変化の連鎖は、10年前のあの日から   作:七人の母

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まーた二ヶ月かかってるよ…。次に何か書くとしたら真面目成分が少ない系の話にするかも。その方が色々悩まずに済みそうだし。

話し合い&鍵改良。島の地下に行く直前まで行きます。今回はライザ視点→アンペル視点。ちょっとしたおまけアリ。


真実への扉が、遂に開く

「さて、とりあえずここまでの情報をまとめてみるぞ」

 

塔の調査を終えてアトリエに戻ってきたあたし達は、ここまでの情報を一旦まとめて改めて見てみようってことになった。そうしたほうが次どうすればいいか決めやすいし(まあ一択だとは思うけど)、事前に予想として聞かされてたとはいえ、とんでもない話なことに変わりはないから、混乱しないように落ち着いて現状を見れるように頭も気持ちも整理した方がいいしね。

 

「まず、クーケン島はクリント王国が造った人造の浮島で、住人はクリント王国からの避難民の子孫だということは確定したな」

「逆にまだ解ってないのは、造られた理由と、どうすれば古式秘具に頼らず水源を確保できるか、だね。…造られた理由は、今は別にいいかな」

「クリント王国が滅んだのは、リラさんの故郷から水を奪ったせいでフィルフサが自由に動けるようになって、『門』を越えて国を侵攻されたからで…」

「そのフィルフサへの対処法は今のところ、「蝕みの女王」っていうのを倒すこと以外無い、んだよね」

「…改めてこう聞くとまだまだ糸口は見えてこないわねー。『鍵』で入った先でもうちょっと何か解ればいいんだけど」

 

その為にも、まずこのボロボロの『鍵』が使えるかどうか調べないとだしね。先に入口を見つけてからの方がどう修理すればいいか解りやすいし。

 

「しっかし、俺達の先祖がクリント王国の人間ってのはな…オーレン族の人達にしたことを考えると、どうもな」

「気にするな、お前達には何の罪もない。むしろ、その事情を知る前から私達に協力してくれているだろう?そのことに感謝したいくらいだ」

「そうだな、私も同意見だ。…しかし、住んでいる島にあれだけクリント王国の遺跡があるのに、今までその可能性に至った者はいなかったのか?何かしらの関連性くらいは見出しそうなものだが」

「うーん…確かに不思議だなとは思ってたけど、そこで止まっちゃってたかなぁ。大昔の話だし、クリント王国の事は何も知らなかったし」

「その手の資料も全くありませんでしたからね。それこそ、タオの本と例の古式秘具くらいしか手掛かりになりそうなものは無かったと思います」

「ふむ…成程な。確かにそれでは繋がりを見出すことはできんか。…いや、成程」

 

え、何か気付いたの?

 

「クーケン島は、恐れる物や決まり事ばかり多いのに、具体的な伝承がほぼ無いだろう。そのことをずっと奇妙に思っていたんだが…」

「理由が分かったの?」

「あくまで推測だがな。…クリント王国は滅亡の瞬間まで「門」や「大侵攻」に関する情報を抹消して回っていた、という話はしたな」

「あー、そういえば。…そういう秘密を消した後に、巻き返す日でも夢見てたのかね。往生際の悪い」

「…そうか。情報を消しても襲われた恐怖は残る。逆に、襲われた恐怖は残ってもそれに対する具体的な情報が残らない」

「それがいつしか実体のない恐怖になって残り続けた結果が、何が何でも外に出るなっていう決まり事なんだね」

「そういうことだろうな」

「…そこまで言われると、ようやく今と繋がる実感が湧いてきたかな。正直、ちょっと嫌な気分だけど」

 

レントも言ってたけど、やったことがやったことだしね…あたし達のご先祖様が何の関わりも無かったとしても、それはそれで国に巻き込まれた被害者ってことだし。

 

「まあ、クーケン島を造っていた分だけでも感謝していいんじゃないか?それが無ければご先祖様は助からなかった可能性があるわけだからな」

「それだって、自業自得の自作自演だと思うけどねー。そもそもご先祖様が避難しなきゃならなくなった理由が理由だし…」

「なんなら最後の最後に情報を消したせいで、子孫たちに窮屈な思いさせてるしな」

「確かに情報が残ってたら、どう危ないのかも解ってたから今より決まりごとは緩かったかもね」

 

まあ、それでも理由も無く外に出るのは駄目ってなってただろうけど…姉さんとかに頼めば、もうちょっと早くに外を見れたりしてたかな?

 

「えーっと、ライザ。次はあの鍵を使える場所を調べるんだよね?」

「そうだけど…もしかして、心当たりがあるの?」

「うん。あの本にそれらしい絵が描いてあったのを思い出したんだ。今直ぐにでも調べられると思うよ」

「なら、今日はそこまでやっておいた方が良さそうだな。修理の必要があるかもしれないなら、早めに確かめた方が良い」

「じゃあ、お願いねタオ」

 

素材の為に、ちょっと遠くまで行かなきゃいけないかもしれないしね。今日の内にできることはやっちゃおう。

 

「さて、では後は…奴か」

 

そう言ってアンペルさんがアトリエの入り口に目を向けた。…あー、うん…

 

「ぷに!」

 

…あたし達に懐いちゃったシャイニングぷに。塔の調査中複製釜を見張っててくれてたのまではいいんだけど、あたし達に釜を渡した後にしれっと付いて来てて…今アトリエの中まで入って来てる。

なんかもう、敵意が無いどころか完全に友達とか仲間として認識されてるよね、これ。

 

「…どうするよ、実際?」

「どうする、って言われても…」

「私達と仲良くなりたがってるんじゃないかな、とは思うけど…」

「ならそうした方が良いだろうな。下手に機嫌を損ねて暴れられでもしたら、アトリエが無事では済まない」

「ですね。…まさか魔物と友達になるとは、今まで考えもしてなかったな」

「じゃあ、これからよろしくね」

「ぷに!」

 

こうしてあたし達のアトリエに、不思議な友達兼居候が来た。…おやつとか、作ってあげた方が良いよね?

 

 

 

 

 

「ここだよ。本には、ここが鍵を使う場所って書いてあったんだ」

「こいつは…記念碑か?思った以上に大きいな」

「中に入るための目印って事なら、こんなに大きなものを建てるのも納得出来るね」

 

島に戻ってすぐに、タオが本から鍵の使い道を調べ上げ、今全員でその場所に集まっている。トレッペの高台にある、古式秘具が安置されている離れから更に奥に行ったところにある記念碑…ここに、鍵をはめ込むための窪みがあるらしい。

何やら文字も書いてあるが…何てことはない、土地の安寧と豊穣を祈るお定まりの銘文だな。まあ、こうも目立つように秘密の入り口ですなんて書くほど馬鹿では無かっただろうし、当たり前か。

 

「それでタオ、鍵はどう使うんだ?」

「えーっと…あった。ここの窪みにはめ込むんだよ」

「ここ?…確かに大きさも形もそれっぽいわね。じゃあ…」

 

ライザが窪みに鍵をはめ込んでみるが…何も起こらない。本にわざわざ間違ったことを書くとは思えんし、はめ方が間違っているようにも見えん。となれば…

 

「うーん、やっぱり鍵が壊れてるのかなぁ」

「鍵穴の方の問題かもしれないな。何百年も手が加わっていないだろうし、形が合わなくなっていたりするかもしれない」

「マジか、どうすんだよ?」

 

今のライザでも、この鍵穴の方をどうこう出来はしないだろう。となれば、やはり鍵の方に集中するしかないが…

 

「壊れてるのなら、直すしかないよね」

「確かにそれが道理だが…クリント王国の錬金術でも最高レベルの道具だ。修復出来るのか?」

「ん-…修復っていうより、改良?力は残ってるみたいだし、それを石碑に伝えられるようにするの」

「成程、良い発想だ」

 

それなら、新品同様に作り直すよりは難易度も低いだろう。もし力も残っていないのなら、流石に厳しかっただろうが…

 

「それなら、明日はその為の採集からするの?」

「えーっと……うん、そうだね」

「何が必要で、それが何処にあるかは解るか?」

「塔の周りにある樹の葉っぱ…かな。さっきは調査優先で殆ど採取しなかったから」

「また塔まで行かなきゃいけないんだ…ついでに何か採っておけば良かったかな」

「まあ、竜もいねえし道も覚えたから今日よりはずっと楽だろ。ついでに何か良いもの見つかるかもしれねえしな」

 

元々研究施設だった塔の中なら、何かしらの残骸や放置されている容器などから色々採れるだろうからな。所有権が云々など考える必要も無い、有り難く頂戴しようか。

 

「あ、後ついでに枝も欲しいかな。新しい採取道具が欲しいし」

「え、まだ何かあるの?もう粗方作り終わったと思ってたんだけど」

「フラムロッドと言う、火の力で採取する道具があるな」

「火の…発破でもするんですか?」

「ああ。岩を砕いて鉱石を取り出したり、木を焼いて木炭にしたりするぞ。一応魔物に向けて攻撃も出来るが、爆発までに少し時間があるから少し扱いづらいな。あと、反動が少々大きいからあまり多用はしない方が良いな」

 

王国に仕えていた時に使ったことがあるが…採集に熱中し過ぎて肩を痛めたことがある。まあ、その後威力をそのままに反動を抑えた改良版を開発したがな。

 

「…これで今話すべきことは話したか、今日はこれで解散だな。明日に備えて、早めに休もう」

「うん!さーて、明日も忙しくなるぞー」

「塔まで行ったって言ったら、親父もちょっとは驚くだろうな」

「…もうすぐで、本に書いてあったことが全部解るんだね」

「全部解決できるように、最後まで頑張らなきゃ!」

 

さて、私達も早めに戻って休息をとるとしよう。流石に少々疲れたしな。

 

 

「――いよいよ、だね」

「ああ。これでようやく、答え合わせが終わる」

 

翌日、鍵の改良を終えた私達は再び記念碑の前に来ていた。…正直、年甲斐も無く気が昂っている。理由は二つ。

一つ目は、クリント王国の錬金術の粋を集めた代物であろうこの島の内部に入れること。この大きさの島を造り、湖に浮かべ、それを何百年と保たせる島を造った技術。こんなもの、一錬金術士として興奮しない筈もない。

そして二つ目は、ライザの成長速度だ。鍵の改良に使った代物…聖なる雫。神に祝福された聖なる水と呼ばれる代物だが、普通ならたった一夏でたどり着けるような代物ではない。まず年単位はかかるだろうな。

 

(ハッキリ言って、純粋な技術のみなら既に追いつかれているのかもしれん。ともすれば…)

 

近い内に、『賢者の石』にすら手が届くかもしれんな。

 

「じゃあ…行くよ?」

 

そう言ってライザが窪みに鍵をはめ込むと…

 

「…光った!反応したのか!?」

「ととっ、これ離れた方が良いよね!?」

 

そう言ってライザが離れた直後に、記念碑が動き出した。そこにあったのは…階段。この島の内部に続く道だ。

 

「これ、地下に続く階段…だよね」

「うん。これが、人工島『クーケン』の入り口だよ!」

「この下にあるんだな。俺達が住んでる島の本当の姿って奴が」

「ああ。…さて、俺達はこのまま下に行くが。どうする?」

 

アルムが振り返りながら、誰かに語り掛けるように話す。私達も同じように振り向くと…

 

「…記念碑が、動いた?」

「こんな何もないところで何をするのかと後をつけてみたら…とんでもねえことになってるな」

「…すっごい」

 

アガーテとボオス…それに、エルか。

 

「2人は気配で解っていたが、エルまでいたか。…大丈夫なのか、アルム?」

「正直、悩みますが…「お前にまだ話せないから帰れ」なんて言われて引き下がるような性格をしていないんですよね」

「というか、僕らの考察を一番最初に聞いたのはエルちゃんだから…ある意味一番話さなきゃいけない相手なんじゃないかなって」

 

まあ、それはそうかもしれんが…

 

「で、どうするんだ。話すのか、話さないのか」

「…エル、今から俺達が言うことと知ることは、あの時の本の内容についての事だ」

「…うん」

「正直、かなり信じ難い内容になると思うが…それでも、知りたいか?」

「…うん。みんなが今何をしてるのか、あの時の2人の推理が当たってるのか、今すぐ知りたい」

「…そうか。そう言うと思ったよ」

 

…やれやれ、仕方がないか。

 

「で、俺達には当然話してくれるんだろうな?」

「ああ、お前とは元々そういう約束だったし、姉さんにも話しておいた方が良いと思っていたからな」

「アタシにもか?」

「まあ、色々と理由がね。もしかしたらちょっと頼ることになるかもしれないし」

「…今から何を聞かされて、後々何を頼まれるのか想像もつかないな」

 

だろうな。…さて、話はまとまったな。では…

 

「行こう、みんな!」

「『真実』を、知りに行くぞ」

 

何が見られるのか、楽しみで仕方ないな…!

 

 

 

 

おまけ 採取中の一幕~嵌り過ぎにはご用心~

 

「あ、綺麗なちょうちょ…」

「ん、そいつは…ラピス・パピヨンか」

「ホントに綺麗だね、宝石みたいだよ」

「実際、羽根の青い部分にはガラスや宝石のような成分が含まれているな」

「あー、だから何か飛び方がぎこちなかったのか」

「え、何々?何見つけたの…あ、ちょうちょ!」

「うん、すごく綺麗だよね!」

「うんうん、すっごく綺麗!あ、ところでアンペルさん」

「ん、何だ?」

「この子はどういう調合で使うの?」

「え?」

「え?」

「「…」」

「…後でまた、こっそり聞きに来るように」

「え、あ、うん」

「…ライザ」

「あ、えと、何かゴメン…」

 

「…錬金術に嵌り過ぎるあまり、思考がかなり染まっているな。今後またこういうことが起こるかもしれん。その時はお前がフォローしてやれ、アルム」

「解りました。…元々宝石の類にはあまり価値を見出してなかったとは言え、これは流石にな…」




シャイニングぷに、普段は自給自足で生活します。それはそれとしておやつは偶に欲しがりに来るけど。
エルにこのタイミングで事情を話すのはちょっと悩みましたが、まあ話すことにした理由は本文中に全部書いてあります。
おまけは…まあ、錬金術士の思考に染まってたらこういうこともあるよねってことで。

Q、ザムエルは驚いた?
A、無言で目を見開いて、その後嬉しそうに笑みを浮かべました。

ここまで読んで頂き、有難うございました。
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