うん。じゃあもういっかい。 作:tty
僕はさ、昔は三級下位の木っ端術師だったんだ。
本当に才能のない人間が努力だけで行ける限界だよね。
お前には才能がないんだーって何回も言われたし、ぼく自身もそれを認めていたんだ。
実際、今でも自分には才能なんか無いって思ってるしね。
でも今の僕は一級だ。
見ての通り大した呪力もなければ、身体能力だって平凡だよ。昔からずっと変わらない。凡人の限界さ。
じゃあさ、なにがあったら凡人が三級から一級になれると思う?
・・・さて、話は変わるんだけど、僕の術式について教えてあげる。
僕の術式は「復誦呪術」。
簡単に言うと、一回やった事を繰り返しできるだけの術式さ。
術式まで平凡で笑っちゃうよね。
僕のご先祖様が村をまとめるために、この術式を使って歌を歌ってたからこんな術式名になったんだってさ。
それでさ。若い頃は本当に大変だったんだ。
家の義務でさ、一般人と対して変わらないのによくわかんない化け物と毎日毎日殺し合い。
僕ってほら、凡人だからさ。何回も死にかけたりしてさ。
それでも僕なりにがんばってたんだ。
でもある日世界が変わったんだ。
あっと。
その前に君、黒閃って知ってるよね?
そう。君がさっき"まぐれ"って言ったあれだよ。
『打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した際に生じる空間の歪み』の事を言うんだけどさ。
平均で通常の攻撃の2.5乗の威力がでるんだってさ。
確かにさっきはなかなか良い音だったよね。
でも、その威力って誰がはかったんだろうね。
狙って発動することはできないのに、平均を出せるほどちゃんと計測されているっておかしいと思わない?
おっと、ごめんごめん。話がそれちゃったね。
どこまで話したんだっけ・・・ああ!
世界が変わったって話だったね。
僕はさ、ずーっと木っ端の術師として身の程にあったヤツの相手をしてたんだけどさ、ある日イかれた村の儀式を止められなくてね。
そこで逢ったのは準一級の呪霊だった。
そりゃあ一流の術師なら鼻唄混じりに倒せるだろうけどさ。
僕にとっては明確な死であって、絶望の壁だったんだよ。
今考えてみれば君よりもよっぽど弱かったんだけどね。
で、ソイツが僕に向かって避けようのない死を突きつけてくるんだよ。
今からおまえは死ぬんだ・・・ってさ。
あーつまんない人生だったっておもったね。
残したモノもないし、後悔だって無かった。
たった一つ守りたかったモノももう無い。
なのにおかしいよね。無性に死にたくないって思ったんだ。
まだ生きていたいって思ったんだ。
だからぼくはあらがった。
必死で、少ない呪力をかき集めて、そこらの格闘家よりも弱いパンチをぶつけてやったんだ。
結果として僕は生き残って、ソイツは死んだ。
才能がない僕だったから、ただのまぐれだった。けど、そんなのって関係ないんだ。
黒い火花は微笑む相手を選ばない。
それからは文字通り、世界が変わったね。
ん?ごめん聞こえなかった。
「まさか」?
勘がいいんだね君。
うん。じゃあもういっかい。
誰か本編書いてください。よろしくお願いします。