『――――生きてればそれでいいの?』
なんでわたしはあの時、君に手を伸ばせなかったのだろう。『わたしも一緒に行く』と、たった一言だったはずなのに、・・・どうしてわたしは、その言葉を言えなかったのだろう。
言っていれば、手を伸ばしていれば、・・・世界は、未来は変わったのだろうか。
・・・行方不明となってしまった親友の事を思い出しながら、わたし・・・直樹美紀は、自販機で買った缶コーヒーのプルタブを開ける。・・・世界はいつこんなに復興したんだ?
「あっ・・・あのっ!!」
そんな声がして、はっと振り返る。・・・似てる。似ている。茶髪のショートカットも、ワインレッドの瞳も、全部。
・・・まさか本人?・・・いや、この子はまだ中学生くらいだし、年齢が合わな
「私、圭っ・・・祠堂圭って言いますっ!!」
なっ・・・。
・・・そんなこと、現実で起こりうるだろうか。・・・確かにわたしは、願いが叶うとか言うキャッチコピーの付いた、ターコイズの宝石がはまっているうさんくさい手鏡を買ったさ。
でもあれは単なるインチキ商品で、・・・願いを叶える力なんて、持ってないんじゃないのか・・・?
・・・じゃぁ目の前で起きているこの状況はなんだろう。幻覚?ついに幻覚を見たかわたしは。明日あたり病院に言ったほうがいいかもしれない・・・。
「私、ひとめぼれしました!!」
・・・え?
目の前の少女・・・圭(仮)の口から出た予想外の言葉に、わたしは驚きを隠せない。
・・・待て。ということは・・・現実・・・?妄想じゃない・・・?
「確かに、私はあなたのことを何も知らない・・・知らない、けどっ!!
・・・私と、恋人になってくださいっ!!」
「あッ・・・。」
・・・やっぱり、圭は圭だな・・・。どこまでもまっすぐで、危険を顧みない。・・・ま、そういうところが、彼女のかっこいいところでもあるんだけど。
思わずぎゅっと抱きしめてしまう。「ふぁっ」という間抜けな声が耳に飛び込んできた。・・・可愛い。
「・・・ありがと。」
もうあの頃のわたしとは違う。絶対に、彼女と一緒に居て見せる。・・・だから。
「いいよ。・・・恋人、なってあげる。」
「・・・はいっ!!」
「・・・ところで、今日寒いし、ラーメン食べにいく?わたし奢るよ?」
「え?・・・あっ、行きたいです!!行きます!!」
わたしの言葉にそう返してくる圭は、まるで年下の後輩のようで。・・・まぁ実際に(ここでは)年下なんだけど。
(・・・年下、ねぇ・・・。・・・あっ)
いけない・・・変な趣味が芽生えてしまいそうだ・・・。・・・自重しなければ。
「・・・ま、ラーメンでも食べながら、色々ゆっくり話しましょうよ。」