変化の連鎖は、10年前のあの日から   作:七人の母

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今回は終始オリ展開。この小説のオリ展開は「もういいや、やってしまえ!」の精神でお送りしています。サブタイで半分ネタバレしてるが気にするな。
今回はアルム視点→タオ視点です。


新たな仲間、新たな真実

「失礼します、ルベルトさん」

「ようこそ。…早速だが、話をするとしよう」

 

俺達は今日、ルベルトさんからバレンツ邸に呼び出された。クラウディアが、俺達と一緒に冒険に行きたいと言いだした件についての話がしたいそうだ。…こちら側は何故か俺が代表としてテーブルについている。恐らく交渉事になるだろうからと任されたが、俺にそういうことが向いているとは思えないんだが…

 

「はい。まず、俺達の方ですが…ルベルトさんがNOと言わない限り、こちらにクラウディアの提案を断れる理由が無い、というのが結論です」

「ほう、具体的には?」

「「危ない」と言えば「それはライザ達も同じだったはず」と返され、「最低限護身はできるのか」と聞けば「魔力なら使えるし、戦い方も考えてる。足りなかったら教えてほしい」と言われました。ライザとタオにも「いざとなったら助けるから2人でまずやってみてくれ」といった感じでやったので…」

「成程」

「そして「俺達は一応親の許可を得ている」と言ったら「じゃあ私も許可を貰えれば大丈夫だよね?」と」

「…そうか」

 

ルベルトさんが目を伏せる。…何を考えているのだろうか。百戦錬磨の商人の内心なんて俺には読めるわけが無いが、気になるものは気になってしまう。

 

「では、こちらの結論を話そう」

「はい」

「クラウの提案を断れる理由が無い」

「…ん?」

 

…さっきも聞いた言葉だな、俺の口から。「断る」でも「断る理由が無い」でもなく、「断れる理由が無い」?どういうことだろうか。

 

「クラウがこうもはっきりと我儘を言うのは初めてといっていいくらいのことだ。だから少しくらいは聞いてやりたかったのだが…流石に内容が内容だ。正直、断るべきだと思った」

「…そう、でしょうね」

 

俺達のようにああもあっさり許可がもらえたのは、間違いなくレアケースだろう。

 

「だが娘の真剣な顔をみれば、生半可な思いでは無いことは解った。娘にそこまでの顔をさせる君たちはどんな人物なのか?それを詳しく知るべきだと思った。そこで私は、君たちの評判を島中に聞いて回った」

「…ご自分で、ですか」

「商人は自分の足で動いてこそだ。受け身では成らん」

 

…いろんな道に通じそうな言葉だな。覚えておこう。

 

「それで、聞いてみたが…まずはライザ君」

「あっ、はい」

「以前はとんでもないはねっ返りだったが、ここ最近は家の事を手伝うようになり、イタズラぶりも鳴りを潜めるようになったと」

「あー、えっと、そうですね。色々あって、ちょっと自分の行動を省みようかなと思って…」

「妙に主婦の皆様の評判が良かったが…」

「あたし、見ただけで物の品質がなんとなく解るんです。それをお使いの時とかに活かしてたら、コツを教えてほしいって…」

「ほう。興味深い才能だな」

 

商人としても役立つ才能だろうな。…ああそうだ、一応これも伝えておくか。

 

「クラウディアから聞いているかもしれませんが、ぷにまくらの制作者です。「友達のお父さんにも何か送った方がいいよね!」と言っていたので、俺がアレがいいだろうと提案しました」

「聞いているよ、錬金術というもので作ったということも。…素材が手に入るのなら、冬用もお願いしたいところだ」

「分かりました!」

 

気に入っていただけたようで、何よりです。

 

「次はレント君。以前は父親が原因で濡れ衣の悪評が広まっていたようだが…アガーテさんを始めとした護り手の方たちからの評価が高い。真っ直ぐな性格と、鍛錬を欠かさない真面目さが理由だそうだ」

「一日たりとも無駄にしたくなかっただけっすけどね。俺の目標はあの塔なんで」

「アガーテさんが言うには「私が追い抜かれる日もそう遠くはない」だそうだ」

「…言ってくれるぜ、姉さんも。そこまで言われちゃ、期待に応えなきゃな」

 

…レントが一番最初に目標にした人だからな、アガーテさんは。そう言われれば嬉しいのは当たり前か。

 

「タオ君は…主にライザ君たちのストッパーとして認識されていたな」

「止めることができてたとは言い難いですけどね…」

「そのようだ。だが、最近の何かに真剣に打ち込んでいる姿に好感を抱いている者もいたな。以前の気弱そうな姿とは別人のようだ、という声もあった」

「そ、そんなに表に出てたんだ…なんか恥ずかしいや…」

 

今はちゃんと俺達のストッパーだと思う。危険に対して敏感だからな。…しかし、本の解読の真剣さがそこまで滲み出てるのか。長年の目標だから解らないでもないが。

 

「そしてアルム君、君だが…幼少期から家族の手伝いを積極的に行っているそうだな。しかもそれを当たり前と認識しているとか」

「はい。俺にとって家族はそういうものです」

「そして戦いに関しても、アガーテさんが高く評価していたよ。魔物相手なら、護り手の誰も敵わないだろうと」

「…そうですね、魔物相手なら魔力を抑える必要もないので、火力で力押しが出来る俺の方が上になるかもしれません」

「更に友人たちも大切にしており、彼らの夢の手伝いもしているとか」

「ええ、親友ですから」

「…それと、あんないい子が懐いている兄が悪い奴が訳が無いだろうという声もあった」

「…それ、どちらかと言えばエルの評価では?」

「凡そ3割ほどの人が言っていたな」

「我が妹ながら凄いな…」

 

最後は何かが違うような気がしたが…俺に対しても概ね高評価の様だ。

 

「そういうわけで、周りからの君たちの評価を聞いたわけだが…好評はあったが、悪評らしい悪評は殆どなかったな。正確には過去のものになったというべきか」

「…それを知った、あなたの判断は?」

 

話の流れから、解り切ってはいるけどな。

 

「もう一度言うが、断れる理由が無い。力も心も申し分ないし、何よりクラウが心から信じているのだ。…クラウを守ってくれると、守り切れるだろうと思った」

「では…」

「――クラウ」

「うん」

「遅くなるなら、出かける前に先に言いなさい。…それと、怪我だけはしないように」

「~うん!」

 

…俺達の家族と、同じことを言っているな。どこの親も、子供を心配する気持ちは同じなんだろうな。

 

「なんとなく解っていると思うが、見かけの割にお転婆な子だ。無茶をしそうだったらすぐに止めてほしい」

「大丈夫っすよ。そんな感じの奴と10年くらいつるんできてるんで!」

「ちょっと、それあたしの事じゃないでしょうね?」

「自覚あるんじゃん」

「何よー!」

「もう、そんなこと言っちゃ駄目だよ二人とも」

 

急にいつもの調子で話し始める3人と、レントとタオを注意しながらも楽しそうな顔をしているクラウディア。馴染むのが早いな。

 

「…すいません、最後に騒がしくして」

「いや、子供たちはそれくらいの方が丁度いいだろう。…娘に、楽しい思い出を。頼んだよ」

「――はい」

 

こうして、俺達の冒険に新たな仲間が加わった。

 

 

「ふむ、笛の音に魔力を乗せて相手に送るのか…面白いな」

「今はまだ難しいだろうが、将来的には敵に囲まれても単独で対処出来得る力になるな」

 

冒険に連れていくならまず戦い方を覚えてもらおうってことで、僕たちはクラウディアを連れてアンペルさん達のところに来ている。それで、クラウディアの戦い方を見てもらうことにしたんだけど…結構高評価みたい。

 

「やり方次第では味方の強化も出来そうだな。攻撃と支援を同時に行える後衛…お前さんはそれを目指すべきだろうな」

「解りました!」

「よし、アルム、レント。訓練を手伝え。お前達の仲間だ、お前達が面倒を見ろ」

「はい」「解りました」

「あたしも手伝います!」

「あ、僕はちょっとアンペルさんと話がしたいから」

「ほう、私と?」

 

ちょっとずつだけど、この本の内容も解って来た。アンペルさんの目的に何か関係ありそうだったし…相談してみよう。

 

「よーし、じゃあクラウディアと一緒に冒険するために頑張るわよー!」

「ふふ、お願いね、みんな」

 

そう言ってライザ達は外に出て行った。…うん、何から話そうかな。

 

「えっと、それでこの本の内容なんですけど」

「どれくらい読み解けた?」

「…表紙と、ところどころに【クーケン】って読めるところがあったのと、何かの動かし方の説明をしているような箇所がいくつかありました。具体的にはまだ解ってないですけど…」

「…そうか」

「アルムから、僕たちの「推理」についてアンペルさんに話したって聞きました。…その内容が、本当に合っているんじゃないかって思い始めてます」

「だろうな。そこまで情報が揃っていて「クーケン島に何も関係のない何かの説明書です」などというのは考えにくいだろう」

 

だとしたら、あの時の僕の最悪の想像も、現実のものになっているかもしれないってことになる。何せ、人工物の説明書が読まれることもなく長い間地下で埃をかぶっていたんだ。整備なんてされてるわけがないし、燃料の補給も出来やしない。自動で補給できたとしても、その機能が壊れている可能性がある。

 

「…しかし、短期間でそこまで読み解けるようになってたか」

「はい。ずっと僕の目標だったので、達成にどんどん近づいていることがすごく嬉しいんです」

「そこまで喜んでもらえるなら、私も教えた甲斐があるってものだ」

 

ライザも言ってたけど、凄くいい人だよねアンペルさん。

 

「そうだな…なら、こちらも1つ教えておこう」

「何ですか?」

「クーケン島を作った技術は、錬金術である可能性が高い。いや、ほぼ確定だな」

「…え」

 

クーケン島が、錬金術で?

 

「クリント王国は、実は錬金術で繁栄していた国でな。そんな国の遺跡が大量にある人工島ともなれば…そういう結論にたどり着くだろう」

「…じゃあ、クーケン島はある意味、それそのものがクリント王国の遺跡ってことになるんでしょうか」

「確かにそう言えなくもないだろうな」

 

なんか、凄い話になってきちゃったなぁ。今まで錬金術の事を知らなかった僕たちが、実は錬金術のお陰で生活できてたなんて。この島そのものが、1つの遺跡みたいなものなんて。

…一冊の本を読み解けるようになってきただけで、こんなに凄いことが知れるなんて…!

 

「…みんなには、僕は先に帰ったって伝えて下さい」

「他の本も読み解きたくて、いてもいられなくなったか?」

「はい!」

「そうか。あいつ等にはちゃんと言っておくよ」

「有難うございます!」

 

楽しい。新しいことを知るのが、そこから新しい知識に繋がるのが、凄く楽しい!さあ、次はどの本にしようかな!




というわけで水没坑道突入前にクラウディア加入。メンバーの評判のところ、タオだけ難産でした。お前もうちょっと外出してくれ…

Q,ずいぶん早く認めてくれたね?
A,原作メンバーだけでも評判が原作より良い(特にレント)のにそこに強い上に妹のお陰で評価にブーストかかってるアルムがいるので、任せる気になってくれるんじゃないかと。4人の評判を聞く内にルベルトさんも「…大丈夫じゃないか?」ってなって、内心認めてしまっている以上口で何を言ってもクラウディアにその内押し切られると考え、それならハッキリ許可してしまった方がいいとなった一面もあります。
後、感想で「評判はアルム含めてまだまだ」と言いましたが、それについてはまだ子供だからという面が大きいです。

Q,タオの本の内容ってそんな感じなの?
A,クーケン島の操作の手引書なら、題名が「クーケン島の~」とかなっててもおかしくないと思ったので。

ここまで読んでいただき、有難うございました。
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