夢のサイレンススズカ産駒 ウマ娘世界でターフを駆ける。   作:うどんそば

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新チームの方針、そしてメイクデビュー

翌日、早速練習が始まった。このチームは朝練が早い。

なので、早めに寝よう早めに寝ようと考えていたものの、みんなにチームに入ったことの報告などをしていたら、結構遅く(それでも0時には寝た)になってしまったせいで、朝がめっちゃきつかった。

 

でも、

 

「ゴアちゃん?一緒にいきましょ?」

 

なんでスズカさんがここにいるの?

 

…うん。なんでかスズカさんが起こしに来てくれたので、なんとか遅刻せずに済んだ!

ていうかなんでヒシアマ寮長はスズカさん入れたの??

 

それはさておき、朝練と言っても、僕らのチームの場合は走るだけだ。

ひたすら走る。

いくらでも走る。

正直楽し過ぎて時間を忘れちゃうね!

 

この練習だけで、走るのが好きな私は入部したことに満足した。

 

朝練が終わり、授業が始まるんだけど、最近はもっぱらレースのことと数英ばっかり。なので割愛!でも、レースのことは大逃げの私でもたまになることがたくさんあった。

 

昼食になり、またみんなでご飯を食べる。

 

「あー!いいなー!スズカさんとの同じチームなんて。」

 

「そうデース!あそこは一流のチームデース!簡単には入れないデース!」

 

「一流ですって!?」

 

チームに入ったことめっちゃうらやましがられてる。

 

「あはは…でも私、グラスちゃんとエルちゃん、スペちゃんはいいとこのトレーナーと契約しそうだけどね!」

 

「そうでしょうか〜?」

 

「ちょっと!私は?」

 

「キングちゃんは…うん一流のトレーナーさんかな。ここにはいないけどスカイちゃんは本人に似たタイプの人がトレーナーになるんじゃない?」

 

私のこの予想は近いうちに完全的中することになる。

 

 

 

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時は変わって放課後。私とスズカさんはトレーナーさんに、グラウンドではなく、トレーナー室集合と言われたので、向かった。

扉を開けると、パーンという軽い音と火薬の匂い。クラッカーだ。

 

机を見れば美味しそうな料理のちょっとしたケーキがのっていた。

 

「これは?」

 

「いや、チーム設立のお祝いさ。今日はお祝いとミーティングだ。」

 

さあ。と、トレーナーさんがジュースの入ったグラスを持って合図するので、私とスズカさんは慌ててグラスを持ち、

 

「「「乾杯」」」

 

と、グラスを突き合わせました。

 

「さあミーティングを始めようか。」

 

「はい。」

 

「じゃあまずスズカからな。」

 

正直スズカさんの方針を聞けるなんて今だに信じられない。

少し体がこわばるのを感じた。

 

「スズカは…ドリームトロフィーに向けてスピードを鍛える。後スタミナ!以上!」

 

「はい!」

 

…え?終わり?

 

「じゃー、ゴアな!」

 

「は、はい!」

 

さっきのはきっと方針がもう決まってしまっているからあんなに短かったんだと思い、自分の方針をついて、背筋を正して聞く。

 

「2択ずつ言っていくから、いい方選んで。」

 

「は、はあ」

 

独特な決め方だなぁ。と思いながらも頷く。

 

「じゃあ、早めデビューか、遅めデビューか。」

 

これは…流石に、

 

「早めで。」

 

「そうかそうか。じゃあ、君大逃げ以外も出来そうだけど、他もやる?」

 

「大逃げだけで!」

 

これは譲れない!なんか先頭の景色が好きなんだもん!

でも、出来ないわけじゃないんだよね。正直差しとかは2番目に得意だし。

 

「うん。じゃあ、メイクデビューの次ね!ジュニア級の最後にホープフルに出ようと思うんだけど、その間何戦する?1戦か2戦か。」

 

「これは…1戦で。」

 

これには理由がある。それはスタミナだ。今の私は2000メートル走れるけど、ホープフルステークスはGI。私以上にスタミナがあって、押し切る子がいるかもしれない。だから、少しでもレース前の調整の時間を減らして、スタミナトレーニングに費やしたいのだ。

 

「そうか…じゃあ決めた。ゴアの方針は…」

 

ゴクリ。緊張のひととき。私の初方針はどうなるのか。

 

「一番早いメイクデビューから京成杯、そしてホープフルに行く。

んで、トレーニングの方針はスズカと同じものをする。どうせお前ら走ることに関してはジャンキーだからな。追い込んでも精神大丈夫すぎて管理を怠らなければ相当なことがない限り故障はない。」

 

褒められてるのか、呆れられてるのか、ため息をつくトレーナーさん。

 

「後スズカは知ってると思うが、練習後、俺が触診で怪我とか、疲れとかがないか確かめる。ゴアもいいか?」

 

ああ。怪我をさせないための管理ってこれのこと?

 

「いいですよ?」

 

「お前スズカと反応同じじゃん…もっと年頃なんだから少しは悩んでもいいんじゃないの?」

 

「反抗してもらいたかったんですか?」

 

「あーー!その反応もスズカと一緒!お前ら親子かよ!」

 

トレーナーさんの叫びがトレーナー室に響きました。

 

「後お前ら朝練禁止な。明日から通常を追い込むから。」

 

私たちは絶望の顔をしていたと思う。

 

 

 

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翌日。早速トレーニングが始まった。

 

ちなみにメニューは、走り込みと、適性のある距離のコースをひたすら走りまくるもの、坂路の3種だった。

 

一番きついのは適性のあるコースをひたすらは走るやつ。本当のレースみたいに、スパートや、ゲートを使うからかなり疲れる。でも、レースを想定しているので、レース感覚はかなり育つ。しかも簡単に並走へ繋げられる。なので、きついとは言いつつも、スズカさんも私も、結局走るなら好きなので、特につらいと感じることはなかった。

 

追い込んだトレーニングをしても、トレーナーさんが割としっかりマッサージや触診て調べてくれているので、怪我の心配があまりないことものびのび走れていいところ。

 

本当にこのチームに入ってよかったなと、常々思う。

 

 

 

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しばらくトレーニングも続き、みんなにトレーナーがついて、私はメイクデビューの日を迎えていた。

 

「ふんふーん♪」

 

私が鼻歌を歌いながら着替えていると、不意に扉が開き、スズカさんが控え室に入ってきた。

 

スズカさんの手には、いつもスズカさんがつけているものと同じカチューシャとピンが握られており、スズカさんは

 

「いつも、髪が邪魔そうだったから。これはメイクデビューのお祝い。」

 

と、私の髪にいつもつけているのと同じようにカチューシャとピンを丁寧につけてくれた。

 

私はスズカさんがいつもつけていたものと同じものが今私の髪に付いているという興奮と、期待されているという嬉しさが心の中を支配した。

 

「ありがとうございます。」

 

とだけ私が返すと、

 

「頑張ってね。」

 

と、一言だけれども、心に響く激励の言葉をくださった。

 

「6番。クワイエットゴア。」

 

「彼女の選抜レースはまるでサイレンススズカを彷彿とさせる鮮やかな逃げ切りでした。このメイクデビューでも、あの逃げは炸裂するのでしょうか。」

 

私は、髪につけられたカチューシャをなぞり、心を落ち着かせた。

 

ゲートに入る時も、特に誰も嫌がることはなかった。

それは、気性難が少ないわけではなく、『何か』に呑まれているようで、体がガチガチになってしまったが故に、素直に入らざるを得なかったという感じだ。

 

全員がゲートに入る。耳をすませ、視線を集中させる。サラサラと流れる風の音が耳に入る。ガタッという音と共にゲートが開く。

 

私はほんの少し開いたのが見えた瞬間飛び出した。

 

私をマークしようとした子もいるかもしれないけれど、残念ながら、そう簡単にさせるわけないじゃん。

 

「おおっと、6番!クワイエットゴアが先頭!他を圧倒するスタートを決め、早くもハナに立った!」

 

他の子は追いつけないみたい。そうでしょう。そんな簡単に追いつけるようになんか走るわけないしね。

 

流れる風が、轟音となって耳に届く。しかし、それはやがて無音となる。

体に当たる空気も、肺に取り込む酸素も、踏み締める芝も、全てが私だけのもの。

一歩踏み出すと共に乗って行くスピード。

楽しい!

そう思わずにはいられない。

 

「6番!大逃げか?完全に独走!後ろに15バ身くらいつけて、大きく逃げています!掛かっているのか?それとも、逃げ切れる自信があるのか?」

 

「ジュニア級には長い2000メートルですからねぇ。体力が持てば良いのですが。」

 

さあ。コーナーだ。息を入れよう。

後ろの子たち?今来ないと、捉えられないよ?

 

「少し6番がペースダウン!選抜レースと同じスパートのための息入れでしょうか!それとも、体力切れでしょうか!」

 

出来るだけロスがないよう、内ラチ側を走る。ドドドドという、後続の足音が近づいてくる。ああ。もっと急がなきゃ。

あーあ。もうコーナーの出口だよ?

捉えられなかったね?

 

「おおっと6番クワイエットゴア!コーナー出口でスパート!大逃げ差し!

サイレンススズカの再来!後を継ぐのはチームの後輩、クワイエットゴア!」

 

大逃げ差し。スズカさんも得意とする戦法。でも別に二人とも特別なことをしているわけではない。

ただ走りたいように走っているだけだ。

 

そうして、最終コーナーに足を踏み入れた瞬間、視界に広がる、太陽のもと続く原っぱ。そこを走って行く三人。よく見ると、そのうち一人はお母さん。そしてもう一人はスズカさん、そして、もう一人は、マンハッタンカフェさんによく似ているけれども違う、なんとなく懐かしさを感じるウマ娘だ。

 

さあ、こっちに来いと手を振る三人に、

 

「今そっちに!」

 

と、次の足を踏み出す。

 

さあ、前へ。あの景色を見に!

 

前へ前へ!もうすぐで追いつく!もう少しで見ることができる!

 

と、思った瞬間、

 

「ゴールイン!!1着は6番クワイエットゴア!圧倒的な強さを見せました!あの加速し続ける最終直線!影すら踏ませないその速さ!まさに、『異次元の逃亡者2世』と言ったところ!」

 

「上がりタイムは一位!タイムもレコード!圧倒的な勝利です!このままクラシックに行っても通用するほどの強さ!」

 

ああ。後少しで見れたのに。

 

と、私のメイクデビューは、こうして、大差16馬身という圧倒的な記録で幕を閉じた。

 

控え室に戻って、トレーナーさんとスズカさんから、おめでとうと言われた時は、ついつい二人に抱きついて喜んでしまいました。

 

これで私もトゥインクルシリーズに本格参入できるようになったというわけです。どれだけ大差だろうと、余裕があろうと、嬉しいことには変わりありません!

 

その後、ライブもとても楽しくできた。

強いて言うなら、衣装がね…

ヘソだしは恥ずかしいし、胸が強調される服だからAAAが目立つ。解せない。

 

でも、私の名前を呼びながら大興奮する観客たちを見ると、不思議と、充実した気持ちになった。

 

 

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