もしも竈門炭治郎のもとを訪れたのが比古清十郎だったら 作:紅涙
無限列車編第三話でござる!!
そういえば、刀鍛冶の里編のオープニングとエンディングは誰が歌うのだろう?LISAがカムバック?それとも、Aimerが続投?個人的には、ぜひともEGOISTに歌ってほしい!!
肉を斬らせて骨を断つ。
「禰豆子…すぐに戻る」
今見ている世界が
生きる意思が誰よりも強いからこそ、現実と贋を瞬時に区別でき、自決することで敵の"
飛天御剣流は死中に活を求めるのだ。
人の原動力は心であることを下弦の壱・魘夢は理解していた。しかし、竈門炭治郎の心の強さを魘夢は見誤ってしまった。いや、理解の範疇を超えていたと言うべきだろう。
心技体揃ってこその……心技体、限界を超えてこその飛天御剣流の使い手なのだ。
「むう」
目覚めた先で竈門炭治郎を待ち受けていたのは、愛しい大切な禰豆子である。
「おはよう、禰豆子」
炭治郎達を含む全ての乗客達が魘夢の血鬼術にかかってしまい、その異変に気付いた禰豆子は箱の中から出ていたようだ。ただ、炭治郎ならば自力で血鬼術を破るはず……禰豆子は誰よりも炭治郎を信頼しており、彼女はただ待っていた。炭治郎が覚醒するまでの間、炭治郎に膝枕をして頭を撫でながら…。
禰豆子を想う炭治郎と炭治郎を想う禰豆子。唯一残された二人の兄妹の愛と絆が、血鬼術を破り覚醒するきっかけになったのではないだろうか。
「ありがとう、禰豆子」
覚醒した炭治郎は禰豆子の頭を優しく撫で、禰豆子は炭治郎にすり寄っている。心の底からお互いに想い合っているのだろう。この想いがある限り、炭治郎と禰豆子はどんな鬼の血鬼術にも、己自身にも負けることはない。
「人の心の中に土足で踏み込む鬼…赦せない」
立ち上がった炭治郎から醸し出される静かな怒り。下弦の壱・魘夢は自殺行為に等しい行動を取ってしまった。龍の髭を撫で、決して触れてはならない龍の逆鱗に触れてしまったのだ。
☆☆☆☆☆
下弦の壱・魘夢は、自身の常識からあまりにも掛け離れた人間と遭遇していた。
「どうせならッ──禰豆子ちゃんと
【雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃】」
魘夢は催眠術の要領で相手を眠らせ、自身の意のままに夢を見せるという厄介極まりない血鬼術を使う。侵入した相手の記憶を読み取ることができ、任意の夢を見せられるのだ。
攻撃力自体は皆無な血鬼術だが、この術に囚われた対象は身体を動かす事ができない。それはつまり、術さえかければほぼ魘夢の勝利が確定するということ。
「ああ!?
紋逸!横取りしやがったな!?」
しかし、この二人の鬼狩り──我妻善逸と嘴平伊之助は魘夢の血鬼術を破り、目の前に現れた。正確には、魘夢の血鬼術を破った者はもう一人おり、その者は自力で破っている。恐らく、魘夢にとって初めての経験のはずだ。この二人は、自力で破ったその者と、その者の協力者に血鬼術を解いてもらっただけにすぎない。
それならばもう一度……血鬼術で眠らせればいいだけのこと…。魘夢はきっとそう思ったはずだ。
だが、我妻善逸は再び魘夢の血鬼術で眠らされてしまったのにも関わらず、魘夢の頚を斬り落としたのである。
「…!
(斬ら…れた?)」
その速度は人間の身体能力を遥かに上回る鬼の目ですら捉えられず、ただ腰の柄に手を置いた善逸が瞬間移動したようにしか見えず、頚を斬り落とされたことすら認識できないほどの速さ。
血鬼術を解ききれていない眠った状態にも関わらず、魘夢が視認できない速度で頚を斬り落とすなど誰が想像できるだろうか…。
これが我妻善逸なのだ。善逸は小心者故の異常な恐怖心が原因で、眠っている間──無意識状態でしか本領を発揮できない特性を持つ、肝心な時にしか役に立たない剣士なのである。
もっとも、善逸は炭治郎との修行で少しずつ自信を持てるようになり、平時でも実力を発揮できるようになりつつある。今回は、魘夢が眠り鬼だったということもあり、眠っている状態でも本能的に危機を察知し、極限の無意識状態へと入ったのだろう。
善逸は見事に下弦の壱・魘夢の討伐を果たしたのだ。
無限列車の全てが魘夢の血であり、肉であり、骨であり……魘夢は無限列車と融合した。
一時は禰豆子の血鬼術のおかげで窮地を脱し、善逸が魘夢の頚を斬り落としたことで二百人の乗客は無事に守られたかと思いきや、事態は急変。
炭治郎達は再び窮地に立たされていた。
「竈門少年…本当に黄色い少年と猪頭少年だけで大丈夫なのか?」
無限列車全体が魘夢の
だが、このような絶体絶命の状況だろうと、炭治郎は一切焦っていない。寧ろ、悠然とした姿で立っている。
我妻善逸と嘴平伊之助も、炭治郎が乗客達を守ってくれているからこそ、魘夢の頚を斬り落とすことにのみ集中できるのだろう。
炭治郎も、善逸と伊之助ならば魘夢の頚を見つけ出し斬り落とすと確信している。事実、善逸と伊之助は魘夢相手に優位に立っているようだ。無限列車と融合し、異形な姿へと変貌した魘夢は複数の目で善逸と伊之助を囲い、視線を合わせた二人を強制的に眠らせる術を駆使して戦っている……が、善逸と伊之助は魘夢にとって相性最悪の相手だったのである。
善逸は眠った状態でも戦闘可能で、伊之助は視線に対する鋭敏な感覚を持ち、尚且つ被り物をしているおかげで視線を合わせづらく、二人とも魘夢の血鬼術が一切効かない。
複数の目も、炭治郎との修行の末に善逸が発展させた【雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃・
自身の血鬼術が効かない鬼狩り達と、鬼に仇なす鬼と戦わなければならないなど、これまで多くの人間を殺してきた付けが一気に回ってきたようなものだろう。
「ええ、大丈夫ですよ。
二人なら必ず頚を斬り落とします。
(恐らく、この列車を動かしている運転士も鬼に利用されているはず。一応、善逸と伊之助に注意するようにと言っておいたけど…そっちが心配だな)」
その上、人質に取ったはずの乗客二百人を守るのが件の耳飾りの鬼狩り──竈門炭治郎と、鬼舞辻無惨の呪いから逃れた竈門禰豆子。そして、"炎柱"煉獄杏寿郎ときた。
五人の柱を相手に戦っているようなこの状況こそが、魘夢にとって最大の不運だったのではないだろうか…。
炭治郎も、魘夢よりも魘夢に利用された人の方が狂気に満ちた行動に走るのではないかと心配しているようだ。それでも、善逸と伊之助ならば大丈夫だろうと信じて疑っていない。二人の実力に絶大な信頼を寄せている。もっとも、それも無理はないことだ。何故なら、二人は炭治郎に鍛え上げられたのだ。炭治郎の地獄の修行を乗り越えた強者……弱いはずがない。炭治郎は誰よりも善逸と伊之助が強いことを知っている。
「
すると、突如として落雷のような音が聞こえたかと思いきや、断末魔が響き渡り、無限列車が大きく揺れる。そして、炭治郎は顔を綻ばせており……煉獄にもいったい何が起きたのかすぐに想像できてしまう。
「凄いぞ善逸!凄いぞ伊之助!」
功労者である二人に称賛の声を炭治郎が送ると、同時に無数の手が人質に取った乗客達を道連れにしようと伸び…。
しかし、その腕が乗客達に触れることはなく、瞬く間に細切れにされてしまう。
「天晴れ!
本当に頚を斬り落とすとは見事だ黄色い少年!猪頭少年!
【炎の呼吸 漆ノ型 業火連天】」
今のこの状況が意味しているものはつまり、善逸と伊之助が魘夢の頚を斬り落としたということだ。
煉獄は若手の鬼狩りの台頭に強く感心すると同時に頼もしさを覚え、その表情は安堵に満ち溢れており、四車両をとてつもない速度で駆け巡りながら炎の呼吸の型を放っている。
そして、煉獄は脱線する無限列車の被害を最小限にとどめるべく、次々と炎の呼吸の型を繰り出していた。さすがは柱……日輪刀一つで脱線する巨大な列車の被害を最小限にとどめることができるとは…。
煉獄の反対側では、炭治郎も同じく日天御剣流の剣技を次々と繰り出している。炭治郎と煉獄の共闘により、無限列車の被害は最小限に抑えられるはずだ。
炭治郎は今回、善逸と伊之助が柱に匹敵する力を持つ剣士であることを証明させるべく、下弦の壱の討伐を二人に任せた。自力で覚醒した炭治郎は最初こそ魘夢との戦いに赴こうとしたが、無限列車全体から魘夢の匂いを嗅ぎ取ったことで、もしもの事態を想定し善逸と伊之助に魘夢討伐を一任したのである。そしたら案の定、魘夢は無限列車と融合しており……炭治郎が列車全体から魘夢の匂いを嗅ぎ取ったのはそれが原因だったのである。
その結果、炭治郎は乗客達の護衛に回った。この面子の中で、複数人を守りながら戦うことに長けているのも炭治郎で、善逸と伊之助も炭治郎が乗客達の護衛に回ってくれていたからこそ、何一つ不安もなく魘夢を討伐することができたのである。煉獄にとっても、竈門炭治郎と竈門禰豆子を知る良い機会だったはずだ。
「…!
(何だ?
何かがここに
ただ、善逸と伊之助が魘夢を討伐したというのに、炭治郎の表情は煉獄とは対照的なものに変化した。
一難去ってまた一難。炭治郎の優れた嗅覚は、再び迫り来る危機を嗅ぎ取っている。それも、とてつもない速度でこの場所に迫っているようだ。
まだ夜は明けていない。
下弦の壱・魘夢との戦いは序章に過ぎない。
下弦の壱よりも禍々しく、無惨の血の匂いが濃い存在ともなれば限られるだろう。炭治郎ですら未だに遭遇していない十二鬼月──"上弦の鬼"しかいない。
「煉獄さん…あとは任せます」
「竈門少年ッ、何処に行くつもりだ!?」
今この場所に上弦が向かっているならば、寧ろ己の方から出向いた方が被害を食い止められるのではないか……そう考えた炭治郎は、この場を煉獄に託す。
「ここに鬼が迫っています。
それも…匂いからして恐らくは上弦。なので、俺はそちらに向かいます」
「よもやッ──それは本当か!?」
今この場に於いて上弦の鬼と戦えるのは炭治郎か煉獄の二人のみだが、鬼殺隊ですら一世紀以上の長きに渡り討伐することができていない上弦の鬼を討伐できる可能性があるとしたら、それは恐らく煉獄ではなく炭治郎だろう。
上弦の強さを知る剣士は現代には存在していない。何故なら、上弦と戦った剣士は皆──殺されているからだ。
上弦に限りなく近しい実力の下弦の壱・魘夢ですら、例えるならば嵐の前の静けさでしかない。上弦の鬼の実力は天災と呼ぶに相応しい。
「禰豆子、お前は善逸と伊之助のもとに向かってくれ。もしかしたら、下弦の壱は最後の力を振り絞って善逸と伊之助に攻撃しているかもしれない。もしそうだった場合、お前の血鬼術で二人を助けるんだ」
「む!」
善逸と伊之助の方も、魘夢が完全に消滅するまで気を抜けないが、そちらは禰豆子に任せて炭治郎は上弦の方に向かうべきだろう。乗客達の避難誘導なども己が対処するよりも、鬼殺隊の柱である煉獄に任せた方がいい。恐らく、直に鬼殺隊の事後処理部隊"隠"が到着するはず。それを考えると尚の事だ
炭治郎ならば、煉獄よりも早く上弦の鬼のもとに辿り着ける。乗客達の身の安全を第一優先に考えた場合、これが最良の選択だ。
「禰豆子、善逸と伊之助を任せる。
煉獄さん、乗客達を任せましたよ…上弦の鬼は絶対に、ここには近づけさせません」
炭治郎は脱線する列車から危険を承知で飛び出し、上弦の鬼のもとへと向かう。勢いは弱まりつつあるとはいえ危険な行為だ。それでも、飛天御剣流の使い手は何のその。
弱きを助ける為に、飛天の最期の使い手は己がやるべきことをやる。
「馬鹿な!馬鹿な!
こんな悪夢ッ──お前達も道連れだ!!
【強制昏倒催眠・地獄の囁き】
堕ちろぉぉぉ!!」
それは、消滅する魘夢が
時間を含むありとあらゆる法則、理論が魘夢の思い通りに構築される世界へと引きずり込み、対象者に地獄の苦しみを与える最強にして最悪の血鬼術だ。
「むうう!!」
しかし、その最後の悪足掻きも叶わず……悪夢を決して覚めることはなく、魘夢は悪夢を瞳に焼きつけながら消滅してゆく。
多くの人間達に都合のいい夢を見せ、悪夢で苦しめ続けた魘夢の最後が、悪夢で終わるとは皮肉な話である。
「むん!」
何より、眠ることが大好きな禰豆子は、他者に思い通りに夢を見せられることを決して善しとしない。
夢は本人のみの世界。決して、他者が土足で踏み込んではならぬもの。
☆☆☆☆☆
鬼舞辻無惨配下の精鋭、十二鬼月の中でも強者たる鬼の上位六体から構成されるのが"上弦の鬼"である。
その強さは、下弦の鬼を含めた他の鬼とは比較にならない戦闘能力及び特異体質を有しており、鬼殺隊と鬼の長い戦いの歴史に於いても、この百年余り一切顔ぶれが変わっていない。鬼殺隊最高戦力である“柱”ですら単騎では太刀打ちできない程の凄まじい戦闘力を持っており、柱を含む鬼殺隊士達を数えきれない程葬り続けている。
「上弦の…
そして、炭治郎が相対しているこの鬼は上弦の鬼の中でも、揺るぎない不動の地位を築き上げている三体の鬼の内の一体である"上弦の参"猗窩座だ。
何れは……寧ろ、禰豆子を人間に戻す為に必ず戦わなければならない、避けては通れぬ
その上弦の鬼が炭治郎の前に現れたということは、炭治郎に対する鬼舞辻の警戒度が極限に近しいまでに増したことを意味している。
「その耳飾り…貴様が竈門炭治郎か…。
(このガキ…
何故、無惨様はこのような弱者を警戒する?)」
だが、炭治郎の詳しい情報を与えられておらず、ただ殺せとしか言い渡されていなかった上弦の参・猗窩座は、赤子から大人……全ての人間が発しているという猗窩座だけが感じ取ることのできる"闘気"が極端に薄い炭治郎を弱者と見なし、迂闊にも正面から特攻してしまう。
「!?
(はッ──速い!!)」
己が見たものや経験した事しか信じられないのは人間も鬼も同じ。
猗窩座が受けた一撃は、まさにそれを強く体現している。腕を斬り落とされたことはこれまで何度もあっただろうが、鞘で殴られ、かなりの距離まで吹き飛ばされたのは初めての経験だ。
「ぐッ…こ、このガキッ!!」
猗窩座が相対する剣士は弱者ではない。
猗窩座の"
お待たせしました。
今回は少しですが善逸くん活躍の回でごわす。伊之助はまだ少し先かな?剣術の腕前は増してるけど、鬼の脂は染み込んでないからね!w
善逸くん、全ての型を修めたけども、やはり得意なのは壱ノ型。そこは揺るがない。けど、原作よりも成長している。
【雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃・
又の名を霹靂一閃・十六連。八連から十連ではなく、十六連ってのが原作よりも成長しているのが伺えるかな?
名前の由来は万雷。万雷とは非常に多くの雷のこと。つまり、二十四連くらいにもなるかもしれない。
ここで日天コソコソ噂話。
地獄の修行を課した鬼よりも鬼な飛天の最期の使い手の神速同時九連撃を打ち破るべく苦労の末に会得し挑んだものの、飛天の使い手は涼しい顔で神速同時十八連撃して返り討ちにしたとか。
原作では碧羅の天で倒された魘夢は、善逸の【雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃・
霹靂一閃・
名前の由来は天雷。天雷は雷のことですけども、天から舞い落ちる雷と例えましょう。
それと、活躍の場が少ない今作の無限列車編での炎柱様!
【炎の呼吸 漆ノ型 業火連天】
連続斬りです。
名前の由来は
そして禰豆子ちゃん!
【暁天の加護】
暁天の紅炎で包み込み、鬼の血鬼術の効力を弱め守護する血鬼術。善逸と伊之助はこれで守られたよ!
ついでにまあ悪夢を見て終わった魘夢くん。
【強制昏倒催眠・地獄の囁き】
時間を含むありとあらゆる法則、理論が魘夢の思い通りに構築される世界へと引きずり込み、対象者に地獄の苦しみを与える最凶血鬼術。例えば、現実世界では数分しか経ってないのに、魘夢の作り出した世界で七十二時間も磔にされた状態で刀に刺され続けるとか……あれ?それどっかで…。
これを使えなかったのは、善逸が速すぎて翻弄されてしまったから。けど、初めての下弦の鬼との戦いで最後に気を抜いてしまった善逸と伊之助は危なく食らいかけてしまい……これは後で炭治郎のお説教という扱き待ったなしかもしれない。
あとがき長くてすんません!
けども執筆捗るので色好い感想とご評価ぜひぜひよろしくです!!