小説のあらすじで恐ろしいほどの誤字をやらかしていたようなのでこの場を借りてお詫び申し上げます。
メイクデビュー!やっちゃうぞー!
さて、ここから先はメイクデビューまでの行ってきたトレーニングについて撒いて述べていこうと思う。
4月下旬のとある日。ゲート練習場が珍しく開いていたのでそこを使って練習を行った。スズカはアプリ版では確か『コンセントレーション』というスキルを解放できる。このスキルの効果はゲートの出遅れる時間を短くするという効果であり、出遅れを防止するスキルとして、逃げを行う上では必要なスキルだった。
という事はである。この現実のウマ娘世界でも同様なことが行えないかと考えた。ゲートが開いた瞬間に誰よりも早く飛び出し誰よりも早く加速し先頭に躍り出て逃げ続けることができたのなら。
スズカをレースにおいて捕まえられる同期は少ないはずだ。
という事でゲートトレーニングを行っていたわけだが。少なくとも行える時間は行ってみたが、何回行っても自分の目において出遅れているようには感じられなかった。
それどころかゲートのドアが開いた瞬間に飛び出てきたようなそんな錯覚を覚える程のゲート良だった。
5月初旬のとある日のトレーニング、その時は水泳だった。水泳は芝やダートの走り込みと違い足にあまり負担がかからない為、スズカが良く走りそうな晴れの日に入れる事にした。
水泳の時は持続力を上げるため割とギリギリまでやった覚えがあるが、水泳トレーニングが終わった後元気に坂道を走り始めたので驚愕した。
5月下旬のとある日。その日は体幹を含めたパワートレーニングを行った。ちなみにその時ジムで行ったのだが、そろそろ走りたいですと駄々をこね始めたため、体幹とウェイトトレーニングを2セット行ったら、ランニングマシンで走って良いぞと言った。
そうしたらスズカは、それはもう目をキラキラさせながらトレーニングをこなした後、ランニングマシンでひたすら走っていた。
ちなみにこの時はパワートレよりランニングマシンで走って居た時間の方が長かった。
そうして、レースに向けたトレーニングと調整を終えた。なお、あえてダンス練習をトレーニング時間に入れる事でダンスとトレーニングの両立を図ってもみた。割と有効であった事は記しておこう。
はてさてこういう事もあり迎えたデビューレース当日。私は自分の愛車である青のスバ〇 インプレッサSTi 2.0 WRXを機械駐車機からひねり出してトレセン学園前に止めた。
「そろそろ集合時間だが……」
排気量2.0LのEJ20ボクサーエンジンが奏でる特徴的な不等排気音は相変わらず心地よい音であり、スバリストがこの音が良いんだよ!と言いそうな排気音である。
しばらく待つと、挙動不審にしてきょろきょろとしている栗毛ウマ娘がうろうろしていた。
多分というか絶対スズカなので声を掛けるとしよう。パーキングレバーが上がっている事を確認した上でエンジンを切りドアを開けて外にでる。
「おはようスズカ」
「あ!トレーナーさんそこにいたんですか……あの、レース場まではこれで?」
そっと自分の車を指さしたスズカに黙って首肯する。
「まさかレース場まで走って行くとか言わないでくれよ?レース前なんだからな」
そういうとスズカは思いっきり目を泳がせている。おいおい、さすがにそれはできない相談だ。
「まぁ乗れ。用具はトランクに入れるか?」
そういうと首肯したのでドアを開けてキャビンでトランクの鍵を開けて、大きく開く。スズカから用具を受け取ってトランク内に入れるとトランクを閉める。
其の後、スズカはちょっと考えた後助手席に乗り込んだ。乗り込んだことを確認すると私も乗り込んでブレーキを踏みエンジンをかける。
そこから先は普通にマニュアル車としての発進手順を踏み発進させる。
車をしばらくレース場に向けて転がしていると、視線が横から感じた。まさか自分の運転が荒いのだろうか?ちらっと横を見ると、しげしげとスズカがしげしげと私を見つめていた。
信号につかまった為、ちょっとスズカに聞いてみる。
「どうしたスズカ?私をさっきからじっと見ているようだけど」
「……いえなんでも無いです」
いったいどうしたと言うのだろうか?
しばらく車を走らせると府中レース場が見えてきた。今日は主にデビューレースや未勝利戦の開催である為、客足は少ないように思える。関係者駐車場に車を止め、エンジンを切って駐車する。
スズカは降りるのに手間取っていたので、助手席側に回りドアを開けて頭がぶつからないよう手をドア枠の上方にかざす。
するとするっとスズカが下りてきた。本人から聞いた話だが普通に良い所育ちのお嬢様らしい。まぁ一般家庭で育ち大学を経て官僚を務めた私とは育ちが違うわけだ。
まぁそれをどうこう言うつもりは無いし、責任を持ってスズカを勝利に導けるように努力はしているつもりだ。
とりあえず移動である。どのようなレースであれ、控室は用意される。そこでレース前に着替えたり、トレーナーと最後の打ち合わせを行うからである。
基本的にGⅠであれGⅡであれGⅢであれ,op戦であれメイクデビュー戦でさえそれは変わらない。地方レースだって変わらないはずだ。
スズカに用意された控室はすぐ見つかった。今日は一日かけて12レースやるらしいが、スズカが出場するのは12レース目、一番最後のレースである。
控室を開け、荷物を静かに置く。スズカは最初に着替えるつもりのようだ。
「あ、あのトレーナーさん。私これから着替えるので……」
「あぁ、分かってる」
ドアを開け、外に出て廊下に出るとドアの前に立つ。ちらりと左右を見ると同様に着替えによって追い出されたであろうトレーナーバッチを付けた人が立っていた。
おそらくメイクデビュー戦でスズカにかち合うであろうウマ娘のトレーナーだろう。
ここで今日見たスズカのステータスを思い出す。スズカはとりあえず何かあったら走ってくる先頭民族だ。いや、間違えた。何もなくても走ってくる先頭民族だ。
だからなのか、トレーニングを行い最後にスズカのステータスを見るとスピードが異様な伸びを示すのである。
やはりステータスの伸びが狂ってる。どう考えてもジュニア級のステータスではない。このままクラシック級に突っ込んでも勝てそうなくらいには伸びている。カーブを曲がる際に速度が落ちるなど未だ改善点があるが。
ゲートに関しては良好であると思われる。トレーニングの合間に入れたゲート練習では出遅れがほぼ無い状態でスムーズに加速出来ていた。
それに一番なのが、スズカが走るメイクデビューに今年デビューの有力バが居ない事である。私が知っている限りでは今年デビューの有力バは『
スマートファルコンはダートウマであるためスズカと直接かち合う可能性は低いが、問題はナリタブライアンだった。ナリタブライアンは史実においてもクラシック三冠を獲得した三冠馬であり、漆黒の馬体に白いシャドーロールを付けていたため生まれたあだ名が『シャドーロールの怪物』。
しかも所属チームがチームリギルである為、余計油断ならない。ナリタブライアンはクラシック路線に行くと思われるが、対決する事が無いとも言い切れない。
私がレース中にできる布石は少ないが、その時はスズカを常に先頭に立たせるよう碁盤に石を打っていくしかないのだ。
しばらくすると、スズカがドアを開け遠慮がちに顔をのぞかせて、
「入って大丈夫です」
と言うのでドアを開けて入る。さて、今日のレースの戦術を話そうかと頭の中を整理しているとき。スズカが遠慮がちに話しかけてきた。
「あの……私、勝てるでしょうか?」
スズカらしからぬ台詞にびっくりして頭を上げると何処か不安そうな表情を浮かべるスズカが居た。
どうやら無言でいたのがスズカを不安にさせてしまったのだろう。
妹に接するように思わず軽くスズカの撫でてしまった。スズカはあまり嫌がる素振りを見せなかったが、思わずしてしまった事なのですぐさま手を引っ込める。
彼女の表情も少し和らいだ気がする。
「済まない、私の妹を思い出して……な。
なぁに、スズカなら勝てるさ。」
「トレーナーさん……」
時計を見るとそろそろ時間だ。
「ほらスズカ、パドックに行くぞ。時間だ」
「あっ、はい。トレーナーさんの手……気持ちよかった……」
スズカを伴って控室から出た。さぁ、勝ちに行こう―――――
スズカ