は~い、空いてるよ~。
って君かい。ノックなんかしなくてもいいのに。
君、どこかで飲んできたのかい。酒臭いぞ。
どうせならウチで飲めばよかったのに。私が一人でいるのくらい知っていただろう。
まあ、上がりなよ。
それで?今日は何の用だい?
まあ…。いわれなくてもわかってるつもりだがね…。
どうせ人肌恋しくて来たんだろ?
なにせ今日はクリスマスだしねぇ。
まったく、こんな時ばかり私を頼って。
君ね、少しは節操ってものを学んだらどうだい??
まあ君には何をいっても無駄ってものかな?
冗談さ、そんなに悲しそうな顔をするなよ。
それで?さっきから後ろに隠してる袋が気になるんだが?
いったいそれは何かね?
私にプレゼント?
クリスマスプレゼント、ねえ…。
さすがの私も少し期待していたよ。
どれどれ…。いったい何を…。
なっ!?
君っていう人は!!
なんだいこれは!!君の趣味を全開にしたようなこの服は!!
こんなものプレゼントにもらって私にどうしろというんだい!
うへえ…。なんか生地が薄すぎやしないかい…?それになんだいこのフリフリは…。
はあ…。君に期待した私がバカだったよ…。
どうしたんだい、そんなに焦って。今更うろたえたってなにも…。
プレゼントを間違えたぁ?
そんな言い訳が通用するとでも…。
なんだいこれは…。指輪…?
「本当はこれが渡したかったの。」
私は高鳴る胸を必死に押さえつけながら目の前の愛しい人に指輪を贈る。
胸が苦しい。今にも涙がにじみそうになる。
こんな時にもお酒に頼らなければいけない自分に嫌気がさす。
今までずっと自分の気持ちに気づいていなかった。
勝手に親友以上のような関係だと思い、接してきた。
この感情は恋ではないと思っていた。
それは間違いだった。
この感情に気づいてから一か月たつ。
ずっと謝りたかった。
ずっと好きだと言いたかった。
そして、クリスマス。
その気持ちを振り払うようにショッピングにやってきていた私は、途中で気を取り直し慣れ親しんだ家へと向かった。
今しかない、私はそう思い気持ちを伝えにここまでやってきた。
結果は散々だった。
結局はお酒の力に頼ってしまったし、そのせいでプレゼントを間違え、自分用の下着を渡すなんて愚行も犯した。
こんなのでは到底プロポーズなど成功するはずがない。
自分への嫌悪と悲しさで胸がいっぱいになった時、自然と涙がこぼれた。
「まったく。なんて面だい…。」
え?
拒絶されると思いこんでいた。
私はその発言の意図を確かめるため正面に向き直る。
そこには涙で顔をぐちゃぐちゃにしている私の思い人がいた。
「泣きたいのはこっちだ…!」
「私が…!どれだけ…!これを待ち望んでいたか…!」
慟哭にも似た叫びをあげる。
それって…。喜びで心臓がはちきれそうになるが、まずは。
「ごめんなさい…。思わせぶりな態度ばかりとってしまって…。」
私が手始めにとったのは謝罪であった。
「まったくだよ…。本当に君ってやつは…。」
「だが、だからこそ君は素晴らしいともいえる。」
そういいながら私を抱きしめる。
その胸に私は導かれるように顔をうずめた。
「本当にごめんなさい、あなたになんて酷いことを…。」
そうしてまた謝ろうとする私は、その口を唇でふさがれてしまうのだった。
「…もう謝るんじゃない。君がこうして今私のものになった、私はそれだけで十分さ。」
そういってまた私の口に接吻をする。
私たちはそれから随分と長い間そうしていた。
大切な思い出には、どんな時にもアナタがいた。
それは、きっと、これからも。
あの下着は、すぐに使うタイミングが来たことをここに記しておく。