2月14日。バレンタイン。
バレンタインは恋人にチョコを送る日だとかなんとかいうイベントだと思われているが、本来は聖バレンタインさんが殉職?した日で、キリスト教の祝日・・・かなんかなのだ(うろ覚え)。・・・まぁそんなことを力説したところで、情熱とチョコに飢えるリア充どもには通じないだろうが。
「――――やってられっかぁぁぁっ!!」
私―――祠堂圭はそんなことを言い放ち(というかほぼ魂の絶叫)、机の上に放置してあった受験対策の問題集たちをぶちまける。
「今日バレンタインなんだよバレンタイン!!私もチョコ作ってプレゼントしたいの!!でも無理なの!!受験直前だから!!」
「たぶん全国の受験生が同じこと思ってると思うよ~?」
集中力が切れて唐突にそんなことを言った私に、美紀(過去)が苦笑しながらそういう。・・・バレンタイン・・・バレンタイン、か・・・。
「・・・しょうがない、勉強しよ勉強・・・」
さっき床にぶちまけた問題集たちを、一冊一冊せっせと拾い上げる。・・・問題集自体は私の私物だが、ここは美紀さん(未来のほう)の自宅なのだ。床に傷とかついてないよね・・・よし、大丈夫だったか。
これもそれも全部、受験をバレンタインの直後に設置する世の中の風潮が悪い・・・なんて、我ながら八つ当たりとも悪態ともつかないことを思う。
「――――チョコレート・・・」
「うん?」
問題集たちをとりあえず机の上に積み上げていると、向かい側に座っている美紀がふとそんなことを言う。
「・・・どしたの?」
「いや・・・チョコレートみたいな髪色しやがって、って思った」
「唐突にどしたの!?」
末期症状出てるんじゃなかろうかこのひと。まぁ確かに私の髪色はチョコレートっぽいけどさぁ・・・
「・・・それを言ったら、美紀だってホワイトチョコみたいな髪色してるじゃん」
「え~?まぁそうだけどさ・・・」
ペンを机の端の方に置くと、美紀はそう言ってぐぐっと伸びをする。・・・っていうか何の会話してるんだろう私たち。
「なんかさ、ちっちゃいころに食べたチョコで、中にドライいちごがまるまるはいってるやつがあってさ。それ思い出しちゃった」
「あっそれ美味しそう・・・」
そういえば私の瞳もワインレッドだしな。私を見てそのチョコの事を思い出すというのは、あながち間違ってはない・・・のだろうか・・・?
「じゃぁさじゃぁさ、ホワイトチョコにドライのブルーベリーが入ってるチョコってないのかな?」
「う~ん・・・見たことないなぁ・・・探せばあるかもだけど」
「あってもデパートとかで売ってる高級な奴だよねきっと・・・」
というかそもそも、ドライのブルーベリーなんてこの世界に存在するのだろうか。・・・桑の実のドライフルーツがあるならある可能性はあるよな・・・
「――――まじめに勉強してるかと思ったら、なに?チョコの話してるの?」
ドライフルーツとチョコに想いを馳せていると、ショッピング(という名目の買い出し)から帰宅した美紀さんが、脱いだコートを片手に部屋に入ってくる。
「・・・あ、そうそう。デパートでチョコ買ってきたんだけど、食べる?ドライフルーツが中に入ってるやつなんだけど、」
!!
「「食べます!!」」