「…ふむ、どうやらあのスキルが発動しましたか…やはり、厄介なスキルですね…」
「…あなたは」
女性の目の前にベルが現れる。ベルは周囲を確認してやるべきことが分かると、後ろにいる冒険者達を見る。
「重傷…なら」
ベルはそう言うと祈る形を取り、つぶやいた。
「太陽の光の癒し」
すると、重傷を負っていた冒険者達の傷が癒えていく。
「あなた方はそこで待っていてください。あの獣は、私が倒しましょう」
ベルはそう言うと盾と飛竜の剣を構える。
「どうやらあなたは知能を持っていますね。あの傷跡、あれは急所ギリギリだった…あなたはどうやら、人が苦しむ様を見るのが好きなようですね」
ベルは目の前にいる獣 ジャガーノートを見ながら言うと、雰囲気が変わる。
「…反吐が出る。私が一番、嫌いな存在だ。故に、お前をここで…狩る」
そう言った瞬間、ジャガーノートの右前脚が切り落とされる。それを見たジャガーノートは恐怖を抱き、その場から逃げようとした瞬間、今度は左後脚を切り落とされ、最後には脳天に飛竜の剣が刺されて生き絶えた。
「…あのモンスターが、あんなあっさりと…」
それを見ていたエルフの女性は驚愕していた。自分達が苦戦し、死にかけるほど強かったジャガーノートを、ベルは必要最低限の動きで逃走を防ぎつつ、的確に殺したのだ。
驚かないわけがない。
「ふむ、そこのエルフの方。名は?」
「…【アストレア・ファミリア】のリュー・リオンです」
「リュー殿か。私はベル・クラネル…なりたての新人です」
「成り立て…アレでですか…?」
「…アレはそうですね…まぁ、地獄を幾万も経験したが故、ですね」
「は、はぁ…」
すると、ベルの身体がまた光り出す。
「…ふむ、帰還か。すまぬな、リュー殿。オラリオでまた会おう」
「…はい」
ベルはそう言うと、その場から消えた。
ー
いやはや、何という出会いだったか。流石にリヴェリア殿に怒られたが、まぁ仕方ないだろう…
そう言えば、遠征組とやらが帰ってくるのだったな。少し気になるが、今は手入れをしておくか。
しかし、知能を持つ獣…いや、モンスターか。あのタイプは厄介だが、恐怖を知らない個体でよかった。
「なぁ、ベル」
「どうしましたか、我が主神」
「…いや、ロキって言ってくれへん?なんか恥ずかしいわ」
「ふむ…しかし、あなたの眷属になった以上、丁寧に扱わねば…」
「いやだから…まぁいいわ。どうせ言っても変えてくれんやろうし…おっ、遠征組が帰ってきたな」
「少し見てきます。どこまで強いか、確認したいので」
「た、戦わんといてや…」