変化の連鎖は、10年前のあの日から   作:七人の母

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3/4 サブタイ変更。改めて見ると流石になんだこれってなったので…
ここのクラウディアのフルートの腕前は初登場時点でプロ級だったり。支援能力と言い、なんかやたら才能を盛ってしまった気がする…

所謂次章への繋ぎの回みたいな奴。虫取りする2人とついでみたいに掘られるアレ、そして最後に…
今回はクラウディア視点→ライザ視点→????視点です。


疲れた少年、前向きな少女達、焦る少年

「ふー…此処(アトリエ)が一番落ち着くな…」

「アルム君、なんだか疲れてるね」

「ああ…こう、周りからの視線というか、印象というか、そういうのが一気に変わったからな」

 

湖に入って来てた魔物を退治した私達は、島の人達からの評判が一気に良くなった。ライザとかは有名ないたずらっ子だったって聞くし、アルム君も評判はそれなりに良かったけど、それでもまだ子供だからってことで、そこまで大きなことができるとは思われてなかったみたい。

だけど、ライザが島の人助けを始めたり、皆で竜退治をしたりしてその評価が変わり始めて、あの外海からの魔物を倒したことで完全にいい方向に傾き切った。特に外海の魔物は島のいろんな人たちの生活に直結してた問題だし、そう言う意味では島の人達を救ったって言っても過言じゃないもんね。

そういうわけで、今ではみんな島の有名人で人気者…って感じになったんだけど、そう言う空気がアルム君にはなんていうか…むず痒いというか、肌に合わない感じみたい。

 

「…何というか、クーケン島じゃない別の場所にいるような気分になって来てな」

「そういうの結構敏感っていうか、繊細なんだね」

「正確には、変に持ち上げられたくないんだよ。自分に自信が無いとは言わないが、下手したら英雄視されているんじゃないかと思える今の感じはな…正直、少し気恥ずかしさと息苦しさがある」

「リーダーって呼んでほしくないのもそういうこと?」

「…そっちはただ単に恥ずかしいだけだ。からかい混じりだと解っているからな」

 

持ち上げられると恥ずかしいのは、私もそうだから解るな。確かにフルートの練習も冒険のサポートもしっかりやってるつもりだけど、「クラウディアより上手い人がいるとか想像つかない」とか「いるのといないのとじゃ天と地の差がある」とか、嬉しくない訳じゃないけどいくら何でも言い過ぎだよ…

 

「後、アガーテさんを騙しているようでちょっと申し訳ないって言ってなかったっけ」

「それも理由として無くは無いが…俺達にとっても島にとってもアレが多分最速で最善だっただろうからな。そっちは何とか割り切ることにする」

 

確かに、島で討伐したから直ぐに証拠としてあの魔物を見せることができたし、それで漁師さん達も直ぐに漁を再開できたからね。まあ、魔物を倒して直ぐだったからあんまり捕れなかったみたいだけど、今日の朝ライザがもっと強い匂いの餌を渡してたし、今日はちゃんと捕れるんじゃないかな。

 

「アルム居るー?」

「…ああ。どうかしたか、ライザ?」

「ん-…朝から思ってたけど、やっぱりちょっと元気ないね。…よし」

 

そう言って、ライザが何かを取り出した。…虫取り網?

 

「えっと、ライザ、その虫取り網は?」

「これを持ってやることなんて1つでしょ?アルム、気分転換に虫取りに行こう!」

「…虫取り?」

 

…偏見かもしれないけど、なんだか男の子みたいだよ、ライザ。

 

「ジッとしてるより動いた方が気も晴れるよ。少なくともアルムはそうでしょ?」

「…そうだな。それに、虫も錬金術にも使えそうだしな」

「そうそう。あ、クラウディアも一緒に来る?」

「うーん…お邪魔になっちゃうといけないから、止めておこうかな?」

「そ、そういう気は遣わなくていいの!」

「お前な…」

 

ごめんね?でも、こういうことで揶揄われると慌てるライザと、ちょっと照れるアルム君がなんだか可愛くて、ついこういう言い方しちゃうんだ。

 

「それに、ちょっと1人でやりたいこともあるし。遠慮なく2人で楽しんできてね」

「…そういうことなら行こうか、ライザ」

「あ、う、うん。じゃあクラウディア、行ってくるね!」

「行ってらっしゃい、2人とも」

 

こういう時、ライザは結構照れちゃうから押しが弱くて、アルム君が少し照れるけど結構積極的なんだよね。…レント君曰く、ライザはアルム君に膝枕したことがあるらしいけど。それができるなら大抵のことはできると思うな…

 

「…それじゃあ、新しい曲の練習でもしようかな」

 

皆に私の演奏を聞いてもらえるのは嬉しいし、褒めてもらえるのも恥ずかしいけどそれ以上にすごく嬉しい。だからもっと楽しんでもらえるように、もっと上手に、もっといろんな曲を吹けるようにならなきゃ。

 

 

 

 

「ん、コイツは確か島にもいるな。日が当たる葉の上でジッとしてる奴だ」

「あ、このアリも見たことあるかも。お尻だけやたら大きいの何でだろう?」

「ああ、そこに蜜を溜めてるんだ。食べるとちゃんと甘いぞ」

「…食べたの?」

「…小さいころに図鑑で見たら、本当か気になってつい」

 

虫取り網を片手に小妖精の森で虫取りを始めたあたし達。とりあえず手あたり次第に色々取ってみることにしてみたけど、意外と島でも見る虫もいた。まあ、場所が近いからいても不思議じゃないんだけど。アルムは背中に七つの星模様がある虫を2~3匹手に乗せて眺めてる。虫、結構好きなのかな?

…流石にアリを食べたことがあるっていうのはちょっとビックリした。子供の頃で、甘いって図鑑に載ってたからって普通食べるかな?…今は兎も角、子供の頃のアルムならやるか。

 

「因みにこのアリ、最近開発したらしいプティング…だったか?アレに使ったりとかできるのか?」

「その発想はいらなかったよ…多分駄目じゃないかな、なんかしっくりこない」

 

多分アレに使う調味料は、ハチミツが最適だと思う。そうじゃないならメイプルデルタの木の樹皮かな。このアリを調味料として使うとしたら…うーん、浮かんでこない。根本的にレシピというか、発想が足りてない感じがする。

 

「で、コイツは島にはいないな。…コイツも尾がやたら大きいな」

「ん-…なんかちょっと不思議な感じがする。魔石とちょっと似てるような、むしろ真逆なような」

「神秘の力を秘めているということか。だが同じ使い方はまずできない、と」

「そんな感じかな。…その大きな尾は何なんだろうね。調べたら解るかな?」

 

図鑑とか見て、無かったらアンペルさんに聞こう。

 

「それで…コイツだな」

「念のため多めに虫かご持って来といてよかったね…絶対危ないよ」

「他の虫を捕食していたからな、肉食なのは間違いない」

 

そして、捕まえて即座に虫かごに入れた赤い蜂。凶暴な性格みたいで、ここから出せと言わんばかりにブンブン羽音を鳴らしてる。蜂だから毒とかあるかもしれないよね…錬金術の素材としては有用かもしれないけど、それ以外では絶対に近づきたくないなぁ。

 

「で、虫じゃないけど…これだね」

「…まさか泡を捕まえて持って帰る日が来るとは」

 

そして最後、シャボン草が吐き出してた泡。本体は採ったことあるけど、今回は浮いてる泡も別に採取した。虫取り網のサイズと硬さが丁度良いんだよね。意外と割れないし。

 

「この前貰ったレシピの中で唯一作れなかった【せせらぎの薫風】っていうのがあるんだけど、これが必要な素材だったんだよね。採れてよかったよ」

「この泡からどうやったら薬品が生みだせるんだか…」

「それが錬金術だって、もう解ってるでしょ?」

「…それもそうか、深く考えるのは駄目だな」

「奥は物凄く深いのにね」

 

いつも新しい体験をあたし達にくれる錬金術。これからその奥の奥まで知ることが出来たらいいな。

 

「さて、粗方採集は終わったし、戻るか」

「うん。戻ったら何しよっか」

「…温泉でも掘ってみるか?この前試してみたいと言ってただろう」

「あ、じゃあレントも呼ぶ?」

「いや、俺一人でいい。良い方法を思いついたし、アイツは何か目標があるみたいだからな。リラさんとの修行に集中させてやろう」

 

良い方法?ショベルで掘る以外の方法あるのかな…?

 

「ん-、そこまで言うならお願いしよっかな」

「ああ。上手く行けばすぐに終わる」

 

温泉、湧いてきたらいいな。

 

 

「…よし、上手く行ったな」

「…うん、湧いたよ?湧いたけどさ…」

「何だ?」

「やり方が無茶苦茶過ぎない…?今の、竜を倒した時の技だよね…?」

「うまく調整できるようになった気がしてな。ついでに試してみた」

「それはいいけど…アトリエにいるクラウディア、凄くビックリしたんじゃないかな。凄い音したし…」

「…それは考えてなかったな。後で謝っておくか」

 

…相変わらず、時々あたしが想像すらできないことをサラッとやるなあ、アルムは。

因みにクラウディアはやっぱり凄くビックリしてたらしくて、アルムに「そういうことはやるならやるって先に言って!」って怒ってた。うん、これはあたしでも怒るよ、アルム。

 

 

 

 

「…ほ、本当に来ちまった…」

 

…島のほとんどの人が寝静まった夜、俺は小舟を無断で使って対岸に来ていた。理由は…強くなるためだ。

あいつ等は竜退治と湖の魔物退治で一躍時の人。…それは、認めるしかない。妬んだりとかそんなレベルを超えてるくらい凄いことやってるのは、俺にも解る。

アガーテ姉さんは外で訓練を積んで、護り手として島に戻ってきた人だ。竜相手にも一歩も引かないくらい力も心も強い。そんなことは前から知ってる。

そして、ボオスさん。外に出て冒険してるあいつ等とか、本格的な訓練をしてきた姉さんに比べれば流石に一歩譲るけど、それでも強い人だ。特に竜との戦いで、勝利の最後の一押しになったのはボオスさんの行動だ。それは、あの場にいた全員が解ってる。

…じゃあ、俺は?少なくとも、あの場では何もできなかった。ボオスさんの側近を名乗っておいて、そのボオスさんにむしろ庇われて、最後まで何もできなかった。…自分が情けなくて、悔しかった。

 

「…強く、なるんだ。素振りとか、手合わせだけじゃ足りない」

 

だから、俺も魔物と戦って強くなる。元々強かったアルムとレントは兎も角、ライザとタオも魔物と戦いだしてから強くなったんだろ?だったら、俺も同じように強くなれるはずだ…!

 

「…やってやる。今度こそ、胸を張って、俺はボオスさんの側近だって、名乗れるようになってやる…!」

 

魔物への恐怖を押し殺すように己を奮い立たせ、俺は前に進んだ。…この行動が、後にあんな結果を招くなんて…この時の俺は、想像もしてなかった。

 




ライザ二次でこんな使われ方するオリ主のフェイタルドライブ、これくらいだろうな。(そもそも絶対数が少ないとか言うのは禁句)
そして今回の視点三人目は…まあ一応名前は伏せますけどモロバレですよね。

Q,タオは?
A,アンペルさんの調査に同行してます。

ここまで読んでいただき、有難うございました。
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