暁美ほむらの依頼/時間跳躍の法則   作:あおい安室

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シリアスタグどっか行った原因の回。
前回も大分おかしい自覚はあるけど。

酒飲んで書くのはやっぱりダメですね。


法則3:愛読書『■■■な本』×探偵さんは魔法少女=予想外の結果

 黒の魔法少女――つまり私、暁美ほむらが死ぬ気で日常ラブコメのループ(ギャルゲーループ)を生き抜いてから何回かのループを重ねた見滝原某書店横の喫茶店。既に探偵さんとの接触は既に済ませていた。

 

 

 これまで通り小テストの答えを提示することで私がタイムリーパーであると探偵さんへ証明する過程や以来の説明は完了済み。その上で今回のループで探偵さんが呼んでいる本のジャンルを把握したかったのだが……ちょっと今回は初めてのパターンのループになりそうだ。

 

「えっと……愛読書、ですよね?以前お話した通り恋愛小説なのですが……」

 

 探偵さんはおどおどしながら私の質問に答える。ループごとに探偵さんの性格が全く別物になることは何度もあったし、今回のような大人しい小動物のような性格だったことはある。

 

「……はい?本当は違うだろう、って?」

 

 ただし、変わるのはあくまでも性格と愛読書、それに伴って外見が多少変わるくらい。それ以外の身振り素振りはあまり変化していた記憶はない。少しだけ目線を合わせずに左足をトントン、と踏み鳴らしていることから――おそらく探偵さんは誤魔化しているのではないか。

 

「えっ!?わ、私にそんな癖があったんですか!?き、気を付けないと……黒の魔法少女さん、どうにかしてこの記憶を次回以降に引き継ぐことはできませんか?」

 

 堂々と私に嘘をついても誤魔化す相談をしないでほしいんだけど。そもそも引き継ぐ方法は過去のループで調べたことはあるが、探偵さん自身がその結果を示しているだろうに。

 

「な、なるほど……私にループの記憶がない、ということはそんな方法はないっていうことですよね……魔法少女さんに私は隠し事もできない、ということになりますか」

 

 なるわね。だから……その。何を隠してるのかも大体想像ついたわ。

 

「……殺してください。ひと思いに殺してください。時間操作ができるあなたのことです、時間停止もできるのでしょう?それで殺気を感じることなく殺してください。どうか、どうか……!!」

 

 お断りよ。まだ本格的に活動する前だから魔力の無駄遣いは避けたいし、協力者を初期の時点に殺すのは色々な意味で私の首を絞めるだけだから。

 

「鬼がいます……!!」

 

 残念、魔法少女よ。もっとも、今回のループでは――

 

 

 

 探偵さんも魔法少女になる可能性がある女の子だけど。

 

「ま、魔法少女になってすぐに自殺します……」

 

 自殺目的で魔法使いになる人初めて見たわ……知ってる魔法少女もたくさんいるってわけじゃないけれど、そんな目的で魔法少女になる人は絶対少数派よ、断言できる。最も魔法少女になること自体が遠回しな自殺行為であるから、間違っているとは言えないか。

 

「――えっ?」

 

 ああ、そういえばまだ言ってなかったわね。

 

 魔法少女の証であり、あなたとここで一時を過ごすときはいつもテーブルの上においてある宝石はソウルジェムっていうのだけど、これって魔力を使ったり負の勘定を抱くと濁るのよ。

 

「に、濁るんですか……洗えば綺麗になるかもしれませんね。ちょっと家から洗剤とってきます」

 

 やめなさい。そんなことをするのは青の魔法少女くらいよ。

 

「……冗談ですよ?というか、そんなことをする魔法少女っているんですね……」

 

 アレならやる。やりかねないという確信がある。

 

「遠回しにその方が馬鹿って言っているのでは……あ、はい、そうですか。でも、一回くらいやってみません?」

 

 お断りよ。やりたいならあなたがやりなさい。そんな簡単に綺麗になるなら私は苦労しない。

 

 

 それから私は彼女に魔法少女の真実を伝えた。

 

 魔法少女になることは魂をソウルジェムへと変えること、ソウルジェムを肉体から離しすぎると肉体は死体となって放置しすぎると腐敗することもあること、ソウルジェムさえ無事ならば魔法少女は復活することができる人知を超えた生命体であること……大体想定されてたのは驚いた。

 

 そして、魔法少女が魔女になるという結末も……探偵さんは想定していた。

 

 これまでの探偵さんが女の子だった場合のループでは魔法少女の真実を教える前に魔法少女になっているパターンが多く、彼女が混乱することを避けるために教えてはいなかった。

 

 

 ……でも。あなたはきっと真実もわかっていたのかしら。

 

 問いかけるべき相手は既に過去のループと共に消えている。どれだけ時間を積み上げても私の背中を守ってくれた彼女に会えることは絶対に、ない。それは自分がよくわかっているはずだ。

 

 

 ――いいえ。わかっていないのね。

 

 

 わかっているのなら、私はそれを悲しいと感じることはないはずだ。

 

 ソウルジェムが濁ることも――ないはずなのだ。

 

 僅かにドロリと濁った宝石を抱いて夜の町へと飛び込んだ。ああ、どこかに魔女はどこかにいないだろうか。魔法の都合上無駄遣いは避けるべきなのはわかっているけれど。

 

 

 この行き所のない感情を早く忘れ去りたかった。

 

 私のこの想いだけは探偵さんにも、まどかにもゆだねることはできない――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……はい。暁美です。ああ、探偵さん?どうしたの、こんな夜に。

 

 

 

 ……もう魔法少女になったの?すごいわね、私の記憶してる限りでは最速記録じゃない……と、言うとでも思った?もう少し相談してほしかったわよ、馬鹿!

 

 

 今回のループはきっとダメだから私の力を使ってほしいって?

 

 

 はぁ……女の時の探偵さんは生存率高いし、私の名前を知っても死が確定しないのはいいけど、本当に言うことを聞かないわね。ねえ、探偵さん。これまでのループでちゃんと聞けなかったことを聞きたいんだけどいいかしら?過去のループを想定した回答じゃなくて、今のあなたの回答よ。

 

 

 あなたはどうして魔法少女になってでも私を助けてくれるの?その理由が私にはわからない。

 

『それは――言わない。ううん、言えない』

 

『あなたを助ける理由をこれまで何度もループしてきた黒の魔法少女さんが知らない、ということはこれまでの私が意図的に教えてないことだと思うから。違うかな?』

 

 ……バレたか。ええ、そうよ。過去のあなたはどれだけせがんでも教えてくれなかったわ。

 

『あなたがすべてを終わらせた時にその理由は教えよう、とか言ってたかな』

 

 ええ、言ってたわね。ズルはする物じゃないわね……ケチ。

 

『はいはい、ケチでごめんなさい。でも、あなたの努力に免じて一つだけ教えてあげる』

 

 

『私はね、本を読むのが好き。本の中で運命を変えてくれる人と出会う主人公に憧れてた』

 

 

『そして私はあなたと出会ったことを運命の出会いだと感じてる。意味、分かる?』

 

 

 

 ……遠回しな告白?

 

『ふーん……どうでしょうねー。答えは全てを終わらせてからのお楽しみ』

 

 言うと思った。言っておくけれど私の趣味はノーマルだから、せめて男の探偵さんじゃないとダメよ。やたらと親友を守ろうとしてるあなたにはそっちのケがあるんじゃないか?まどかは特別だからいいのよ……絶対変な目で見てるでしょう、探偵さん。あなたも会えばわかるわ。

 

 

 ちょうどいいわ、探偵さん。このループは成功率が高いループだから、出し惜しみはしない。全力で行くからちゃんとついてきなさいよ、新米魔法少女さん。

 どういうことかって?他の魔法少女の状態が最高と言ってもいい状態なのよ。

 

 黄色の魔法少女は既に魔法少女の真実を知ってそれでも生きるための覚悟を固めた。

 

 青色の魔法少女は自らの全てをかけてでも愛した幼馴染の未来を守るために戦っている。

 

 赤色の魔法少女はそんな皆に希望を見てもう一度誰かのために魔法を使う決意がある。

 

 魔法少女全員が理想的な状態のループ故に、私の目標であるループ開始日に訪れる嵐の正体であるワルプルギスの夜が撃破できる可能性が一番高いのだから。

 

 

 なぜそこまで言えるのか、ですって?あなたの愛読書が何かわかったから。

 

 

 ……い、言わないとダメなの?わかったわよ。言うわよ、言うから……

 

 

 ……あなた、エッチな本愛読してるでしょ。書店で未成年が買えるギリギリのきわどい本を買ったり、橋の下に捨てられてる本もこっそり拾って帰ったりしてる。聞きたくなかったけど。

 

 

 橋の下は盲点だった。ってことは――書店では買ってるのね。頭が痛くなってきたわ……

 

 

 墓穴掘った!じゃないわよ、うるさいわね。おめでとう、変態探偵さん。魔法少女になった以上死ぬことはまずないから諦めなさい。あ、今後の連絡は全部電話ね。対面して話したくないわ。

 

 

 最後に一つだけ聞いてくれ?何かしら。

 

 

 

 ……ソウルジェム水洗いすると気持ちいい?感覚共有されてるんだね?

 

 

 探偵さん……そこ、動かないで。今から殺しに行くわ。そこまで重症だとあなたを生かしておくことが魔法少女並びに今後のループで出会うであろう探偵さんにとって害になりそうだから。

 

 

 探偵さんが魔法少女、探偵さんがエッチな本を愛読している。このどちらかの条件は私にとって大きなメリットなのだけれど、これが同時に重なればある意味最悪のループになるのね。

 

 勉強になったわ。もっとも、この知識は絶対に、絶対に、ぜっっったいに。封印しておくけど。

 

 

 さあ、変態探偵さん。覚悟しなさい――これがあなたの最期の夜よ!

 

 

ほむらの勇気が探偵さんを救うと信じて…!

ご愛読ありがとうございました!




・探偵さん
 魔法少女になると主に超能力路線で戦う女子中学生。
 愛読書がアレ&すでに魔法少女になってしまったことから、魔女化したらかなりヤバいと判断されたほむらにガチで殺されそうになって逃げ回ってたらループが始まって消滅した。かなりのレアケースで今後ほむらがこの条件のループに遭遇したことはない。


・暁美ほむら
 皆ご存じほむほむ。親友であるまどかを救うために何度も時間跳躍=タイムリープを繰り返しているが、今のところ成功したことはない。

 今回のループでは探偵さんが頼りにならないと見切りをつけて始末にかかった。他の魔法少女から咎められることもあったがどうしようにもない変態としてあることないことを盛りまくった結果ギリギリ黙認されたらしい。嘘だろオイ。
 ただし、その行動が原因でやはり連携を取れるほど他の魔法少女と親しくなることはなかったため、ワルプルギスの夜と戦った際は魔法少女が全員揃っているにもかかわらず勝利することはできなかった。
 最終的にみんなの窮地を見たまどかが魔法少女になってしまったためループは失敗した。

 なお、余談だがこれまでのループで黄色、青色、赤色の魔法少女が魔女化した姿を見たことや戦ったことはあるが、探偵さんが魔女化した姿を見たことはないらしい。


・今回のループ
 コンシュマーハードで出せるレベルのそういうループ。多分ほむほむは好感度最悪でイベントシーンは主人公殺害のバッドエンドの方が多いキャラ。
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