変化の連鎖は、10年前のあの日から   作:七人の母

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初めての冒険、終了。そしてライザが錬金術習得。ついでに恋愛タグも多分いるかなと思って追加。
この小説、ボオスとライザ達が仲違いしてないからランバーが死ぬほど出しにくいな…

今回はアルム視点→ライザ視点


少年少女への承認、そして夢への次なる一歩

(錬金術、か)

 

クラウディアを探しに来ていたらしい2人組…アンペルさんとリラさんと共に、俺達は船着き場に向かっていた。もう夕暮れ時で、クラウディアもクーケン島に送り届けなければいけない。となれば、ここで今日の冒険は終わりにして俺達も島に戻った方がいい。そう判断したからだ。

因みにそれを聞いたライザとクラウディアは、

 

「うーん、仕方ないか。もうちょっと続けたかったけどなー」

「ごめんね?せっかくの冒険だったのに、私のせいで…」

「あ、えっと、ごめん!そういうことを言ったんじゃないの!」

 

なんてやりとりをしていた。ライザが普段関わらないタイプだから、いつもの調子で発言したら軽い失言になってしまったようだ。レントみたいな強気なタイプでもなさそうだから、今後話しかける時は少し気を付けるか。…どう見ても恥ずかしがっていた彼女に、アンコールを要求した俺が言うことではないが。

 

まあ、クラウディアについては島の大人たちかボオスが対応してくれるだろう。それよりも、今の俺が強く興味を持った言葉がある。

…錬金術。あの強力な爆弾を作り出したらしい技術。どういったものか、詳しくは説明されていないが…

 

(気になって、仕方がない…!)

 

どうやって作った?どうすれば身に付く?爆弾以外には何が作れる?そんな錬金術への興味で、頭がいっぱいだった。

ライザも気になっているようだし、後日詳しく聞いてみようか。

 

 

暫くして船着き場に付いた。そこにいたのは、アガーテさんと…金髪の真面目そうな壮年くらいの男性。この人が、クラウディアの父親か?

 

「お前達か。ちょうどいい、聞きたいことが…ん、その子は…?」

「…クラウ」

「お父さん…」

 

当たりだったようだ。名前はルベルト・バレンツさん。名前からわかるとおり、今クーケン島に来ているバレンツ商会の会長さんだ。

 

「俺達4人で…まあ、冒険をしていたら偶然見かけましたので」

「そうか…うちの娘を有難う。アンペルさんとリラさんも、頼みを聞いていただいてありがとうございます。

こうみえてじゃじゃ馬で…時折、ふらりと商隊を抜け出すことがありましてね」

「ごめんなさい…」

「馬車に乗せてもらった礼だ。構いやしない」

「報酬もすでに別途受け取っているしな」

 

…以前から抜け出しているらしい。ああ見えて意外と行動的というか。

冒険と言ったら羨ましそうな顔をしていたし、今後仲良くなったら私も連れて行ってほしいとか言いそうだな。

 

「しかし、そのうち何かやるとは思っていたが、まさか初日からとはな」

「俺も驚いてます。今回は平和に終わりましたけど」

「そうだな。まあ…偶然とはいえ、お手柄だぞお前達。よくやった」

「…!」

 

アガーテさんに褒められたその瞬間、ライザは驚いた表情をした。

 

「どうした?」

「初めて、姉さんに褒められたかも」

「普段が普段だからな。…これからも、頑張れよ」

「~っ、うん!」

 

激励までされて感激しているな、ライザ。

 

「へへ、自分の行動が認められるのっていいもんだな」

「…うん。これからの冒険、やる気が出てきたよ」

 

隣を見ると、レントとタオも喜びを露わにしている。そして俺も、顔が綻んでいる自覚がある。

本来の目的とは違うが…冒険を始めて、本当に良かったよ。

 

 

さて、ルベルトさんにクラウディアと仲良くしてやってくれと頼まれ、島に戻る為に船に乗り、クーケン港に着いたわけだが…

 

「ようこそルベルトさん、ラーゼンボーデン村へ!私が村の世話役を務める、モリッツ・ブルネンです!」

 

声のトーンが大きい。いつもこんな感じだなこの人…

 

「…ライザ、この人が村長さん?」

「えーっと、村長じゃないけどこの村のいろんなところに顔を出してくる、モリッツっていうエラそーなおじさんだよ」

「偉そう?お金持ちなの?」

「そっちもだけど、水源を押さえてるほうが大きいかな。こういう島だと、水を持ってる人が一番偉いみたいなとこあるし」

「まあ偉そうではあるが、個人的にはそうしていいだけのことはしている人だと思うぞ。今回みたいに、島の外との繋がりを持とうとしてくれるしな。クーケン島だけだと本当に色々乏しいんだ…」

 

だからこそ変化を見つけるのが楽しいんだが…限度はあるからな。こうやって、外のものを取り入れてくれる人は本当にありがたい。

 

「そうなんだ…キレイで、いい島だと思うんだけどな」

「ありがとう。…俺もそう思ってはいるんだが、流石に何年もずっと同じところにいると、変化に飢えるというか…な」

「だから冒険に出ようってなったの、あたし達。そしたらクラウディアとも友達になれたし、やっぱり外に出て正解だったよ」

「…うん、私もライザ達と友達になれて嬉しい。これから、短い間になるかもしれないけど、宜しくね」

「ああ」「うん!」

 

そうして、クラウディア達と別れた俺は家に帰り、家族に今回の冒険の話をした。

母さんが怪我が無かったことを喜んでくれたり、エルが錬金術の話を聞いて目を輝かせたり、父さんが次が楽しみだと言ってくれたり。…ああ、本当に。冒険を始めて良かった。

 

 

 

 

クラウディアと友達になった次の日、あたし達4人は貯水池の近くに集まっていた。理由は勿論…

 

「よーし、アンペルさんのところにいって、錬金術を教えてもらうぞー!」

「それは良いけどよ、場所は知ってんのか?」

「それを今から調べるの!まずは…」

「ああ、さっきボオスから聞いてきたぞ」

「先に言ってよ!?でもありがとう!」

 

なんでもリラさんと2人で旧市街の民家を借りてるらしい。ついでに、ルベルトさん達が借りてるお屋敷も旧市街にあるみたい。よし、錬金術を教わったら早速遊びに行こう!

 

「で、ライザは錬金術として…レントとタオは何か用事があるのか?」

「僕は、もしかしたらこの本が読める人なんじゃないかなって。この島に来たのもクリント王国の遺跡調査が目的みたいだから、何か知ってるかも…」

「俺はあのリラさんって人に用がある。…一目見ただけで解ったぜ、あの人は俺やお前よりもっと強え。だから、鍛えてもらいたくてな」

「そうか。俺は…」

 

アルムが何か言いかけたところで、アンペルさん達が借りてる家の前に着いた。よ、よーし、緊張するけど、こういうのは最初が肝心!

 

「ごめんくださーい!アンペルさんは居ますかー!」

「ああ、開いているぞ。勝手に入ってこい」

「は、はい!」

 

うう、いざその時が来たと思うとさっきより緊張する…!で、でも、これも錬金術を教えてもらうため!

 

「ん、4人揃ってお出ましか。こっちは丁度最低限片づけを済ませたところだ。それで要件は何だ?」

「「「あ、あの…」」」

「リラさん!あんたは俺よりはるかに強い!お願いがある!俺を鍛えてくれ!」

「クリント王国の遺跡調査をしているアンペルさんなら、この本の読み方が解るんじゃないかと思って来ました!僕に読み解き方を教えてください!」

「あたしに、錬金術を教えてください!」

 

あたしたちは頭を下げてお願いした。ど、どうかな。聞いてくれるかな…

 

「…さて、どうするか。私たちはそこまで暇じゃ…っ!

「え、えっと…」

「お前さん…この本、どこで?」

「えっと、ずっと家に置いてありました」

「…成程、どうやら「当たり」のようだ」

 

…当たり?よく解らないけど…アンペルさんの目的に関係あるかもってこと?

 

「解った、教えよう」

「有難うございます!」

「…なら、そこのお前。名前は?」

「あ、えっと、レント・マルスリンクです!」

「そうか。レント、この近辺の案内をしてくれるなら、戦士の心得を教えよう。見たところ、まだ未熟だが見どころがあるからな」

「解りました!有難うございます!」

 

2人のお願いはトントン拍子に話が進んでく。えっと、あたしは…?

 

「で、そっちの嬢ちゃんだが…錬金術は教えてどうにかなるものじゃない」

「え…」

「…根本的に、特別な素質が必要ってことですか?」

「そういうことになるな。…ところで、お前さんは私達に何か用事はないのか?何も言わなかったが」

 

そういえばアルムだけ何も言ってない。アルムが錬金術みたいな新しくて凄いものに興味持たないはずないんだけどなあ。

 

「まあ、一番は錬金術ですが…正直な話、本の内容も気になってますし、訓練もお願いしたいです」

「要するに全部か」

「はい」

 

…アルム、意外と欲張りだ。

 

「まあ、まずは錬金術の話だな。さっきお前さんが言った通り、特別な素質が必要なものでな。努力してどうこうってものじゃないんだが、さてどうするか…」

 

つまり、できない人は一生できないってこと?もしあたしがそうだったら…イヤだなあ。

 

「それなら、色々言うより実際に調合をやらせるのが一番早いだろう。」

「そうだな、どのみち素質が解らんことには始まらんか。お前さんたち、名前は?」

「はい、ライザリン・シュタウト…ライザです」

「アルムレウス・レーゼン。アルムです」

「よし、ライザとアルム。「ナナシ草」を採ってくるんだ。船着き場の近くの森にあったはずだ」

 

ナナシ草…そんなのあったんだ。早速探してみよう!っと、その前に…

 

「アンペルさん」

「何だ?」

「できるだけいい奴を選んできた方がいいですか?」

「ん、判るのか?」

「えっと、なんとなくは」

 

お父さんに作物の品質チェックのテストを何回か出してもらって以来、それ以外のものに関してもなんとなく品質の良さにあたりが付くようになってきてる。ウェインさんが言うには「何か天性のものをこじ開けたんじゃないか、カールの奴」だって。

 

「まあ、今回は気にしなくていい。まず作れるか否かが大事だからな」

「解りました。じゃあ行こっか、アルム」

「ああ。…お前、いつの間にそこまで?」

「…いつの間にか?あたしもよく解んない」

 

まあそんなことよりも、今は錬金術の才能の方が大事!お願いだから才能あってよ、あたし!

 

 

ナナシ草はアッサリ見つかったので、さっそく採取採取っと。…できるだけいい奴がどうとかさっきは言ったけど、ここにあるのは全部似たり寄ったりの品質みたいだから必要な数だけテキトーに採っちゃおう。

 

「にしても、こうしてみると色々面白そうなものがあるんだなー。うにとか、何かに使えそうじゃない?」

「例えば?」

「アンペルさんがあの時使ってた爆弾みたいに、針がドーン!って飛んでったり」

「発想がエグいぞ…」

 

…ちょっと引かれた。悲しい。

まあそんな話もしながら、必要な分採り終えた。アンペルさんのところに戻ろう。

 

「さて、俺はどっちでもいいが…ライザには、錬金術の才能が有ってほしいな」

「え、っと…何で?」

「自分の事を「平凡」だとか、「なんてことない」とかよく言ってるだろう。俺はそんなこと思ったこと無いが、結局一番大事なのはお前自身の認識だからな。これを機に…何ていうか、自信を持ってほしい、とでも言うか」

「…そっか」

 

実際、今のあたしに自信は無い。あたしはアルムの隣に立ちたいけど、まだそれができるだけの何かが無いと思ってるし、錬金術がその何かになればいいな、とも思ってる。

あたしが錬金術を覚えたい理由は、興味だけじゃなく、願望も入ってる。

 

「…才能、あるといいなあ」

「ああ。…さて、着いたぞ」

「うん。アンペルさーん!ナナシ草採ってきましたー!」

「戻ったか。どうだった、初めての採取は?」

「はい、楽しかったです!今まで気づけなかっただけで、身の回りにこんな面白いものがたくさんあるんだなって!」

「…成程。品質の話もそうだが、その感覚が持てるなら、或いは…アルムは?」

「採取そのものは面白いと思いました。ただ、ライザ程の感覚は得られなかったというか…そんな感じですね」

「そうか。では、早速2人の資質を試してみよう」

 

そう言って、アンペルさんは部屋にある釜の前に立った。錬金術を使うための「錬金釜」っていうみたい。

それで、錬金術による調合の初歩の初歩、緑色の中和剤をあたし達に実際に作ってもらうそうだ。

レシピももらったけど、素材はナナシ草…というか、植物が3つあれば作れるみたい。あたしたちが採ったナナシ草は…うん、6つある。

 

「ならまずはアルム。やってみてくれ」

「解りました」

 

素材を入れて、レシピを思い浮かべ、釜をかき混ぜれば、才能が有ればモノができる。…不思議な技術だなぁ。

 

「…」

「どうだ?」

「…駄目ですね。見ての通り、ナナシ草のままです」

「そうか。では次、ライザ。やってみてくれ」

「あ、はい!」

 

アルムがさっきやったみたいに、あたしも釜をかき混ぜ始める。…なんだろう、釜の中で、何かが変わっていくのが感じ取れる。今入れたナナシ草が一つになっていく感覚がする。そして…

 

「…できた」

「これが中和剤、ですか?」

「ああ、そうだ」

 

できた。あたしに、できた。錬金術が…!

 

「「当たり」だな。こっちこそ、本当の。…合格だ。お前さんは今、【錬金術士】になった」

「~っ!やったあ!」

 

今、この瞬間。あたしは、何でもない平凡なライザから、錬金術士のライザリン・シュタウトになった。




Q,結構台詞削ったりしてる?
A,原作通りにしかならない台詞はできるだけ削ったり組み替えたりしてます。

Q,ライザのアルムに対する想いって、「隣に立ちたい」なんだ?
A,ライザが守られてるだけで満足する子に思えなかったので。詳しい内容は後々書くと思います。

ここまで読んでいただき、有難うございます。
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