とりあえず、シンオウ地方でチャンピオンなることにしました 作:金糸雀^_^
さて、町から出てさっそくマサゴタウンに向かうことになった。
道中草むらがあるけど、とりあえずこのペンギンがいるから安心だと思って意気揚々と草むらに踏み込んだらなんかいた。
「グモー」
(タヌキだ。可愛いな。こいつもポケモンか)
タヌキみたいなポケモンに出会った俺はペンギンをボールから出して助けてもらおうとした。
俺はボールからペンギンを出し、指示を出す。しかし……
「フン」
「なんでや」
「フン」
なんでコイツ言うこと聞かないの⁉︎って、ちょっと!どこか行こうとしないでもらっていい?
「グモー!」
「うるさい!もう少し待って‼︎」
「グモ⁉︎」
大声で怒鳴ったらタヌキは驚いて固まった。コイツの方が言う事聞くってどう言うことよ。
「ほらっ、倒さなくていいの?」
「くあぁ〜」
あくびしてやがる。もういい。最終手段だ。
「逃げるぞ!」
「ポチャ⁉︎」
「グモ」
俺はこのクソペンギンを抱えて全力で走った。まさか逃げると思ってなかったのか、タヌキは呆然と俺たちを眺めているのを尻目に手を突かれながら走った。
草むらから出てあのポケモンも追いかけてきていないことを確かめてからペンギンを下ろす。
「このやろう!手を突くな!」
「ポチャ!ポチャ‼︎」
「なんだよ、なんか文句あんのか!」
ペンギンは戦闘態勢とった。俺はそれを見て拳を握る。
「てめぇ、人間舐めんな」
「ポチャ」
お互い静かに間合いを測っていたが、ほぼ同時に動き出す。俺の右拳とペンギン右翼が交差した。
(バカめ!腕の長さは圧倒的に俺のが長い!ボコボコにしてやる!)
そう勝利を確信していたが、俺は吹き飛ばされた。
「マジかよ……」
「フフン」
(こいつ、ギリギリで体を捻って攻撃を避けつつ俺に攻撃をしてきたのかよ)
絶対に俺のが強いと思っていたが、思わぬ戦闘センスを見せつけられ舌を巻いた。
「……」
「……なんだよ」
「……」
無言で地面を指(?)差す。こいつもしかして
「土下座しろと?」
「……」コクコク
「……」
俺はこの日の、土下座した時のこいつの顔は一生忘れないであろう。それほどにムカつく顔をしていたのだった。
クソペンギンに苦汁を舐めさせられて数十分後、ようやくマサゴタウンに到着した。
「つっかれたー、鳥や狸めっちゃ出てくるじゃん。コイツも戦う気ないから毎回抱えて逃げなくちゃいけないし」
「フン」
「…………もういい」
もうこいつの態度にいちいち腹立てんの馬鹿らしくなってきた。
俺は肩を落として歩いていると、目の前の大きな建物の中からあの時の少女が出てくるのが見えた。
「あっ!待ってたよ!こっちにきて!博士が待ってる」
「タイミング良すぎない?」
「え?」
確かに博士に会って謝んなくちゃいけない。それは分かってるが、やはり怒られるのは怖い。せめて少し覚悟を決めさせて欲しかった。
「それじゃ、行こう!」
女の子は元気に俺の手を握って走り出した。本来ならどきどきするんだろうけど今はそんな余裕ない。
「ここがポケモン研究所だよ!」
「そうすか……」
「緊張してる?」
「い、いや、してないし」
「大丈夫だよ。博士はああ見えて優しいんだよ」
(そういうタイプって怒ったら怖い人だろ)
震える手でドアを開けようとしたが、勢いよくドアが開き中から見覚えのある人が飛び出してきた。
「いて!」
「え?」
「なんだってんだよーー!ってカズキか。あのじいさん怖いってより、無茶苦茶だったぜ。まあいいや、俺はもう行くぜ、じゃあな」
俺は尻もち着いたまま一連の流れを見てふと思った。
「あれって一種の独り言かな」
「あはは……、君の友達ってすごいせっかちなんだね。とりあえず中に入ろうか」
「やっときたか、カズキだね?もう一度ポケモンを見せなさい」
中に入るなりさっそく奥にいた博士にに鋭い眼光でそう言った。
俺はすくみあがっていたため無言で横にいるペンギンを博士の前に連れて行く。
「ふむう……なるほど」
「あの……」
「………………」
じっとペンギンのことを見つめるのみでこちらを見向きもしない博士。さすがに居心地悪くなってきた俺は堪らず声を掛けるが無視された。
「ポ、ポチャ〜」
ペンギンは俺以上に緊張した様子で視線を彷徨わせていたが、俺と視線が合うなり
「ポチャ!」
と助けを求めた。
(悪いな無理だ。そもそも助けられたとしても助けない。だってさっき助けてくれなかったもんな)
「ウム、わかった。そのポッチャマは君にプレゼントしよう」
「はい?」
くれるって何を?こいつを?いや、いらん。
「え?どうしてですか?」
「うむ、湖での戦いで上手く戦えていたとヒカリから聞いている。それに君とポケモンとの間に絆のようなものを感じた」
失礼だけどこの子目節穴かな?湖ではポケモンにお願いをしただけだ。それに絆?主従関係の間違いでは?いや、それも絆の一種か?
とりあえず俺はこのポケモンは嫌だから交換してもらうか。
「あの……」
「良かったね!」
俺が博士にポケモンを変えてもらないか聞こうとしたら、女の子がまるで自分のことのように喜んで話しかけてくる。
「カズキ君がポケモンに優しい人で良かった。もしそうじゃなかったら……、ううん考えるのはやめよう」
え?何?その反応何?絶対やばいやつじゃん。優しい人じゃなかったら死ぬの?ポケモンの交換はアリですか?
「このポケモンの名前はどうする?」
「え?名前?あー、どうしよ」
博士の唐突な質問に俺はしっかり考えてしまう。名前ってめっちゃ悩むよなー。……俺交換するのに名前つけんの?
「別に無理につけなくても良い」
「それじゃポッチャマで」
「ふむ、そうか」
やっぱり無理だ。とても言い出せない。もういいや。
「ポッチャマ。これからよろしくな」
(もう名前までつけてたら交換するとか言えない。それにしてもこいつが相棒かー。上手くやっていけるかな)
俺はしゃがみ込みポッチャマとなるべく視線を合わせるようにして握手を求める。……が、ポッチャマはその手をはたきそっぽを向く。
「……」
「……」
俺は無言のまますっと立ち上がり拳を握る。ポッチャマもそれに応じて威嚇をし始めた。そして時計の針が動いた音を合図に喧嘩が始まった。
「てめぇ!シメてやる!」
「ポチャポチャ‼︎」
「あわわ、だめです!やめてください!」
ガチの取っ組み合いの喧嘩を始めた俺たちを止めようとヒカリが間に入ろうとする。その様子を見る博士はどこか嬉しそうに眺めているのであった。