変化の連鎖は、10年前のあの日から   作:七人の母

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ようやくここまで来たなぁ…

女王撃破後のアレコレからのクーケン島再生
今回はタオ視点→ライザ視点です


冒険の総仕上げ、蘇れ故郷

「…本当に、倒してしまうなんて。本当に、本当にありがとう。全てのオーレン族に変わって、心から感謝する」

「ああ。…正直、私も実は夢を見ているんじゃないかと恐れているよ」

 

蝕みの女王を倒して、僕達はキロさんの野営地まで来ていた。あの後、女王が死んだからかその場にいたフィルフサのほとんどがまともに動かなくなった。どうしても邪魔な奴だけセルフィアで吹っ飛ばしたけど、隠れる必要すら無かったからかなり楽な道だった。

そして女王を倒したことをキロさんに報告したわけだけど…うん、そう言ってもらえるなら、ここまでやった甲斐があるよ。

 

「えーっと、これが証拠品…になるかな?女王の胸についてた宝石みたいなものなんですけど」

「これは…戦士の証?でも、こんなに大きな…」

「もしかしたら、これがクリント王国が採掘してきた資源なんじゃないかなって、そう感じるの。クーケン島の動力と、キロさんがボオスに渡した戦士の証と、同じ力を感じるんだ」

「…そういえば、戦士の証はフィルフサが豊かな大地に巣食う事で生じると氏族の長老から聞いたことがある」

「フィルフサが聖地の力を取り込み結晶化させたものがこいつ…ということか」

 

ってことはクリント王国の繁栄はフィルフサのお陰って事?で、そのフィルフサにクリント王国が滅ぼされて…なんていうかなあ。

 

「成程、つまりそいつの秘密を突き止めれば…!」

「やらないよ?」

「だな」

「なっ!?」

「だって、これのせいで異界がこんなに荒らされたんじゃん」

「ああ、こんな悲劇の元になった代物だ。どこにも情報を遺さず、今必要なことだけに使うのが一番だろうな」

「そういうこと!だから、島の動力にだけ使って、それでお終い!」

 

アルムだってこういうのは知りたい性格してると思うけど…でも、そうだよね。悲劇を産み出すなら追及しないのも、知識との付き合い方の1つだよね。

 

「ふふ、はははっ!ああ、その通りだなライザ、アルム。アンペル、何か言い返すことはあるか?」

「…ないさ、あるわけがない」

「そういうことなら、遠慮なくクーケン島の為だけに使わせてもらいます」

「ああ、お前達が思う通りにしろ。…これでは、錬金術士として完敗だな。全く、気に食わん…

「…とりあえず、あの2人がアンペルさんから一本取ったって事でいいんだよな」

「たぶんね。…でもアンペルさん、すごく嬉しそうだよ」

「ある意味、師匠越えの瞬間ってやつなのかな、これ」

 

アンペルさんもいつかはって思ってただろうけど、こんなに早いのは想像もしてなかったんじゃないかな。

 

「キロさん。水はきっと近い内に返します。これは、錬金術士としての約束です」

「うん、楽しみに待ってる。良き錬金術士…ライザ」

「はい。…それじゃあ、帰ろう!あたし達の島を蘇らせる為に!」

 

…もうすぐ、だね。もうすぐ、島を救えるんだ。

 

「ところで、アルム」

「なんですか?」

「その武器のような物は?此処に来たときは持っていなかったはずだけど」

「女王から奪った…まあ、戦利品の1つです」

「お前それ女王からアレ抉る為だけに使ったんじゃなかったのか…」

「他にも何かに使えそうな気がしたからな」

 

もしかして、そのうち自分の武器にしたりしないよねそれ…?

 

 

「ぷにー!」

「おぐあっ!?」

「「アルムー!?」」

「ふ、不意打ちは勘弁してくれ…仲間からのそれには対応できないんだ…」

 

…坑道を抜けた瞬間、シャイニングぷにからの熱烈歓迎があった。被害者はアルム。アルムの悲鳴ってレア中のレアだなぁ。

 

「よしよし、それだけ心配してくれてたんだよね」

「ぷに~」

「今にして思うと、よくもまあこいつを友達に出来たもんだよな」

「寂しかったんじゃないか?あんなところにずっと独りぼっちだったんだからな」

 

そういうとこは、魔物も変わらないのかなぁ。偶々この子が知能が高いだけなのかもだけど。

 

「痛つ…まあ、とりあえず…ちゃんと見張っててくれたみたいだな。有難うな」

「ぷに~!」

「ふふっ。…それじゃあ、姉さんたちが心配してるだろうし、早く帰ろっか」

「うん、皆を安心させてあげよう」

「そうだね、流石のボオスも今回ばかりは気が気じゃないだろうし」

 

まあ、内心そうでも見た目は取り繕いそうだけどね。

 

 

「よう、無事に終わったみたいだな」

「ああ、なんとかな。…そっちはどうだった」

「正直、対岸から帰ってくるお前等が見えてくるまでは嫌な想像ばかりしてた」

 

島に戻ってきた僕達を真っ先に出迎えてくれたのはボオスだった。まあ、事情を知らないならいつものアレで終わりだろうし当たり前か。

…やっぱり心配するよね、こんなの。女王討伐、徹底的にやって正解だったよ。

 

「そうは見えねえけどな」

「当たり前だ、俺が露骨に不安そうにしてたら怪しまれるだろ」

「まあ、エルちゃんとかは鋭いからそれだけで何かに気付きそうだしね」

「…正直、実は感づいているけど黙ってるとか言われても驚かん」

 

何だろうね、エルちゃんといいアルムといい妙に鋭いの。

 

「まあ、エルの話は後で良いだろ。…そら、来たぞ」

「…ちゃんと、帰って来たか」

「アガーテ姉さん…」

 

…姉さん、ちょっと泣きそうな顔してるなぁ。

 

「あー、姉さん」

「何も言わなくていい。…みんな無事なんだろ」

「うん、バッチリとね」

「ならいい。…人の目がなかったら、お前達4人共ここで抱きしめてやりたい気分だよ」

 

そりゃそうだよね…いつも面倒見てたいたずら小僧3人+1人が異世界のバケモノを討伐しに行ったなんて、普通なら想像もできないことだろうし。

…いたずら小僧の枠に僕が入ってるの、今更ながらちょっと悲しくなってきた。

 

「これでフィルフサの方は解決したとして…島の方はどうだ」

「ライザ、どれくらいかかりそうだ?」

「ん-…大方イメージはできてるけど、もう一回中枢まで行ってしっかり固めたいからなー。でも明日か明後日には行けると思う」

「…思っていたより大分速いな」

「欲しい結果は決まってるしその為の過程も粗方できてるからね、後は形にするだけよ」

「…と言ってますが、アンペルさん」

「ハッキリ言おうライザ、あのレベルの技術に対してたった3ヶ月未満でその領域にたどり着ける錬金術士はまずいない」

 

アンペルさんがここまで言うってことは本当にライザって天才なんだろうなぁ。…あのまま錬金術を知らずにいたらどうなってたんだろう?

 

「じゃあ、今日は中枢を見に行ったらそれで解散かな?」

「だな。フィルフサからは碌に攻撃されてねえのにめちゃくちゃ疲れたしよ」

「異界はこちらと空気からして違うからな。慣れない空間の中で長時間戦い続ければそうもなる」

「じゃあ、明日に備えて早く――」

「みんなお帰りー。今日はちょっと遅かったね」

「エル?…ああ、おつかいか。ただいま」

 

…ビックリした。もしかして気付かれてて待ってたのかと一瞬思っちゃったよ。

 

「…なんだかみんな、いつもより疲れてるね?」

「…まあな」

「もしかして竜みたいなのがまた出たの?」

「そんなところだ」

 

出たっていうか出て来る前に潰したんだけど…怖いなぁ、100点ではなくても絶対に的には当ててくるこの感じ…

 

「むーん…そんなに危なそうなモンスターがまた出てきちゃうなら、クラウディアさん達が心配になっちゃうなあ」

「街道からはかなり遠い所だったから、流石に大丈夫だとは思うがな。まあ、最悪この辺りを抜けるまではレントに護衛でもしてもらえば大丈夫だろう」

「え、俺?」

「悪い話じゃないと思うが?まあルベルトさん達の方が了承してくれるならだがな」

「…お父さんに話してみるね。普通に良さそうな提案だし」

「…まあそっちが良いなら良いけどよ。急に何言い出してんだよアルム」

「長旅に先立つものは必要だろ?バイト代くらいは恵んでもらえ。…悪いな、エルを心配させない為の出まかせに合わせてもらって」

「…そういう事なら仕方ねえか」

「もしOKが出たらお代はちょっと弾むね?」

「…レントさん、島を出ていっちゃうの?」

 

…そういえば、その辺の話エルちゃんにはしてなかったっけ。

 

「ああ、武者修行の旅って奴だ」

「他のみんなは?」

「私とリラはまた調査の旅だな。此処でやりたいことは大方終わった」

「私は…もう知ってるよね。あ、クーケン島に支部を置かせてもらえることになったから、お手紙のやりとりはできるよ」

「えっと、僕は」

「ああタオ、ちょうどいい機会だから1つ提案したいことがある」

「ボオス?」

 

僕に提案?ボオスの事だし変なことじゃないと思うけど…

 

「俺は、ブルネン家の男としてより相応しい男になる為に王都の学校に留学する」

「王都の…?」

「じゃあ、ボオスさんも出ていっちゃうんだ…」

「俺の場合数年したら戻ってくるがな。…で、タオ。お前も留学しないか?」

「へっ?」

 

え、僕!?何で!?

 

「どうせならお前等友人の1人でも誘ってみたくてな、そう考えるとお前しかいなかった。お前にとって悪い話じゃないと思うぞ?島にいる時とは比べ物にならん位の広い知識に触れられるからな」

「そ、それは確かに魅力的だけど…アルムは?」

「誘ったところで即座に断られるに決まってるだろう。考えてもみろ、ライザが暫く島にかかりきりになるのにこいつがその傍にいないわけあるか?」

「…流石、俺の事をよく解ってるよ親友」

「…そーいうこと人前で言わないで欲しいんですけどー」

 

ああ、確かにそれならアルムは誘っても行かないか。…王都に留学、かぁ。そうすれば、皆と少しでも並べるようになるのかな。だったら…

 

「…ボオス」

「おう」

「家族に許可、貰いたいからさ。手伝ってくれると有難いんだけど」

「ああ、任せろ」

 

受けない理由、どこにも無いよね…!

 

「とはいえ、この島を直してもらわんと気分よく外に出れん。だからライザ、早めに頼むぞ?」

「任せなさいボオス。この夏の冒険の最後の大仕事、絶対にやり遂げるわ!」

 

後は、ライザを信じるだけ…だね。

 

 

 

 

「うーん…」

「行けそうか?」

「やっぱり、何か足りない気がするんだよねぇ…」

 

女王を倒した翌朝、あたしとアルムとアンペルさんはイメージを固める為に早速中枢の前まで行った。もう一度見れば行ける!と思ってたんだけど…どうもしっくりこないなあ。

 

「どこに引っ掛かりを感じているんだ?」

「えーっと、なんていうか…本当にこれをそのまま作ればいいのかなって」

「それだけ聞くとどうしようも無い感じがするな…」

「でも方向性は間違ってない感じもしてて…どうすればいいのかな」

 

うーん…まさかここまで来て詰まっちゃうなんて…

 

「なら、一度そのイメージのまま形にしてみればいいんじゃないか?その方が修正もしやすいだろう」

「…そうかも。じゃあちょっと調合してみるよ」

 

何事もやって見なきゃ解んないしね。さーて、あたしが感じてるこのしっくりこなさの正体を突き止めるわよ。

 

 

「ふう…」

「これが、今お前がイメージしている物か」

「うん。名付けて『赤の輝石』だよ」

 

これが今のあたしのイメージできる精一杯のもの。触れるだけで力を感じる、透明感のある赤い石。

 

「…これでまだ足りないのか」

「あたしの思い違いかもしれないけど…とりあえず持って行ってみよう」

 

で、実際に持って行ってみて、タオにお願いしてはめ込んでみてもらったんだけど…

 

「…うーん、あんまり変わらないね」

「やっぱりかー…何がいけないのかなぁ」

「タオ、何がどう変わらないんだ?」

「単純に力の大きさかな?ちょっとは良くなったけど、今のままじゃ全然足りてないよ」

「…成程、何は必要なのかよく解った。…アンペルさん」

「ああ、少しの間なら大丈夫だろう。…タオ、出力を可能な限り上げてくれ」

「え!?」

 

そ、それって大丈夫なの!?今でも結構ギリギリなんでしょ!?

 

「ライザが何故しっくり来ていなかったのか…それは恐らく、「弱り切った今の動力」を参考にイメージしていたからだ」

「あ…」

「だから、一度全力で稼働させてそのイメージをライザが掴めば…今度こそ、新しい動力を造り出せるはずだ」

 

…簡単な話だった。今の劣化しきった動力を参考に作ろうとしてたから、島を動かすイメージとズレが発生しちゃって違和感があったんだ。

 

「…わかった、やってみるよ!でも5秒くらいが限界だから、すぐにつかんでよライザ!」

「任せなさい!さあ…こい!!」

 

そう言って出力を限界までタオが高めると、動力が赤く輝き始めた。…うん、わかる、今までは燃え残りを探す感じだったけど、これなら炎のイメージがはっきりと…!

 

「…見えたよ。これなら、今度こそいける…!」

「そうか、だが焦りは禁物だぞ?調合する素材が素材、道具も道具なんだ」

「うん、大丈夫。これで何をどうすればいいか、全部見えたから!じゃあ、調合しに行って来るね!」

 

最後に必要なピース…やっぱりあれだ、女王から取ったあの結晶。アレを組み込めば、絶対に力が足りる…!

 

「…やれやれ、本当に解っているのかね」

「ライザなら解っていますよ、間違いなく」

「お前がそう言うならそうなのだろうがな。まあ、念のため様子を見てやってくれ。ああ、あまり時間がかかるようなら無理に今日中に持ってこなくても構わん、と伝えておいてくれるか」

「解りました」

 

この島の未来を決める大事な調合…絶対に成功させる!

 

 

「…」

「どうだ?」

「まだかかりそう…でも順調だよ」

「…そっちじゃない」

 

新しい島の動力源『真紅の輝石』の調合を始めて暫く…多分1時間は経ったくらいの時にアルムが少し心配そうに声をかけてきた。輝石の方じゃないってなると…なんだろう?

 

「お前、気付いて無いのか?」

「何が?」

「汗、とんでもないぞ」

「え?…あっ!?」

 

ちょ、調合に集中し過ぎてて気づかなかった…!全身汗だくでベタベタだし、服も完全に肌に張り付いちゃってる…!

 

「とりあえず体を冷まして少し休め。アンペルさんは明日でもいいと言ってくれているんだ」

「で、でもやっぱりできるだけ早い方がいいじゃん」

「それでお前に倒れて欲しくないんだよ、俺は。そもそも汗のかきすぎは命にかかわるからな?ほら、濡れタオルと飲み物も用意してあるから一旦休憩だ」

「…わかった。でもそのままだと焦げちゃうから」

「ああ、代わりに俺が回しておく」

 

そこまでピシャリと言われたら言うこと聞かざるを得ないよ…でも実際言われてみると私すっごく疲れてたみたいだし、アルムが止めてくれなかったらそれこそ倒れるまで続けてたかも。

 

「…ぷはー、おいしい、そしてひんやり、生き返るぅ…」

「因みにその水はエドワードさんに作り方を聞いたものだが、『これを美味しく感じる状態はちょっとよろしくない』代物らしい」

「えっ」

「体の中の水分が不足し始めている兆候なんだそうだ。そこに材料と作り方のメモ書きもしてあるから、まだ必要だと思ったら自分で作ってくれ」

 

…ほ、ホントにアルムがいてくれてよかった…!

 

「後…そうだな、今から風を送る」

「風?…アルムって魔力は飛ばせないよね?」

「道具の力を使えばその限りじゃない。コイツがあればな」

「コイツ…って、それは」

 

アルムが何でか持ち帰ってきた、蝕みの女王が使ってた武器じゃん。それでどうするの?

 

「コイツはかなり魔力を流しやすい…というか含みやすいものらしくてな、こうしてありったけ流し込んで回せば…」

「…ホントだ、結構涼しい風が来てる」

 

よく思いつくねそんな事…っていうか仮にも一つの世界を蝕んだ怪物の親玉の武器がこんな使われ方してるって、被害を受けた当人のリラさんが知ったら何て言うかな。

…意外と笑いそうな気がして来た。「ああ、人に散々迷惑をかけた分だけ思う存分活用してやれ」とか言って。

 

「でも、そんなことしてたらアルムも疲れない?窯も片手で回してるし…」

「リラさんとの特訓はこれの非じゃないくらい色々同時にこなさなければやってられないからな…頭と心臓がもう一つ欲しいと何度思ったか」

「まだそんなに差があるんだ?」

「ランバーはともかく、俺とレントには容赦なくいきなり精霊全部付与してから始めてくるからな…」

「それはエグイね…」

 

「破壊力以外で俺が勝てる要素が現状見当たらない」って言ってたもんね、あの状態のリラさん…

 

「まあとにかく、俺は大丈夫だから遠慮なく休んでてくれ」

「ん、分かった」

 

ホントに優しいなあ、アルムは。基本みんなに優しい人ではある(レントだけ偶に扱いが雑だし容赦ない時もある)けど、なんていうかあたしには特に気を遣ってくれてるところがあるっていうか、その、特別扱いしてるっていうか。

…そういうこと、なんだよね、やっぱり。あたしはアルムの事好きだけど、アルムも多分…

 

(…今ここで、聞いてみちゃおうかな)

 

今アルムの集中を乱すようなことはあんまりしちゃいけないとは思うけど…ずっと抱いてきたこの気持ちの「答え」が知りたくて仕方がないっていう気持ちが勝っちゃってる。

 

「…アルムってさ、優しいよね」

「…何だ急に。まあ、確かに基本他人にはそうするべきだと思って生きてはいるが」

「そうだけど、その、さ」

「何が言いたいんだ?」

「…あたしには、特に優しい気がするなって」

「…」

「それがどういうことなのかって、理由を考えてみたんだけどさ。…アルムって、その…」

「ストップだ、ライザ」

「え…」

「そこから先の話は、島の事が一段落ついてからにしたい」

「…そっか、その方が良いよね」

 

言われてみれば、そういう話は全部終わらせてから気兼ねなくした方が良いよね。…じゃあ、それまでお預けかな。

でもそうなったら、俄然やる気が出てきちゃうよ。

 

「――よっし、休憩終わり!じゃあ続きをやるよ!」

「そうか、じゃあ」

「というわけでアルム、最後は一緒にやろう!」

「…は?」

「2人で一緒にかき混ぜて、真紅の輝石を調合するの!」

「…まあ、確かにそうすれば直接お前を体を冷ませるが」

「それよりもあたしのモチベーションが死ぬほど上がるのよ!さあ、始めよ!」

「いつになく強引だな…まあ、お前がそうしたいならそうするよ」

 

さあ、最後の一息だ!

 

「ああ、その前にちょっとだけ待っててくれ。不届き者が外にいる」

「え、誰?」

「お嬢様の癖して覗きが好きな『悪い子』だ」

「クラウディア…」

 

この後、アルムに見つかったクラウディアはちょっとニヤニヤしながら即退散した。…なんかわざわざ自分で漕いで来てたみたい。どれだけ覗きたかったのよ…

 

 

「出来たよ、アンペルさん。これが新しい島の動力だよ」

「…確かに、前のものとは比べ物にならない力を感じるな」

「うん、僕でも見ただけでわかるよ」

「確かにこれなら、十分動力の代わりに成り得るだろう」

 

真紅の輝石が完成した次の日の朝、早速アンペルさんの所に持っていった。アンペルさんのお墨付きも貰えたことだし、流石に行けるはず…!

 

「で、新しいのに変える前に確認しておいた方が良い事ってある?」

「ああ、ボオスにはあの離れの近くに待機してもらっている。島中の噴水が動き出したらあの珠を直ぐに取り外してもらう為にな」

「早く取り外さないと今度は水が多すぎて溢れちゃうからって事?」

「念の為にな」

「それ以外は無いか?…では、始めるぞ」

「うん…!」

 

今回の冒険の最後の大仕事、きっちりやらなきゃ!

 

「分かっているとは思うが、お前たちが今までしてきたことの集大成がこれだ。しくじるなよ」

「うん、これで絶対に成功させる…!タオ、準備は!?」

「出来てる、いつでもいいよ!」

「よし、それじゃあ…蘇って、あたしたちの故郷…!」

 

あたしはちゃんと輝石を取り換えて、後はタオに出力を上げてもらう…どう!?

 

「…おお…!!」

「今までとは輝きが違う…」

「すごい勢いで動力が回復してる…!今まで辛うじて装置を動かしてきた量を、一瞬で超えたよ!

…潮流の確認、水位は現状維持、島の位置は元に…!」

「島全体に、力が行き渡っていくのが解るよ…!」

「ああ、ここに立っているだけで感じる。クーケン島が、生き返っていく」

「最後に、淡水化装置起動、地表への放水開始…!これで!!」

 

タオが、全部の行程を終わらせた。後は上手く行ったかどうか、この目で確かめないと!

 

「これで、上手く行ったはず…」

「じゃあ、見に行くわよみんな!」

「ああ、行ってこい。自分たちの誇るべき成果ってやつを、その目に焼き付ける為にな」

「うん!!」「はい!!」

 

これで上手く行ってれば、後はオーレン族の人達に水を返すだけなんだから!絶対上手く行っててよ!

 

 

「じゃあ、俺も行ってきます」

「ああ。しかし、随分と落ち着いているな」

「これでも高揚してますよ、絶対に上手く行ってるって確信がありますから。アンペルさんもそうでしょう?」

「ああ、そうだな…ここまで見事にやってのけるとは。…ああ、見事という他ない

 

見事だ、錬金術士ライザリン・シュタウト…!」




アルム「まあ何かに使えそうとは言ったが、半分くらいは小さい頃よくやってた良い感じの木の棒を見つけて持って帰るくらいのノリだったな」
ライザ「そのノリで武器を豪勢なセンス代わりにされたら女王もたまったもんじゃないわよね…」
当然女王の武器周りは独自設定です。そしてアルムは今後普通に武器として使う気満々です。

そしていたずら小僧3人+1の+1部分は無論アルムの事。アルム的には親友たちと一括りにされない(できない)ことに少し不満。

アルムがライザに飲ませたのは現実で言うところの経口補水液です。まあ最近のものは普通に飲める代物だそうですが…

Q.何やってんのクラウディア
A.「両片思いの2人が最後の大仕事で2人きりなんて何も起きないわけが無いと思って…実際告白寸前みたいなところまで行ってたしね!」

ここまで読んで頂きありがとうございました。次回1編ラスト。
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