変化の連鎖は、10年前のあの日から   作:七人の母

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冒険開始。この小説内でのアクティブスキルはフェイタルドライブを除き、オーダースキルとかそういう区別は一切無いことにします。なのでオーダースキルだけ単品で出したりします。

ゲームにいた場合のアルムの能力を大まかに言うと
・素のステータスは攻撃力は1位、素早さは2位、器用さは単独3位、HPと防御力は下から3番目。
・パッシブスキルは攻撃能力を高めるものが殆ど。防御面は回避上昇スキルのみ。逆に火力が上がるパッシブが7つもある。
・リラさんが「スキルに応じた精霊を付与して、全ての攻撃に永続で追加ダメージが付く」なら、アルムは「スキルそのものに無属性攻撃と別枠で属性ダメージがある。通常攻撃は無属性攻撃」
・通常攻撃のモーションがライザと同じくらい短い。
って感じです。

今回はライザ視点→とある少女視点。
今回、ライザたちは「漕ぎ手が二人いる」「強いのが二人いる」ということで、原作より到着も進軍もちょっと早いということにしています。


新たなる出会い、少女と戦士と錬金術士

「とうちゃーく!」

「遂に来ちまったな、俺達」

「いよいよ、これからなんだね」

「ああ。俺達の冒険の、始まりだ」

 

ずっと憧れてた島の外。夢にまで見た大冒険。でも、今本当に、その第一歩を踏み出したんだ!

 

「今日は旅の商人が来ると聞いたから、もののついでに見られるかと思ったが…まだ来てないみたいだな」

「あー、確かにそれはちょっと残念かも。でも、これからの冒険のワクワクに比べたら…!」

「ウズウズしてんなあ。まあ、俺もだけどよ」

「じゃあ、まずはどこに行こう?僕とライザは訓練自体殆どしてないから、あまり強い魔物がいるところは…」

 

それもそうだ。まずあたし達は戦いに慣れなきゃいけない。このままじゃアルムとレントの足を引っ張っちゃう。

でも、街道を辿るっていうのもなー。アガーテ姉さん以外の護り手に見つかっちゃうとちょっと面倒だし。んー…

 

「じゃあ、小妖精の森に行ってみない?」

「…大丈夫かな、村の人たちが誰も近づこうとしないって話だけど」

「入口だけちょっと入ってみて、ヤバそうだったら即撤退でどうだ?」

「…そうだな、深入りし過ぎなければ、俺ならライザとタオを抱えて即座に脱出できるだろう」

「…レントは?」

「余程の魔物がいない限りは大丈夫だ。タフだからな、レントは」

「ああ、何かあっても、お前が戻ってくるくらいまでは持たせてやるぜ」

 

…うーん、凄い信頼関係。レントがちょっと、いやかなり羨ましい…

 

「さて、方針も決まったことだし、行こうか」

「うん!」「おう!」「うん」

 

というわけで、小妖精の森へ!よーし、行くぞー!

 

 

「ここが、小妖精の森…」

 

何ていうか、ぱっと見は普通の森って感じだなあ。名前に妖精って入ってるし、もうちょっと不思議な感じがするのかと思ってたけど。

…もしかして、あたしがそういうの解らないだけだったりする?

 

「見た感じはただの森…だな」

「今のところ、危ねえ感じは無えな」

「まあ、村の人達が勝手にそう呼んでるだけらしいし…」

 

良かった、みんな一緒だった。そんなことでほっとしていたら、物音がした。見てみると…

 

「ま、魔物だ!」

「コイツが…」

「確か青ぷに、だったか」

 

青いぷにぷにした魔物が来た。…名前もそのまま「青ぷに」なんだ。

魔物じゃなかったら可愛いと思うんだけどそうじゃないから、私たちにとっては危険な存在だってことになる。

 

「さて、やってみるか」

「え、えーと、気を付けてね!」

「ああ」

 

あたしたちは少し下がって、いつでも動けるよう準備をしつつアルムの戦いを見る。

 

「…」

 

その動きは…青ぷにが動くまで待って、攻撃してきたら避けて、それでできた隙をついて攻撃。その繰り返しだった。

いつもレントとの特訓でやってるような無茶苦茶な動きじゃない。あたし達でも解る、基本的って感じの動き。

なんていうか、素人の私達にも凄く参考になる動きだった。…あたし達に何度も動きを見せる為に、手加減されて蹴られ続けた青ぷににはちょっと同情したけど。

 

「こんな感じだな。まあ、遠距離攻撃ができる2人は少し距離を開けて先制攻撃をしてもいいかもしれないな。ただ、一撃では倒せないだろうから、近づかれたときの準備はするように」

「おっけー!さあ、近くに魔物は…いた!」

 

早速青ぷに発見!さあ、初戦闘、張り切っていくぞー!

 

 

「よーし、勝利!」

「なんとか行けたね…」

 

当然、問題なく勝利!あたしの「コーリングスター」とタオの「闇夜の帳」で同時に先制攻撃して、飛びかかってきたところを躱して攻撃。そこにタオがハンマーを振って飛ばした魔力が直撃して青ぷには倒れた。

うん、初めてにしては上出来なんじゃないかな!

 

「思ったよりは大丈夫そうだな。…よし、もう少し2人で戦ってみてくれ。危なくなったら俺とレントが助けに入る」

「やべえと思ったら遠慮なく言えよ?」

「了解!」

「わ、解ったよ」

 

そんな感じで魔物と戦闘しつつ奥に進んでいくあたしたち。青ぷに以外にも、オオイタチとか、花の精とかとも戦ったけど…今のところは、アルム達の助けが無くても大丈夫だった。これでちょっとずつ、アルムの隣に近づけてるかなあ?

そんなことを考えながら進んでいると、少し開けたところに出た。

 

「クリント王国の遺跡…だったか。村の中にもいくつかあるな」

「うん。…見張り小屋だったのかな、この小屋」

「こんなとこにもあるんだな、遺跡って」

 

遺跡かあ。冒険の中でこういうのを見つけるのも楽しみの一つだよね。もっと大きなものが見つかったら凄く楽しいだろうなあ。

 

「さて、まだ時間にも余裕はありそうだし、もう少し奥まで行ってみるか」

「うん。もしかしたら、もっと大きな発見があるかもしれないしね!」

 

さあ、どんどん行くぞー!

 

 

というわけで、さらに奥に進むあたし達。あたしもタオも大分戦闘に慣れてきて、先制攻撃無しでも余裕をもって勝てるようになってきた。

そうしているうちに、何か音が聞こえてきた。これは…笛?風の音とかではなさそう。

 

「…こっちからだな。行ってみるか?」

「誰かいるのかもしれねえな。…迷子とかじゃねえよな」

「迷ったから、笛で助けてくれる人を呼んでるってこと?」

 

こんなところで迷子になったら、普通そんな余裕ないと思うけどなあ。

…この前エルちゃんが読んでるお話にそんな感じの余裕を持ったおバカな人が出てきてたけど、流石にあれは物語の中だけだと思うし。

まあでも、本当に迷子だった時の為に探してみることにした。すると…

 

「…ん、そこの裏から聞こえてくるな」

「あそこ?丁度仕切りみたいになってるけど…」

「マジで迷子か…?」

「とにかく、行ってみようよ」

 

そうして、崩れた建物の裏をのぞき込んでみると…

 

…すごく綺麗な、女の子がいた。金髪の、身なりがいい…って言えばいいのかな。そんな感じの。

ここで、1人で楽器の練習をしてたみたい。フルート…だっけ。

あたしに、音楽の事はよく解らないけど…音も、綺麗だなって。そう思った。

 

「…」

 

アルム達も聞き入ってるのかな。何も言わず女の子のことを見てる。今ここは、ちょっとした演奏会の会場になってる。

そして、女の子の演奏が終わったと同時に。

 

「…凄い」

 

拍手をしながら、そう感想を呟いてた。

 

 

 

 

「…え?」

 

凄い。そう後ろから聞こえたから振り向いたら、女の子が拍手していて、隣にいた3人の男の子も少し遅れて拍手してた。…えっと、もしかして…

 

「聞いてた…の?」

「うん。すっごく、綺麗だった」

「今まで興味なんて無かったのに、音楽って凄えなって思っちまった」

「なんていうか、目が離せなかったよ」

「~~っ!」

 

は、恥ずかしい…!誰かに見られたくないからこんなところまで来て1人で練習してたのに…!しかも凄く褒められてる!余計に恥ずかしいよ…!

 

「ほら、アルムも何か感想言ってあげたら?」

「ん、ああ」

 

一際背の高い男の子が口を開こうとしてる。な、何を言われるんだろう…

 

「後でアンコールしていいか?」

「「「そこまで!?」」」

 

一番すごいこと言われた!?無理だよ、恥ずかしすぎるよ!

 

「いや、クーケン島ってこういうの本当足りないからな、色々新鮮だったからもう一度聞きたくなったというか…すまん」

「あ、うん、大丈夫…」

 

本当は全然大丈夫じゃないけど…

 

「えっと…それで、どうしてこんなところで練習してたの?近くに魔物もいて危ないのに」

「ええっと…」

「もしかして言いにくい事だった?じゃあ深くは聞かないけど…」

 

うん、言いにくい。お父さんは兎も角、他の人にも聞かれたくない理由が単に恥ずかしいからで、それで練習の為にこんなところまで来てるなんて。

 

「このままここにいるのも危ないから、一度あの広場に行ってから話をしようよ」

 

眼鏡をかけた小柄な男の子の提案で、私は4人に付いていくことにした。

 

 

「それで…まず自己紹介からだな。俺はアルムレウス・レーゼン。アルムで良い」

「あたしはライザリン・シュタウト。ライザでいいよ」

「レント・マルスリンクだ」

「タオ・モルガンテンだよ」

「えっと、私はクラウディア・バレンツです」

「…バレンツ?」

 

自己紹介したら、背の高い男の子…アルム君が私の名前に反応した。知ってるの?

 

「ボオスが言ってたな。今日クーケン島に来る旅の商人達が…確か、バレンツ商会」

「えっ!?」

「バレンツ…ってことは」

「えっ?」

 

クーケン島って、お父さんたちの次の行先で…ってことは、この人達はクーケン島の人達なの?

 

「…アルム、まさかとは思うけどさ」

「そこの商会長さんがどんな人かは知らないが…クラウディアは父親についてきているんだろう」

「…うん」

「今頃、娘がいなくなった!と心配してる可能性が高いな」

「じゃあ、早くクーケン島に戻ろう。クラウディアのお父さんを安心させてあげないと!」

 

…うん、そうだよね。いきなり娘がいなくなったら普通心配になるよね。

よくこっそり抜け出してるから最近は「またか…」みたいな反応だけど、それでもやっぱり心配させちゃってるのかも。

 

「さて、それじゃあ戻…ん」

「どうした、アルム…コイツは」

 

広場から出ようとしてたアルム君とレント君が立ち止まった。その先には…オオイタチ?ちょっと違うかも…

 

「…さっきまでの奴とは段違いに強いな」

「そうだな。ちょっと本気出すか…」

 

そういってアルム君は構えて、レント君も剣を抜いた。だけど…

 

「その必要は無いな」

 

そんな声が後ろから聞こえた。そこにいたのは、片眼鏡の細身の男の人と、髪どころか肌まで白っぽい色の女の人。

クーケン島に用事があるからついでに馬車に乗せてほしいって、お父さんにお願いしてた2人。確か…

 

「アンペル、あの2人なら、あれくらいは問題ないと思うが」

「何、手早く済ませるに越したことはないだろう、リラ。2人とも、少し離れろ。そして全員、目を瞑れ」

 

そういって、2人が魔物から距離を取った瞬間、アンペルさんから何かが飛んできた。あれは、小さな樽?そして、言われたとおりに目を瞑ると…

 

――ドォン!

 

そんな短い爆発音がした。そして、目を開けたら…あの魔物が、吹き飛んでいた。

 

「…爆弾、か?」

「魔物が、一瞬で…」

「…今のって、一体…」

 

私も含め、みんな呆然としている。そんな中で…

 

「…凄い」

 

ライザだけが、目を輝かせていた。

 

「今の、凄いっ…!何ですか、今の!?教えてください!!」

「ああ、あれは【錬金術】だ。簡単なものだがな」

「…錬金術…!」

 

…私は、ライザの事は何も知らないし、その錬金術っていうものの事も解らないけど…そんな私にも、ライザにとって今のこの瞬間は、凄い転機になったんだろうなって、そう解った。

 




クラウディア、気づかないうちに演奏会をしてしまう。これがやりたいがためにちょっと早く着いたことにしました。

Q,原作だと襲われてた時にはフルートをケースに仕舞ってなかった?
A,原作では練習を終えて「もう戻ろう」ってなったところで襲われた、ってことにすれば…ダメですかね?

ここまで読んでいただき、有難うございます。
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