ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

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#083 『エキシビションマッチ 第六試合』

 12歳 μ月ρ日 『エキシビションマッチ カントーVSジョウト 第六試合』

 

 カントー側は後がなくなり苦しい状況になったが、カスミさんは思いの外余裕そうな表情を浮かべている。

 いや、あれでカスミさんは結構真面目な性格だし、負けられないというプレッシャーはかなりのもののはずだ。むしろ、重圧に飲み込まれないために、余裕を装っているのかもしれないな。

 

 みずタイプ対ノーマルタイプの試合だ。相性的には五分、しかしカスミさんは俺とアカネの本気バトルを見ているし、ミルタンクという切り札は把握しているだろう。

 情報アドを生かして、有利に立ち回って欲しい所だが、あのミルタンクは想像以上に強いからなぁ。

 

 どうなるかと思いながらバトルを見守る。カスミさんの一体目はヌオー、アカネの一体目はプクリンだった。

 あのプクリンが俺と戦った時と同じ個体なら、かなりフットワークの良いポケモンだったはずである。対するカスミさんがヌオーを出したのは、おそらくでんき技を警戒してのことだろう。レベルに多少不安はあるが、そこは立ち回りでカバーするつもりと見た。

 

 ふと見ると、ラティが特別席のガラスにへばりつくように、「カスミ、がんばる」と応援している。何だかんだ一番お世話してくれるのはカスミさんなので、ラティはカスミさんが大好きなのだ。

 

 フィールドに目を戻すと、カスミさんがヌオーに『マッドショット』を指示していた。威力こそ55と低いものの、当たれば確定で相手の素早を一段階下げる技だ。俺のジム戦でプクリンの動きを見ていただけあって、なかなか良い技のチョイスである。

 しかし、こちらの予想を遥かに超えて、プクリンは機敏な動きで『マッドショット』をかわしていく。アカネのプクリンの敏捷性が高いのは遠距離攻撃を凌ぐためだ。近距離戦になれば、特性の『メロメロボディ』で行動を縛れるし、対遠距離戦は死ぬほど練習しているのだろう。

 

 アカネはスタンダードに弱点を攻めるようで、『くさむすび』を指示した。ヌオーには四倍弱点だ。当たれば、最悪一撃で戦闘不能も有り得る。

 

 だが、カスミさんもそこは対策しているようだった。『じならし』を指示して、『くさむすび』ごと地面を踏みつぶしてかわしている。地面を鳴らすから『じならし』なのだが、カスミさんは地面を均す意味で『じならし』を使ったようだ。カツラよりなぞなぞにセンスあるかもしれん。

 

 弱点による攻撃は対策されているとわかったアカネは、次に『トライアタック』を指示してきた。

 タイプ一致で追加効果も期待できる使い勝手の良い技で動きを封じようという狙いだろう。基本的にアカネは堅実な戦い方をするから動きを読みやすいが、その堅実さが強いので弱点にはならない。

 

 対するカスミさんはヌオーを中央の水のフィールドに飛び込ませた。みずタイプの有利を生かそうということだ。陸上ではのんびりなヌオーも水中では素早い。これでは的を絞るのは難しいだろう。

 アカネもこれでは技の無駄撃ちになるとわかったようで、プクリンに攻撃を止めさせている。周囲が静かになったことで、ヌオーが水からひょこっと顔を出した。

 

 一進一退の攻防だ。まだ互いにノーダメージな所を考えても、先に一撃を入れた方がこのバトルの流れを掴める。

 

 アカネもいろいろと考えているようだが、相手に近距離に持ち込ませようとしているのがばれている時点で成功は難しいだろう。ただ、これまでの応酬でそれを理解したようで、『ひかりのかべ』を指示して、プクリンをヌオーに向けて突っ込ませた。

 相手が来ないなら、自分から行けばいいということか。カスミさんも『だくりゅう』を指示してプクリンを近づけないようにしようとしているが、威力が半減していることもあって、プクリンは気にせず距離を詰めていく。

 

 そのままゼロ距離まで来ると、『じゃれつく』を指示して、プクリンをヌオーにじゃれつかせる。威力90のフェアリー物理技、タイプ一致で火力はさらに上がっていた。おまけに、下手に抵抗すれば『メロメロボディ』があるので、ヌオーも思うように抵抗できないでいる。

 カスミさんも仕方ないとばかりに、『あくび』を指示した。ただ、このバトルはジム戦ではないので交代が出来る。俺の時のようにその場で寝かせるのは不可能だ。

 

 しかし、無防備に攻撃される状況はどうにか出来たようで、アカネは素直にプクリンをボールに戻した。カスミさんもまた、ヌオーをボールに戻している。

 

 アカネが次に出したのは、やはりミルタンクだった。カスミさんもそれを見て、スターミーを出していく。

 スターミーは性別がないので『メロメロ』が効かない。アカネの凶悪な技のうちの一つを自然と潰した形となった。

 

 だが、もう一つの必殺技はそのままだ。当然のようにアカネは『まるくなる』からの『ころがる』を指示して攻撃を仕掛けてくる。

 この『ころがる』が脅威なのだ。俺のヤドランですらまともに受けられないくらいに洗練されたパワーは、カスミさんのスターミーでも受けるのは不可能だろう。

 

 どう対処するか見ていると、カスミさんは『リフレクター』を何重にも張るというどこかで見たことあるような技の使い方をしてきた。

 壁にぶつかりながら、段々とミルタンクの動きが鈍り、スターミーにぶつかる直前に完全に制止する。そのまま『ハイドロポンプ』を指示して、ミルタンクを吹っ飛ばした。

 

 まさか、『ひかりのかべ』バリヤードエディションを、『リフレクター』で再現するとはな。

 一瞬で多段展開するので、壁の効果が続かないという弱点は一緒のようだが、初見のアカネは気づけていないようだ。必殺のまるころが、まさかこうもあっさり攻略されるとは思わなかったようでかなり動揺している。

 

 その隙を突いて、カスミさんはさらに攻め立てた。追撃の『ハイドロポンプ』を指示している。ただ、プクリンの『ひかりのかべ』の効果がまだ残っているので、ダメージは半減されていた。

 アカネは『ミルクのみ』を指示して、ミルタンクの体力を回復させていく。体力の半分を回復するという回復技だ。俺の時は別の技を使わせることで何とか防いだが、この回復技を攻略しないとミルタンクはほぼ不死身と言っていいだろう。

 

 しかし、この一連の攻防が終わると同時に、プクリンの『ひかりのかべ』の効果は切れたようで特殊攻撃の威力が元に戻った。

 

 カスミさんもまだまだ勝負はこれからだとばかりに、『こうそくスピン』からの『ハイドロポンプ』を指示している。『こうそくスピン』から別技への連携はカスミさんの十八番だ。

 追加効果で素早を上げつつ高速回転するスターミーから、勢いよく水を叩きつけられ、ミルタンクが苦しそうな声を出している。アカネは即座に『ミルクのみ』を指示した。与えたダメージもすぐに回復し、ミルタンクも元気になっている。

 

 この技が続く限り、ミルタンクは倒れない。

 

 とはいえ、回復技はPPが5しかないのが弱点だ。攻めて攻めて攻めまくれば、いずれはPPも切れて回復できなくなるだろう。

 カスミさんもそう考えているようで苛烈に攻め立てているが、完全に防御態勢に入ったミルタンクを崩せずにいる。どうやらダメージを最小限に抑えてPPを節約しているようだ。

 

 こうなると、不利なのはカスミさんだな。

 

 そもそも『ハイドロポンプ』も威力が高い代わりにパワーを使うので多く撃てない。ゲームでもPPは5しかないのだ。カスミさんのスターミーも、撃てて後一、二発だろう。

 

 残りの技回数を気にしたカスミさんの攻勢が弱まると、今度はアカネが攻撃を仕掛けてきた。『10まんボルト』を指示して、反撃を仕掛けてくる。

 おそらく、先程の『リフレクター』がまだ残っていると勘違いして特殊技を撃ってきたようだ。ミルタンクは特攻があまり高くはないし、スターミーの特攻ならみず技で相殺できる。

 

 だが、カスミさんは回避を選んだ。最後の技は『ミルクのみ』攻略に使いたいようで、何とか攻撃を避けようとしている。

 しかし、自由に攻撃ができるミルタンクは果敢に攻撃を仕掛けていく。いくらスターミーのスピードが上がっているといっても、こうも連続で仕掛けられると避け切れなかったようで、最終的に『10まんボルト』がスターミーに直撃した。

 

 ダメージを受けてスターミーの足が止まる。そこに追撃の『10まんボルト』が指示された。

 カスミさんは動かない。どうしたんだ? いくらミルタンクの特攻が低いとはいえ、回数を重ねられれば厳しいはずだ。だが、カスミさんは黙ってスターミーを見守っていた。

 

 ピンチになったカスミさんを見て、シゲルが「ここまでかな」と呟く。周囲にいた全員も同じ感想だったようだが、ラティだけが振り返って「まけない!」と大きな声を出した。

 

 その声が聞こえたはずはないが、カスミさんはにやりと笑みを浮かべて『いたみわけ』を指示する。

 相手と自分の体力を均等にする技だ。当然、体力がほぼ満タンのミルタンクは体力が半分に減り、ミリだったスターミーは体力が半分回復する。

 

 アカネがしまったという表情を浮かべて、すぐにミルタンクに攻撃を中止するように指示したが、間に合わず追撃のまんボルがスターミーを襲う。同時に、カスミさんが再度『いたみわけ』を指示して、ミルタンクの体力を減らし、スターミーの体力を回復させた。

 

 これでお互いの体力は約1/3だ。アカネは即座に減った体力を回復するために『ミルクのみ』を指示しようとするが、それよりもスターミーが動く方が早かった。

 この機をずっと狙っていたとばかりに、再度必殺の『こうそくスピン』からの『ハイドロポンプ』でミルタンクを戦闘不能にしていく。

 

 おそらく、『ミルクのみ』の回復を見てからこれをずっと狙っていたのだろう。相手の体力をギリギリまで減らしてからの一撃必倒を。

 思えば、あのカスミさんが何の対策もなくでんき技をただでくらうなどあり得なかったのだ。捕まった後も不自然に動かなかったし、そもそも逃げに徹しようと思えば『こうそくスピン』を利用した小技などもあった。わざと捕まった振りをして体力を減らさせたのだ。

 

 これにはここにいる全員が、いや――ラティを除いた全員が騙された。ラティだけが、カスミさんの勝利をずっと信じていたのだ。

 

 審判により、カスミさんの勝利が宣告されると、ラティがぴょんぴょん跳ねて喜んでいる。

 カスミさんもまた観客席に向かってドヤ顔をかまそうとしていたが、居たはずの俺達がいつの間にかいなくなっていて、「どこ行ったのよ! ちゃんと見てたんでしょうね!」と怒っていた。どうやら、タケシ戦で移動したのに気付いていなかったらしい。いや、見てましたよ。

 

 シゲルは真っ先に騙されたことを恥じていたが、これは仕方ない。四天王の面々ですらカスミさんが負けたと思ったし、付き合いの長い俺ですら一瞬ヤバいと思ったのだ。演技派だったカスミさんを褒めよう。

 

 カスミさんが勝ったことで、何とか盛り返しつつあるが依然として四勝二敗でカントーは不利な状況と言える。

 バトルも半数が終わり、残っているのはカントーがナツメとグリーン、ジョウトはミカンちゃんとヤナギの二人だ。

 

 残りが四人ということで、次の組み合わせが決まると必然的に最終試合の組み合わせも決まる。

 どうやらスタッフもその辺りは配慮しているようで、モニターには第七試合と第八試合二つの組み合わせが表示できるようにされていた。

 

 見ると、第七試合がグリーン対ヤナギ。第八試合がナツメとミカンちゃんの組み合わせになっている。

 グリーンとは中途半端なバトルになってしまったが、その実力はジムリーダーとして申し分なかったし、ヤナギの爺も本気を出せばどうなるかわからない。

 

 そういえば、ここにレッドを始め、ブルー、イエローと揃っているが確かこいつらはグリーンと知り合いだったはずだ。

 俺なんかよりグリーンに詳しいだろうし、状況をどう見るか聞いてみようとブルーの方を見ると、いつの間にかレッドが俺の真ん前まで来ていた。ぶっちゃけ、全く気付かなかったが、どうやら俺に用があるらしい。

 

 だが、何用か尋ねるも黙っている。どうすればいいかわからず困り果てていると、仕方ないとばかりにブルーがレッドに寄って行った。

 

「え? それ本当? ラティちゃんってポケモンなの?」

 

 驚いたような声を出すブルーに対し、レッドがこくんと頷いている。

 ばれたか。最近のラティは言葉も覚えて、ちょっと見た目よりも子供な感じで即ポケモンだとは見抜きにくくなっているのだが、どうやらレッドは見抜いてしまったらしい。しっかし、ここでその話はされたくなかったなぁ。

 

 何とか誤魔化せないかとも思ったが、既に周りの視線がラティに集中している。本人はそれに気づかず、いつものように笑っているが、知らぬ存ぜぬで通すのは無理そうだった。

 

 ここにいるのはカントー、ジョウトの四天王、チャンピオンに、シゲル、ハヅキ、イエローだけか。まだマシな状況だと観念して、ラティに変身を解くように指示する。

 ラティがカノンの姿から伝説のポケモンであるラティアスに姿を変えると、流石に動揺が走った。シゲルだけは頭に手を当てて「君はどれだけ非常識なんだ」と呟いているが、俺だって好きでラティをゲットした訳じゃないわい!

 

 一応、全員に向かって他言無用をお願いする。ラティが伝説のポケモンだとばれると旅がしづらくなるからな。

 

 有難いことに、ここにいる全員はすぐに了承の言葉を返してくれた。こちらが信用して正体を明かしたのも理解してくれているようで、一同を代表したワタルが、「君たちの信頼を裏切る真似だけはしない」と宣言し、全員が頷いている。

 これまで外から様子見をしていたジョウト四天王達も、ラティを見た後は流石に話に入ってきた。特にカリンはラティをいたく気に入ったようで、ふわふわの体を撫でて笑みを浮かべている。意外と可愛いものが好きなようだ。

 

 キョウとも久しぶりに話した。「その節はすまなかったな」と謝罪から入ったし、妹から貰うものは貰ったので許すことにする。

 イツキはエスパーポケモンの気配がわかるようで、「君、エスパータイプを持ってるね?」と声をかけてきた。

 とはいえ、流石にそれがミュウツーだとまではわからなかったようだ。ドヤ顔で見せてやってもいいのだが、これ以上伝ポケ自慢すると、ダイパ編のワカメみたくなりそうだったので流石に自重した。

 

 カリンがラティをもふもふしながら、「この子頂戴?」と言ってきたのでノーを返す。

 何だかんだラティも大事な俺のポケモンなのだ。いろいろ手がかかって大変だが他人に譲るつもりはない。ラティには人間の姿に戻るように言って、試合の続きを見ることにした。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・エキシビションマッチ第六試合が開始された。
 カスミVSアカネ。唯一ポケスペと組み合わせが変わらなかった。まぁ、今回のエキシビションの組み合わせは、最終試合以外はルーレットアプリでガチのランダム決めしたので偶然の結果だったりする。

・ラティの正体がばれた。
 最強さんの目は誤魔化せなかった。実はイエローも何となく気配で察してはいたが、空気を読んで知らないふりをしてくれていた。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.55

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.54

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.52

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.52

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.51

 ジバコイル Lv.51

 ケンタロス Lv.51

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.51

 トゲキッス Lv.46

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.51

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.47

 カビゴン  Lv.46

 ニョロゾ  Lv.45

 ヘラクロス Lv.43

 メガニウム Lv.43

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 デルビル  Lv.43

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.43

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34


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