変化の連鎖は、10年前のあの日から   作:七人の母

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原作は遠慮なくブレイクするもの。まあ、この二次小説はそういうコンセプトなのでね。

不漁解決&リラとアンペルの珍道中暴露。ついでにアルムの…?
今回はアルム視点→リラ視点です。ようやく原作パーティメンバー全員視点キャラにできた。アンペルだけ短いけど…

4/23 3のストーリーを踏まえてリラ視点を少し修正。


少女と少年の、大きな一歩

「最近、魚が採れなくなっている?」

「ああ、そうなんだよ。こんなことは生まれて初めてだ」

 

昨日一昨日とゆっくり休んで、アンペルさん達からも「今のところ近くに奴らは居ない」とお墨付きをもらったので、さあそろそろ行動範囲を広げようかと思った矢先、アガーテさんから頼みごとをされたので港に向かった。何でも、この頃不漁が続いているらしく、このままでは漁師さん達が干上がってしまう、とのことだ。

 

「そういうわけで、ライザの錬金術を頼りたいんだが…いいか?」

「まっかせて姉さん!…って言っても、今あたしにできるのは強力な餌を用意することくらいだけど」

「何か原因があるなら、それを取り除く方法も考えなければいけないが…」

「ん-…錬金しに行くついでに、アンペルさんに知恵を借りに行く?心当たりがないか、って」

「そうするか。…しかし、本当に切羽詰まっているんですね、漁師さんたちは。まだライザの錬金術に対して、そこまで信用はしていないんでしょう?」

「ああ。溺れる者は…っていうけど、まさにそんな心境だよ」

 

まあ、そうだろう。島の人達からは、「少し大人しくなったとはいえ、島の悪ガキの筆頭格が怪しげな術を覚え始めた」とかそんな印象でしかないだろうし、実際不漁になってからライザを頼るまで数日かかっている。余程悩んだのだろう。…逆に言えば。

 

「つまりこの問題を解決できれば、あたし達は島の人達に認められるってことだよね?」

「そうだろうな。最近いろんな人達の悩みや頼みを聞いてるらしいし、ここで1つ大きな問題を解決すれば、信用は高まるだろうな」

「よーし、やってやるぞー!」

 

そういって気合を入れるライザ。やる気になるのはいいが、アンペルさんに話を聞くのを忘れるなよ?…いや、俺がやればいいのか、それは。

 

 

「出来たよ!」

「これは…撒き餌か?だが、エリプス湖は深いから効き目がな…」

「そう言うと思って、結構強力に作ったよ!」

 

アトリエに行ってすぐに漁師さんたちに渡す【おいしい練り餌】を調合。戻ってきて早速渡した。…この練り餌、素材にクミネの実という、強くはないとはいえ毒がある物を素材として使っていた。まあ、とりあえず大丈夫なのは俺達の方で検証したので問題は無いと思うが。因みにかなり美味かった。

後、アンペルさんから聞いた事も伝えておかないとな。

 

「それと、潮目が変わると外海の魔物がエリプス湖に入り込んでくる可能性があるそうです。このエサでも駄目だったり、暫くは良くても次にまた不漁になった場合はそちらの可能性も考えた方が良いと思います」

「そんなこともあるのか…わかった、覚えとくよ」

 

もし原因が入り込んだ魔物だとしたら…船の上から探して討伐、は現実的じゃない気がするな。…どうにかしておびき寄せるか?それこそ錬金術の出番になりそうだな。

 

「しかし、な」

「どうしたの姉さん?」

「少し感動していたところだ。島の悪ガキが、ずいぶんと成長したな、と」

「酷くない!?」

「錬金術という本気で打ち込めるものを見つけたんです。成長もしますよ」

「それだけじゃあないと思うがな?」

「…何故俺を見るんですか?」

「さあ、何故だろうな」

 

絶対今遠回しに揶揄ってきてたなこの人…そういうことをあなたにされると、何も言い返せない相手だから困るんですよ。はあ…

 

「まあ、兎に角…応援してるぞライザ。錬金術士としてのお前をな」

「…っ!うん!有難う、姉さん!」

 

やはりアガーテさんからの激励は格別なんだろうな、満面の笑みだ。

…さて、今日は後どうするかな。エサはまず上手く行くだろうし、新しい場所に行くなら出来るだけ時間を長くとりたいし…ふむ。

 

 

 

 

「それでね、アガーテ姉さんが「応援してる」って言ってくれて!」

「ふふ、良かったね、ライザ」

 

餌を調合し、漁師に渡しに行ったライザがアトリエに戻って来た。認められて随分とはしゃいでいるようだ。ふふ、これだから錬金術士という奴は…

 

「それはいいが、魔物が入り込んでいる可能性は伝えたか?」

「あ、それはアルムがやってくれてたよ」

「なら良いが、お前自身もそれを忘れるなよ」

 

浮かれる弟子を引き締めることを忘れない、か。最初は「先生などできない」などと言っていたが、今のお前は先生そのものだぞアンペル。「錬金術の」ではないがな。

 

「「――ライザ!」」

「タオ?レント?どうしたの?」

「喜べライザ。あのエサ、効果覿面だったってよ!」

「ホント!?」

「うん!みんな言ってたよ、もっと作ってほしいって!」

「~っ!」

「凄いよ、ライザ!」

「ふふ、大したもんじゃないか、錬金術士ライザリン・シュタウト?」

「ふふふ、そうでしょそうでしょ!」

 

弟子の成長が嬉しいアンペルと褒められて喜ぶライザ。…見ていると、思わず笑みがこぼれてしまうな。

 

「…くくっ」

「どうしたの、リラさん?」

「いや何、錬金術士というのは、どいつもこいつも可愛いものだな、とな」

「うん、私もそう思う」

「そ、そう言われると照れるなぁ…えへへ」

「…揶揄われているだけだ。真に受けるな」

 

お前のそれが照れ隠しであることくらいもう解るぞ?長い付き合いだからな。

 

「アンペルさん、照れてる?」

「違う」

「さっきリラさんが言った錬金術士って、アンペルさんの事も入ってるよね?」

「さて、どうだろうな」

 

態々言うことでも無いだろう。…しかし、意外と踏み込んでくるな、クラウディア。

 

「ん-…」

「何だ?」

「女の人が男の人に遠慮なく「可愛い」って言えるの、ちょっと珍しいかなって。凄く気安い関係なんだなって思って」

「…ほほーう」

 

…流れが怪しくなってきた気がするな。何を言い出すんだクラウディア、それは少し発想を飛躍させ過ぎではないか?…私個人としてはあながち間違いではないのだが。

後、ライザも無駄に目を輝かせるな、お前が期待しているような話はできんぞ。…今は。

 

「アンペルさん!」

「何だ」

「実際の所どうですか!?」

「何がだ」

「リラさんとの関係というか!」

「…あくまで私の調査の護衛だ。気安さも、単純な付き合いの長さからくるものだ。お前たちもその内わかる」

「それはもう解ってるよ。でもほら、あたしはアルムにああも簡単に可愛いなんて言えない訳でね?」

「それはお前さんが過剰に照れているだけだろう」

 

アンペル、付け入る隙を与えるなよ!こちらの世界のこの年頃の女子はこういう話になると無限に想像力を膨らませる…とアルムの妹から聞いたぞ!

 

「でも、実際仲は良いよね?長い付き合いって言えるくらい一緒にいるんだから」

「だとしてもお前たちが思っているような関係では無いし、なろうとは思わん。私はコイツの常識知らずの言動に苦労させられ続けているんだぞ」

「…なんだと?」

 

その言葉は聞き捨てならんな…

 

「心当たりが無いとは言わせんぞ。息が臭いというだけで酔っ払いと喧嘩したり、気に入った果樹園を占拠したり…そもそも、私と出会った時もいきなり襲い掛かって来ただろう」

「それを言うなら貴様もだ。お節介で騒ぎに首を突っ込み痛い目を見るわ、酷吏の金庫を爆破するわ…私が被った苦労も相当だぞ」

「…何か、似た者同士だな?つーか果樹園占拠って何やってんだリラさん…」

「喧嘩するほど仲がいい、って感じだよね」

「それだけ色々あってもまだ一緒にいるわけだしね」

 

く、しまった…!アンペルの一言に乗せられて余計なことを…!

 

「と、ところでアルムは?こっちにいると思ってたんだけど」

 

良いぞタオ、助かった!

 

「アルム?なんか地図を作りに行くとか言ってたけど」

「ああ、アレか。まあアルムならちゃんとしたものを作るだろうし大丈夫かな」

「なんだ、アイツにも上手くいったって教えたかったのによ」

「ライザなら上手くいくって確信してたみたいだよ?」

「…うぅ、そういうとこアルムはズルいよぉ…」

 

…とりあえず危機は去ったか?全く…

 

「それで、もう少し二人の話が聞きたいんだけど…」

「そ、そうだね、アルムが戻ってくるまでもうちょっと時間あると思うし」

 

去ってはいなかった。ぐう、ここからどうやって抜け出す…!?

 

「流石にそろそろ止めといた方が良いんじゃねえの?突きすぎると碌なことにならねえだろそういうの」

「だからあのタイミングで無理やり話を切ろうとしたのに…」

「いやまあそうなんだけど、その、後学の為に?」

「それに、単純に2人が今までどういう旅をしてきたのかも気になるから。…恋愛話も気になるけどね?」

「…旅の話だけならしてやろう」

 

全く、ようやく収まったか。…少なくとも、こいつの肩の荷が下りん内はその手の話を私からするつもりは無い。何時になるかは解らんが…こいつ等との出会いが、その切っ掛けになるだろうか。

まあ、今考えることではない。とりあえずはこいつらには旅の話で満足してもらうか…と考えていた、その時だった。

 

――ドゴォン…

 

「っ!?」

「リラさん?」

「…何か、音がしたような」

 

気づいたのはレントだけか。…もしアルムが万が一奴らと出会い、交戦しているのだとしたら…将軍級なら、今のアルムではまだ厳しい。もしもの時の為に、探しに行くか。

 

「私は音の方を見に行く。レント、お前はアトリエの護りだ」

「解ったぜ!」

 

確かこちらの方角だったな。杞憂であってくれよ…!

 

 

「…これは」

 

あの音の現場と思われる場所に着いた。…奴らの痕跡は見当たらない。その代わり…

 

「粉々に砕けた岩に…何だ、この大穴は?」

 

確かここには、道を塞いでいた岩があったはず。それが砕けている代わりに、謎の大穴が開いている。隕石でも落ちてきたのか?…いや、それでは焼けた跡は兎も角何かに斬られたような跡があるのは不自然だな。

…火と風の精霊が少し騒めいているのも気になる。火と風…まさか?そう思っていると…

 

「リラさん?どうしてここに?」

 

道の奥からアルムが歩いてきた。…少し服が汚れているな。

 

「アトリエに居たら、何かが激突したような音が聞こえてきたからな。奴らでも出てきたのかと思ったんだが…」

「ああ…多分俺のせいですね、その音は」

「…この大穴も、お前が開けたのか?」

「そのつもりはなかったんですけどね…」

 

…どういうことだ?

 

「ちょっと、新技を開発していたというか。あの時の白い奴みたいな大物を一撃で倒すための必殺技みたいなものを」

「…それを、ここにあった岩に試し打ちした、と」

「ええ。…ただ、予想より威力も速さも出てしまったので、思い切り地面に突っ込んでしまったんですよ。這い出てくるのに20秒くらいかかりました」

「…それはまた、随分深いな」

 

破壊力だけなら、私でも敵わんな…

 

「なのでまだ実戦投入は無理ですね。もう少し制御ができるようにならないと」

「ああ。敵を倒すための技で味方を巻き込むなどあってはならないからな。…さて、みんなが心配している。早く戻るぞ」

「そうですね、地図はもう作り終わったので…それと、驚きの事実も明らかになったので」

「驚きの事実?」

「それはアトリエに戻ってからで」

 

察するにあの道の先に関することだろうが…精々楽しみにしてやろう。

 

 

余談だが、先ほどアトリエでしていた話について聞かされたアルムは、私とアンペルの関係についてこう言い放った。

 

「破れ鍋に綴じ蓋」

 

…私とアンペル以外の全員が頷いていた。




ちょっと女子2人(特にクラウディア)をはっちゃけさせてしまったかな?と思ったけどまあいいかの精神で。オーレン族(異世界人)だと知られる前にトラブルエピソードを話したので、レントからの認識がちょっとだけアレになっちゃったリラでした。

Q,アルムはなんで漁師にさん付けしてるの?
A,「働いている大人は敬うものだろう」

Q,地図が出てきたけど、ショートカットはどうするの?
A,実際にあんなの出来るわけないので、完スルーで…

Q,開発していた新技って?
A,なんとなく解っていただけるかと。完成版のお披露目のタイミングも含めて。

ここまで読んでいただき、有難うございました。
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