夢のサイレンススズカ産駒 ウマ娘世界でターフを駆ける。   作:うどんそば

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東スポ杯、キングヘイローとのレース

東スポ杯当日、私は控室で、いつものようにカチューシャとピンをつけて、これから始まるレースへの期待に胸を躍らせていた。

 

「今日やはり警戒すべきはキングヘイローだ。あの末脚には注意しないといけないが…正直大逃げするわけだから気を取られるな。近づいいてきても見て見ぬ振りした方がいい。」

 

と、トレーナーさん。

 

もうそろそろです。と係員さんが呼びにきて、私が行ってきます。と言うと、

 

「「いってらっしゃい」」

 

と、スズカさんとトレーナーさん。

実はトレーナーさんが入ってきていたのは初めてだったから少し嬉しかった。

…まあトレーナーさんが入ってこれなかったのはいつも私がたらたら着替えてたからなんだけどね。

 

地下バ道で、キングちゃんにあった。

堂々とした様子で、

 

「今日は負けないわ!」

 

 

 

と一言。

 

「こっちこそ。」

 

と、私は返す。淡白だと思われるかもしれないが、私たちの仲では、これだけで充分だった。

キングちゃんの溢れる闘志を見れば、これ以上の言葉は不要だろうとわかると思う。

 

パドックで調子が良さそうというか、私に迫れそうだなと思ったのは残念ながらキングちゃんだけだった。

 

ゲートの前でもそれは同じで、すでにこの前のように、"呑まれてる"子が大多数だった。

 

「貴方、すごい闘志よ?気づいてないの?」

 

…ははっ!みんな緊張で呑まれてるんじゃなくって、私に呑まれてるんだ!

 

不思議な感覚。キングちゃんに言われて初めて気づいた。

 

「でも、キングちゃんもすごいオーラだよ?」

 

キングちゃんは驚いたような表情になった。

 

なんだ、キングちゃんも気づいてないんじゃん。

 

ゲートに入っていく。わたしは大外枠12番。

 

キングちゃんは外目の8番。

 

と、ここで、他の子よりもちょっと落ち着いた子が目に入った。

キングちゃんの隣7番の、マイラブちゃん。一番当てられやすいところなのに、落ち着いてる。なんなら自分で闘志を出してる。

 

へぇ。面白くなってきたなぁ。

もしかしたら油断したらキングちゃんやあのマイラブちゃんに捉えられちゃうかも。そう思うと、胸がドキドキと高鳴り、自分が楽しんでいることを否が応でも認識する。

 

さあ集中して。もういつ開いてもおかしくない。

 

開く音。目の前のゲートに隙間ができた瞬間、私は飛び出した。

 

「おおっと!12番クワイエットゴア!またまた大逃げ!前走のメイクデビューでは鮮やかな逃げ切り。選抜レースでも逃げ切りということで、チームの先輩の二つ名、異次元の逃亡者から、『異次元の逃亡者2世』と呼ばれています。」

 

もう後ろは気にしない。気にしたって仕方ないから。

 

走る、走る。やはり気持ちがいい芝を踏み締める感覚。

 

風を切って進む。後ろには誰もいない。前にも誰もいない。少なくとも私の中では。さあいけ!

加速する。

 

「先頭のクワイエットゴア!なんとここで加速!体力は持つのでしょうか!」

 

カーブに差し掛かる。もっといける。自然に体がどんどんスピードを上げていく。

 

「カーブに差し掛かっても、依然先頭のまま!後続からは20バ身近く離れており、後続はもはやクワイエットゴアをいないものとして馬群を形成しています!」

 

本当に垂れると思ってるの?

楽しいなぁ。楽しいなぁ。こんなに楽しいことはそう多くない。

 

早く来なきゃ追いつけないよ?

最終コーナーかぁ。今回は息を入れなくてもいけるな!

 

 

「最終コーナー!依然先頭はクワイエットゴア!しかし後ろの馬群から猛烈な勢いで追い上げてくるのはキングヘイロー!、そして、マイラブ!この二頭はこの先頭の12番に追いつくことはできるのでしょうか!」

 

さあ最終直線。振り切る。一度本気で走ってみようかな?

さぁ、一歩踏み出す。すると現れる太陽の元に続く道、そして原っぱ。

それを走る母とスズカさんともう一人のウマ娘。こっちに来いと手を振る。

私は今度こそ追いつく。そして覗き込んだ先には美しくたなびく原っぱ。どこまでも、どこまでも続く緑の原っぱ。中心には…固めで、スピードが出やすそうな土。おそらく泥。

 

「ははっ!そういうこと?どこまでも、走っていいの?」

 

私は足を出した…その道を踏み締める。きっとあの三人が舗装してくれたのだろう。固まっていて、とっても走りやすい。あの三人が舗装してくれたのなら、何もしなくていい私はそれ以上の速さでその道を走り切ろう。

 

私は足を爆発させた。

 

「すごい末脚だ!12番クワイエットゴア!伸びる伸びる!後方を突き放す!

圧勝!15バ身以上はもう離れている!追いつけない!」

 

さあ、来れるもんならきてみな!

 

「ゴールイン!大差勝ち!とんでもない強さです!まさに『異次元の逃亡者2世』!」

 

「はぁ…楽しかった!」

 

「おい!やったな!ゴア!強い勝ち方だったぞ!本当にすごい!12バ身なんて、夢みたいだな!金鯱賞を思い出したよ!」

 

「ゴアちゃん。おめでとう!」

 

トレーナーさんとスズカさんからのお祝い。あったかいなぁ。

と、チームの温もりも感じていると、

 

「全く…あの走りは見るものみんなに絶望を与える、さながら魔王ね。でも、次は負けるつもりないわ!」

 

「私も、次は絶対勝つんだから」

 

キングちゃんと、マイラブちゃんからも次は勝つという宣戦布告。

 

「絶対に負けないよ!」

 

私はそう宣言する。

 

 

 

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ある日…というか東スポ杯の翌日。

 

「お買い物にいこー!」

 

久しぶりのお休みの日に、ブーケちゃんに誘われました。

 

「何か買いたいものあるの?」

 

「ないよ?でも、ただゴアちゃんと行きたいなって!」

 

そんなこと言われたら断れないよ〜!

 

「じゃあ着替えるからちょっと待っててね!」

 

「はーい。」

 

ブーケちゃんはベットに寝転び、スマホで、デートスポットを調べていた。

 

…デートスポット?

 

 

 

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私と、ブーケちゃんは、この前とは違うショッピングモールへやっていていた。

 

「わぁーーっ!」

 

やはりブーケちゃんはみたことのない商品に目を輝かせていました。

しかし、すぐに気を取り直し、

 

「今日は私がエスコートするね!」

 

と言って、ドヤ顔で手を差し述べた。

私はその可愛らしいドヤ顔の頬をもちもちと触って、

 

「ありがとう。」

 

と、言った。

 

その日は、とっても楽しい日になった。

 

まず、ショッピング。一応、レースを勝ったわけで、ある程度のお小遣いを持っている。

 

なので、いろいろなお店を見て回った。

 

「あっ!このお財布!かわいいね!」

 

黒革の財布と、栗色の財布。

 

これ、私たちみたいだね!なんて言うブーケちゃんを見て、かわいいぁ。と思った。

 

次に、眼鏡。私は目が悪いものの、特に眼鏡などは付けていない。それに気づいてか、連れてきてくれた。

 

「ねえねえ?これ似合う?」

 

まん丸の可愛い眼鏡をかけている。

 

「可愛いよ?」

 

と言うと、はみかみながら、ありがとう!と明るい顔で言って、

ゴアちゃんにはこれー!と、オレンジの縁の、四角い眼鏡を持ってきてくれた。

わ、私にはちょっと派手じゃない???

 

次。本当に一番素敵だなって思ったところ。

それは、一生懸命にブーアちゃんが調べてくれたのだろう、ウマ娘用のご飯が食べられるお店で、いつもは予約いっぱいなので、、頑張って予約を取ってくれたのだろう。

本人は言わないが、私がこの前行きたいなって言っていたのを聞いて、きっとつれてきてくれた。そんなところだろう。

 

もう少しで退出しようと言う時に、少し恥ずかしそうに、

 

「いつもありがとう。感謝してるんだよ?」

 

と、言われたので、

 

「私も、感謝してるんだよ?」

 

と、言うと、なんだか私も気恥ずかしくなって、二人して赤面して顔を見れなくなった。

 

それでも、なんだかこう言う休日も悪くないなぁと、しみじみ思った。

 

寮に帰り、おやすみ!とはにかむブーアちゃんを見て、間違いなく、今までで最高の1日だったなって言うことは確かだと思う。

 

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