たぶん受験前最後の更新になるかもしれません。ご了承ください(更新再開は2/16以降が目安)
「あの美紀さんは未来から来た美紀さんで・・・この時代の本来の美紀さんはこっち!?」
「うん・・・すっごくややこしいけど、まぁ多分そんな感じ・・・」
ここは駅前のハンバーガー店。私・・・祠堂圭の質問に、ちっちゃい(と言っても同い年)の美紀さん・・・便宜上差別化のため美紀と呼び捨てさせていただく・・・が、メロンソーダの入ったカップを片手にそう答える。
「未来ってすごいんだなぁ・・・タイムトラベルの、技術?みたいなのが完成してんのかな?」
「まぁ当の本人も、なんで自分が過去に飛べたのかわかってなかったみたいだけどね・・・」
まぁとにかく、未来を楽しみにしておこ。
「・・・っていうかさ、デジャヴ?っていうのかな?
なんかさ、ふたりでここに来るの、初めてじゃない気がするんだけど。」
「なんかナンパの定型文みたいだね・・・
・・・私も。」
よくわからない感覚だった。お互い出会ったのも今日が最初だったし、ふたりでどこかへ出かけたのも今日が最初だ。でもなんだかそれが最初じゃない気がする。
聞こえ覚えのある曲なのに、それがいつ、どこで聞いた曲なのかは思い出せない・・・そんな感覚だ。
「・・・っていうか、思えばお互い受験生なんだよねぇ・・・」
「そうだねぇ・・・。・・・志望校どこだっけ?巡ヶ丘?」
「そ。・・・受かるかわかんないけど」
気が付けば話題は未来だのデジャヴだの現実味のないものから、高校受験という悲惨なものに変化していった。ネガティブな空気と会話内容が、私たちの座っているボックス席に充満する。
「・・・気分転換に、一緒にショッピングでも行く?」
!!!
「行く!!ぜひっ!!ぜひ行きたいです!!」
「なに買うの?参考書?」
「いや・・・好きな小説の新刊が出てたから、買っておこうと思って。」
そんな会話をしながら、本屋のフロア内を散策する。・・・まぁ今日くらいは受験の事なんか忘れてはしゃいでもいいよね。・・・もう2月に入っちゃったけど。
「小説か~・・・私最近ネットでしか小説読まないからさ、私も小説買お・・・」
そんなことをつぶやいて、彼女が手に取った本を覗き込む。・・・ハードカバー・・・?
(―――このひとはホントに同じ世界の住人なのか?)
ハードカバーの小説なんて、私途中で読むの諦めちゃうんですが。
「・・・あ、そだ。6階に美味しいパンケーキのお店があるから、後で行かない?・・・奢るから、さ。」
「え?・・・せっかくのお正月マネー、無駄遣いしちゃっていいの?」
「いいのいいの。・・・あんたに使うのは、なんだか無駄遣いじゃない気がするって言うか、なんというか・・・」
彼女のそんな言葉は、最後にかけてだんだんと小声になっていった。・・・そして自分で言っておきながら照れてる。というか『なんでこんなこと言ったんだろ・・・』的な感じに恥ずかしがっている。
「・・・じゃ、私も何か奢ろっかな~?・・・そうそう!!私、美味しいジュースのお店知ってるんだ~!!」
「おっ・・・じゃぁそこも行っちゃう?」
・・・前まではひとりで来ていたこのショッピングモールも、彼女と一緒なら、また新しい景色が見えてくるような気がする。
彼女が『はぐれないように』と言って手を差し出してきたので、私も握り返す。・・・暖かい。
「・・・っていうかさ、なんか食べてばっかりじゃない?今日。」
「え~?・・・確かに・・・」
まぁ受験生ですからね(?)。