ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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#082 『エキシビションマッチ 第五試合』

 12歳 μ月ρ日 『エキシビションマッチ カントーVSジョウト 第五試合』

 

 ハヤトの逆転勝利に観客席から歓声が飛ぶ。

 しかし、これで三勝一敗でジョウトが勝ち越した。カントーとしてはそろそろ勝っておかないと、ジョウトのジムリーダーの方が強いなどという噂が立ちかねない。

 

 次の対戦相手は責任重大だなと思いながらモニターに目を移すと、次の試合はカントーがタケシ、ジョウトがマツバという組み合わせになった。

 

 いわ対ゴーストか。いわはじめんとの複合が多く、ジョウトでもゴーストタイプはどくとの複合であるゴース系が主流だ。マツバもゲンガーは使ってくるだろうし、そうなればじめんタイプの技が有効になってくる。

 おまけに、本気ではなかったとはいえ、タケシは俺のジム戦でマツバの戦い方を見ているのだ。何も情報がないマツバに対して、タケシはかなりアドバンテージを持っていると言っていいだろう。

 

 タケシとマツバが試合前に軽く挨拶をしている。どうも、マツバはタケシがジムリーダーだと知らなかったようで、「お手柔らかに」と不敵な笑みを浮かべていた。

 逆にタケシは緊張しているのか、「は、はい。よ、よろしくお願いします」と、無意味に頭を下げてペコペコしている。あれで本来の実力が出せるか不安だが、まぁ身内のバトルだし頑張ってほしいものだ。

 

 ラティもタケシを応援しており、「がんばるー」と手を振っていた。そこは頑張れが正しいのだが、気持ちが伝われば多少のミスはどうでもいいか。

 

 バトルが始まると、タケシはイワーク、マツバはムウマージを出してきた。ジョウトではムウマージは珍しいようで歓声が凄い。ちっ、今に見てろ、本選では俺のトゲ様が(以下略)。

 

 と、まぁ冗談(九割本気)はさておき、バトルの状況だが、予想外にタケシが先制攻撃を仕掛けていた。『うちおとす』で逃げ場を奪うようにムウマージを追い込んでいる。

 ムウマージはタイプがゴースト単体なので、いわもじめんも等倍だが、特性が『ふゆう』なのでじめん技が効かないし、いわ技で攻めるのはセオリーと言ってもいい。

 おまけに、『うちおとす』は威力こそ50と低いが、命中すると特性『ふゆう』やひこうタイプのポケモンにじめんタイプの技が当たるようになるという追加効果もあった。別にムウマージはじめんが弱点ではないが、いわタイプの技は命中率に難があるものが多いし、使い勝手という意味ではじめん技の方が上だと考えたのだろう。

 

 だが、マツバもされるがままではなかった。

 

 攻撃が当たる直前に、『ゴーストダイブ』を指示し、姿を消す。この技は、『そらをとぶ』や『あなをほる』なんかと同じで、一ターン目に姿を消して二ターン目に攻撃を仕掛ける技なのだが、消えている間は殆どの攻撃を無効にする。

 当然、『うちおとす』は目標を失って不発になり、イワークの後ろからムウマージが攻撃を仕掛けてきた。

 ムウマージは物理の種族値が高い方ではないし、逆にイワークは物理に強いのでたいしたダメージにはなっていないが、一撃を与えたことで『がんじょう』が消えたというのが大きい。

 

 続けて、マツバが『エナジーボール』を指示してくる。いわ・じめんタイプのイワークはみずの他にくさも四倍弱点だ。特性の『がんじょう』も消えたし、このままではワンチャン即死も有り得た。

 とはいえ、そこは流石に対策しているようで、再び『うちおとす』で『エナジーボール』を打ち落とし、軌道を変えることで攻撃を凌いでいる。

 

「ただ技をぶつけるのではなく、軌道をそらすことにのみ注視することで、威力の弱い技でも高威力の技を防げるのか。やるな、タケシ君」

 

 と、ドヤ顔で口にしたのはまさかのワタルだ。

 まるで、ずっとここにいましたよとばかりの態度だが、ジョウトチャンピオンが急に現れて混乱しないはずはなく、俺の周囲は突然のワタル登場に騒然とし出した。

 対する本人は、そんな反応などどこ吹く風だが、予想していた中でも最悪の事態になったな。順調に増えてるから、いつかはこうなるんじゃないかとは思ったんだ。

 

 流石のシゲルもこれには苦笑いで、ハヅキはチャンピオンであるワタルが突然現れたことで言葉を失っている。

 いつも通りなのはブルーとイエローで、「あら、ワタルさんも来たのね」、「お久しぶりです。ワタルさん」と呑気に挨拶を交わしていた。

 

「久しぶりだなイエロー。それと、ブルー、キクコが探していたぞ。四天王がこんな席にいたら騒ぎになるし、戻った方がいい」

「それをワタルさんが言いに来るとは思いませんでした。チャンピオンがこんな所にいたら騒ぎになるでしょうに」

 

 皮肉を返すブルーだが、ここを動く気はなさそうだ。だが、ワタルもそれはわかっていたのか、フッと笑みを浮かべると、今度はこちらに声をかけてきた。

 

「サトシ君、シゲル君。どうだい、俺達の特別席で一緒に試合を見ないか? 勿論、お友達も一緒で構わない」

 

 特別席は観客席と違ってVIP待遇みたいだし、俺としてはこんな騒然とした中で試合を見るよりマシな提案だったので当然受け入れる。

 状況が良くわかっていないラティが首を傾げていたが、「あっちに行くぞ」と指をさすと、「あっち!」と言いながら反対方向へ行こうとした。迷子になられても困るので、手を繋ぐことにする。

 

 やれやれ、こういうのはカスミさんの仕事なんだけどな。いない以上は仕方ない。

 

 見れば、シゲルも否はなかったようで、さっさと移動していた。ハヅキがどうしようか困っているようなので、とりあえず一緒に連れていくことにする。

 こうなると、ブルーもここにいる意味はなくなってしまった。してやられたというような顔をしているが、まぁそれならそれでいいと言った様子で、イエローを連れて特別席に戻って行く。

 

 勿論、その間も、タケシとマツバのバトルは続いていた。見ると、マツバのフィールドに『ステルスロック』が展開され、ムウマージがゲンガーに交代してダメージを受けている。

 マツバが交換するような状況じゃなかったし、『ほえる』系の強制交代技で無理矢理交換したとみるべきか。

 

 こりゃ面白くなってきたと思いながら、特別席に入ると、両地方の四天王の視線がこちらに向けられる。

 とはいえ、それで物怖じするほどニューサトシは可愛い性格をしていない。ジョウト側に知り合いはキョウくらいしかいないということもあって、自然と足はカントー側に向かった。

 

 シバ、カンナ、キクコ、そしてレッド。

 シバとカンナは「久しぶりだな(ね)」と声をかけてきたので「お久しぶりです」と挨拶を返す。キクコは噂で聞いていたらしい俺をまじまじと見ながら、「これが噂の坊やか……成程ね」と呟いている。レッドはジッとこちらを見た後、すぐにブルーに話しかけていた。この距離で声が聞こえないんだが?

 

 まぁ、今は別にレッドに用はないし、試合に視線を戻す。どうやら、タケシは『ドラゴンテール』で相手のポケモンを交代させているようで、ゲンガーが再びムウマージに戻されていた。

 

 騒ぎのせいで、ゲンガーがどんな攻撃を仕掛けたかわからないのでシバにバトルの状況を聞くと、どうやらゲンガーからは『かげぶんしん』からの『さいみんじゅつ』で眠らされそうになったが、タケシは最後の技の『まもる』でそれを防いだらしい。

 そのまま、マツバも反撃を指示しようとしたようだが、その前に『ドラゴンテール』で再びムウマージに強制交代させられたのだという。どうも、タケシはかなり慎重に試合を運んでいる。

 

 ダメージというダメージを避けた上で、交代によるステロダメで与ダメを稼ぐのは悪くないが、二対二で一体が戦闘不能になったら負けというルールだと少し使い勝手が悪く見えた。

 タケシも技術でカバーしているようだが、ゲンガーやムウマージもダメージ的にはまだまだ戦えるといった様子だ。軽く2/3は体力が残っているだろう。

 

 明らかに普段の戦い方と違うな。

 

 いつものタケシは、俺と二度目のジムバトルをした時のように、もっと技を駆使して相手を圧倒するバトルをする。今のタケシは、なんかこう背伸びをして戦っているように見えるのだ。

 

 緊張か、はたまたプレッシャーか。どちらにしろ、やってしまった以上は、この戦術を貫き通すしかない。

 その上で、全ての技を使い切ったタケシがこれからどうするのか――と思っていると、マツバが先に動いてきた。『のろい』を指示して、体力を半分失う代わりにイワークへ毎ターン最大㏋の1/4が減る呪いをかけている。

 すぐにイワークを戻そうとするタケシだが、マツバはお得意の『くろいまなざし』でイワークの交換を防いでいく。タケシが相手に交換を強制するなら、マツバは交換を封じてきたか。

 

 しかし、『くろいまなざし』は使ったポケモンがフィールドにいなくなれば効果を失う。タケシは再び『ドラゴンテール』で強制交代を狙っていくが、当然マツバはそれを読んで『ゴーストダイブ』でムウマージの姿を消した。

 どうやら、攻撃に移らず隠れるつもりのようで、いつまで待ってもムウマージは姿を現さない。

 

 時間をかければかけるだけ、イワークの体は呪いに蝕まれていく。姿を消したムウマージを探すタケシだが、なかなかその姿を見つけられずにいた。

 いくらゴーストタイプとはいえ、永遠に姿を消すことなど不可能だ。必ずどこかに隠れているはず――そう思って見ていると、イワークの影が僅かに揺らいでいる。成程、灯台下暗しという訳だ。

 

 タケシは気づくか?

 

 焦った顔からはまだ気づいた様子はない。しかし、呪いの進行は進んでいる。既に体力は半分持って行かれているはずだ。

 フィールドのどこかに隠れているというのは推測できているようで、『うちおとす』を四方八方に使って、ムウマージを炙り出そうとしているが足元にいる以上当たらない。

 その間に体力の2/3は奪われ、もう直体力がなくなる。ここまでかとも思ったが、焦ったタケシはイワークに「自分に『ドラゴンテール』だ!」というある意味自爆のような指示を出した。

 

 だが、これは意外にも正解かもしれない。『くろいまなざし』はトレーナーの意思でポケモンを交換するのを防ぐ技だが、『ドラゴンテール』は強制交換技だ。自分自身の技の効果によってボールに戻れば、交換封じを突破することが出来る。

 

 ギリギリの所でタケシがイワークをボールに戻し、ゴローニャがフィールドに飛び出てきた。

 マツバも、まさかこんな方法で突破されるとは思わなかったようで、「素直にとどめを刺すべきだったね」と苦笑いしながら、ムウマージをボールに戻している。

 

 ムウマージも『のろい』を使った影響で体力をかなり減らしているし、突っ張るのは厳しいと判断したのだろう。再びゲンガーがフィールドに出て、ステロのダメージを受けているが、まだムウマージよりは体力が上だ。

 

 タケシは迷わずに『じしん』を指示する。俺のゲンガーみたいな特例でもない限り、大体のゲンガーの特性は『のろわれボディ』だ。どくタイプを複合しているゲンガーはじめん技が弱点だし、選択としては当然と言って良かった。

 

 しかし、マツバとてゲンガーがじめん技に弱いのは百も承知のようで、『ふいうち』で先制攻撃を仕掛け、その攻撃の勢いでゲンガーを宙へと逃がしている。ヤナギ戦で俺がウソッキーにやらせた回避と同じ方法だ。

 じめん技はある程度の衝撃は飛んでいても当たるが、流石に上過ぎると当たらない。おまけに、『ふいうち』のせいでまた『がんじょう』が消えたし、一石二鳥の回避方法だ。

 

 ならばと、次にタケシは『ストーンエッジ』を指示している。効果抜群ではないが、タイプ一致技で大ダメージを狙おうという判断だな。

 だが、マツバは『かげぶんしん』で的を増やして攻撃を回避する。元々命中率の高くないエッジをさらに避け易くしようという判断のようだ。

 しかし、それはタケシも想定済みのようで、わざと拡散された『ストーンエッジ』が『かげぶんしん』を消していく。俺とジム戦をした時に使った命中率を逆に利用した分身殺しだ。

 

 本体を絞り切ったタケシが、『いわなだれ』でゲンガーの動きを封じる。これは流石によけきれないようで、ゲンガーもダメージを受けていた。

 そのままとどめとばかりに、『じわれ』を指示する。当たれば一撃必殺の大技だ。『いわなだれ』で怯んでいる今、ゲンガーに避けるすべはない。

 

 だが、ギリギリでマツバは『スキルスワップ』を指示した。特性を入れ替える技だ。これでゲンガーの特性が『がんじょう』になり、一撃必殺技は特性によって無効化される。実は『がんじょう』は、HPが満タンの時に即死を避けられる効果とは別に、一撃必殺を無効にする効果があるのだ。

 

 まさかそんな方法で必殺の一撃を回避されるとは思わなかったのか、タケシも言葉を失っていた。

 その隙にゲンガーの『さいみんじゅつ』が決まり、ゴローニャがその場に崩れ落ちる。しかし、ゲンガーは既に四つ技を使っているため、マツバはゲンガーをボールに戻してムウマージを再びフィールドに送り出してきた。

 

 再びステロのダメージを受けているが、まだギリギリで体力が残っているようだ。タケシが懸命に声をかけるが、目を覚ますことなくゴローニャは『エナジーボール』で戦闘不能に持って行かれた。

 イワークに交換して、『うちおとす』をしていればまだワンチャンあったか? いや、そもそも交換は無理か。『くろいまなざし』があった。

 

 たらればの話になるが、イワーク交代の際に、『ドラゴンテール』を影に隠れていたムウマージに当てて交換できていれば、ステロのダメージで先に倒せたかもしれないな。

 

 何にせよ、テクニカルなバトルだったが、これでジョウトが四勝一敗で大幅にリードを広げた。

 ジョウト側としては既にセーフティーラインに入っている状態だ。仮にここから全敗しても、引き分けになるし、残る三試合のうち一勝でも取ればそれでジョウトの勝ちである。

 

 カントー側の四天王であるキクコが、「悪くはないんだけど、勝ちきれないね」と苦言を口にしていた。

 シバはカントーとジョウトを同時に受け持っているが故に、あまり言葉を口にしないが、「勝負は時の運でもある」とだけ言っている。

 

 カントー出身の俺としても、このままずるずると負けて欲しくないと思いながらモニターを見ると、次の対戦はカントーがカスミさん、ジョウトがアカネになった。

 

 前に話しかけられたのを覚えていたようで、カンナが「カスミちゃんね」と名前を口にしている。

 そのままブルーが「実力はどうなの?」と聞いてきたので、「みずタイプの使い方は俺と互角」とだけ返しておいた。

 

 それをいい評価に取るか、悪い評価に取るかで、俺がこのメンバーにどう思われているかがわかると思っての発言だが、どうやら思いの外好意的に受け止められたようだ。俺と関わりのないキクコでさえ「期待できそうだね」と笑みを浮かべている。

 

 頼むぞ、カスミさん。ここで負けたら俺の評価も下がるんだ。カントーの意地を見せてやれ!

 

 

 

 




 原作との変化点。

・エキシビションマッチ第五試合が開始された。
 タケシVSマツバ。実はタケシはかなり緊張しており、もう後がない状況やジムリーダーとしての恥ずかしくないバトルを見せなきゃという強迫概念にも駆られてステロ戦術を取った。が、本当は後半のように、強力な技を上手く使って相手を追い詰めていくのが本来のタケシスタイル。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

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 バリヤード Lv.51

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 メガニウム Lv.43

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 デルビル  Lv.43

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.43

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34


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