「ここでよいか、アイズ殿」
「…うん」
今はダンジョンの三階層、そこである少女と戦う準備をしています。この少女はアイズ・ヴァレンシュタイン…【剣姫】の異名を持つ冒険者です。
彼女は、私が強いと聞いて一戦交えたいと申してきたのでこの階層まで来たのだ…まぁ、実際はアイズ殿の力を確かめたいのと…先程からこちらを見る女神のためであるが…
「ならば始めよう」
「…」
ほう、風を纏うか…風で機動力を上げるスピード型か…?
「ッ!はぁ!」
早い…だが、
「甘い…」
ふむ、いい太刀筋だ…だが、甘い。スピードなら獅子の騎士といい勝負をしそうだが…あの巨漢の騎士と一緒だと倒されそうだな。それに、太刀筋に復讐心が乗っておる。
「復讐心か…」
「ッ!」
「いや何、闘い続けたからかある程度なら剣を交えればわかるのだ…あなたは何かに対して復讐したいと考えている…それはなんですか…」
おや、変わりましたね…やはり、踏み込んではならない領域でしたか。
「…」
「ッ!」
ますますパワーが上がった…成る程、これが【
「単調すぎる、それではカウンターを受けて」
私はアイズ殿の武器を逸らし胸元を掴むと
「死にますよ」
地面に叩きつける。まともに受身も取れなかったので、当分は動けないでしょう。
「ガハッ…!」
「すみません、アイズ殿。少し本気を出してしまいましたが、大丈夫ですか…?」
「…は…い………」
「ふむ、なら良かったです…少し聞いてもよろしいでしょうか?あなたの復讐について」
「…」
アイズ殿は話してくれた。自らの復讐について…
「成る程…辛い思いをしましたね」
「…」
「私も黒龍の恐ろしさは知っています…と言っても、違う世界の黒龍ですが…」
「えっ?」
「いやはや、アレは三度死にましたからね。幼体であるはずなのに、あの戦闘力。口から吐く獄炎に焼かれ、妙な呪いを喰らい、爪を喰らい…やっと倒せた時は凄まじかった…」
「…」
「…あなたは、その復讐を終えたあと…どうしますか?」
「…考えたことない」
「なら今から考えればいいのです。自らの身を酷使し続けたお詫びとして旅をするもよし、どこかで屋台を開くもよし…その後を今から考えれ、楽しんでいきましょう」
「…ありがとう、ベル」
「いえいえ…おんぶしましょうか…?」
「…大丈夫…」
「には見えませんね…なら、私が拠点まで運びましょう」
お姫様抱っことやらでよろしいか…さてと、帰りますか。
余談だが、なぜかこれが噂になってしまいました…何故だ?
ベルは火継ぎの旅に夢中になっていて、色恋沙汰なんて知りません。だから、女心に鈍感の極みです。