乃は自分の手を見下ろす。その瞳は、どこか虚ろだった。
二人の様子を傍で見ていたロゼも、目を見張っている。
「オレには……幸せに生きる権利も、資格もない。幸せになってはいけないんだ」
「紫乃くん?」
言葉の真意を問い質そうと、駿斗は再び口を開く。
だがそれを、大きく伸びをした若葉が遮った。
「いやー、撮った撮った! じゃあ次行こ、駿くんは何がしたい?」
「あ、えっと」
わたわたと慌てる駿斗。チラリと紫乃に視線を向けると、先程のような表情は消えている。
本音を抑えて自分たちに付き合っているのだろうか。そう考えつつも、駿斗は口に出せないでいた。
「じゃあ、そうだなぁ。カラオケとか行ってみる?」
「……オレはあまり曲を知らんのだが」
そんな会話を交わして、紫乃を含んだ一行はスタジオから外へ出た。
※ ※ ※ ※ ※
紫乃たち四人がスタジオで撮影を終え、次の遊び場へと向かっている頃。
磐戸市の町に、駅近くのレストランで寛ぐ灰矢の姿があった。
「平和だねェ」
「そうだな」
たった今返事をしたのは、彼の前の席に座る魔祓課所属の長宗刑事だ。
「これで一緒にいるのが女だったらなぁぁぁ~」
「お前は相変わらずだな」
ぐでーん、と椅子の背にもたれかかりながら、灰矢は天を仰いで深く溜め息を吐く。
長宗は呆れた様子で、ブラックコーヒーを飲んでいた。
「女と遊びたいのなら自分の支部長でも誘ったらどうだ?」
「いやぁ、あの人はちょっと理想高いから……そこんところ、あんたこそどうよ? ウチの支部長は絶賛彼氏募集中だぜ」
「勤務中に酒を飲むような不真面目な人間は好かん」
長宗は眉間に深く皺を刻み込んで言う。
「でも仕事熱心ではあるし、何よりスタイル良いんだよなぁ藍原支部長。ボインボインだよボインボイン」
「それは確かに魅力的なんだがな」
「だろ? 美人なのに勿体ねぇよなぁ。日本支部長の誘いすら断るんだぜ、あの人」
「何だと!? 日本支部長といえばアレだろう、あの最強と名高い陰陽師の
テーブルに片肘をつき、灰矢はヘラヘラと笑った。
そんな他愛もない会話をしている、その時。
突然、駅の方から大きな爆発音が轟いた。
「なんだ!?」
「この騒ぎは一体……!?」
人々が逃げ惑う中、灰矢が店を飛び出す。
長宗は律儀に二人分の代金を払って、銃を持って灰矢と共に現場へ急行する。
そこにいたのは、小さな翼を使って空から飛びかかり、槍を振りかざして無抵抗な人間たちの色を食らう下級戯我のダイモーン・ギガ。
さらに上半身が妖艶な女性で、下半身が蛇のものとなっている中級戯我のラミア・ギガだった。
それぞれ数多く存在しているが、問題はそこではない。
「こいつら、まだ夕方だってのになんでこんな活発化してやがるんだ!?」
「俺が時間を稼ぐ、急いで変身しろ!」
ダイモーンたちに向かって発砲しながら、長宗が言う。
灰矢も、リキッド二種とレリックドライバーを取り出し、言われた通りすぐさま変身に移った。
《ガイア!》
《トータス!》
「変身!」
《
AウェポンBモードを手に、灰矢は人々を襲うダイモーンたちを正確に狙って射抜く。
その動きを察知したラミアが、民衆への手出しを中断し、周囲を飛ぶ小悪魔たちを連れてユーダリルに突撃を仕掛けた。
「キィイーッ!」
「おおっと!」
弓でラミアの爪を捌きつつ、腹を蹴り上げて退ける。
さらに戯我たちが反撃に転じようとしたところへ、拳を突き出して封じ込めた。
「ギイー!」
「へっ!」
続いて振られたダイモーンの槍も、蹴り上げて叩き折る。
力の差は歴然だった。
「ヘッ、大した事ねぇぜ!」
さらにユーダリルはリキッドを二つ取り出し、一気に必殺技で勝負をかけるべく動き始める。
《アクア! クラーケン!
「さあ、仕上げだ!」
《バイカラー・クロマティックシュート!》
弓を構え、水の矢を放つユーダリル。
凄まじい勢いで放出された水は、10本に分かれて戯我たちの身体を薙ぎ払い、そのまま爆散させる。
「今ので終わりか……?」
言いながら周囲を見回す長宗。しかし、ユーダリルは油断なく弓を構えている。
その場に漂う、不穏な空気を察知しているかのように。
「なんだ? この嫌な感じは」
警戒を続けていると、ユーダリルの周囲に再び戯我が姿を現す。
今度はラミアではなく、年老いた魔女の成れの果てであるハッグ・ギガ。さらに水に濡れた馬の姿をしたケルピー・ギガ。
それに加え、先程と同じくダイモーンが群れて戦いに加わる。ユーダリルは舌打ちして、弓を構えて迎撃態勢に移った。
が、その時だった。
「なァるほど。そいつが封魔司書の切り札……霊装か」
戯我の群れの奥から、男の声が聞こえる。
そして、怪物たちはその声の主を通すべく、自ら道を開けた。
「なにっ!?」
「中々悪くねェ武器じゃねぇか、なぁ?」
そこにいたのは、迷彩柄のズボンを穿いた赤茶色の髪の男だ。彼の手には、ダーククリムゾンのリキッドが握られている。
「俺に寄越せよ、ソレ」
「んだと?」
「まぁ、断られても奪うだけだがなあァーッ!!」
男は握ったリキッドを起動しようとする。
寸前、銃声と共に男の足元で火花が散った。
「あぁ?」
苛立ちと共に、男が弾丸の飛んで来た方向を見やる。
そこには、仮面と軍服を纏った紫乃とロゼがいた。織愛から戯我出現の報せを聞き、戻って来たのだ。
発砲したのは紫乃だ。男の姿を目の当たりにするなり、彼は躊躇いもなく撃っていた。
「貴様……生きていたのか、アダン・アルセニオ・エスカルラータ……!!」
拳を震わせ、紫乃はアダンと呼んだ男を睨みつけながら、レリックライザーをバックルにセットする。
そして生身の人間が相手であるにも関わらず、二種のモンストリキッドを起動した。
《サンダー!》
《ハウンド!》
ロゼが驚き、ユーダリルに変身した灰矢も唖然とする。
これ程までに紫乃が怒りを剥き出しにしたのを、初めて目にするからだ。
「絶対に許さん、貴様だけは……!! アダァァァン!!」
獣のように咆哮し、紫乃はグリップを握り込んで飛び出した。
「ハッ! どこのガキだか知らねェが、格の違いを分からせてやるよ!」
アダンは鮫のように恐ろしい笑顔を浮かべ、今度こそモンストリキッドを起動。
そして、それを自らの左腕に突きつけた。
《キュクロプス!》
男の姿が見る見る内に、戯我へと変化する。
頭に大きな角を生やしている、筋骨隆々の血走った単眼の怪物。
右手には大剣を携え、左手でクイクイと紫乃を挑発している。
「アダァァァァァン!!」
「ヒャッハハハハハハァァァーッ!!」
怒りのままに叫んで変身したムラサメの太刀と、キュクロプス・ギガの大剣がぶつかり合い、火花を散らす――。
付録ノ九[デュラック家]
ヨーロッパの高名な魔術師の一族。
アーサー王伝説で有名な『
それと同時に、魔術師として高い実力と権限を持つ。湖の乙女という呼び名は、ブリテンで霊装を作る魔術師の一派を指すものだったとの説もある。
また、アーサー王は封魔霊装エクスカリバーの使い手、湖の乙女の一人であるヴィヴィアンが養育したランスロット卿は封魔霊装アロンダイトの初代所有者だったとも。
(ただし当時はレリックドライバーではなく聖剣の形であるため、これらは便宜上の名称である)