とりあえず3はこの話を投稿してからガッツリ進めるとして…アニメは視るとしたら円盤待ちかなあ。
対フィルフサの準備。そしていよいよ…
今回はアンペル視点→タオ視点です。
4/23 3のストーリーを踏まえてアンペル視点を少し修正。
「さて、では始めていくか」
「うん。えーっと必要な物はこれと、これと、これと…」
「なんだ、事前に作ってあったのか」
「錬金術が楽しくて、思いついたのは片っ端から色々作ってたの。あ、ついでにアレも作れるかな…」
蝕みの女王を討つため、早速私達は調合を始めることにした。今回アルムが譲ってもらったレシピ…ルナーランプとエターンセルフィアの作成を最優先に行う。
ただ、その際別の調合品が必要になるのだが…そっちは既にライザが作っていた。これらも相応に難易度の高い調合の筈なのだが…好きこそものの、とは良く言ったものだな。
「ところでアルムは?」
「あたし達のおやつ作ってる」
「ほう」
料理ができるのは知っているが…成程、楽しみだ。
「あ、「アンペルさんは今後あまり無理をし過ぎたらお預け」だってさ」
「…気を付けよう」
…私の事もよく理解している。自己管理を怠り、倒れるような真似だけは避けねばな。
しかし、その口ぶりだとライザは無条件で菓子にありつけるのではないか?好意を抱いている相手とは言え少々贔屓が過ぎるぞ、アルムよ。
「じゃあ、どっちから始める?」
「ルナーランプからで行こうか、こちらの方が難易度はまだマシレベルだが低い。…万が一の時の被害もこちらの方が小さいしな」
「怖いこと言わないでよ!?いや、確かにそれくらい凄いもの作らなきゃ勝てないかもしれないけど!」
「ランプならまだ私達2人が長めに苦しむだけで済むが…セルフィアの場合、下手すれば一撃で私達諸共アトリエが何もかも吹っ飛ぶ」
「と、とんでもないねそれ…」
「そういう事だから、急ぎつつ無理せずやるぞ、と言う話だ」
「う、うん。…なんか凄いところまで辿り着いちゃった感じがするなぁ。まだ錬金術始めて2か月経ってるか怪しいくらいなのに」
私が錬金術を始めて2ヶ月くらいの頃は…どうだっただろうか。少なくとも、ライザ程純粋に錬金術を楽しむことはできていなかったような気もするが…
…やはりあまり年は取りたくないな、細かいことを思い出せなくなる。
「では、調合を始めるぞ」
「うん!さーて、良いの出来るかな?」
お前と私なら、これ以上無いものが作れるさ。
「ふーっ、これでようやく1個…じゃなくて、3つだね」
「…なんとも、まあ」
調合開始から1時間、漸くルナーランプが完成した。…いや、漸くと言うのは誤りか。これほどのものの調合は本来2時間ほどかかる筈なのだが。しかも調合に使ったものの中に質の良いものが混じっていたらしく、一度に3つも調合できた。しかもその口ぶりだと、最初から3つ出来ると確信していたようにも聞こえる。
全く…どこまで私を驚かせてくれるんだ、お前の才能は?
「…流石にいつもより時間がかかっていたな。一旦休憩したほうがいいんじゃないか?」
「あ、アルム。…もしかして、ずっとそこに?」
「ああ。おやつの方は冷やす時間が必要だし、本の解読もまだ終わってなかったからな」
「ふむ、食べる前に冷やすもの…?」
「もう十分冷えていると思いますし、休憩ついでに今食べますか?」
「では頂こうか」
「うわ即答。まああたしも食べたいけどさ」
さあ、どんなものが出てくるんだ?
「じゃあ…ラーゼンプティングです」
「ほう…」
「わ、アルムこれ作れるんだ!」
出てきたのは以前ライザが島の住人の依頼で開発した菓子、ラーゼンプティングだ。あの食感、香り、甘味…自他ともに認めるスイーツ好きである私を唸らせる逸品。
しかし錬金術なら兎も角、手作りとなるとそれはそれで手間がかかる代物だと思うが…
「以前エルに『アルム兄の手作りで食べてみたい』とせがまれたことがあってな。練習していた」
「エルちゃんそういうのアルムに頼むよね。ルーテリアさんじゃなくて」
「まあ、母さんは普段から家事で忙しいからな。俺の方が頼みやすいんだろう」
「子供なのだから、もう少し遠慮なく甘えてもいいと思うが」
「…そこは多分、俺の影響かと。結構早いうちから親の手伝いを始めてましたから」
「あー…そういえばルーテリアさん言ってたかも。「アルムはあんまり甘えてくれないからちょっと寂しい」って」
「ああ、良い子過ぎて逆に心配という奴か」
…親からの心配、か。私は、どうだっただろうか。
「っと、そろそろ頂こうか。こうも芳醇な香りを嗅がされ続けては、もう我慢の限界だ」
「そうだね。じゃあ、頂きまーす」
スプーンで一口分掬い、口に運ぶ。…ああ、舌の上に乗せているだけで溶けてしまうんじゃないかと思う程の柔らかい食感、ミルクとハチミツがベースの濃厚だがしつこすぎない甘味に卵のコクと風味、そしてそこにカラメルの苦みがアクセントとなって…至福としか言いようが無い。よくもまあこれほどのものを…
「…クラウディアには内緒にしておいた方がいいかな。いやでも、あたしだけがこれを味わうのもちょっと…」
「どうせ近い内に食べさせるつもりだから構わないぞ。…しかし、好評なようで何よりだ。素材も良いものを使ったから当然と言えば当然だが」
「ふむ、何を使ったんだ?」
「ライザが調合したハチミツとかエルツ糖とか、あとぷにが拾って来た卵とヤギミルクですかね」
「あー、あの子が拾ってくるものって妙に品質良いんだよね」
奴にもそういう嗅覚が備わっているのか、それとも偶然か…いずれにせよ奴も、ライザの錬金術士としての人生の助けになってくれそうだな。
「さて…じゃあ、そのルナーランプを試してみたいんですが」
「ん、そうだな。それなら良いものを用意してある。これだ」
「え、何これ。オオイタチ?」
「ラムローストくん2号だ」
「…ラム、ロースト?」
「…何処が
「私も知らん」
命名者があまりにも独特なセンスの持ち主だった…としか言いようが無い。私も最初に聞いたときは困惑したものだ。
「まあ、名前と性能は関係ない。そいつはお前の全力でも壊れないくらいには頑丈だからな、遠慮なくぶつけると良い」
「解りました。…アトリエの近くでやるのは危ないな、開けたところまで持っていくか」
「あまり離れすぎるなよ。そいつは使うと体力を持っていかれるからな」
「気を付けます」
まあ、効果範囲を狭めればその心配も必要無いが…相手にするのが蝕みの女王だけとは限らない以上、できるだけ広い範囲に対処できるようにしておいた方が良いからな。
「さーて、じゃあ今の内に次の準備しよっか」
「ああ。エターンセルフィアは上手く行けば女王相手にも切り札に成り得る程に強力な代物だ。確実にやるぞ」
私でも、数えるほどしか作ったことのない代物だが…さて、どこまで質を高められるか。
「いやー、良い物見つけたな」
「そうだね。…冗談のつもりだったのにまさか本当に見つかるなんて」
地図に残されていた手掛かりを辿ってお宝を見つけ、採取も一通り済ませた僕たちはアトリエに戻って来た。今回見つけたものは、今までの中でも特に有用な物だった。何せ…
「今までのものより更に質のいいコアクリスタルだ。これでより道具を使いやすくなる」
「ふふっ、ライザ達が見たらすごく喜びそうですね」
更に容量の増えたコアクリスタル。ライザ達が強力な道具を作っている時にこれが見つかったのは運がいいよね。
「そっちもそうだけどよ、俺にとってはこっちの方が重要だぜ」
「『ゴルドテリオン』に『エルドロコード』…なんか、凄いものが出来そうだよね」
『錬金術の神髄』なんて大仰な名前がついてるレシピだしね。…今より凄い武器かあ、アルムやレントがそんなの身に着けたらどうなっちゃうんだろう。
「さて、アイツらは無理せずやっていただろうか」
「そうですね、倒れてないと良いけど…みんな、ただいま」
クラウディアが扉を開けて中に入ると…
「すー…すー…」
ベッドの上でぷにまくらを抱きながら寝息を立てているライザ。まあこれは良いや。
「ん、ああ。戻ったか」
ドーナツを食べながらコーヒーブレイクしているアンペルさん。うん、これも別に良い。問題は…
「……」
やたら大きいぷにまくら(っていうかクッション…?)の上で無言でぐったりしているアルム。…えっと…
「…何でお前が一番疲れてんだよアルム!?」
うん、正にそれ。
「そうだな、まずどこから説明するか…まあ元々予定していたものと、追加で1つ作れるものがあったからそれを調合したんだが、その辺りでアルムが『そろそろ休め。火にかけた釜を立ちっぱなしで何時間もかき混ぜてて疲れない筈が無いだろう』とライザに言ってな」
「あー、言われて見りゃ結構大変な事してたんだな錬金術って…」
「ライザとアンペルさんは2人でやってたからまだしも、1人だと相当キツイよね」
「ぷにまくらを押し付けてから横抱きでベッドまで持って行って無理矢理寝かしつけた」
「…横抱きって何だ?」
「えっと、ライザにするのなら所謂お姫様抱っこだね…」
「絶対顔真っ赤だったよねライザ…」
「フレスベリーもビックリの赤さだったな。まあ今は御覧の通りだが」
…ホント、ちょっと前までは全く表に出して無かったのに今じゃもう本人にも全然隠す気無いよね。
「で、アルムの奴はなんでああなってる?」
「…私とライザが作った道具が、余りにも効果が強すぎたというか」
「な。何を作ったんですか…?」
「これだ」
そう言って出てきたものは…時計?
「『時空の天文時計』だ。星の動きを見て時の流れを置き換える力を持つ」
「と、時の流れを置き換える?」
「簡単に言えば高速移動が可能になる。まるで1人だけ時が速く流れているように、だ」
「め、メチャクチャだよ…」
もうここまでくると下手な魔法とは比べ物にならないことしてるよ、錬金術…
「えっと…でも、それとアルム君がぐったりしてることと何の関係が…?」
「一言で言うと、酔ったんだ」
「酔った?」
「ライザが寝た後にアルムがこれを試したんだが…自分だけ加速した状態から急にいつもの速さに戻ったから、その反動が来てああなった。しかもライザが張り切りに張り切ったおかげで、効果がかなり強くなってな」
「成程。元が速い上に加速幅も大きいから、その分反動も大きくなったのか」
「曰く『脳がひきつけを起こしたような感じ』だそうだ。慣れればこんなことは無くなるだろうが」
「体験したくねえ…」
…うん、強いは強いけど、相応のリスクがあるってことだね。
「因みにこのルナーランプとエターンセルフィアも試してもらった。ランプの方は『簡単に言うとものすごく強い目潰し。強いのは間違いないが使うだけでどっと疲れる』だそうだ」
「セルフィアは?」
「『これは絶対その辺の魔物に向けてはいけない。下手したら地形が変わる。蝕みの女王を倒したら封印した方が良いかもしれない』と言っていたな」
「どんだけヤバいんだそれ…」
「本当に、どうやってそんなもののレシピ手に入れたのお父さん…」
「まあ、そこまでの代物になったのはライザの努力と才能の賜物だが」
聞いてたら絶対「ふふん、どうよ」って感じで誇らしげにしてきそうだなぁ…
「…えへへ~♪」
と思ったらライザから嬉しそうな寝言が。…実は起きてたりしない?それとも偶然似たようなこと言われた夢でも見てる?
「さて、休憩のつもりだったが…2人がこんな状態だ、今日はもうお開きにした方が良いと思うが、どうだ?」
「そうだな、特にアルムは早めに休ませた方が良いだろう」
「その前にアイツ動けるのか…?おーい、アルム―」
「…歩く程度なら、何とか…」
「相当弱ってんな…お前酒に限らず『酔う』のに死ぬほど弱いんだな」
「…アレとは、また、別だ…」
「…今日は僕がオール漕ぐよ。アルムはゆっくりしてて」
流石に、こんなことになってるアルムに力仕事させちゃダメだよね。まあ僕は僕でほとんど漕いだことないからちゃんとできるか不安なんだけど…。
「えっと、ライザはどうしよう?」
「…クラウディア」
「え、何?アルム君」
「…出来るだけ、低い声で、『ライザ、早く起きな』と、怒鳴るように、言うと、多分起きる」
「ミオさんの真似じゃねーか」
「まあこの上なく効くよね、それは」
「え、えっと、じゃあ、やってみるね。…んんっ」
クラウディアが軽く咳払いをして…
「ライザ、早く起きな!!」
「ひゃあっ!?」
叫んだら、跳びあがるようにライザが起きた。…あんな声出せるんだね、クラウディア。
「え、ちょ、え、お母さん!?なんでここに…あれ?」
「えっと、ごめんねライザ。今の私なんだ」
「…へ?クラウディア?」
「すげー迫力だったな、今の」
「普段見せない姿だったからな。ギャップも大きいだろうよ」
「あ、あはは…人前で大声出すのって、結構恥ずかしいね…」
うん、僕もあんまり人前で大声は出したくないかな。そもそもそんなに声出ないけど…
「あー、ビックリしたぁ…ってあれ、アルム!?大丈夫!?」
「…時間差に、酔っただけだ」
「ちょっと天文時計を試したらこうなってな。明日には大方和らいでいると思うぞ」
「そ、そうなんだ…ゴメンね?」
「…気にするな」
…アルムがこうなるってホント相当だよね。高速移動はちょっとしてみたいけど、こうなるって知っちゃうとなぁ…
「さて、先ほども言ったが今日のところはこれでお開きだ。しっかり休めよ、特にアルム」
「はい…」
ぐったりしたアルムを抱えながら、僕達は島に戻った。…アルムを心配するエルちゃんを宥めるのがちょっと大変だった。
そんな感じで、僕達は準備を進めていった。
「ゴルドテリオン…これ、凄いよ…!今までで一番すごい武器作れるかも!」
「おう、頼むぜ。道具も良いけどよ、やっぱり俺は剣で戦いてえしな」
「これでフルートも凄くなるって不思議だよね…」
「まあ錬金術だしな。…ところでライザ、俺の武器に関しては一つ注文がある」
「え、なになに?」
「性能の方向性についてなんだが…」
「ふむ、やはり基本的に足を止めて戦うのなら反動も然程ないな」
「その代わり、珍しくリラさんがグロッキーになってるけど…」
「…これは、アルムがああもなるわけだ」
「リラさんでもそうなるのか…俺はそこまで速くねえから大丈夫そうだけどよ」
「以前、毒キノコをどうにかして食えないかと苦心した時に、空腹に限界が来てそのまま食ってしまった時以来の苦しみだ…」
「いや何やってんすか!?」
「そういうところ変に思い切りが良いって言うか、なんて言うか…」
「あ、そうそうアルム!実はあたしとクラウディアも必殺技的なの考えてみたの!」
「2人がか?」
「うん。やっぱりいざっていう時の奥の手はあった方が良いよね思ったから」
「ただ、どっちも女王だけに向けるってなるとねー。群れとかに撃つならいいんだけど」
「いや…女王の近くに多くのフィルフサが控えている可能性もあるからな、そういう時の対抗策があるのは有り難い」
「じゃあ、どうしてもフィルフサが沢山いるところを通らなきゃいけない時に使えばいいの?」
「ああ。勿論、温存できるなら女王に使ってほしいが」
「ライザ達も必殺技を考えたのなら、僕もやった方がいいのかな」
「ふむ、どういう技をイメージしているんだ?」
「うーん、こう…一撃必殺!みたいな」
「モロにアルムとレントの影響を受けているな」
「ん-、なら丁度いいイメージがあるだろ。見た目だけならそれっぽいのが」
「え?…あ、ハンマー?」
「ふむ…それなら魔力で巨大なハンマーを作ってそのままズドンになるな」
「成程、シンプルゆえに強力なものになりそうだな」
「あー、そんな単純でいいんだ…ありがと、何とか形にしてみるよ」
「おう。…でよ、ちょっと3人に相談があるんだが」
「ん、何だ?」
「…実は、俺の必殺技、まだ名前が決まってねえんだ」
「…それこそシンプルでいいんじゃないかな?」
「存外技名は大事だぞ。どう使うのかを解りやすくできるからな」
「何にせよ早く決めろよ。そんな事で悩んでいたら不意を打たれて…など笑えもしない」
「…うす、早く決めます」
そして…
「…よし、新武器の慣らしも大体できたな。後は…」
「――お前達!来たぞ!『空読み』だ!」
「…!遂に来たわね!」
『門』からフィルフサが出てきた。以前アンペルさんから聞いたけど、まず偵察として『空読み』が来て、乾季が近いと確認出来たらいよいよ侵攻が始まるらしい。つまり…
「もうすぐ決戦の時、ってことだな!」
「ああ。まずは前哨戦、景気よく勝って次に繋げるぞ」
「うん。皆との思い出の場所、絶対に壊させない…!」
「僕も、覚悟を決めなきゃ…!」
まだまだ、この世界には知りたいことが沢山ある。ここで終わってしまわないためにも…頑張ろう!
天文時計は独自設定で「速く動いている時に加速が解除されると慣れないうちはめっちゃ酔う」ことにしました。まあほぼフレーバー的なデメリットですが…
因みにアルムの料理上手の方向性は「レパートリーが豊富」です。ついでに本作独自設定で料理が上手いことになってるレントは「その辺の残り物とか有り合わせのものをそれっぽく仕上げてくるし、それがやたらと旨い」感じ。
後、調合の時間はゲームだと何でもかんでも一律2時間ですが、今作では簡単な(レベルが低い)ものはすぐ出来て、難しかったり強力だったりする(レベルが高い)物は時間がかかることにしています。そして才能や腕次第で短縮可能。
Q,何でクラウディアにミオの物まねさせたの?
A,「乗ってくれたら面白いだろうなとは思ったが、まさか本当にやってくれるとは…」
「アルム君!?」
ここまで読んで頂き、有難うございました。