変化の連鎖は、10年前のあの日から   作:七人の母

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過去1ギャグっぽいサブタイ。冒頭の採集デート部分は前話と同じ日です。後はレントとタオの新武器&「アレ」について。
今回はアルム視点→クラウディア視点です。


笑顔は底抜けで良いが、床は勘弁

「よーし、それじゃあコベリナイトとついでに色々集めよっか!」

「ついでに新武器とレヘルンも試すか。青い奴はフラムでよさそうだったから灰色の奴だな」

 

俺は今、ライザと2人で水没坑道に来ている。目的はレントとタオの武器用のコベリナイトの採取と新武器とレヘルンの試運転と…まあ、以前の約束の履行だな。

2人で行くと言ったら、クラウディアも付いて行きたがっていたが…「流石に初冒険で疲れが溜まってるだろう」で何とか納得してもらった。

 

「今回もあの大きい奴には手を出さない、で良いな?」

「うん。流石に全員そろってなきゃ危ないと思うし」

「だろうな。奴には近づかず、青い奴を優先的に狙うぞ」

「おっけー!いつでもフラム撃てるように準備しとくね!」

 

さて、行くか。

 

 

「――良いな。こいつら相手なら道具も必要ないくらいだ」

「うん、我ながらいい仕事ね!」

 

幾らか倒してみたが…新しい武器の性能が良すぎた。ここまで20体以上ゴーレムを倒してきたが、道具を使ったのが2、3回程度。魔力こそ使ったが、殆ど俺とライザの攻撃だけで楽に倒すことができた。武器が変わるだけでここまで変わるんだな…

まあ一応レヘルンも試せた。灰色の奴は一撃で倒せたから、性能的には十分だろう。あの大きい奴にも通用するといいが…

 

「さーて、素材も回収回収っと。…あ、これ他のより良さそう」

「…何というか、もうすっかり錬金術士だな。始めて一週間くらいしか経ってない筈なんだが」

「そりゃねー。こんなに楽しいこと、知っちゃったら夢中になっちゃうよ」

「ああ、それは見てれば分る。錬金術を始めてからのお前はずっと笑顔というか…本当に楽しそうで、嬉しそうだ」

「そ、そうかな…なんかちょっと恥ずかしいな」

 

今まで俺が知っているライザの笑顔は、ただただ純粋な屈託の無い笑顔だった。だが最近の笑顔は、そこに真剣さというか、本気さが混ざっているように見える。生きがいを見つけたというか、何かに全力で打ち込めることの嬉しさに満ちているというか…以前の笑顔よりも、さらに魅力的に見えた。

今は、錬金術に打ち込んでいるライザの姿が一番魅力的だと思ってる。活力にあふれている、とでも言うか。…正直、アンペルさんには感謝しかない。ライザがここまで本気になれる物…錬金術を教えてくれたのだから。

 

「…さて、後は何を採取する?」

「えーっと、ちょっとアンペルさんに聞いて、試したいことがあるんだけど」

「何だ?」

「…毒物の採集、保管方法」

「…間違えるなよ?特に保管方法」

「…後でちゃんとアンペルさんにチェックしてもらうね」

「そうしてくれ」

 

…錬金術に必要なんだろうとは思うが、流石に怖いな。しっかりやってくれよ?というかこんな綺麗な場所に男女2人で来て毒物採集とかこう、ムードもへったくれも無いな。元々そういう目的とは言え…

 

 

「で、朝早くからライザは俺達を呼んで、何がしたいんだ?」

「まともなことであってほしいなぁ」

「ライザって普段2人からどう思われてるの…?」

「以前から振り回されてるからな、その感覚が抜けきってないんだろう。2人とも、まともな内容なのは俺が保証する」

 

次の日の朝、ライザが俺達を呼び出した。新しく作ったレントとタオの武器を渡すためだろう。

 

「まあお前がそう言うなら大丈夫か。ライザー。来たぞー」

「上がって良いわよー!」

 

ライザがそういったので、俺達はアトリエまで上がる。

 

「ふっふっふ、待ってたわよ!」

「またそのノリか?」

「今回は違うわよ。2人とも絶対あたしに感謝したくなるわ!」

「ホントかなぁ…」

「今日は何と、2人の新しい武器を作ります!」

 

そういった瞬間、2人の顔が真剣なものになった。

 

「新しい武器?」

「そうよー。コベリナイトから作ったブロンズアイゼンで、今までよりずっと強い武器が作れちゃうんだから」

「まともどころか、最高の内容じゃねえか。早速頼むぜ」

「任せなさい!」

 

そう言って、錬金を開始するライザ。

 

「で、お前はもう先に貰ってんのか?」

「クラウディアもな。…お前達に渡す武器の性能を突き詰めようとした結果だ。怒るなよ」

「そういうことなら文句はねえよ」

「っていうか昨日の今日でよくそんなに素材集めれたね」

「あの後もう一度坑道に行ったからな」

「3人で?」

「俺とライザの2人でだ。クラウディアは流石に疲労とかあっただろうしな」

「…とか言いつつ、2人で行きたかっただけなんじゃないの。約束したって聞いたよ」

「え、アルム君とライザって、もしかして…」

「…今は違う、とだけ言っておく。後、クラウディアを心配したのも本心だ」

 

任されている以上、体が冒険に慣れてくるまでは無理はさせられないだろう。次の日に疲れを残し過ぎると、冒険どころじゃないからな。

 

「よし、できたわよ2人とも!…やっぱりシュールねこれ」

「おう、できたか。って…」

「…明らかに釜に納まってないよね、剣とハンマー」

「錬金術って、本当に不思議…」

「出来ることも面白いなら、見てるだけでも面白いとか、本当に凄いな錬金術」

 

個人的にこういうよく解らない光景は割と好きだ。疑問に思う要素しかないのに不快さが無いからな。不可解ではあるが。まあ今回に関しては、「錬金術だから」の一言で済まされてしまうがな。

 

「まあ出来たからいいのよ!レントの剣が【コロッサルエッジ】、タオのハンマーが【クレアエンパシー】よ!さあ、受け取りに来なさい!」

「おう。…コイツでまた、塔に一歩近づくわけだな」

「前のより扱いやすいといいなあ。アレ、手当たり次第に引っ張ってきただけの奴だし」

 

ライザが2人に武器を手渡す。…の前に、クレアエンパシーは兎も角コロッサルエッジはかなり重そうだ。俺が手渡そう。

 

「はい、タオ」

「うん。…前のより軽いね」

「アンタに合わせて調整したのよ。振りにくそうだったし」

「有難う、ライザ」

「レント」

「おう。…こっちはかなり重いな、今までとは段違いだ」

「幅と厚みが違うからな。いざというときは盾としても扱えそうだ」

「ああ。重いは重いが、今の俺にはちょうどいい重さだ。有り難く使わせてもらうぜ、ライザ」

 

新しい武器は、2人にも好評だったようだ。

 

「さーて、それじゃあ早速次の冒険に向かうわよ!」

「そうだな。3人とも早めに実戦で慣らした方が良い」

「うん。今までより魔力が込めやすい感じがするから、もっとサポートできるかも」

「コイツならあのゴーレムも叩っ切れるかもな」

「少しでも早く倒せるならそれに越したことはないよね。…上手く使いこなすぞ」

 

そう言いながら、アトリエから出ようとしたその時。

 

―ギッ…

 

「「「「「…」」」」」

 

…不吉な音がした。発生源は…レントの足元?

 

「…レント」

「…おう」

「足を上げて、もう一度床を踏んでくれ」

 

―ギッ…

 

「「「「「…」」」」」

 

「…これは、アレか。コロッサルエッジが重いからいつもより床に負担がかかって、限界がきて悲鳴を上げ始めたのか」

「あんまり、音は大きくないけど…」

「こういうの、あんまり長く続くと、いつかは…」

「…マジか、どうするんだよコレ」

「…今日の冒険が終わったら考えるわ」

 

…ちょっとした不安を胸に、俺達は水没坑道の探索をした。とは言っても、俺とライザの2人でああも楽だったんだから、フルメンバー且つ全員装備更新済みのこの状況では苦戦する要素など微塵も無く。あの大型のゴーレムもレヘルンの集中砲火で安全圏から封殺できた。…そのせいで、暴れてスッキリできなかったとでもいうか、終わった後も「どうしようアレ…」みたいな空気が漂う状況に陥ってしまったが。

 

 

 

 

「…うーん」

 

今日の冒険が終わってから、私はアトリエをどうしたらいいか考えていた。このままあそこで錬金を続けていたら、最悪床が抜けちゃうかもしれない。それなら他の場所に移せばいい…けど、どこにすればいいんだろう。

 

「どうかしたのか、クラウ」

 

悩んでいる私にお父さんが声をかけてきた。…そうだ、お父さんに相談してみよう。

 

「えっと、ライザのアトリエについてなんだけど…」

 

そうして、お父さんに相談したら…

 

「あの錬金術というものの力は凄まじいものがある。…もしかしたら、小屋の1つや2つくらいは容易に建てられるかもしれん」

「でも、ライザは錬金術を始めてそんなに経ってないし、流石にそこまでは難しいんじゃないかな」

「それなら、廃屋など何かしら元となるものを利用するのもいいかもしれんな。ある程度形が残っている必要があるが…」

「そんな都合の良いもの、島にあるかな…」

「ふむ…島の中に拘る必要は無いんじゃないか?」

「え?」

「お前達は島の外で冒険をしているんだろう。なら、そのための拠点としても利用できるように、アトリエも島の外に作る…というのも、選択肢として悪くはないと思うが」

 

島の、外。…ある。少し開けてて、使われてない小屋があって、船着き場まである場所…!

 

「…小妖精の森の、あの広場」

「心当たりがあるようだな。明日、教えてあげなさい」

「うん!有難う、お父さん!」

「彼女たちには、お前が世話になっているからな。知恵の1つや2つでその分が返せるなら、願っても無い事だ」

 

明日、みんなはなんて言ってくれるかな。凄く楽しみ!




ライザ二次を書き始めてからふと「こんなとこで錬金術やってたら最悪床抜けて家がヤバいことにならね?」なんて疑問が湧いたので、そのままアトリエ建設計画に繋げてみました。
因みにレントの足元から嫌な音がしたシーンですが、2番目に床に負担をかけてるのは素の体重が5人中1番重いアルムだったりします。アイツレントより10㎝以上背が高い上に格闘キャラなので…

Q,アルムってシュール系好きなの?
A,正確には、絵面に不快さが無ければ「何だコレ」系全般が好きです。

Q,アトリエの建設先、クラウディアが提案するの?
A,今作のライザはあんまりコソコソする必要が無いので、「人目につかない場所に移しちゃおう!」という発想が出ませんでした。ならどこから出る?って言われたら、旅先で拠点を作ったりしてそうなルベルトさん辺りかなと。

ここまで読んでいただき、有難うございました。
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