変化の連鎖は、10年前のあの日から   作:七人の母

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前話でどんだけ詰まってたんだって話である。

アンペルは技名言わない勢。この二次だと他にアルムとリラ(アインツェルカンプ除く)が該当します。

竜討伐。今回はアンペル視点→アルム視点です。
3/29 誤字報告があったので修正。


彼らと遭遇した竜は、どうも碌な目に合わない

(さて、全員配置についたか)

 

召喚機に誘われて飛来した青い竜。それを討伐するための策を成すために私はタイミングを見計らっていた。…策と言っても、二重三重の罠を張るだとか、策だけでどう転んでも確定勝利だとか、そんな大層なものではないがな。

私は召喚機の西側にある程度形が残っている建物があったので、その中で待機している。折角こんな都合の良い位置に残っているんだ、有り難く使わせてもらおう。…途中の道が崩れていたので、流石にリラに運んでもらうことにはなったが。

同様に、ライザ達にも召喚機の南側に残っている建物を利用させている。そっちは中には入らず、陰に隠れているだけだが。

 

(普通に戦ったところで負けることは無さそうだが…消耗は減らすに限るからな)

 

戦闘に於いて特に消耗するのは、相手の攻撃に対応するときだ。避けるにしろ受けるにしろ、攻める時以上に一度の失敗が致命傷になりかねないからだ。だからより神経を尖らせる必要があり、結果的に肉体、精神両面で大きく疲労が溜まる。

そしてそれは、我々人間だけでなく、奴ら竜にとっても同じことだろう。そこを衝く。

 

(それでも不確定要素は少なくは無いが…まあ、そうなったら一番危険なのは奴に真っ先に仕掛ける私だ)

 

私が魔法で奴に攻撃する。それが作戦開始の合図だ。その時、少しの間奴の注目は私に向けられることになる。というより、こちらに注目するまで攻撃を続けると言った方が正しいな。

 

(…さて、奴が高度を下げた。そろそろ仕掛けるか)

 

この辺りに奴を脅かすような魔物は居ない。だから、奴はほぼ無警戒で休憩の為に地上に降りてくる。…だが、それが命取りだ。行くぞ!

 

時よ、巻き戻れ(クロノリバース)!」

 

まずは奴の時に干渉し、その力を削ぐ。…恐らく殆どダメージは入っていないだろう。竜がこちらを睨みつけてきたが、「何かしたか?」とでも言いたげな表情だった。なら…

 

「もう少し何かさせてもらおうじゃないか。…少し止まっていろ(バインドシュート)!」

 

先ほど施した時への干渉を長続きさせる為に追撃を行う。…少し表情が変わったな。己の異変に気付いたか?

 

――ガァァァァァァァァァァァァッ!!

 

私に向かって竜が咆哮する。狙い通り、私に意識を集中させることができたな。

 

(さて、ライザ達は…良し、出てきたな)

 

このまま待ってもいいが、私の安全確保とライザ達がより接近できるようにするためにもう一手打たせてもらう。

 

「雷を食らえ!」

 

コアにセットしたアイテム「雷の呼び鈴」の力で呼び寄せられた雷が竜に直撃する。これは流石に効いたようで、苦しそうな呻き声をあげた。そして…

 

「よーし、射程圏内!行くわよ二人とも、せーのっ!」

「「「ローゼフラム!」」」

 

立て続けにライザ、クラウディア、タオの3人が同時にフラムの強化版である「ローゼフラム」を叩き込む。

 

「まだまだ、畳み掛けるわよ!」

「「うん!」」

 

そして間髪入れずに3人が魔力で弾幕を張る。ローゼフラムなどと比べれば威力は無いだろうが、消耗した奴にとっては鬱陶しいことこの上ないだろうな。今すぐこの場を離脱したいだろうが…

 

「させんよ。もう一度止まっていてもらおうか(バインドシュート)!」

 

再び干渉を延長させ、奴の動きをより鈍らせる。奴は時への干渉とダメージによる疲労で中々飛び立てずにいる。

 

「うおおおおおおっ!」

 

そこに、弾幕の中を駆け抜けたレントが肉薄。大剣の一撃で右の脇腹の辺りに傷を負わせた。…ここまでは完璧だ。次は…?

 

――グ、オオオオオオオオオオッ!

 

竜は無理矢理捻り出したような咆哮と共に、強引に飛び立った。そしてある程度高度を稼ぐと、翼を大きく広げ、大きく息を吸うような体制をとった。

 

「あれは、古城の竜と同じ…!」

「大技の準備体勢だ!」

「…成程、アレがか」

 

大方、まともな攻撃が届かない高度まで上がり、広範囲の一撃で全員纏めて吹き飛ばすつもりなんだろう。たが、竜よ。

 

「我々は、5人でここまで来たわけではないぞ?」

 

そう私が言うと同時に、崖から竜の上目掛けて黒い人影…リラが飛び出し、竜がそれに気づく。咄嗟に標的を飛び出したリラに変えようと体制を少し変えたが…次の瞬間。

 

――ドゴォォン!

――ガァァァァァァッ!?

 

轟音と共に、先ほどレントが傷を付けた竜の脇腹に巨大な青い矢――アルムの蹴りが突き刺さり、竜は悲鳴を上げる。

 

「その二人に気づけなかったのは、不運だったな」

 

私は勝利を確信しながら、そう口にした。

 

 

 

 

 

『竜の完全封殺…ですか』

『ああ。それも、消耗を可能な限り少なくして、だ』

 

アンペルさんから提案された策、それは「不意打ちから相手の動きをコントロールし、何もさせないまま殺しきる」というものだった。…このメンバーとはいえ、竜相手にそれができるだろうか?

 

『まず私が仕掛けて注意を引き付け、そこにライザ達が間髪入れず追撃し、更にレントが一撃。恐らくここまででは倒しきれないだろうから、飛びたそうならわざと飛ばせる。そうでないなら、まあそのままでいい。

もし飛んだなら、単に逃げるか、それともお前達が言っていた大技が飛んでくるか、どちらかだろう。そして恐らく、大技を撃ってくる可能性の方が高い。古城の竜の物と似たようなものであるならば、だがな。

そして、そんな大技の準備となれば、大抵は隙だらけなものだ。…そんな時に全力なら竜の頭すら吹き飛ばす男の一撃が不意に入れば、奴とてひとたまりもないだろう』

 

…要するに、アンペルさんが言いたいことは。

 

『俺はこの崖を登って、竜が大技を出してくるのを待て…ということですか』

『ああ。…ところで、我々人間と比べた時に竜が持つ最大の強みは何だと思う?』

 

竜が持つ最大の強み…恐らくは。

 

『空を飛べること…ですか?』

『ああ、空を飛ばれれば普通は我々には成す術がない。だがお前はある程度空戦に対応できるだろう。だから大技の隙を突いた後、奴の翼をへし折って地面に叩き落してほしい。ただ、一人ではアルムでも厳しいだろうから…』

『私も崖上に行け、ということか』

『ああ。お前の爪で事前に傷でもつけて、尚且つ片翼はお前が担当すればより確実だろう。お前なら、あの崖から跳べば届くだろうからな。それと、先にお前が跳んで竜の意識を向けさせることが出来たなら、それだけアルムの不意打ちが決まりやすくなるな』

 

…本当にえげつないというか、殺意しかないというか。

 

『傷か…そう言うことなら、俺の一撃はアルムが突っ込むところに入れといた方が良いんじゃねえか?』

『そうだな、その方がより効くだろう』

『あたし達の追撃って、まずどうすればいいかな』

『ローゼフラムで良いんじゃない?アレ、威力凄いし』

『その後はレント君が前に出やすいような形で追い打ち…かな?』

『ああ。それで私達が奴を空から引きずり落としたら一斉攻撃で止めだ』

『ふむ、それなんだが。止めはレントに任せてみようと思う』

『俺に?』

 

レントが止め役…ああ、成程。

 

『確かお前、ようやく必殺技の案がまとまったと言っていただろう?ついでだ、ここで形にしてみるといい』

『ぶっつけ本番でか…いやまあ、確かにそこで俺がミスったところで勝ち負けは変わらねえけどよ』

『まあ、お前なら上手く行くだろう。むしろ、俺がミスをしてレントの邪魔をしてしまうことを気を付けた方が良いくらいだ』

『…お前にそこまで言われちゃ、絶対やるしかねえじゃねえか。やってやるぜ…!』

 

後気にすることは…ああ、これは聞いておかなければな。

 

『もし、そもそも飛ばなかった場合は?』

『それはそれでお前達が上から奇襲できるだろう。狙いは少し付けにくいだろうが』

 

考えてみれば、飛んでいない時点で相手は最大の有利を自分で潰していることになるから、それはそれでいいのか。

 

『さて、他に質問は?…無いようだな。では、各々持ち場についてくれ』

 

さて、俺の役目が恐らく一番重要だ。気合を入れて行くか。

 

『ああリラ、私の持ち場だけ途中の道が崩れているから運んでくれ。流石にあれは通れん』

『…仕方のない奴だ』

 

そう言いつつ、リラさんがアンペルさんを持ち上げた。…俗にお姫様抱っこと呼ばれるやり方で。

 

『…なあ、アレ…』

『凄く自然にやってたね…』

『絵面のシュールさが酷いよ…』

『アンペルさんは何とも思わないのかな、あれ…』

『…あの2人の距離感がよく解らん』

 

何というか、微妙に締らないな…

 

 

(ここまで、上手く行くとはな…!)

 

竜の脇腹に蹴りを叩き込みながら、俺は内心驚いていた。ここまでは、完璧にアンペルさんが書いた筋書き通りだ。

 

(どこまで読み切っているんだ、あの人は)

 

あの人が良い錬金術士で本当に良かった。もし悪党の類だったら…想像もしたくないな、二つの意味で。

 

「ハァッ!」

 

そんなことを考えている内に、リラさんが竜の背に乗り翼への傷付けを終えたようだ。俺は軽く魔力を噴射して上昇し、竜の翼膜を掴んで背中に乗る。

 

「来たか。やるぞ!」

「はい!」

 

竜は傷の痛みと疲労で碌に動けないようだ。これなら、思い切りやれる。俺とリラさんは同時に軽く跳躍し…

 

「「堕ちろッ!!」」

 

翼の付け根に、全力の踵落としを叩き込む。…感触で分かる、確実に竜の翼は折れた。これならもうこいつは飛べない。

 

――グァァァァァァァァァァァァッ!!

 

悲鳴を上げながら竜が墜落する。ここまで行けばもう負ける要素はないだろうな。

 

「リラさん、着地は?」

「精霊の力を借りる、心配はいらん」

「解りました。なら後は…」

 

レントがしっかり、この作戦の〆をやってくれる。それを見ていればいい。

 

「…決めてやるぜ!」

 

レントは剣を真っ直ぐに構え、気合いと集中力を極限まで高めている。そのせいか、体から赤いオーラのようなものが噴き出ている。…間違いない、今からとんでもない「一撃」が放たれる!

 

「――うおおおおおおおおおおおおっ!」

 

雄たけびを上げながら、剣を思い切り振り上げる。タイミングも完璧。なら後は!

 

「「決めろ、レントッ!!」」

 

(親友)リラさん(師匠)が外から気合を入れてやれば、アイツは応えてくれる!

 

 

 

 

「おおおおおりゃあああああああっ!!!」

 

 

 

 

そうして放たれた、レントの必殺技は…

 

「…竜が」

「真っ二つに…」

 

傷ついてなお屈強な竜の体を、頭から尾にかけて両断していた。更に…

 

「それどころか、届いていない筈の地面まで斬れているな。竜を叩き斬って尚これほどの余波が発生したのか」

「凄い…」

「ふ、流石私の弟子だ」

「我が親友ながら、とんでもないな」

 

止めを刺せると信じてはいたが、予想をはるかに超えられてしまったな。…流石だよ、親友。

 

「えっと…それで、レント君は…」

「ぜひー…ぜひー…」

「…満身創痍だね」

「ホントに全部注ぎ込んだのね…まあ、あれだけすごい一撃ならそうなっちゃうか」

「…一旦休憩にするか。時間的にもそろそろ昼飯時だしな」

 

魔物もちらほらいるが…竜を倒した相手にわざわざ近づくこともしないだろうな。

 

 

「しかし…こう言っては何だが、お前達と戦う竜は碌な死に方をしないな」

「ああ、今回は頭から尾まで真っ二つで、古城の竜は頭部が消し飛んだんだったな」

「…これぐらいやらないと不味い相手ですしね」

 

真っ二つになった竜から素材を拝借している間、アンペルさんとリラさんからそんなことを言われた。…だったら、次また竜にあったら今度はどんなことになるやら。

 

「それで、あっちは大丈夫なのか?」

「…そうですね」

 

 

「疲れすぎて、飯が碌に喉を通らねえ…」

「だったらまずこれ飲む?」

「え、何その…どどめ色って言うの?なんか凄い色した液体…」

「錬金術で作った薬をさらに色々混ぜてみたわ!」

「だ、大丈夫なの?聞くだけで色々凄そうだけど…」

「…アルムが言うには「気絶できるならその方が幸せ」だそうよ」

「これ飲んだのアルム!?」

「私は一口にした方が良いって言ったんだけどね。こう、グイっと…」

「…アルム君って、時々よく解らないわ…」

「…それは俺達もよく思ってる。本当に時々変なことするんだよアイツ…」

「まあでも効果は確かみたいだから、疲れも吹っ飛ぶわよ!さあ、アルムみたいに思いっきりグイっと!」

「イヤちょっと待て!今の話聞いてそんな思い切り行けるわけねえだろ!」

「えー…じゃあクラウディア、これ持って!」

「え、私?」

「何させるつもりだよ…」

「クラウディアみたいな可愛い子がちょっとずつ飲ませてくれるなら少しはマシになるでしょ!」

「そういう問題じゃないと思うよこれ」

「そうだよ!私よりライザの方が可愛いよ!」

「反論するとこズレてるぞクラウディア!?」

「絶対にクラウディアの方が可愛いわよ!ねえ、そう思うでしょタオ!」

「僕にそういう話振らないでよ!何の参考にもならないよ!?」

「くっそこれ収集つかねえぞ!早く来てくれアルム!」

 

 

「呼ばれたので、そちらはお任せします」

「ああ。行ってこい」

 

とりあえず、薬はさっさとレントの口に突っ込んで、「個人的にはライザが一番可愛い」と言っておいた。レントは5分程気絶して、ライザは10分程真っ赤になっていた。…言う方もそれなりに恥ずかしいな、これ。




レントのフェイタルドライブが原作から変わります。…いいよね?一応名前は決まってます。
そして今作随一の不憫キャラとなってしまった天統べる覇竜。マジで何もさせてもらってない。しかも倒された話の締めが関係ない話な上にユルい。
それと最後の会話ばかりのところは、こうしたほうがほっとくと収集着かない感が出るかな、と思ったので。何も考えずに会話させると延々と脱線するなあこいつら…

Q,何でそんな見るからに不味そうなものをアルムは飲んだの?
A,「これでもし美味かったら面白いよな…」みたいなノリで。その後「やっぱり駄目だったか…」ってなりました。

ここまで読んでいただき、有難うございます。
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