変化の連鎖は、10年前のあの日から   作:七人の母

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漸くできた…ちゃんとした戦闘がすぐ書ける人って本当凄いなと思いました。

蝕みの女王討伐。今回はアルム視点→リラ視点です。


常闇の崩御

「アンペル!ライザ!」

「任せろ。行け、ルナ―ランプ!」

「最初から全開で行くよ!エターンセルフィア!」

 

女王からリラさんが飛び退くと同時に、アンペルさんとライザが道具を使用する。ルナ―ランプで視界を完全に潰しつつエターンセルフィアで足場も潰してその体を焼き焦がす。

これだけでも奴の体に大きな負荷がかかっていることだろう。だが…

 

「ついでにこれも食らっていけ。私特性の爆弾だ」

 

先程俺が渡したローゼフラムが女王の頭部で爆ぜた。アンペルさんはアレに何か仕込んだらしいが…?

 

「私の魔力を込めたローゼフラムなら熱と痛みが引くのが遅くなるし、頭に叩き込まれれば脳の動きが鈍る」

 

…時間操作の魔法を爆風と一緒に叩き込んだのか。相手が相手だから仕方ないが、本当にえげつない。

 

「さあ、今の内だ。あの時同様、何もさせずに仕留めきるぞ」

 

そう、今回も俺達はあの青い竜と同じように、蝕みの女王に何もさせず殺しきるプランを取っている。理由は簡単、リラさんが「奴にまともに動かれたらまず死人が出るだろう」と言ったため、じゃあ何もさせない以外選択肢が無いなと全会一致で決まったからだ。

ここなら女王は数の利を活かせず、逆にこちらがそれを活かし7対1で挑める上に錬金術で作った強力な道具がある。十分に可能性はある筈だ。

 

(まずは…アレを狙う!)

 

視界を奪った相手に対して警戒するべきは、ヤケクソの攻撃が意識外からクリーンヒットしてしまうこと。だからまずその可能性を減らすためにあの大鎌のような腕を落とす。

奴はセルフィアの破壊力とアンペルさんのフラムのお陰で完全に怯んでいる、俺の速さと力ならその間に行ける!

 

「千切…」

 

女王の腕の付け根の位置まで移動し、足を振り上げ…

 

「れろッ!!!」

 

つま先から魔力を吹き出して加速した踵落としを叩き込む。メキメキ、と女王の腕が軋み、そして耐えきれなくなって千切れた。流石に腕が千切れれば激痛が走るらしい、悲鳴のような絶叫を上げ苦しんでいる。

 

「レント、ここだ!」

「おらぁぁっ!!」

 

2人も同じことを考えていたらしい、反対側の腕をやってくれていた。リラさんの爪で抉った所にレントが一撃が叩き込み、断ち切った。

ここまで一気にダメージを受けたせいか、蝕みの女王は息も絶え絶えと言った様子だ。

 

「…ほう、これならば…ライザ、ここで一気に決めるぞ」

「うん!…お願い、天文時計!

 

ライザが時空の天文時計の力を解放、対象はアンペルさんと…タオだ。

 

「やるぞ、タオ」

「はい!」

 

2人が精神を集中させている。…念のためだ、俺達も合わせるか。

 

「レント、準備しておくぞ」

「そうだな、徹底的にやっとくに越したことはねえ!!」

 

こちらも時計の力を解放、必殺技の準備に入る。

 

「…!女王が動くぞ!」

「私が止めます!クライトレヘルン、からの凍冷の舞…!」

 

あれだけのダメージを一気に受けてなお動こうとするのか…流石にタフだな。

だが控えていたクラウディアが身体を凍らせて動きを鈍らせた、これならアンペルさんが間に合う。

 

「念のためだ…沈め!」

 

そしてリラさんが頭に全力の踵落としを叩き込む。女王はなんとか堪えたようだが…

 

「では、私の全力を見せてやろう」

 

アンペルさんが魔力を一気に解放。すると女王が縮み、箱のような物に閉じ込められる。時間を操るとは、それと密接に関係する空間も操ることが出来る…と言う事だそうだが、つまり女王を空間ごと圧縮したのか。

 

「閉じ込めてやろう…遡る時の流れの中にな(リワインドフロー)!!」

 

リワインドフロー…アンペルさんの必殺技。時の逆流の中に対象を閉じ込める技らしい。具体的には、魔力の爆発での攻撃と同時に一時的に相手の脳を機能不全に陥れ、何もできない状態にするそうだ。

実際、箱が割れて出てきた女王は何か動きそうな気配が無い。つまり…

 

「2人とも、徹底的に叩くよ!」

「ああ!」「おうっ!」

 

俺達3人の必殺技を、反撃を気にせず叩き込めるということだ!

 

「これだけ大きければ…女王でも!」

 

タオが作り出した魔法陣から巨大なハンマーが出てくる。これを叩き付ければ、女王だろうと一溜りも無い筈だ!

 

「思いっきり!潰れろぉーっ!!!」

 

バギャァッ!ビキビキビキビキ…

 

無防備なところに特大の一撃を叩き込まれた女王は、全身に大きなヒビが入り、そしてまだ動けない。次は…俺だ!

 

「風穴を開けてやる…!!」

 

全力で飛んで真上に加速し、そして急降下。ありったけの魔力と脚力を込めた一撃を、流星のように!!

 

「でえぇぇぇぇいやぁッ!!!」

 

ズドオォォォォォォォォンッ!!!

 

女王の胴体に大きな穴が開いた。だがまだだ、俺達にとっては未知のバケモノ、これでもまだ生きている可能性がある。だから…

 

「最後は…俺だッ!」

 

徹底的に止めを刺す。此処から更に、レントが真っ二つにする!

 

「おおおおおおおおおッ!食らえぇッ!!」

 

裂帛の気合と共に放つ、『大敵を断ち切る』為の大上段からの一撃…それがあいつの必殺技!

 

「タイラント!ディバイダァ―ッ!!!」

 

ガァァンッ!!

 

…女王の顔面に真っ直ぐ入ったその一撃は、ボロボロになっていたあの巨体を完全に両断していた。

 

「…」

「どう、だ?」

 

…動かない、か?一応、まだライザ達が控えているから動かれても対処はできるだろうが…これで動いたら、生き物かどうかすら怪しくなってくるぞ…

 

「…!待て、今何か動いた!」

「ええ!?これだけやったのに!?」

「…あ、あそこ!体の左側だよ!」

 

左側…何だ?何が潜んでいる?そう思って注目していると、そこから…

 

ズチュッ…

 

ナニカが、這い出てきた。

 

 

 

 

「…なんだ、こいつは」

「人型の、フィルフサ?」

 

レントが両断した女王の半身から這い出てきた謎の人型は、フィルフサらしさを残しつつ、両刃の剣を携えた全身鎧の騎士のようにも見える姿をしていた。…まさか、女王の本体なのか?

右腕が無く、それ以外も全身ところどころ欠けているようだが…

 

「…ちっ、折角みんなの必殺技を全力で叩き込んだってのに…!」

「いや…無駄にはなっていない筈だ。少なくともあの腕はお前の一撃によるものだろう」

 

男連中の全力の連撃はあの巨体の中にあった人型にも多大なダメージを負わせていたようだな。切断された右腕からは血のような液体が流れているし、体も何もしていないのに少しずつ崩れている。それに、よく見ると足がふらついている。余裕が無いどころか、限界が近いようにすら見える。

 

(それでも…あの女王の、恐らく隠し玉だ。油断すれば、あそこからでも1人の命くらいは持っていきかねない)

 

私自身を含め、誰一人として欠けさせるわけにはいかん。改めて意識を奴に集中させ、構える。すると、それに呼応するかのように女王は左手の両刃の剣を構えた。そして…

 

ドッ

 

一瞬で私との距離を詰め、斬りかかって来た。

 

(速い…ッ!)

 

この状態からまだそこまで動けるか、やはり埒外だな。事前にここまで弱らせていなければ危なかったぞ…!

 

(だが、予想より遥かに軽い…!)

 

片腕に加え、見た目だけでなく中身もボロボロなのだろう。圧力が無いし、踏ん張りもきいていない。それでも相応の重さはあるが…これくらいならば!

 

「弾き返すのは、そう苦ではない!」

 

剣を上に弾いて体勢を崩し、腹に蹴りをお見舞いする。見かけに反して随分と重い感触がしたが…女王は堪えきれずに吹き飛んだ。その衝撃で更に体が崩れる。

 

「…やはり、もう限界の様だな」

 

生命体としてはもはやほとんど死んでいるも同然の状態だろう。それでも立ち上がりこちらに刃を向けんとするのは…フィルフサとしての本能か。

再びこちらに向かってくるが、先ほどよりも速さも重さも落ちた一撃だ。これならば受けるより…

 

ガガッ!

「捕まえたぞ。今だ!アルム、レント!」

 

鉤爪を左腕と右肩に突き刺して拘束し、その間に2人に攻撃させた方が良い!

 

「レント、脚だ!」

「解ってる!オラァッ!」

 

アルムの蹴りとレントの大剣が女王の脚を膝の裏から破壊する。これでもうまともに動けまい。

 

「止めを刺してやろう、女王!」

 

そう宣言し爪を引き抜いた瞬間、武器をその場に落として私の肩を掴み、腕の力だけで私達の後ろに無理矢理跳んだ。あれだけの傷で、まだそんなことが…!

 

「ちっ、逃がさん!」

 

奴が飛んだ先…階段の下を見ると、そこには…ッ!

 

「な、なにさこのフィルフサの数!?」

「一体何時こんなに集まってやがった!?」

 

そこらの大地を埋め尽くさんばかりのフィルフサの群れがいた。戦闘音か、先ほどの女王の悲鳴に呼び寄せられたか!?

女王は…ちっ、将軍の背に乗っている。このままこいつらを捨て駒に離脱を図るつもりか!

 

「アンペルさん、女王だけ狙い撃つことは!?」

「届きはするが、止めを刺せるかどうか…!」

「…強引に突っ込んででも、仕留めるしかないか…!」

 

女王を仕留めなければここまで来た意味が無い、無茶をしてでも止めを刺しに行かなければ…!

 

「…やーっと、見せ場が来たわねクラウディア」

「うん、私達の必殺技でまとめて倒そう!」

 

そう言いながらライザとクラウディアが前に出る。お前達の必殺技…そうか、それならば!

 

「…後は、女性陣に任せるとしようか」

「ええ。…3人共、これで」

 

そう言ってアルムが時計を使う。対象はライザ、クラウディア、そして私。

 

「よーし、パワー全開!一気に行くわよ!」

「うん!…私が奏でる一番強い旋律(おと)…今、ここに!」

「魔法陣展開!中心は勿論女王!」

 

2人から膨大な魔力があふれ出る。これなら、厄介な取り巻きを全て吹き飛ばせる!

 

「あの世界は、私達の世界…!私達が今まで奏でてきた、思い出の音…!何一つ、貴方達に壊させたりしない!!」

「あたしが思いつくありったけ!全部アンタたちの真上から降り注がせてやるんだから!」

 

クラウディアの魔力は青い鳳を象り、フィルフサの群れ目掛けて突撃する。ライザの作り出した魔法陣からは、おもちゃやぬいぐるみ…を象った魔力の爆弾がフィルフサに降り注ぐ。

 

「これが、貴方達が最後に聞く音…ソングオブフィナーレ!」

「最後に一発でっかいの!落ちてこい、ヘブンズクエーサーっ!」

 

ズッ……ドオォォォォォォォォン!!

 

鳳と隕石が女王がいた場所に落ち、魔力の大爆発が発生する。…土煙が大量に上がり、その跡がどうなっているかは見えない。だが、解るぞ。お前はまだ息があるだろう、蝕みの女王よ!

 

「これで…止めを刺す!」

 

体に宿していた精霊の力を全て解放する。これで一時的に身体能力を爆発的に強化できる。この土煙の中にいる女王も、ここから補足できる。

 

「ハァッ!!」

 

一瞬で女王の元まで辿り着き、駆け抜けながら全身を切り刻む。

 

「まだだ、まだ終わらん!」

 

女王を空中に蹴り飛ばし、更に全方位から切り刻む。もはや悲鳴を上げる事すらままならないだろう。だが、完全に貴様の息の根を止めるまで、私も止まらんぞ!

 

「お前達フィルフサに討たれた我らが同胞の無念…今こそ晴らす!!」

 

女王の真上に跳び、最後の一撃を叩き込む!これが、我ら白牙氏族に伝わる秘儀…

 

「アインツェルカンプッ!!!!」

 

これで…止めだ!!!

 

 

「…」

 

最後の一撃は、完璧に女王の頭に入った。虫は頭を潰しても動くことがある、フィルフサも女王ともなればそういう事もあるかもしれないと警戒するが…

 

「…動かない、か」

 

頭部が完全に消し飛び、全身から体液が流れ出している。…フィルフサも生命体だ、生きているのならば精霊を通して私にも感知できる。どうだ…

 

「…死んで、いる。仕留めた」

 

蝕みの女王は、ここで完全に死を迎えた。

 

「ああ、漸くだ」

 

クリント王国の侵略から、どれほど経ったか。

 

「永かった」

 

皆がフィルフサに蹂躙されてから、どれだけの時を重ねたか。

 

「随分と、待たせてしまったな」

 

その時間を、漸く清算できた。

 

 

 

「…終わったぞ、みんな」

 

…久しぶりに、泣けた気がするな。




実際に改めて1をプレイして影の女王のモーションを確めた結果、「これまともに動かしたら絶対誰か死ぬな、完全に物理攻撃だし」となったのでだったら1から10まで何もさせねえ!という方針で行きました。これまで数で蹂躙してきたやつを数で蹂躙する展開に。まあ原作でもやろうと思えば女王瞬殺とかできなくは無いので…
女王の第2形態もあの方式なら多分オーバーキルボーナス的なの狙えるんじゃね?と思い出てきた瞬間からボロボロになってもらいました。
あと女王なんだし周りのフィルフサを招集する力くらいありそうだったのでライザとクラウディアの出番の為に使わせました。アルムに腕へし折られてあげた悲鳴が合図です。
まあそもそもコミカライズだと割とアッサリ倒してたりしてますが…

あと止めをリラに刺させるのはずっと前から決めてました。

タイラントディバイダ―…本作におけるレントのフェイタルドライブ。全力の気合と共に大上段からの一撃を叩き込み、あらゆる敵を両断する技。アルムのフェイタルドライブに影響されて原作とは違うこの形になった。
因みに命名者はアルム。意味は「大敵を断ち切る者」

Q,3のレントの最強武器と名前被ってない?
A,「リーゼ」がドイツ語で「巨人」を意味するものならモロ被りです。出すのがこれだけ遅かったのでアレですが、3発売前から決めてた名前なので偶然の一致です、一応。

ここまで読んで頂き、有難うございました。
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