次から数話は第二章までのコミュ回です。
あれから半月。
寿春にて孫策たちと別れ、汝南で美羽たちと別れたオレたちは、美羽の軍勢からオレたちのところに来たいと希望したおよそ100の兵を伴い、上庸に帰還する。
「上庸の英雄の帰還だ!」
「キャーッ!こっち向いてー!」
噂は(オレも厳岳も言及してないのに)広がっていたらしく、黄色い悲鳴や歓声がオレたちを出迎えた。
(他の兵士と同じ格好になって、先頭にいてよかったかもしれない)
こうなる気がしてたので、事前に御者をアスナに代わってもらい、オレは他の兵士と同じ格好して、列の先頭でカリスマ系スキルをフル活用して兵士たちを統率。
一糸乱れぬ行軍を見見せながら街の大通りを進み、城へと入場する。
全員が入場すると、大手門が閉じられる。
それを見計らい、号令を下す。
「――全体、止まれ!」
規則正しくなっていた足音がきれいに止まる。
すると手をパチパチと叩く音が響く。
「素晴らしいですな」
厳岳がそう言いながらやってくる。
「まあ、本体が特殊な人心掌握したから出来た芸当だけどな」
ため息混じりに両手に花状態となってる分身が姿を見せて呟く。
「あ、箒に束さん」
一夏がその姿を認めると、2人も反応を見せる。
「一夏。元気そうだな」
「いっちゃんもちーちゃんも、あすちゃんも元気そうで良かった。まあ、このキリト君から話は聞いてたけど」
「アタシたちの名前を呼ばないあたり、まだ『比較的どうでも良いリスト』のままなのかしら……」
「単に全員の名前呼ぶの面倒だからあの人の中でトップ3の人呼んだだけな気がする……」
リズの言葉に鈴が冷静に答えを弾き出す。
「えっと……そちらの方は……」
愛紗の問いかけに、アスナが驚きの早さで反応をする。
「あのウサギの耳みたいなのつけてるのが束さんで、黒髪の人が箒ちゃんだよ」
「よろー」
「篠ノ之箒だ、真名はないが、下の名前……箒と呼んで欲しい」
炭酸の抜けきったようなへにゃ顔の束さんが緩い返事をする一方、しっかりと自己紹介する箒。
「あ、こっちも挨拶しないと」
そう言って桃香たちも挨拶していく。
真名も2人に預けるようだ。
……オレの
「分身殿、兵士の宿舎案内を。私は引き継ぎや城の案内をする」
「わかった。……オリジナル。カリスマ解除したら、爺さんに着いていってくれよな」
「おう」
厳岳の言葉に頷く分身。
そしてオレは分身の言葉に頷いて一瞬で服をいつものに戻し、桃香たちに着いていく。
「では、上庸の太守を劉玄徳に譲る。この地を豊かなものにして欲しい」
上庸太守の印が厳岳から桃香に渡され、参加者から拍手が送られる。
「では早速ですが……。私の仲間も手伝ってもらうので、人事について、変更があるけど、すぐには無理だから、公表は明後日、変更は10日後に行います。よろしくお願いします」
その言葉に対し、もとからいた文官でや武官特に異論はなく、確認する限り不満分子もいないようだ。
……ここの立地(大都市圏がないし、人が集まりにくい)や悪意に敏感な人が多い(その割に普段はのほほんとしてる人がほとんど)とかの理由からか、野心あるような人間は中央か別のところに行ってしまい、結果として平和な勢力的空白領域になってるらしい。
桃香による解散の宣言でオレたちと厳岳以外居なくなったあと、改めて口を開く。
「さて……今後はどうするつもりかの?」
厳岳が桃香に問いかける。
「基本的に内政重視かな。お兄さんが本気になれば戦争したりしても負ける可能性ないとおもうけど……お兄さんに頼りっぱなしは駄目だし、必要ないことはしない方向です」
「自領をキリトのインチキ能力で桁違いに富ませ、近隣から人が流れて来るように仕向ける。他所がそれに難癖つけて戦争仕掛けてきたら逆侵攻で併呑してくってことだな」
「その返しは想定してなかった」
炎蓮の言葉に困惑して口調まで崩れる桃香。
「とりあえず、今日はこれで政治の話は終わりにして……部屋割り決めたり荷解きしたりしない?」
「「「賛成」」」
アスナの言葉に一同が賛成する。
あのあと、部屋割りで(オレの部屋をどこにするかで)揉めたり、夜の順番で女性陣が喧嘩したりしたが、割愛(前者は飛雷神使えるから距離は誤差だし、後者は触らぬ神になんとやらである)。
そしてオレは今――
「――で、キリト。どっちに付くか決めた?」
「安心しなさい。ソイツの行動パターンは手に取るように分かるから。それに此方に付けばソイツに首輪つけられるプレイは回避できるわよ?」
「物量とパワーが物を言うゲームでこの私を倒せると思う? 悪いことは言わないから私のところに来なさいよ。ベルンみたいな悪趣味な赤ちゃんプレイとかしないから」
――気がついたら魔女2人にドナドナされていた。
「……判断材料ない時点で完全に好みの問題なんだがそのあたり自覚ある?」
「あら、私たちの能力とか、サーヴァントを把握してると思ったけど?」
「その魔眼を使い、いろいろな生き物から情報を集めてるようだけど?」
妙に連携した2人の口撃にオレは
「残念だが『畜生道の口寄せや穢土転生を使った口寄せはしてない』し、『こき使ってる分身は隠れたり変身してない』からな。そもそも『2人が普段どこにいるかも、どの陣営かも把握してない』ぞ」
赤き真実を突きつける。
「……良いわよ。教えてあげる」
ラムダデルタがそう告げたあと、手を付き出して命令をする。
「来なさい、ランサー」
その言葉に反応して現れたのは、青い髪をポニーテールにした、コートがなければ露出が凄いと言われそうな美少女。
「……? (記憶にない前世から色々引き継いだりしてるオレが言えた義理ないけど)純粋な英霊には見えないな。……彼女以外の、2人ほどの誰かの力を持ってるように見えるな」
「あら、正解よ。この娘、片方のお陰で『魂喰いの効果が大幅に補正掛かる』だけじゃなくて、『能力上昇』もあるわ。あと、もう片方の恩恵で『継続系のダメージで死なない』し、『白銀の機械仕掛けの人形兵器』を宝具として持っててそれに乗れるのよ」
「……魂喰いはあまりしたくないが……救いようのない悪人だけに留めている」
ランサーが眼を閉じて、自分に言い聞かせるようにそう溢す。
「とか言ってるけど、たぶん喰った数100越えてるけどね」
ベルンがしれっと溢す。
「願いを叶えるための努力の一環よ。逆にこれやれば持ってる要素あわせて誰にも負けなくなるんだから文句言わないで欲しいわね……っと、まだアピールタイムは終わってないわ」
「脱線したのはアンタでしょ」
「はい、ベルンは自分の番まで黙ってる! ……さて、どこまで話したっけ? ……ああ、サーヴァントについては説明したから次はどこの陣営に身を置いてるかよね」
するとオレの前に移動してから手のひらの上にミニチュアサイズの旗を出して告げる。
「――私と相性抜群!努力する天才、曹孟徳の陣営よ! 彼女には黙ってるけど私の祝福を与えてるの。だから、諦めず諦めず努力するかぎり、彼女の願いは叶うのよ」
そう言い終えると旗を消してから告げた。
「貴方も知ってるでしょ?この世界が元となった世界の歴史。『天運を持つ英傑が努力できて、おまけにそれを確実な強さにする魔女がいる』時点で結果は分かるでしょ?」
「……そうかもしれないな」
そうオレがいうと、ラムダデルタは満足そうに頷く。
「そういうこと。ま、ベルンにもアピールさせなきゃかわいそうだし、ベルン、お次どうぞ」
そういうと、ラムダデルタはオレのとなりに戻り、代わりにオレの前にベルンカステルが出てきた。
「私のサーヴァントは知ってるわよね? アヴェンジャーとそいつにくっついてきたオマケ。 ……まあ、復讐者を名乗る割には、穏やかな顔をしてるのがクラス間違ってるきがしてならないけどそれは割愛ね」
一区切りつけてから、ベルンカステルはラムダデルタと同じように、ミニチュアの旗を手のひらの中に出して見せる。
「私の所属してる陣営は孫家よ。もっとも、私は外史だからできるifを堪能するつもり。……もっとも、孫家三代の初代を貴方に寝取られたけど」
「人聞きの悪いことを……」
「まあ、いいわ。……私は苦難に直面しようとも細い勝ち筋を見いだし、勝利を手繰り寄せ続け、三國のうち最後まで存在した国を建てた一族……彼女たちを助けるわ。ラムダの手はこのゲームが優位と言ってるけど、ラムダの手を読める私が一枚上手よ? ……あと、母娘で血なまぐさい殺しあいさせるつもりがないなら、普通私のほうに味方するわよね?」
そう言い終わると、ベルンカステルも元の位置に戻る。
「それで、」
「あなたは」
「「どっちを選ぶのかしら?」」
両サイドからそう問いかけられる。
オレの答えは……。