暁美ほむらの依頼/時間跳躍の法則   作:あおい安室

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なぜか色々とバグが起きて困惑中……
慣れないAA入れまくってるのが原因なのはわかっているのですが……


法則5:愛読書『ミステリー』+黒の魔法少女=探偵ほむら

 魔法少女になったあの日から、暁美ほむらの人生に平穏な日々という文字は消えてしまったのではないか、なんて考えることがある。見滝原中学校に転校して、まどかたちと過ごす日常は休憩にしかすぎず、少し休めばまた長い旅を続けなければならない渡り鳥――

 

 なんて、ちょっと変わったことを考えるようになったのはどの探偵さんの影響だったか。

 

 その姿を思い出すことはできず、彼、あるいは彼女には申し訳ない気持ちが満ちる。大切な記憶がぼやけつつあるあたり、私という存在に限界が来ているのだろうか、なんて考えてしまう。

 

 後何度私はループすることができるのだろうか。その前に私は魔女化してしまうのではないか。

 

「珍しいね、黒の魔法少女さんがそういう顔するのって」

 

 思考の海に探偵さんの言葉が落ちる。なんでもない、と誤魔化しながら私はコーヒーに角砂糖を落とした。冷めつつあるが一つくらいは溶かしてくれるだろう、多分。

 

 

 

 

 ……まだ苦い。どうやらそういうコーヒーのようだ。

 

 

 今回のループは特筆するべき点はない平凡なループである。

 

 探偵さんは手の付けられない変態ではない(魔法少女&愛読書『エッチな本』)し、推理力が高くて怖い(愛読書『ホラー』)ということはない、ごく普通の男子中学生――少し頭が冴える男子中学生、くらいは言ってもいいかしらね。

 

 黄色の魔法少女は、魔法少女の真実に絶望することがある。

 

 青色の魔法少女は、恋が実ることなく絶望して道を誤ることがある。

 

 赤色の魔法少女は、託した希望が潰え絶望に呑まれることがある。

 

 ワルプルギスの夜に立ち会える魔法少女の数は安定せず、運命が諦めろと喚いているレベルで絶望的な世界だけれど、最初の頃の私が生きていたのはそういう世界だ。慣れている。

 

 

 だから、今回のループで私がすべきことは。

 

 

 バッグから一冊のノートを取り出して探偵さんに差し出して読むように促した。

 

「拝見します。ちょっと待っててくれるかな――すぐに読み終わる」

 

 今回のループにおける探偵さんは、どうやら速読が得意なようだ。どのループでも探偵さんは本を読むことが好きだけれど、今回は目に見えて読むスピードが速い。

 あっという間に読み終えた探偵さんはポツリと一言。その顔に不敵な笑みを浮かべながら。

 

「――ふむ、なるほど。今回の俺の役割はワトソン博士かな?」

 

 ええ、そうね。今回は私がホームズよ、探偵さん。たまには探偵の仕事をさせてくれるかしら?これまでに私がかき集めたデータを基に法則を見直したいのよ、付き合ってもらうわ。

 

「OK、ホームズ。それじゃあ――推理を始めましょう」

 

 あなたの今回の愛読書はミステリー。そんな物語の中の探偵らしく推理できるかしらね……?

 

 

 

 

 

 

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 そもそもの話になるが。何故ループごとにここまで違いが出るのが謎だった。

 

 同じ時間を繰り返しているのなら遭遇する出来事も全く同じであるべきだがそんなことはなく、ループごとに異なる状況に私は何度も振り回されてきた。最初の頃の探偵さんはこの理由を考察してみるべきだろう、と言っていた。目標を果たすことにつながるヒントがあるのではないか、と。

 

「いい読みだろうね。この場合に置いて検証すべきは変わる状況変わらない状況になるだろう」

 

 ええ、その通り。ループを重ねても変わらない物もあれば、変わりやすいものもあった。それらを考慮してこれまでの400回を超えようとしているループのデータと照合した結果、答えが出た。

 

 

 

見滝原は変わらない。見滝原の外側に変化が生じている。

 

 

 最初に気付いたのは私が通っている中学校に市外から通っている生徒が変わっていることだった。名前や性別などは一致していても、体格や容姿に違いがみられたことが奇妙だった。

 

「そんなところが違うのかい?」

 

 不思議なことにね。ある生徒に何度か質問をしたりして違いを比較したところ、市外でどんな生活をしていたか、という部分が毎回異なっているのよ。他にもいろいろと調べた結果見滝原に在住の人物はほとんど変化していないことが分かった。違っているのは市外の人物。

 

 たったそれだけで何が変わるのか、ですって?大きく変わっているループがあったのよ。

 

「といえば……『日常ラブコメ』のループだね?このループでは青色の魔法少女の幼馴染がやたらとモテているのが大きな違いとあったが、それを紐解いた調査記録があった」

 

 私がループを始めるよりも前の時間に、市外から来た医者の治療を受けて容態が他ループよりも良くなっている。そのために外出する頻度も増えており、他の魔法少女と縁を結ぶ機会があった。

 

 ……後、エッチな本のループでやたらと有利になっていたのは、市外の魔法少女が黄色の魔法少女を支援していたことがきっかけで運命の歯車が少しずつズレていたことだと判明したわ。

 真実を知った上でも共に進める仲間がいたからこそ、黄色の魔法少女は青色の魔法少女の先輩として戦い抜く覚悟が生まれた。青色の魔法少女はその姿を通して大切な物を守り抜く意志を抱き、赤色の魔法少女はその意志に希望を見た。だから魔法少女の状態が最高の状態だった。

 

「なるほど、そういうことだったのか……ちなみにその市外の魔法少女は最終日に来る嵐の時はどうしているんだ?」

 

 別件で用事があるということでこちらにかかりきりにはなれないそうよ。何でも、神浜市という町でやることがあるみたいで……戦力が多いに越したことはないけれど、残念ね。

 

「仕方ないさ。だって、君が見つけたであろう法則に基づくならば――」

 

 その魔法少女が存在しない可能性も少なくはない、でしょう?

 

 

 私は一つの法則を提案する。

・ループが確実に働く範囲は見滝原のみ。それ以外はループごとに変動する。

 

 

 故に市外の医者や魔法少女が存在しないループでは私がよく知っている厳しい状況のループ、つまり今回のようなループになると私は考えている。幾多ものループで集めた情報から判断するにこの法則は間違っていないと思うわ。

 

「……いいんじゃないかな、俺はあり得る法則だと思うね。いくら魔法少女とは言え、単独でループしてるんだろう?流石に魔法少女一人の力で世界丸ごと巻き戻せるのか疑問だったんだ」

 

 それもそうね。一応時間の流れは一致しているみたいだし、見滝原だけ周囲から見て10数年前、みたいな状況になったことはないから時間だけは正確に巻き戻せるのだと思う。

 ただ、巻き戻した時間から到達する結果を一致させているのは見滝原だけで、外側では結果がランダムになっているからこうなっている……それが私が使っている時間跳躍の魔法の効果なのかもしれない。自分の魔法もちゃんと理解できていないのは頭が痛いが。

 

「無理もないさ、自由気ままに使える魔法じゃないんだから。他に何か気づいた法則はあるか?」

 

 そうね。探偵さんの愛読書が変わるのは、小学生の頃まで市外で生活していたから生活環境が毎回違っていたのが原因ってことが判明している。それがループの指標になるのは謎だけど。

 

「……ああ、なるほど。それでこんなに読む本のジャンルがバラつくと……同じ自分であるはずなのに読んでいる本のジャンルが雑食気味だったのは疑問だったよ」

 

 実際探偵さんは何でも読んでるから……まだ中学生なのに競馬雑誌やバイク雑誌とか読んでるループがあったことには本当に驚いた。毒にも薬にもならないループだったけど。

 

 

それと――あと一つ、気になる法則らしきものがある。

 

「ふむ?らしき?」

 

 確証が持てないことだから、自信がないのよ。これが意味することが何かわからないからあなたの助言が欲しい。推測するしかないのだけれど、頼めるかしら?

 

「任せてくれたまえ、ホームズ君」

 

 ……黒の魔法少女、でいいから。

 

 からかい交じりの探偵さんに苦笑しながら、念のために記録を見返してデータ上ではそれが間違っていないことを確認した。もっともそのデータも私の体感に近い計測データなのだが。

 

 

これは計測データ。このデータが示す値は初期のループから比較するとやや低下しつつある。

 

それは利益となることであるなら喜ぶべきことなのだが――不気味で仕方ない。

 

なぜ、どうして、この数値は下がるのだろうか。

 

 

 

そして、もう一つ別の数値も下がりつつある。なぜか、どういうわけか。

 

 

 

私が求める未来へたどり着くことは、ない。そんな気がした。




・探偵さん
 愛読書がミステリーの場合は特筆するべき部分が特にない本当に普通の男子高校生。
 むしろこれまでがちょっと異常すぎたともいうが……ちなみに女の子とのデート中にも普通に本を読んで激怒させるくらいのミステリー本好きというだが今後披露する場はない。やっぱり変人じゃないか。

・暁美ほむら
 皆ご存じほむほむ。親友であるまどかを救うために何度も時間跳躍=タイムリープを繰り返しているが、今のところ成功したことはない。

 毎回戦力が異なっている&戦闘時間を正確に測っていなかったことが理由でこれまで計測していなかったが、改めて調べ直したところ違和感に気付いた。
 今回のループの終わり間際、邪魔が入りにくいであろうタイミングで白いケモノもどきなアレを問い詰めてみたが「全く覚えがない」とのこと。腹いせにケモノは爆破されたらしいが、これまでの所業がアレなので是非もなし。


 ――なお。これらの原因は本当にキュゥべえによるものではない――


・今回のループ
 ミステリーに行こうじゃないか。ということで、そろそろ種明かしというか回答編みたいな感じでループの謎に迫ります。
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