新武器→乾きの悪魔の話→古城突入直前。今回はライザ視点→アルム視点です。
「これが俺の新しい武器か。軽いを通り越して、気を張っていないと勝手に跳びそうな気さえするな」
「多分だけど、アルムの魔力で空を飛べると思うよ。あんまりやりすぎると調子悪くなっちゃうから、そんなに長くは飛べないと思うけど」
「…成程、やってみるか」
竜を見た次の日、あたしはみんなの新武器を作った。もしかしたら討伐隊に声がかかるかもってことで、早めに準備をしておきたかったから、畑仕事が終わってから皆を呼んで即アトリエに直行して調合。今はみんなに感触を確かめてもらってる。アルムに渡したのは、薄い水色でシャープなデザインのブーツだ。
「…一瞬の魔力の噴出による高速移動。飛行というより跳躍…いや、空を走る感覚だな」
「そうなんだ…【エアスプリンター】っていう名前の通りだね」
実際は「それくらい軽いブーツです!」くらいの意味合い何だろうけど、最初に名前つけた人もまさかこれを履いて本当に空を走る人が出てくるとは思わなかっただろうなあ。まあ、戦闘用にちょっとアレンジしてあるから厳密には同じものじゃないんだけど。金属仕込んでるし。
「コイツなら、空の敵も叩き落せそうだ。上手くやれば、竜の上も取れるかもな」
「よし、なら成功ってことで良いわね!」
そう言って、他のみんながどうなっているか見てみる。クラウディアは…うん、全く問題なさそう。【イノセントスノウ】は氷の力を持つ純白のフルートで、手袋を付けて演奏することを想定した物らしくて、キーが滑りにくい。戦ってる最中にフルートを落としたりって言う危険性が減るから、クラウディアも安心して吹けると思う。
レントは…何か前よりかなり剣の振りが早くなってる気がする。【イニシエーター】は戦場で先陣を切る兵士が好んで使ってた剣みたいで、出来るだけ軽くなるように作られてる。レントはもうちょっと重さがある方が好みそうかなーなんて思ってたけど、表情を見るかぎりでは気に入ってくれたみたい。
タオは…こっちも出来るだけ重さは削ったんだけど、まだちょっと重そう。【デストルクシオン】は破壊活動に向いてるハンマーで、要は直接殴る用のハンマーだ。一応、魔力を飛ばすタオの使い方でも以前より威力は出てるみたいだけど…うーん、要改良?まだ完成には素材が足りないからなぁ。
「それで、お前自身の武器はどうだ」
「うん、いい感じ。この杖、かなりの魔力を持ってるんだよ」
そしてあたしの武器【グリムクォーツ】。本当は一つ一つ手作りしなきゃいけないらしいんだけど…その辺は錬金術でちょっとズルしちゃった感じかな?持ってるだけで凄い魔力を感じる。あたしの魔法をもっと高めてくれる良い杖になったと思う。
「今日も精が出るな、お前さん達」
「新しい武器の慣らしを積極的にするのは良い事だ。いざというときに感覚がズレて上手く戦えないでは話にならないからな」
「2人とも、今日は島に行っていたんですか?」
「ああ、遺跡だらけ…どころか遺跡そのものと言ってもいいあの島は、いくらでも調査するところがある」
「普通に暮らしてるだけじゃピンとこないけど…やっぱり珍しいんだ?」
「ああ。大都市でもないこんな一地域にここまで密集しているのはな。まあ、あの島に関しては理由は大体解っているんだが」
「そうなの?」
「ああ。まだお前さんに教えるのは早いがな」
むー、そういうことを言われると余計に気になるなー。
「それより気になるのが…その遺跡に関する伝承などがほとんど残っていないことだ」
「その代わりにあるのが、あらゆる行動を制限する禁忌ばかりだ」
「あー…そうなんだよね。それだからあたし達窮屈で窮屈で」
「あの竜も定番の脅し文句だったしな」
「そーそー。まさか本当にいるなんて思ってもみなかったよ」
ってことは、あれはただの脅し文句じゃなくてちゃんとした警告だったのかも。例えば…
「この分だと、【乾きの悪魔】も本当にいるんじゃないかって思っちゃうよね」
「だな。もしかしたら、あの白い奴がそうだったりするかもしれん」
「あー、まさに悪魔って感じだったもんね、あれ」
「…【乾きの悪魔】?」
…?アンペルさん、何が引っ掛かったのかな?
「…お前さんたち、その乾きの悪魔はどういう存在なんだ?」
「え?えっと、乾期を呼ぶっていう、あたしたち農家の天敵だよ」
「奴らは湖を渡ってこれないから、島に入れば安全だ…なんて昔から言われているそうです」
「…湖を?」
「…それは、まさに…」
…え、え?何?
「…ライザ。確か、乾期がもう近いんだったな」
「う、うん。カラッカラな日が続いてモリッツさんがいつも以上に威張り出すちょっと勘弁してほしい時期だよ」
「…そうか。リラ」
「…ああ。調査を急がなければな」
…いつも以上に2人が真剣な感じになってる。もしかして、【乾きの悪魔】のこともアンペルさんの目的に関係あるの?
そうだとしたら、クーケン島に残ってる遺跡とか言い伝えとかって、私たちが想像もつかないくらい重大な何かがあるんじゃ…?
「…俺達が今考えるべきは、竜の事だ。2人の事はそこからでも遅くはないだろう」
「…うん。分かった」
優先順位は間違えちゃいけないよね。今は竜をどうするか、あたし達に出来ることはあるか、だ。
「…で、竜の討伐部隊の編成ができた。これはいい」
「ああ」
「その中にアガーテさんがいる。これも当然だろう」
「護り手で一番の使い手だからな」
「…なんでお前達が討伐部隊に入っている?ボオス、ランバー」
「俺は俺なりの考えがあるからだ。何の策も無しに竜を討伐できると思っているほど自惚れちゃいない」
「ボ、ボオスさんに付いて行くのが俺の役割だからだ!」
…島に戻ってすぐにボオスに話しかけられて、伝えられた内容に衝撃を受けていた。…いや、お前も護り手の中に混じっても遜色ないくらいに強いのは知っているが、それでもあの竜を倒せるかと言えば…竜が戦っている所は見ていないが、恐らく無理だろう。見ただけでとてつもなく強いと解るからな、アレは。
「アガーテは恐らく、お前達を頼れない」
「…理由は?」
「言わなくても解るだろう。お前達がいくら強いと言っても、本来ならばアイツにとってはお前達も守る対象だ」
「…だから、俺達に「戦力」を求めるのは躊躇うかもしれない、と」
「ああ。だから俺も志願した。…アイツがお前達に頼れないなら、俺が頼ればいい」
「…何?」
ボオスが俺達を頼る?…つまり、協力を要請する、ということか?
「志願したときに親父に言ったんだ、「どんな手を使っても竜を討つ」ってな。親父はそれに「その意気だ、それでこそブルネン家の男!」なんて返した。…言質は取れている、ということだ」
不敵な笑みを浮かべ、そう言い放った。…責任者の許可は得ている、と言いたいのか?
「で、どうだ?」
「一応、全員に確認はする」
間違いなく
「…流星の古城に行くんだろう?何で森を抜けていくんだ?」
「まあまあ、それは見てのお楽しみってヤツよ、姉さん」
竜の討伐部隊として古城に向かう俺達。とりあえず例の道にアガーテさん達を案内することにした。あっちからの方が間違いなく近いし楽だからな。
「ついでだし、俺達で建てたアトリエも見てもらおうぜ」
「寄り道はできないから、本当に見てもらうだけだけどね」
「建てた…?錬金術は建築もできるのか」
「正確には建て直したんだけど、それでもみんな頑張ったんだよ」
「し、信じらんねえ…」
だろうな。俺も予備知識無しなら信じられないだろう。
「というわけでまずこちら!あたし達で作った「ライザのアトリエ」だよ!」
「こんなものまで作ったのか…」
「…とんでもないな、錬金術ってのは」
「な…あ…」
「因みに2日でやった」
「「「2日!?」」」
大元が良い感じに残ってたからな。採集1日、調合午前中、立て直し午後、で2日だ。……それでもとんでもない早さだな。
「…何というか、色々置いて行かれる感じがするな」
「…そういえばお前達の武器も錬金術製なんだったか」
「な、何でもありじゃねーか…」
さて、そろそろアトリエ観賞は終わりにして進むとしよう。
「この先に、古城に直接繋がる道があります」
「…そうなのか。それなら確かに、火山を経由するより格段に早く着くな」
「道中の魔物もこっちの方が弱いからね。竜と戦う前の消耗は避けたいし」
「ただ、色々あってまだ俺達も入ったことはねえんだよな」
「うん。だからどんなところになってるのか、凄く楽しみ」
「…随分肝が据わってるな」
「多分僕よりはよっぽど度胸あるよ、クラウディアは」
「お、俺も負けてらんねえ…!」
さて、そろそろだな。
「ここを道沿いに行けば、古城の下層部分と思しき場所に出ます」
「そうか。…ところで、その大穴は?」
「ちょっと新技を試しまして…かなり深いので落ちないように気を付けて下さい」
「どんな技なんだ一体…」
もしかしたら、今回竜相手に使うことになるかもしれないな。まだ完成はしていないが…
「着きました。ここが流星の古城です」
「ここが…か」
さあ、始めるか…竜退治を。
恐らく原作キャラ強化のタグの影響を特に受けているであろう1人、ボオス・ブルネン。ランバーは…多分ちょっと割を食わせちゃうかも。
武器更新 フリーウォーカー→エアスプリンター(空中の疾走者)スロットは3つ。
武器スキル 空を駆ける(回避率上昇、翼竜及びワイバーンに与えるダメージ上昇)
今回は今のところQ&Aは無し。
ここまで読んでいただき、有難うございました。