夢のサイレンススズカ産駒 ウマ娘世界でターフを駆ける。   作:うどんそば

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6時投稿なのは、我が盟友、んばんばさんの投稿時間と合わせてみただけです。

※6時投稿の予定が、予約投稿の時間が間違っていたため、12時投稿となってしまいました。本当に申し訳ございませんでした。


ホープフルステークスと圧の実証

あれからしばらく経って、私はスズカさんとの併走の時、とにかく圧をかける練習をした。

思ったよりすぐ馴染んで、今はもう何もしなくても自然と使えるようになった。

弊害は、スズカさん以外と並走しようとすると、ヒッ!?と、逃げられてしまうことだ。

 

…でも、周りの子たちに見られるのもちょっとね…秘密兵器みたいなものだしなぁ。

だから、別に悲しくなんて、ないんだからね!!!

 

おっと。こんなことしてる暇ない。なんてったって明日は私は初めてのGI、ホープフルステークスだから!

 

ちょっとテンションがおかしいけど仕方ないよね!!!

 

さて、本格的に明日の考察をしてみよう。明日、正直、私に勝てるかもしれないのは、キングちゃんと、シニョーレアックスちゃんくらいだ。

 

シニョーレアックスちゃんは特に、これまで無敗で、とっても調子がいい上に、ジュニア級で活躍する選手を育てるのが上手いトレーナーに担当されている。

警戒するに越したことはない。

 

キングちゃんはこの前の負けで私を研究し尽くして、トレーニングもしっかりしてくるだろう。あの末脚がさらに強化されているとしたら、もしかしたら追いつかれることもあるかもしれない。

 

でも、私は大逃げ。とにかく走るしかこの二人の対処法はない。私は、特に最終直線を意識してダッシュを再開した。

 

 

 

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練習が終わり、トレーナー室へ戻ると、段ボールが机に置かれていた。

 

「おお、来たか。」

 

「これなんですか?」

 

私はトレーナーさんに呼びかける。

 

「ん?勝負服に決まってるだろ?志望書書かせたじゃん!」

 

そうだっけ?忘れてた。

…まあいいや。そんなやばいのにはしてないでしょ。

 

そう言って、段ボールを開けると、上手に畳まれた勝負服が顔を出した。

 

私はそれを持って、トレーナー室の端にある仕切りに入り、着替えました。

 

結構きやすくって、なるほど、なんだかみんなが勝負服を着る理由がわかっちゃったな。

 

「どう?」

 

私は仕切りを動かし、トレーナーに格好を見せる。

 

白いシャツに赤襷、その上に袖は灰の黒い上着。袖の先には黄色いラインが2本入っている。

 

スカートは、黒。そして履き慣れたタイツ。靴。

 

「おーおー、いいなぁ。かわいいぞ!」

 

「えへへ!そうでしょ!」

 

私は満足そうに頷く。かわいいでしょ?

 

この勝負服を着て、明日は初GI制覇に向けて頑張るぞ!

 

 

 

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ついにGIホープフルステークスの日。

 

私は例の如く、いつものように控室で着替えて、お気に入りのカチューシャとヘアピンをつけました。

 

「どうですか?スズカさん!」

 

「とっても似合ってるわ。」

 

ふふっ!スズカさんに似合ってるって言われちゃった!嬉しいー!

 

すると、ガチャリとドアが開く音がした。

 

「ああ。もう準備できてるな。そろそろ行くぞ。いいか。とにかく自分のペースで。そして、圧をかけろ。」

 

私はこの注文に、

 

「うん。もちろん。勝ってくるよ!」

 

と返すとトレーナーさんは、そうか。と満足そうな顔をした。

 

地下バ道。周りを見渡すと、私を待っていたのだろう緑の影。

 

「今日は負けないわ。」

 

闘志みなぎるその様子を見て、相手にとって不足なしだと思った私は、パドックで見たシニョーレアックスちゃんの姿を見た。あちらも気合万全みたいだ。

 

その瞬間、その地下バ道にいた人々は一様にこう言った。

まるで、魔王のような威圧感だった。と。

 

「…!な…に…この威圧感…!」

 

周囲を見れば、ヒトは皆蹲って、ウマ娘のみんなもかなり強い圧に怯んでしまっているみたいだ。

 

「私、今日負けないからね。」

 

私は周囲に発していた圧を全てキングちゃんに注いだ。

 

「ゔっ!の……望む!ところよ!」

 

そうして私は返しウマへ向かった。

その返しウマは、皆一様にうまく出れていなかった。かかっていたり、動きがあまりに鈍かったり、そう。何かに呑まれていたようだった。

 

たった一人を除いて。

 

「さあゲートインです。今回はクワイエットゴアが大本命ですね。大逃げでの走りを見る限り、2000メートルも簡単に届かせてしまう怖さがこの子にはありますよ。そして、この子以外、落ち着いてませんね。」

 

その日、レース場の屋外にいた者はその圧に自身さえ呑み込まれそうだった。

圧を受けているのはあのレース場内のウマ娘だけなのでは?そう思ったが、誰しもが、クワイエットゴアに強い恐怖心を抱いた。

本人はすごくニコニコ笑っているが、誰しもが、この子から発せられた圧であることを本能的に理解した。

その、通常生きていて受けることのない強い圧に呑み込まれてしまった観客たちは声も上げることができず、皆嗚咽を漏らしたり、強い衝撃に蹲るばかりだ。ただ、シンボリルドルフや、シンザン、トウショウボーイなどを見ていたファンはこう思った。ああ。懐かしいな。と。

 

しかし、残念ながらこの場には、本気のそのウマたちと戦ったことがある者も、その圧を直接受けたことのある者もいなかった。それゆえ、ターフは地獄と化していた。

 

明らかに体調が優れなさそうな子、今にも潰れてしまいそうな子。

 

みんな、どうしたの?

 

「ゲートに収まって体制完了しました。」

 

「今、スタートしました!!」

 

私は目の前のゲートが少し開いた瞬間飛び出した。

 

「おおっと!?バラバラのスタートになった!しかし、クワイエットゴア!飛び出している!しっかりとハナをとっている!」

 

後ろからドドドドだという音が聞こえる。

なんで?体力持つの?

 

「おおっと!!?かかったのか?早速競りかけています!」

 

「追いつけるわけないじゃん。」

 

そう呟き、横を見ると、かなり苦しそうな姿が。少し意地悪な気持ちが出てきて、思いっきり圧をかけた。その瞬間、その子は垂れていった。

それに巻き込まれるように、急いで私に競りかけてきた子たちはみんな下がっていった。

 

「あーあ。つまんない。」

 

「おおっと!!!大きく差をつけて、20バ身以上くらい差をつけて逃げています。」

 

「後続集団は厳しそうだ!垂れてきた先行集団に呑まれ、続々と後ろへ後退していきます!」

 

 

もうドドドドという音は消え、私の大好きな景色、私の蹄鉄の音、風を切る感じ、体に当たる冷たい空気。

さあ、最終コーナー。追いつけるかな?

 

「さぁ最終コーナー!例のように少しだけペースを下げ、息を入れるクワイエットゴア!後続とは、もう40バ身位ついている!後続は完全に垂れてしまっている!しかし!その中から!キングヘイロー!シニョーレアックス!この2頭がきました!」

 

やっぱりきたね!さあ!これるものならきてみな!

 

「最後の直線!!やはり先頭はクワイエットゴア!二番手シニョーレアックスまで30馬身位離れている!!」

 

さあ、あの景色を。

もう一歩足を踏み出すと、太陽の下続く原っぱが私は慣れたようにそれを駆け抜け、3人が待つ道の先へ駆け出した。

 

「ここで!さらに伸びる!クワイエットゴア!完全にちぎった!圧勝!GI圧倒的大差勝ち!勝ち方はまるで魔王のよう!異次元の魔王!レースを完勝しました!!」

 

気がつくと私はもうゴール板を駆け抜けていた。しかし、まだゴールしていないキングちゃんたち。結局誰もきてくれなかったな。

…まあいいことなんだけどさ!

 

 

 

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「…負けたわ。完敗よ。」

 

地下バ道。キングちゃんは私にそう言いました。

 

「まあキングちゃんも2着だったんだし…ね?」

 

「いや、20馬身差じゃない…本当に疲れたわ…」

 

「ははっ!こうなるとは思わなかったんだもん。」

 

私が掛からせてズルズル後退していった先頭集団はそのまま後方を巻き込んで一団になった。

なんとか抜け出せたキングちゃんとシニョーレアックスちゃんだけが最後抜け出していたというわけだ。実際、シニョーレアックスちゃんから4着までには大差がついていたのだから。

 

「ははは!多分歴史には残ったんじゃないかなぁ。」

 

「そりゃあそうよ!あんな戦い方、初めてだわ!」

 

少しおどけた様子だったのをまじめに戻し、

 

「次はクラシック戦線で。」

 

と、手を差し出せば、

 

「もちろん!」

 

と、手を握り返された。

 

その後のライブでは、なんと私とキングちゃん以外は極度の疲労で全員出られなくなってしまったので、二人で突発ウマドルライブ☆をしたら、大好評になったとさ。

 

それはそれとして、トレーナーさんからもお祝いされたはずなのに、ファンのみんなに言われたおめでとうの方が響くのはなんでだろう?と、思った。




この世界線のホープフルステークス(ラジオたんぱ杯三歳ステークス)は、ゴアちゃんの、圧が原因で大荒れとなりました。具体的には、
一着 
二着 大差
三着 3
四着 大差
五着 ハナ

みたいな感じです。原因は、主人公によって垂れさせられた先行集団が、差しなどの集団を巻き込んで一塊になってしまったことで、差しが抜け出せなくなって、どんどん垂れたからですね。さらに三歳なので、経験が浅く、うまく垂れてきた馬の対応ができない後方脚質の子たちの中でも、実力上位の、キングと、シニョーレアックスだけがギリギリ抜けてきたわけですが、既に30バ身くらいついてる上、垂れ馬の対応に体力を使ってしまっていたので、間に合わなかったというわけです。
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