それはそれとして――
素敵な仲間が増えますよ!
「つまり、気がついたらこの世界にいて、みんな生活してた記憶も持っていた。ついでについ数日にオレがどこかに現れたという感覚があって、西の方に居そうというのは分かってた。ただ、どこに行けばいいかわからないから、それとなくオレについてそれぞれのツテで情報収集始めたところ……って感じか」
アスナ、ユイ、プレミア、ティア、リズ、鈴の6人の話をまとめて要約すると、6人ともうなずいた。
「ちなみに、他のみんなについては……」
「知ってる範囲だとリーファちゃんとシリカ、シノンとキズメルが幽州にいることと、益州に束さんと箒ちゃんがいる位?」
「あとストレアとフィリアさん、アルゴさん、レインさんとセブンさんが諸国漫遊してるので行方不明なんですよね……。一応、たまに人づてにどこかで何かしてるのは聞きますから、元気にしてるのは知ってるんですけど」
こっちに連絡来ないんですよね、とこぼすユイ。
「所在が分かってるのがここにいる6人にリーファ、シノン、キズメル、シリカ、束さんに箒。生存確認できてるのはストレア、フィリア、アルゴ、レインにセブン。完全に所在不明なのがユージオ、少女の方と整合騎士のアリス二人、ユウキ、一夏、千冬さんにクライン、エギルにメディナ……」
思考にノイズが走る。
「……? どうしたの?」
「……それとオレが思い出せない記憶の関係者が、この世界にいる。彼女たちにも、会わなければならない……」
「えっと……キリト君?」
「お兄さん?」
アスナとオレの言葉にオレはハッとした。
「とりあえず、二人が食べ終えたら買い出しの手伝いをして、水鏡女学院に行くとしよう。桃香たちもアスナたちもそれでいいか?」
「私達は問題ないよ」
「私もユイちゃんも大丈夫」
「私とティアは戻る、という表現が正しいですが問題はありません」
「奢るって言ったくせにしれっと急かすようなこと言うんじゃないわよ……」
「早食いは健康にも悪いんだからそこらへん気にしてほしいわね」
桃香、アスナ、プレミア、リズ、鈴の言葉を聞いたオレは、みんなの食事が終わるまで仙術チャクラの生成をしておくことにした。
それから約1時間後。
オレたちはそこらの貴族の屋敷より広い敷地を持つ水鏡女学院の正門前に来ていた。
「とりあえず、アンタはここで待ってなさい。水鏡女学院、一応で男の立ち入りは許可が必要だから」
リズが正門に向かおうとしたオレを阻む。
「なら許可というか、取次の方頼む」
「分かってるわよ」
オレの言葉にリズはうなずく。
「なら、私はキリト君と待ってよっと」
「私も待ってます。リズ。ティアや鈴たちと一緒に先生への取次とかやっておいてください」
しれっと左右の隣を確保し、腕に抱きつくアスナとプレミア。
しかしプレミアの方はそうは問屋が卸さないとリズが肉薄する。
「プレミア。アンタも来るの」
と見るも鮮やかな手付きでオレの腕にしがみついていたプレミアを剥がし、ドナドナする。
ティアも呆れ顔でそれに続き、鈴も肩をすくめながら学院の中に入っていった。
「……ん?」
いつの間にか剥がされたプレミアに代わって、桃香がオレの腕を確保していた。
「……あの、二人共、腕動かせない」
「やっと会えたのに甘えちゃダメなの?」
「私は、お兄さんに甘えちゃ、だめ……?」
「……まあ、それでいいならいいけどさ」
オレは肩をすくめる。
「ママは、パパに甘えられて嬉しそうです」
「お姉ちゃん、甘えるのは良いけど、ずっと甘えるのは良くないと思うのだ……」
優しく見守るユイと、ムッとしてる鈴々。
「しかし、キリト殿の言葉通りなら、たくさんの方がキリト殿と知己なのですね。……義勇軍を作るにしても、その人達の手を借りれるならそれに越したことはないですが……」
愛紗がふむむ、と考え込み始める。
「多分、キリト君が戦うなら、ほとんどの娘がキリト君と一緒に戦おうとするかな。……最初の壁で乗り越えるのに苦労しそうだけど」
後半を小声でこぼすアスナ。
「そうであるならとても心強いです「でも」」
愛紗が肯定的な返答に嬉しそうな顔を見せたが、アスナが告げる。
「黄巾党が終わった後、集めた義勇兵をどうするのかとか、自分たちはどうするのかとか、ある程度考えてないと、そのしわ寄せが多分貴女達のできないところの大部分を支えてくれるキリト君に負担が行くことになる。今すぐにどうするか考えておけって言ってるわけじゃなくて、義勇軍として黄巾党征伐に協力して、それが解決したらどうするつもりか、それまでに考えをまとめておいてほしいかなって」
「……うん、分かった」
アスナの言葉に桃香がうなずく。
「えっと、そちらの方々が、諸葛亮と鳳統に仕官してもらいたいと……?」
声がした方を振り向くと、そこには黒髪の穏やかそうな女性がおり、隣にリズがいて女性の言葉にうなずいていた。
「はじめまして、桐ヶ谷和人。真名であり、通り名をキリトと言います。先触れもなく押しかけて申し訳ありません」
とオレは一礼する。
「りゅ、劉備です」
「関羽です」
「鈴々は張飛なのだ」
「アスナと言います。よろしくおねがいします」
「ユイと言います。はじめまして」
それに続いて桃香たちも挨拶し、アスナとユイも挨拶をする。
「私は司馬徽。皆からは水鏡先生と呼ばれてます。この水鏡女学院の院長をさせていただいています。それでは、リズさんに客間へ案内してもらいますので、少しお待ちいただければと」
「わかりました」
オレがそう言うと、水鏡先生はくるりと背を向けて歩きだす。
リズがそれに続き、ついて来なさいと目で告げてきたのでそれに習ってついていく。
廊下、教室っぽい場所を通り抜ける時に、年齢の様々な娘たちに好奇の目で見られて少し居心地悪かったが鉄の意志でスルー。
ある程度進んだところにあった部屋に入り、着席を促されたのでオレ、桃香、アスナが座り、アスナの上にユイが座る。
すると一瞬先生は目を外に向けて、すぐに目線を戻した。
「それでは、もうすぐ来ると思いますので何故あの二人に仕官を望むのか、お伺いさせてもらいますね」
「それは――」
夢にて荘厳な声の人物から劉備に仕えるように告げられたこと、これから国が乱れるから頼れる者たちを集め、その時に備えよとも言われたこと、おそらく義勇軍を結成するから、運用の知識などを学ぶようにと告げられたこと。
その中に臥龍鳳雛のことが含まれており、新野の水鏡女学院へ赴けと告げられたことも話す。
もちろん全部アドリブだからリズ含め、周りの娘から目を丸くされたが、先生は真面目に聞いてうなずく。
「荒唐無稽と一蹴するのは簡単ですが……管輅の占い通り、『一対の剣を持つ黒衣の剣士』が『臥龍と鳳雛を欲する』のが現実となった今、真実なのでしょう。……劉備さん」
「は、はい!」
「彼は色々尽くしてくれていますが、彼の集めた人たちを活かすも殺すも、貴女の決断次第となるでしょう。困ったら頼るように。……ただ、同じ思想のものばかりでは偏ってしまいます。どうか、そのことを忘れることないように」
「わ、わかりまし……た」
先生は桃香の言葉に満足したのか、手を叩く。
「朱里、雛里。聞いていたでしょう? あとは貴女達の判断に委ねますが、どうしますか?」
すると戸を開けて入ってくる二人。
後ろにはプレミアたちがいた。
「私達は……着いていきたいかなと」
「でも私達、戦えないので、足を引っ張っちゃうかなって……」
「二人には知恵を貸してもらいたい。戦うのはオレたちがやるから心配するな」
「鈴々たちに任せるのだ!」
二人の言葉にオレと鈴々が答える。
「二人は頭がすっごく良いって聞いてるし、力貸してくれないかな?」
と桃香が問いかける。
すると二人が顔を見合わせてからうん、とうなずく。
そしてこちらを向き、口を開く。
「私は諸葛亮、字を孔明といいましゅ。真名は朱里です」
「私は鳳統、字を士元。真名を雛里といいましゅ」
二人は噛んだことに気がついてはわわあわわし始める。
「二人共よろしくな」
オレが笑顔を向けると二人が顔を真っ赤にして、水鏡先生の後ろに隠れる。
「あらあら」
「あー、先生。私も、キリトに着いていきたいのですが……」
「私も」
「右に同じ」
「二人と同じく」
リズの言葉を皮切りに、3人も連携的に反応を見せた。
「構いませんが……そちらの受け入れは可能なのですか?」
おっとりしてるのか、器が大きいのか、さほど驚いていないが、心配と言いたげにこちらを見る。
「問題ありません。ただ、6人の荷物整理などが在ると思うので、明日の昼に改めて迎えに来ようと思っています」
「一日と少しの時間があれば確かに身支度は整えられるでしょう。……6人とも、私物で渡しておきたいものは早めに渡して、返すべきものはしっかりと返し、彼についていけるよう、荷物をまとめるのですよ」
「「「「はーい」」」」
「では、入り口まで私が見送りますね」
水鏡先生に見送られ、宿に戻ったオレたち。
まずアスナとユイの引越の手伝いをしつつ、怪しまれないように食料の買い出しなどを始める。
「私達がすることってある?」
「今のところはないんだよな……強いて言えば、アスナたちと仲良くしてほしいってところか?オレの胃に穴が開いて倒れたり、オレの精神が限界に来て行方くらますのは望ましくないだろう?」
「……色々尽くしてもらいすぎて、申し訳ないですね。私達が役に立つところでは私達に任せてくださいね?」
「お兄ちゃん、戦いとかは基本鈴々に任せるのだ。そうじゃないと、なんていうか、居心地がちょっと悪いくらい色々してもらってるのだ」
「うん。私は二人ほど強くないし、朱里ちゃんたちみたいに賢くもないけど、義勇軍(予定)の一番上として、頑張るからね?」
「……オレのお願いについては?」
3人の言葉にオレのお願いを聞くって返事がなかったので問いただすと、そっぽをみんな向いた。
「……なるべく、がんばるから」
「桃香様に同じく」
「たぶん、大丈夫……なのだ」
「不安になってきたなぁ……」
翌日の昼――。
「さて、そろそろ出立するぞー」
オレがそう言うと、別れを告げてるティアたちが女学院の同胞たちに手を降ったりしてこちらにやってくる。
「中は広いからな」
って既に入ってるアスナ達に手招きさせて入らせる。
「キリトさん」
振り返ると御者台の近くに水鏡先生が来ていた。
「みなさんの旅路、幸多きことを祈っていますよ。……どうか、この乱れつつある大陸に再び平穏をお願いします」
「……最善を尽くします」
オレはそう答えると、馬にムチを入れて出発する。
たぶん荷台の後ろから顔をだしたりしてるのか、女学院の生徒たちが別れの言葉などを言っているのが聞こえてきたが、すぐに遠くなり、消えていく。
「あ、そういえば」
と桃香が御者台にやってきた。
「他に寄り道とかする予定は無いんだっけ?」
「一応な。特に啓示からもお告げてきなのないし。強いて言えば補給とオレの仲間の行方確認のために、徐州までの道で比較的大きい都市には立ち寄っておきたいくらいだ」
「なら、汝南、寿春、小沛の経路が良いはずです。寿春あたりで義勇軍を募るがいいかもしれません」
とユイがひょっこり顔を出して提案してくれた。
「私もそう思うから、つぎの目的地は汝南ってことでよろしくね」
「ああ。分かった。みんなにも通達しておいてくれよ」
「はーい」
桃香とユイが中に戻って行く。
「……さて、みんなを探す方は悪くないとして……なんかオレを探してる聖杯戦争関係者がいるっぽいのがなんか引っかかる。正体不明なのが不安を加速させるが、とりあえず警戒するしかないか……」
とこぼしていたら、
ライダーとアヴェンジャーの召喚が行われた、という通知が脳に響く。
「……アヴェンジャーねぇ……。変なのが呼び出されていなきゃいいけど」
「サーヴァント、ライダーだ、グララララ。……何だぁ、ココは?」
「アンタこそ誰よ」
とある森の中にて。
三日月型の白いひげをした、6mほどの大男と、それをみて驚いているピンク色の髪の少女。
「っていうか、アンタ大きくない? 何食べたらそんなになるの?」
「自由奔放すぎるガキだなぁ? 親の顔が見てみたい」
「あー、アンタも私を子供扱いするんだー。やっぱり……おっぱい小さいからかな」
「いや、そこは問題じゃねえと思うぞ」
見当違いのつぶやきに、大男が真面目にツッコミを入れていた。
「サーヴァント、アヴェンジャー。……真実を知り、因縁と決着をつけてもまだ復讐者として世界に記録されているのは不本意だし、聖杯とやらに願うものはないんだが……呼ばれてた以上、全力を尽くす」
現れたのは銀髪の髪を後ろで束ねた青年。
その瞳は穏やかな光を湛えており、復讐者とは思えない丸い雰囲気をまとっていた。
「あら、聞いたこと無いクラスね。……それはそれとして、そっちのメイドは誰かしら?」
『少女』は青年の後ろを指差す。
青年が振り返り『メイド』を見ると、目を見開いて飛び退き、少女を守るようにしながら武器を構える。
「エーリス……! 何をしに来た!」
「今回は純粋にウィルフレド様のメイドとして、ウィルフレド様の憂いを取り除き、おはようからおやすみなさいまで尽くす所存です」
「……引いたサーヴァントがアタリかわからないけど、オマケの方は能力的に見て高いのは間違いないわね……」
「ちなみに私は、令呪などの影響も受けませんし、『力を大幅に制限されている』『奇跡の魔女』様も殺すことは可能です。……まあ、ウィルフレド様が酷使されるなど、目に余る場合に限りますが、その場合はご覚悟願います」
「……制御不能の駒とか最悪ね。どこかで厄介な他のサーヴァントと相討ちして退場してほしいくらいだわ」
「そうなることを願い、奇跡を起こしてはいかがでしょうか、『奇跡の魔女、大ベルンカステル様』」
「「……」」
「……どうしよう、胃痛がしてきた……」
どうやら青年は、ココでも苦労人らしい。