桃香、愛紗、鈴々、朱里、雛里
キリト、アスナ、リーファ、シノン
ユイ、キズメル、プレミア、ティア
一夏、千冬、炎蓮
留守組
リズ、シリカ
箒、束、鈴、厳岳
おや、MORE DEBANの様子が……?
翌日、オレたちが漢中に戻ると、東門周辺と城を兵士や物資が慌ただしく往復する姿が目に入る。
「何事ですかね?」
なんだっけなーと彼女の言葉を聞きながら記憶を掘り返す。
「ああ、ウチの兵士たちが到着したんだろうなぁ」
分身からの連絡の中に「兵士にマラソンさせる。連絡は爺さんが、物資輸送はオレがやっとく」とあったのを伝え忘れていた。
爺さんが連絡をしてたから、対処がされてるのだろう。
「え、早くないですか????」
「軽量の防具以外は装備させずに走らせたし、中継地点で飯とかを用意させてたからな。移動の荷物になる武器防具食料はオレの分身が宝物庫開けるからそこ経由すればいい」
いわゆる豊臣秀吉が使った使ったとされる中国大返しと同じような手段である。
違う点は預けた装備が兵士より先に目的地に到着してるところくらいか。
「なる……ほど?」
困惑してる彼女には悪いが、すり合わせとか報告諸々をしなければならない。
「とりあえず城に行くぞ。ペコリーヌから伝えたいこともあるだろ?」
「え、あ、はい。そうですね」
ちょっと混乱気味なペコリーヌの返事を半分にしながら、オレは彼女の馬を先導し、城へと向かうのであった。
「お兄さん!(キリト君!)」
大広間に通され、そこでアスナたちと合流するオレとペコリーヌ。
「……ほら、やっぱりお兄ちゃん新しい女引っ掛けてるよ」
ジト目でリーファがそういった瞬間、ウチの女性陣の眼が冷たいものに変貌する。
「不埒なことはしてないです。強いて言えば餌付けしたくらいで」
「「「「ギルティ」」」」
弁明するも、一蹴され、膝をつくオレ。
「えっと……自己紹介は、もう一度したほうがいいかしら?」
「あとで私達が個別にやるので、大丈夫かと」
張魯の問いかけに桃香がそう告げる。
それにうなずいたあと、張魯は問いかけてきた。
「とりあえず、北の軍勢について、報告お願いします。陽平関の修理まではここの全員に共有済みです」
「あのあと、北の分岐点まで見に行ったが、敵の影はナシ。おそらくこっちへの侵攻はオマケ扱いで第二波を考えてなかったんだろう。……裏を返せば他の……それこそ長安方面がどうなってるか調べたほうがいいまであるな」
途中で脱線してることに気がついたのでかぶりを振ってリセット。
「分岐点確認後、撤退、そのまま修理中の陽平関を通過、そのまま漢中へ戻ってきた」
「……わかりました。……集まってもらって申し訳ありませんが、少しこちらで話を詰めておきたいことがあるので、そちらも情報共有などどうでしょうか?」
最初以外は劉備に問いかけるように話しかけた張魯。
「あ、はい。大丈夫ですよ」
「すみません。では一刻後までに戻りますので、その間こちらをお使いください」
そういってペコリーヌ、張魯が去っていく。
「……あれ?閻圃は?」
「閻圃さんはキズメルとユイちゃん、プレミアちゃん、ティアと共に兵の受け入れ対応してるよ」
アスナがオレの傍でジト目で匂いを嗅ぎながら、そう答える。
「……あの娘の匂いがガッツリついてる……」
「本当にお兄ちゃん、手を出してないの?」
「もう少しオレの言葉を信じて????」
シノン、リーファがジト目でそういうと、愛紗がやってきて告げる。
「キリト殿……キリト殿のことを、我々は信用しているのです。同時に、女性絡みのことは疑うべきということも我々の共通認識なのです」
「……左様で」
オレがうなだれると、朱里と雛里がやってきて頭をなで始めた。
「お兄さん……私達はお兄さん信頼してます」
「……裏切ったら、嫌ですよ? 例えば……洛陽で分身さんが女の子引っ掛けたりとかしてませんよね……」
「え、なんでそれを……はっ!?」
オレが驚いて顔を上げると、その場に居た一同の背後に怒りと嫉妬のオーラが現れる。
「……ちょっと、お説教の時間だね、おにいさん」
「えっと……その、色々お話をするにあたって、キリトさんの意見もお伺いしたかったのですが……」
真っ白に燃え尽きてるオレをみる張魯に、オレは頸を横にだけ振る。
ペコリーヌと閻圃がドン引きしているが、必要な犠牲だったので諦めよう。
「すみません。キリト君の意見は大体分かっているので、私が代わりに答えますね」
「あっはい……。では、改めて」
こほん、と咳払いしてから張魯が告げた。
「――劉備様。漢中及び
「え、ええええ!?」
眼を丸くしてオレをみる桃香。
悪い、オレは今燃え尽きてるんだ。
そっとしておいてくれ……。
「……その条件だと何を命令されても基本逆らえないことになるけど良いの?」
アスナの問いかけに、張魯はうなずく。
「もちろん。ただ……漢中の民は皆
「……ここは受けとけ、桃香」
炎蓮が出てきてそう告げた。
「え、でも……中央になんて……?」
「オレの勘が正しければ中央がこっちにかまってる暇なくなるからな。あと対外的に3人の立場は据え置きにしておいて、連携とれるようにしておけばいい。物資のやり取りは交易って名目で帳簿こさえておけばもんだいないだろうしな」
桃香の言葉に答えた後、眼を細めて続ける。
「……劉璋の噂は聞いてるだろ? そしてそれを止められるやつが今の所いねえ。今後を考えるなら、安定した地盤を持っておくに越したことはねえんだ。――上庸からじゃ、益州の心臓部には手を伸ばしにくいが、漢中からなら行ける。……この意味わかるよな?」
炎蓮の言葉にうなずいた桃香は、張魯を見つめ、告げた。
「――わかりました。その臣従を認めます。北の脅威から、皆さんを守ります。――代わりに、益州の大部分を牛耳り、横暴を働く宗室……いえ、元宗室で現属尽の劉璋討伐を始め、主に内政方面で力を貸してもらいます」
「かしこまりました」
恭しく頭を垂れる張魯。
ここに非公式だが臣従の契約が締結されたのであった――。
「それでは、漢中郡防衛の軍議を始めましょう」
劉備の右隣に蜜璃(張魯の真名、臣従の証として預けられた)、左隣にオレが配置され、朱里、雛里、ユイの軍師組のところに雪泉(閻圃の真名、臣従のry)、愛紗たちの中にペコリーヌが編入された状態で軍議スタート。
「雪泉さん、状況報告お願いします」
司会進行のユイの言葉に雪泉がうなずく。
「敵はおよそ3万。現在剣閣と白水関の間を進軍中です。遅滞戦術で敵の遅延を行っているので、白水関にたどり着くのに7日以上かかると見ています。また、すでに漢中から白水関へ後詰をだしているので、もし強行軍がきたとしても落とされることはありません」
そういいながら、中央の机にある地図の上に駒を配置していく。
「随分と動員してるな」
「私達がよほど気に入らなかったのでしょう……。事実、劉璋軍一の武勇を誇り南蛮鎮圧の第一人者である張任にその妻である李厳。喧嘩師で東の番人とも呼ばれている厳顔とその弟子の魏延、知恵者で防衛戦に敗北なしの法正と劉璋軍の文官武官が勢揃いしています」
「なら、こっちも」
「手加減は不要ね」
桃香とアスナの言葉に一同がうなずく。
「お待ち下さい。張任なのですが……街一つ氷に閉ざす異能を持っておりまして、使えるときと使えないときがあるのですが……使える場合はかなり厄介なのです」
雪泉の言葉に、アンダーワールドダイブ経験者が互いの顔を見合わせる。
――氷と聞いて心当たりが一人いるんだよね……。
「張任さんの特徴をおしえていただけたらと」
アスナが問いかけると、雪泉が思い出すようにうんうんうなりだす。
「たしか……アリス……李厳の旦那……これはもういいましたね。……黄金色の髪で……青い瞳をしており、夫婦で同じ髪と瞳の色をしています。……武器が青い剣で……」
「雪泉さん、ありがとう。……その人、私たちの古い友人のはず。私達次第だけど、上手くいけばこっち側に引き込めると思うわ」
「そうなのかー?」
アスナの言葉にこの世界の面々を代表して鈴々が疑問を投げかける。
「私達の知ってる彼ならね……でしょ? キリト君」
「……だな」
オレがうなずいた後、一夏があれ?と声を出す。
「一夏、どうした?」
「今思い出したんだけど、箒と束さんって益州に居ただろ? だから張任がユージオのことだとしたらあの2人なら知ってておかしくないと思ったのはオレだけか?*1」
オレは分身を通じて質問を投げる。
「……二人共梓潼が活動圏で、張任の活動範囲とまったく合わなかったから噂にすらならなかったらしいぞ」
「なるほど……?」
「認識範囲外だったみたいだから仕方ないな」
オレの言葉にシノンが首を傾げ、炎蓮はうなずいた。
「んで、劉備軍8千、白水関詰めの千と後詰めの4千併せて1万3千。……数の上では不利だが防衛戦で相手が数を活かせない。――慢心せずにいけば勝てる戦いだぞ」
オレの言葉に桃香がうなずいてから告げる。
「みんな、暴政をしてる劉璋を倒すためにいくよ!」
「「「「応!!!」」」」