「・・・『剣は空間を、鏡は時間をつかさどり、勾玉がそのふたつをコントロールすることで、平和を成し遂げている』・・・」
図書館で借りてきた本を読み進めていると、そんな文章が目に留まる。・・・時間、ねぇ・・・。
(―――なんかダイパ伝説みたいな話になって来たな・・・)
れっつごーシンオウ。
(あの鏡が時間を巻き戻した?・・・わたしの願いを叶えるために?)
世の中全部が科学で証明できる訳ではないとは思いつつも、科学的根拠という言葉をどこかに捨ててきた文章たちにわたしは思わず顔をしかめる。・・・だがそんな科学的根拠のない文章たちに頼らなければ今の状況を解明できないのも、また事実なのである。
(・・・さてどうしたものか・・・)
・・・そして、過去へとやって来た未来人であるわたしが考えなければならない問題は、また重要なのが残っている。
(・・・元の時代に帰ったほうがいいのか・・・?)
わたしはこの時代の人間ではない。わたしがこの時代でずっと生きていくことを選んだのなら、それはみんな・・・学園生活部の先輩方や、なにより元の時代の圭が、必死こいて生き抜いてきたあの未来を捨てるという事だ。・・・そんなこと、絶対にしてはいけない。
だけど、わがままを言わせてもらえば。・・・帰りたくない。
わたしはこの時代で、圭や、この時代のわたしと一緒に、新しい未来を創っていきたい。
(・・・あーぁ・・・わたし、いつからこんなわがままになったんだろ・・・)
第一帰れる方法があるか分からないし、と言い聞かせ、わたしは自分自身のわがままを正当化する。
・・・この事は、冷静になってからもう一度よく考えよう。チョコでも食べるか。・・・CDを聞いて気分転換するのもいいかもしれない。
わたしは(元の時代の)圭が残していったCDたちを交互に見比べる。
(・・・このCD、最近全然聞いてなかったからな~・・・
あっ、でもこっちは圭が好きだって言ってたやつだし・・・・・・ん?)
有名な曲のCDたちが多く存在している中、ひとつだけ明らかに雰囲気が浮いているCDがあった。
・・・ジャケットは真っ白で、長期間の間日光に当てられ続けたのか、やや黄ばんでいる。
ジャケットを開け、中のCD本体を確認する。・・・こちらも無地。何もプリントされてはいなかった。
―――そういえば、まだわたし達がショッピングモールの避難所で暮らしていたころ、圭はブランクのCDとパソコンを欲しがった時があった。
その後命懸けで回収してきたようだが、ネット環境なんてものはあの時もうすでに崩壊していたし、なにに使用するのかわたしにはさっぱり見当がつかなかった。
・・・記憶の中に登場したブランクのCDと、今目の前にある黄ばんだジャケットのCDが重なる。・・・もしや・・・
「・・・圭からのメッセージが中に記録されてる・・・?」
「・・・うん?・・・あれ美紀さんじゃない?」
いつものようにCDショップに向かおうとしていると、私は見慣れたシャンパンゴールドの髪を見つける。・・・間違いない。彼女だ。
「お~い!!美紀さ~ん!!」
私のそんな言葉を受けて、前方を歩いていた彼女が振り返る。・・・あれ?
「なんか・・・美紀さんちっちゃくなった?」
「なっ!?」
目の前にいる美紀さんは、私の記憶の中の彼女より結構年下・・・と言っても私と同い年くらいだが・・・に感じた。・・・最近全然会えてなかったから、記憶があやふやになっているのだろうか。でもこんな背低くなかったよな・・・え?
「「・・・え?」」