変化の連鎖は、10年前のあの日から   作:七人の母

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気まぐれ更新とか言いながら3日連続更新である。
ちょっと期間が開きだしたら「コイツネタ切れたな」くらいに思ってください。

最後の一文をしっくりくるものにするの、特に難しいなあと思ってます。

今回はアルム視点の方が後です。
時系列は「アルムとレント」から大分飛んでます。原作まで3か月無いんじゃないかくらい。

それと、シリアスな上にある意味ぶっ飛んだ話になります。ついでにライザ本編のド級のネタバレです。

4/3 噴水関連の台詞修正。


アルムとタオ

「…こっちはダメだった。タオ、そっちは?」

「ダメだったよ…一体、どうすればいいんだろう」

 

アルムの家にある大きめの机に、本と内容を書き写したメモを置いて、僕たちは悩んでいた。とある日、僕はアルムの提案で二人で島中に聞き込みをしていた。僕の目標である、家の地下にある書庫の本を読み解く為の情報収集だ。元々いくつかの文字列は書き写してたから、それについて見覚えが無いか手分けして聞いて回ってたんだけど…答えは全て「ノー」だった。

 

「この島にあるなんてことない家にわざわざ置いてあるんだから、同じところに手掛かりの1つや2つあってもおかしくないんだけど…なんでなんだろう」

「村長も見覚えが無いと言っていたし、ボオスはモリッツさんや一応ランバーにも聞いたそうだが…。普段島民が行かないような場所にあるのか、それとも…そもそも島の外にあるのか」

「島の外…かぁ」

 

確かにそれが一番あるかもしれない。村長やモリッツさんすら知らないのなら、少なくとも纏められた資料としては残ってないのかも。…単純にご先祖様が趣味として集めてたものかもしれないけど、その可能性は一旦排除してる。それだと本当にとっかかりが無いし。だから、クーケン島に残されていることと特殊な文字で書かれていることから「クーケン島にとって重大な且つ秘密にしておいた方がいい何かが書いてある貴重な資料である」という前提で僕たちは動いてる。

…なんで「重大」って仮定しているのかというと、エルちゃんが「よくわからないところに眠ってるよくわからない本なら、多分そういうのだと思う!」なんて言ったから、とりあえずそういうことにしとこうかってことになったからだ。本が好きなのは良い事だけど、影響され過ぎじゃないかなぁ。

 

「そうだったら島の中で手掛かりを探してもしょうがないよね…だとすると、残った手段は…」

「この島に交易に来る船の商人に、ついでで良いから頼んでもらう…か。もっと成長すれば、外に出て探しに行けるかもしれないが」

「…できるかなぁ」

 

前者のほうは、ボオスにお願いすれば頼んでくれるかもしれないけど、見つかるかどうか分からないし、後者は…そもそも、外に出て無事でいられるかどうかがわからない。レントの冒険についていけば大丈夫かもしれないけど、そこまで待ってくれるとも限らないし、僕の都合でレントの気勢を削ぎかねない真似はあまりしたくない。

…逆にライザはもうちょっとくらい気勢を削がれてもいいと思う。少しだけ大人しくも真面目にもなったけど、相変わらず色々振り回されてるし。…8割くらいレントが。っていうかその行動力アルムにも発揮しようよ。絶対アルムからも脈あるよ、「俺は呼ばれないんだよな…」なんてちょっと寂しそうに洩らしてたし。まあ、アルムのイメージに配慮してるのかもしれないけど…レントの体力にも配慮してあげよう?

 

「まあ、どっちにせよ今できることじゃないな。じゃあどうするか…」

「どんな本なのか、もっと考えてみるとか?」

「わ、エルちゃん」

 

唐突にぴょこっと顔を出してそんなことを言うエルちゃん。確かに、今この本についてできそうなことはそれくらいかも。

 

「もっと、か。何がどう重大なのかってことだよね」

「…あの枯れた噴水から、水が噴き出るようになる方法とかか?」

「生活とブルネン家のあれこれに直結しそうだね。…そもそもこの本、見たことない文字がすごく綺麗に揃って書かれてるんだよね。もしかしたら文字の書き方も特殊なのかも」

「文字だけでなく、筆記具もか…だとすると、何かしらの特異な技術についての本かもな」

「何かしらの技術書ってこと?…それ、クーケン島もその特異な技術に関わってるってことにならない?」

「前提からすべて想像でしかない、この説が正しければな」

 

…もし本当にそうなら、そんな本を地下に保管してた僕の一族って結構重大な役割があったりするんじゃ…だとしたら、尚更資料とかちゃんと残しておいてほしかったなぁ

 

「特異な技術って、良く解らないけど凄い技術ってこと?」

「うーん、まあそんな感じかな?」

「じゃあ1個思いついた!」

「なんだ?エル」

「実は、誰かがつくったものだった!」

「…何が、だ?」

「クーケン島!」

「…」

 

…子供の想像力って、いや僕も年齢的には子供なんだけど、時々とんでもないことを思いつくよね。つまりエルちゃんは、その特異な技術で何者かがこの島を「建造」したってことを言いたいみたい。今どんな本読んでるんだろう、この子。

でも、もしそうなら、この本は…

 

「…正直、荒唐無稽が過ぎると思うが」

「…うん」

「もし本当に、今のエルの思い付きが真実だとしたら…」

「…この本は、クーケン島の【歴史書】とか【取扱説明書】かもしれないってことになる、よね。で、歴史書なら別にみんな読める字で書けばいいから…」

「…説明書の方が可能性がある、か」

 

…なんかすごい話になってきた。しかもこれ、そう考えると辻褄が意外と合うんだ。

まず説明書だっていう仮定は、どれだけ凄くても人が作ったものなら、きちんと整備しないといけない。だったら、その方法を書面で残してある可能性は高いから。

特殊な文字は、悪用の防止目的で専門的な技術と知識を持った人間以外に読み解かせない為。単純に秘匿すべき技術だったからかもしれないけど。

そしてもし説明書なら…途中にあった図は、恐らく機能を制御するための作業手順。今思うと部品みたいなものも描いてあった。

それ以外の挿絵も、機能の説明というか、そんな感じの内容に思えてくる。

そして、そこまで考えが行きつくと…

 

「…ねえ、アルム。今最悪な想像しちゃったんだけど」

「…何だ」

「島の、涸れてる噴水さ」

「ああ」

「昔は湧いてた水って、あそこから出てたかもしれないよね。それが、今出てないってことは…」

「…おい、まさか」

 

「…クーケン島、壊れかけってことにならない?それか、燃料不足」

 

…そんな僕の言葉に、アルムどころかエルちゃんまで絶句していた。

 

 

 

 

「…」

 

タオの「最悪な想像」を聞いた後…俺は海岸に来ていた。少しでも、クーケン島に関する発見をする為だ。もしクーケン島が人工物なら、どこかにそれらしい痕跡があるはず。そして、それが今まで見つかっていないのなら…

 

(…湖面の、下)

 

そこにあるとしか、思えない。今まで何で見ようともしなかったのか不思議なくらい、発見がありそうなところだ。

 

(…風の魔法を頭に纏えば、海水が目に入るリスクは減らせる。服が濡れるのは、炎で乾かせばいい。流れが強くなっても、魔力での強化で乗り切れる)

 

湖に潜る際の懸念事項を、1つ1つ確認する。そして…

 

「…行くか」

 

意を決して、飛び込んだ。そして少し潜ると…

 

「…ッ!!!!」

 

目の前の光景に、驚愕した。

島の方を向いていたはずなのに、水中の光景が広がっていたからだ。上を見れば、勿論クーケン島がある。つまり…

 

(浮いて、いる…!この島は!クーケン島は!!湖の、上に!!)

 

そして、無人ならともかく…あれだけ人が住んでいて、あれだけの建物が建って、どことも繋がってない。そんな浮島が、沈んでいないし、そんな気配もない。自然の浮島で、そんなものができるのか?俺にはそうは思えなかった。ただの知識不足なのかもしれないが…

 

(だが、人工島だとしても…)

 

どういった技術があればこんなものができる?少なくとも1個人でこれをやろうとなればどれだけ時間がかかるか…想像もつかない。

 

(あの本、俺たちの想像以上にとんでもない技術が関わってるかもしれない)

 

これで、ただの良く解らん趣味の本だったら、ただの肩透かしで終わりだ。だが本当に、人工島の説明書なんてものだったら?そして、タオの最悪の想像が正解で、それを打開するために本に書いてある情報が必要だとしたら?…今の俺たちにどうこうできる程度の話じゃない。

なにせ、説明書を読み解くノウハウすら無い。なら、技術なんて以ての外だ。

 

(…友達の手伝いをしてただけ、のはずだったんだがな)

 

いくら何でも話が大きくなり過ぎだ。そう思いながら俺は湖から上がる。とりあえず、ボオスには商人への依頼を頼んでおくとして…

 

「…これ、タオに伝えるべきか?」

 

お前の最悪な想像が少し現実味を帯びてきたなんて、生来臆病なあいつにどう伝えればいいのか。服を乾かしながら、俺は頭を抱えた。




Q,こいつら察し良すぎじゃない?
A,アンペルさんが来ないと本が読めないから本の話できない→タオとの話も広げにくい から始まって
読めなくてもできる本の話ってないかな→内容についての妄想とか? ってなって
エルも出しつつ色々組み立てていったら、思い付きと推理だけでほぼ正解にたどり着いて、そしてダイビングで裏付け取れた。
…こうでもしなきゃ原作開始前のタオとの話が書けませんでした。ある意味ぶっ飛んだ話というのも、エルの思い付きとこの2人の推理力の話です。ご都合主義と言われても仕方ないかも…

Q,もう「ちょっとした」じゃすまなくない?
A,思いついたので変更しました。

Q,ライザ2的に、タオって色恋には鈍感なのでは?
A,ライザ→アルムに関してはレントが言いました。タオも「言われてみれば…」みたいに納得しました。とりあえず他人のは察せます。

Q,今エルは何を読んでるの?
A,人工島の上の決闘場、みたいなのが偶に出てくるシリーズものです。主の名誉のための決闘、みたいなのが時々描かれます。
よくわからないところに~という発想もこの本から来ました。

Q,「じゃあ今の水源って何?」みたいな疑問は出なかったの?
A,たどり着いた仮説があまりにも衝撃的過ぎて、そこまで思い至りませんでした。

Q,どうやって海水が目に入らないようにできるの?
A,風を纏わせて無理やりかきわけてます。要はフルフェイスのヘルメットを風で作ってます。

Q,前2話と比べて文字数少なくない?
A,後半が完全にアルム1人だし、ダラダラと推理してもアレなので。あと、シリアスに余計な話は差し込みにくかったです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
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