夢のサイレンススズカ産駒 ウマ娘世界でターフを駆ける。   作:うどんそば

18 / 19
日本ダービーに向けて……

皐月賞の疲労も抜けて、少し経った頃、日本ダービーに向けて、作戦を考えるミーティングがあった。

 

「まあ府中はなあ……お前もスズカも大得意だし、あんなに坂路もやってるわけだし坂も問題なし、直線でしっかり伸び切るだろう。」

 

東京レース場の2400メートルはスズカさんと私が最も得意にしているコースだ。

直線の長い特徴があるこのコースは、差し追い込みが強いと言われる。

 

しかし、私やスズカさんは一位とは言わずも、上がり3位以上の足は確実に使える。

 

つまり、逃げてさせると言うこと。せっかく足を使える後方脚質が強いのに、逃げが差しと変わらない脚を使えるなら、そりゃあ勝てるわけないのだ。

 

「まあ、スズカと並走を増やす。しっかりとレースを想定しておけ。」

 

会長に差しを教わるのは夏合宿でとのことで、今は日本ダービーに、集中している。

 

「あと、今回はエルコンドルパサーもいる。警戒は怠らないように。」

 

エルちゃんの末脚とパワーはかなりのものだ。

 

当然ぶっ飛んでくることもあり得る。

 

「はい!」

 

と返事をした私は、スズカさんと並走が増えるということにワクワクしていた。

 

「よし、じゃあトレーニング始めるか!」

 

よしきた!

 

私は数秒で体操服に着替えて、即外へダッシュした。

 

「はぁ……やっぱりか」

 

と、トレーナーさんの声が聞こえた気がした。

 

 

 

━━━━━━━━━━

 

 

 

っ……!あれ?おかしい。膝が……

 

スズカさんは急にスピードを落とした私を気にかけてか、

 

「ゴアちゃん大丈夫?」

 

と、聞いてくれる。

 

「いや……靴が……」

 

「ああ、靴底?」

 

私は誤魔化して、靴底を直すふりをする。

 

「すいません。行きましょう。」

 

私はこの時膝に感じた痛みを放置することにした。なぜなら、大したことにならないだろうという慢心と、実際に痛みが消えたからだ。

 

その日の終わりの触診でも異常は見られなかったし、痛みを感じることもなかった。

 

あの時感じた痛みは何だったのだろうか。

 

まあ気にするだけ無駄か。そう思った私はすぐに思考を切り替えた。

 

 

 

━━━━━━━━━━

 

 

 

私はウマッターを開設してからというもの、圧倒的なスピードで急速にフォロワーが増えていき、今ではクラシック級最大手と言っても過言ではない。

 

そんな私が最近ハマっていることがある。それは、スペースと呼ばれるライブのような機能だ。

 

数人はスピーカーとして、その他はリスナーとして、会話などを楽しむサービスで、時に自分だけ、時にブーケちゃんと開いている。

 

私のスペースでは基本早い者勝ちでスピーカーを開放している。かなり回線が悪かったり、迷惑行為があったときは追放するけど、それ以外では滅多なことがない限り追放はない。

下ネタセクハラまではOKだ。

 

そう言うスタイルが受けたのか、毎回私のスペースは100人以上が最低でもみている状況が続く。

 

まあ、大体スピーカーは同じ古参さんが入ってきたりするんだけどね。

 

それこそ最初は丁寧にしてたけど、向こうも私も相手の扱い方に慣れてきたら、なんだか適当な応対にしたり、煽りあったり、なんだか自由なスペースとなった。

 

これから書くのはある日のスペースの話である。

 

━━━━━━━━━━

 

私は早速スペースを立てて、スピーカーを自由の設定にし、ミュートを解除した。すると、早速いつもきてくれる古参の人が来た。

 

 

「あー……お疲れ様です。にわはらです。」

 

「おーす。お疲れ様でふ。まだ共有してないのに早いっすね。」

 

「ゴアちゃん大好きだから…….」

 

「ちょ……//やめろよ〜//」

 

「は?」

 

「泣いちゃった」

 

にわはらさんとは、初めてこのスペースに入ってきてくれた人で、ネットでの話にはなるが、軽口を叩けるほどの仲だ。

 

泣いちゃったとは、特に意味がない言葉で、なんで返そう……となった時、手軽に返せる最強の言葉だ。少なくとも私のスペースでは。

 

「よ…し!ツイートしたんで多分もうきます。」

 

数秒経つと、ピロンという音と共に、一気に残りのスピーカーの枠が埋まった上、視聴人数も増えた。

 

「おお!相変わらず早いなぁ」

 

「にわはらさんはそういうけど、私はいつもこんな感じだからあんまわかんない。」

 

「お疲れ様でーす」

 

スピーカーの面々も、各々挨拶をしていく。

 

「おおー!久しぶりにこのメンツじゃん。」

 

私のスペース最初期、まだマイクを全員許可の仕方がわからなかった時に、勇敢にもリクエストを送ってくれた10人である。

 

「実は僕仕事中で……」

 

「何やってんの!?」

 

「あっ上司きた」

 

「ミュートになったwww」

 

とか、

 

「明日学校やけど……ええよな(白目)」

 

で、私の休日深夜スペースに入ってくる猛者とか、

 

ブーケちゃんとやった時に、

 

「もう!ブーケちゃん!?」

 

「ぅぅゔぅん!!!!!死ぬ!!!!!」

 

すぐ尊死する人とか、とにかく特徴的な面々だ。

 

「さ!久しぶりにこのメンツなんだし、前みたいな話しよっか!」

 

「あのさあ、ゴアちゃんの絵描いたから貼っていい?」

 

「いいよ!」

 

「じゃあ共有しとくわ。」

 

「は?やばい!神絵師じゃん!」

 

「これはやばい!」

 

「あ゛あ゛ぁぁあ゛!!しぬ!!!!」

 

「そんなにやばいの?」

 

みんなが興奮しているので、私が聞くと、

 

「やばいから見てみな?」

 

と言われたので、見てみると、

 

「は???うっま!!!!なんでこんなとこいんの?????」

 

まさかの神絵師が降臨していた。

 

「私崇めるわ。」

 

と言うと、

 

「草」

 

と返された。

 

「俺も描く。」

 

と、つぎににわはらさんが描くとのことで待っていると、

 

「でけた」

 

共有されたものを見ると、

 

「あんたもなんでこんなとこいんの????」

 

多分イラストレーターみたいな絵が送られてきた。

 

ええ……?時間かかってるなぁとは思ったけどさ、

 

「神お二人!今度オフしましょう!絵が上手くなりたいんや……」

 

「僕は遠いから無理かな……」

 

最初の神絵師は無理。

 

「俺はいけます。いつでもいいっすよ」

 

にわはらさんはOKとのことだ。

 

「あっ!他のファンのみんなは来たらダメだぞ!迷惑になっちまう!」

 

そのかわり、と一拍置いて、

 

「今度イベントやって、ファンのみんなと交流しまーす!」

 

と言った。

 

その間ににわはらさんに今度の日曜日、ファミレスで。と場所を指定して送った。

 

了解ですと送られてきたので、よし!と、私はとりあえず液タブを使って絵を描いた。

 

やばかった。さすがに晒せん。

 

 

 

━━━━━━━━━━

 

 

 

と言うことがあったので、今日はにわはらさんとのオフ会だ。

 

指定された場所ではメガネをかけた160センチくらいの優男が立っていた。

 

「どうも。にわはらです。」

 

聞き慣れた声で確信した私は、受けていただいてありがとうございます。

 

と挨拶した。

 

「服、それ似合ってますよ。」

 

と言われたので、

 

「もしかして口説いてます?」

 

と言うと、

 

「まさか。」

 

と肩をすくめる。

 

それにしても気になるのは手に持っている液タブだ。

 

「えっと、にわはらさんって何されてるんですか?」

 

「仕事ですか?イラストレーターです。」

 

イラストレーター?

 

「本当になんであんなスペースに?」

 

「あなたのファンだからに決まってるでしょ。」

 

あ、ありがたい。と、言った後、私は本題に入った。

 

「あの……私に絵を教えていただけないですか?」

 

「ああ、いいですよ。」

 

ええ!?もっとダメとか思ってた!

 

「まあ1日なので、広く浅くしていくことになりますが……」

 

「全然いいです!」

 

その日、みっちり鍛えてもらい、最後に絵を描くと、

 

「結構上達しましたね。多分すぐ上手くなると思いますよ!」

 

と、言われた。本職の方に言われると嬉しい!

 

「ありがとうございました。」

 

と言った時、次機会があれば一緒に合作しましょうと言われたので、緊張したけど、期待を裏切らないよう、一日一絵を目標に頑張ることに決めた。

 

後日、イラストをアップすると、ファンの方々に結構褒めていただいた。

嬉しかった。

 

 




にわはらさんはオリキャラです。今後も出てくるかも?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。