変化の連鎖は、10年前のあの日から   作:七人の母

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とりあえず動力炉をサラッと拾わせておきました。調合&メイプルデルタ探索。
今回はライザ視点→レント視点です。


立ち行かなくなる漁師、香り立つ楓の森

「さーて、明日にはアルムも復帰するから、冒険の準備をしておかないと」

 

そう言って、あたしは錬金釜をかき混ぜていた。昨日にはレントが復帰したから、試しにってことで古城をちょっと探索してたんだけど…単純にあたし達が強くなったからか、竜の事を気にしなくても良くなったからは解らないけどかなり楽に動けた。

特にレントがなんか凄まじかった。1日まともに動けなかっただけで結構ストレスだったみたいで、動きの1つ1つになんかこう…喜びを隠せない感じが出てた。復活してた大鎧を1人で圧倒してたし。まあ、多分あたしも似たようなことになるだろうから、気持ちは解らないでもないけど。…そうなると、3日も動けなかったアルムが復帰したら凄い動きしそう。エルちゃんも「そろそろアルム兄が限界」って言ってたしね。

 

「…よし、こんなもんかな」

 

まずはフラムやレヘルンとか、今まで作った道具をより良いものに更新。ノルデンブランドは強いけどクリスタルのエネルギーも結構使うし、ちょっと威力が過剰かなって思うこともあるから、こういう比較的軽い物もちゃんと用意しておかないとね。

そしてアンペルさんから新しく貰ったレシピから作った道具。電気の爆弾のプラジグと、風の爆弾のルフト。これで攻撃の幅が広がったね。もう一つ、せせらぎの薫風っていう癒し効果のある粉もあるんだけど、そっちは材料不足で作れない。どこにあるかは分かるけど、採り方が解らないんだよね…

 

「明日になったら何するかなー。まずはアルムとタオの武器の改良ができる素材が何処にあるか探さなきゃかな」

 

古城を探索してた時に見つけた動力炉で武器の強化自体はできるけど…もっと根本的なものっていうか。特にアルムの場合、多分今の武器をどれだけリビルドしても負荷の軽減はできないと思う。多分次の段階の武器を作れるようになってからの話かな。それまではあの技はアルム自身が改良できるまで封印してもらうことになりそう。

 

「あー、あとそうだ。アンペルさん達にフィルフサって何なのかについても聞かなきゃね」

 

古城…クリント王国の遺跡の中に遺されていたものに書かれていた言葉だから、それについて調べてるアンペルさん達なら何か知ってるかもしれないしね。…まあ、なんとなくアレじゃないかって予想はついてるんだけど。

 

「後考えることは…うーん」

 

今のところは…無いかなぁ。じゃあ、島の人たちの話でも聞きに行こうかな。お願いを聞いたり悩みを解決してたりしたら、レシピ以外にも隠されたお宝の情報を貰ったりもしてるから、探索の幅も広がるんだよね。こんなリターンもあるなんて…やっぱりするべきだね、人助け。

 

 

「でっかいの!でっかいのが水の中にいたんだ!」

「でっかいの?どうでっかかったのか、教えてくれないか?」

「体と口!」

 

島を回っていろんな人達の話を聞いてたら、男の子とアルムの声が聞こえてきた。近くにリラさんもいる。体と口が大きい?水の中?…まさか、前にアンペルさんが言ってた外海の魔物?

 

「そうか。他に何か特徴みたいなのはあったか?」

「えっと、魚みたいなヒレがあった!」

「…古城に似たような奴がいたな」

「外海の魔物と特徴も合致するな。恐らく湖の魚を食いつくして浮上したのだろう。早急に退治するべきだな」

「ですね。…有難うな、教えてくれて」

「うん!じゃあね、お姉ちゃん、アルム兄ちゃん!」

 

男の子が走り去っていった。湖の魔物退治かあ…どうするんだろう。ちょっとあたしも話に混ざろう。

 

「アルム、今の話って…」

「ライザか。何でも漁師さん達が、また魚が採れなくなってきたらしくてな」

「波の向きも変わっていたから、今度こそ外海の魔物の仕業かもしれないと考えてな、情報収集をしていた。そしたら、先ほどの子供が見たというから話を聞いていたんだ」

「これで原因がほぼ確定したから、まず漁師さん達に注意喚起をしようと思う。…証言をしたのが子供だから、信じてもらえない可能性があるが」

 

そこだよね…島の大人達って、やたら頭が固い人が多くて話が通じにくいって言うかさ。

 

「なら、早く退治して「この魔物が原因でした!」ってみんなに見せるのが一番良いのかな」

「そうだな。だが水中の魔物だから、おびき寄せる方法を考えないといけないな」

「それなら恐らくアンペルが知っているだろう。アイツも島の大人たちに恩を売りたいと思っていたようだし、丁度いい」

「恩を?」

「ドレッペの高台の調査がしたいと頼んだそうだが、突っぱねられたらしくてな」

「ああ、それなら今度は見返りとして調査させろと要求しよう、と」

「そういうことだ」

「…それはまた、何というか」

 

…なんか、ちょっと汚い大人の話を聞いちゃった気がする。

 

「まあ、今日は注意喚起とおびき寄せる方法を聞いて、そこからは明日ですね」

「ああ。お前は早く戻って足を休ませておけ。散歩くらいは許されているとはいえ、一応の療養期間は今日までだろう」

「そうですね、解りました」

「おびき寄せる方法かあ…アンペルさんが知ってるって言うなら錬金術で作る何かかな。今ある物で作れればいいけど」

 

漁師達の生活に直結する問題だから、出来るだけ早くどうにかしてあげたいしね。

 

 

 

 

「さて、ようやく自由に動けるな…!」

「喜んでるところ悪いけどよ、今日のところは採取に専念して戦闘は控えた方が良いんじゃねえのか?治りたてなんだしよ」

「エドワードさんから問題は無いと言われている。というか、お前も復帰したてで大暴れしたと聞いたが」

「お前ほど面倒な怪我じゃ無かったからな」

 

ようやくアルムが戦線復帰して、今向かっているのは【メイプルデルタ】っつう森だ。何でも、全体が強い香りに包まれているそうだ。昨日アンペルさんに湖にいるらしい魔物をおびき寄せる方法を聞いたら、その為の臭いを出す香料があるらしい。で、現状ある素材でも作れるが、そこにある素材を使えばより効果が高まり、成功率が上がるかもしれないって話だ。

 

「それで、ここが入り口みたいだけど…岩に塞がれてるね」

「何でこんなところに…」

「言っても仕方ないでしょ。ほら、レント」

「へいへい…」

 

ったく、この岩多分お前でも砕けるぞ?それ言ったら、あんたの方が体力あるとか何とか言って何が何でも俺にやらせようとしてくるだろうから、面倒くさいことにならないようにさっさとやるけどよ。

 

「オラァ!…よし、砕けたぜ」

「助かる。さて行こうか」

「待って待って、早い!いつもより何か倍くらい早い!楽しみなのは分かるけど落ち着いて!」

「そんなに楽しみだったんだ、アルム君…」

「どっちかって言うと、3日間大人しくしてた反動かなぁ…」

 

お前は止まったら死ぬ病気か何かにでも罹ってんのか…?

 

 

「…おぉぉぉー、辺り一面赤い…」

「驚きすぎて面白い顔になってるぞ?」

「随分と甘い匂いが漂っているな…」

「この辺りの木から出てくる樹液の影響らしいよ」

「あ、虫がたくさん寄ってきてる。この匂いにつられてきたのかな」

 

初めて入ったメイプルデルタに、驚きを隠さないライザ。確かにまだ夏だってのに、秋みたいな辺り一面真っ赤なこの光景は驚くだろうけどよ、そんな顔をするほどか?

それよりアルムも言ってるこの甘い匂いが気になるな。甘い匂いそのものが嫌いってわけじゃねえんだが、流石にずっと嗅ぎ続けるのはちょっとな…

 

「よーし、じゃあ探索するわよ!」

「とりあえず一通り回っていくか。そこまで広くはなさそうだし、魔物もそこまで強くはなさそうだ。余裕はあるだろう」

「準備運動が念入りだね…」

「これ、この辺りの魔物全部倒すつもりだと思うよ…」

「割とすぐ復活するとはいえ、流石にちょっと同情するぜ…」

 

…結論から言うと、道中の魔物は殆どアルムが飛んで跳ねて薙ぎ倒した。俺の動きも明らかに喜んでいるとかライザが言ってたが、そんなレベルじゃなかったな…

 

 

「何かを誘うような匂い…やっぱりこの木だよね」

「木の皮だけでも何かに使えそうだな。…ん、料理にもいけそうか?」

「この木なら…うん、虫取り網が作れるわよ!」

「え、虫!?ぼ、僕にはやらせないでよ!?」

「俺もパス。多分潰しちまうからな…」

 

 

「…焚火か?」

「誰か居たのかな…」

「魔物もいるこんなところで、よくこんなことできるね…」

「骨と皮が残ってるな。魔物を焼いて食ってたみたいだな」

「ん-…錬金術に使えるし、それは貰っておこうかな」

 

 

「この宝石みたいなのはなんだ?」

「えっと、琥珀だと思う」

「あ、これよ!タオの武器の強化に必要な素材!」

「やっと見つかったんだ…帰ったら早速お願い、ライザ」

「出来るなら塊を一つ持ち帰ってみたいところだな。こういうの、エルが好きそうだからな」

 

 

「…よし、釣れた!」

「うん、これだけあればいいわね。ありがと、タオ」

「タオ君って、釣り上手なんだ」

「集中力なら一番あるからな。本の解読に夢中になりすぎて、いつの間にか朝から夕方まで経っていたことがあるくらいだ」

「逆に俺はできそうに無いな、これ…見てるだけでじれったいぜ」

 

 

「さーて、色々集まったわね!」

「まず魔物寄せの香料、次にタオの武器、そして虫取り網。後は…出来る物から順番にだな」

 

今日も限界まで採集してアトリエで調合。いつものパターンだな。とりあえず、そろそろ甘い匂いがきつくなってきたから有難いぜ。

 

「あと、フィルフサって言葉についてもアンペルさんに聞いておきたいよね」

「クリント王国が竜を呼んでまで倒したかった敵か…どんな奴なんだろうな」

「2人が知っててくれればいいけど…」

 

2人が知らねえなら、それはそれでアルムの言う「知る楽しみ」って奴があるけどな。…いや、これに関してはそうも言ってられねえか?竜を呼ぶほど国が恐れたバケモノ達なんだろうしよ。

 

「その辺りをハッキリさせるためにも、アトリエに戻るぞ。今は湖にいるであろう魔物退治が最優先だしな」

「うん。あたしは調合するから、その間にちゃんと聞いておいてね」

 

さて、やっておきたいことは結構あるが…一つ一つ確実に済ませていくか。




話の順番もちょっと組み替えてます。タオが釣り得意なのは完全独自設定。

Q,樹皮が料理に使えそうって、どうやって判断したの?
A,齧りました。

ここまで読んでいただき、有難うございました。
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