ニューサトシのアニポケ冒険記   作:おこむね

114 / 313
#096 『これが本気の究極技合戦だ』

 12歳 μ月χ日 『決勝リーグ 決勝 VSシゲル 後編』

 

 リザードンが姿を出すと、シゲルが気を引き締め直した。数やレベルの上では有利でも、俺のリザードンならそれらの有利を覆してくる可能性があるとわかっているのだ。

 実際、こちらは開幕から気持ちがシンクロして、いつでもきずな現象が発動できる状態だが、あまり最初に全力を出し過ぎると、カメックスとのバトルでスタミナ切れになる可能性もある。できれば、このままの状態でブーバーンは倒したい。

 

 しかし、シゲルはそんなに生易しい相手ではなかった。ブーバーンに『10まんボルト』を指示して、こちらの弱点を突いてくる。

 エレキブルというでんきタイプがいる以上、でんき技を覚えさせるのなんて朝飯前ということだろう。リザードンを空中に逃がして回避させると、再び『かえんほうしゃ』からのロケット殺法でブーバーンがリザードンに突進してきた。

 

 そのまま『10まんボルト』で全身に電撃を纏いながら、ブーバーンが真正面からぶつかってくる。

 疑似『ボルテッカー』だ。前回のセキエイ大会で、ピカ様が『かみなり』と『でんこうせっか』で応用していた技を、『かえんほうしゃ』のロケットブーストと『10まんボルト』で再現してきやがった。

 

 咄嗟に回避したが、完全には避けきれず、多少ダメージが入る。でんき技はリザードンに効果抜群だ。

 ブーバーンも、まだまだと言わんばかりに旋回して、また真っすぐ突っ込んできた。勢いが有り過ぎるし、電撃を纏っている以上、下手にぶつかると大ダメージは避けられない。だが、今の状態で突っ込んでくるブーバーンを無傷で止めるというのは、ほぼ不可能だった。

 

 こうなれば仕方ないと、きずな現象を発動する。

 

 全身が赤くなり細部も変化し、炎の繭が全身を包み込む。また、タイプがひこうからドラゴンに変化したことで、でんき技が効果抜群ではなくなった。

 おまけに、スピードも上がったので、ブーバーンのロケットも落ち着いて対処できるようになっている。ぶつかる直前で、掠めるくらいギリギリの回避をすると、多少のダメージは無視してタイプ一致の『ドラゴンクロー』でブーバーンを上から叩き、地面へと方向転換させた。

 

 地面にぶつからないように、慌てて手を地面に向けて急ブレーキを踏むブーバーンだが、その背中からリザードンの蹴りが強襲していく。

 そのまま地面に叩きつけられるブーバーンの背を足蹴にし、『じしん』をお見舞いする。タイプ不一致とはいえ、ゼロ距離+こちらはきずな現象を発動してパワーも上がっていた。バンギラスとのバトルと『ドラゴンクロー』でダメージを受けているブーバーンなら十分戦闘不能に持っていけるはずだ。

 

 だが、直前で『まもる』を指示したようで、『じしん』の衝撃は受け流されてしまった。

 脱出しようともがくブーバーンだが、リザードンの抑えから抜け出せずにいる。こちらが続けて『じしん』を指示すると、ブーバーンもまだ負けぬと、『10まんボルト』で反撃してきた。ドラゴンタイプになったことで、でんき技は今一つになったが、それでもダメージがない訳ではない。

 二度目の『じしん』で今度こそ戦闘不能にする。

 ダメージは最小限にしたつもりだが、それでも浅くない傷をつけられた。シゲルが「よくやった」と声をかけてブーバーンを戻す。本当に、良くやってくれたものだ。

 

「ますます強くなっているね。リザードン」

「当然だ。うちのエースだぞ」

「しかし、僕の記憶が正しければ、その変身には時間制限があったはずだけど……?」

 

 既に一分を過ぎているにもかかわらず、変身が維持されているのが不思議なようで、それとなく探りの声をかけてきた。

 しかし、特に隠すことは何もないので、素直に答えを教えてやる。それがシゲルへのプレッシャーにもなるだろうしな。

 

「いつまでも不完全なままにしておく訳ねーだろ。もう一時間でも十時間でもこのままの状態を維持できるようになったんだよ」

 

 勿論、負担はそこそこあるので、本当はそんな長い時間は変化していられないが、少なくとも今の状態なら十分はキープできる。全開になれば五分くらいが限界だろうが、それだけあれば充分戦っていられるだろう。

 

「フッ、そうこなくちゃ面白くない。さぁ、行こうカメックス!!」

 

 シゲルが最後のカメックスを出した。

 それは一見、何の変哲もないカメックスに見えるが、俺くらいのレベルになると、どれだけカメックスが強くなったか一発でわかる。

 もし、ここに四天王のメンツがいれば、間違いなくこう言うだろう。「自分達のエースポケモンと比べても、遜色ないレベルだ」と。それだけ、カメックスは強くなり過ぎていた。

 

「お前、こんなん反則だろう……」

 

 ニドクインが可愛く見えるレベルだ。あれが60くらいだとしたら、カメックスのレベルは70近い。どうやればこの短期間でそこまで極められるのか教えて欲しいくらいである。

 集中育成とはよく言ったものだ。

 ニドクインやエレキブル達も確かに強かったが、カメックスだけはさらにその上を行っている。シゲルは冗談抜きで、俺のきずなリザードンを上から叩くために、カメックスを鍛えぬいてきた。きずな現象やメガシンカなどなくても、きずなリザードンと戦えることを証明しに来たのだ。

 

「大変気分が良い。だったかな? そう驚かれると苦労した甲斐はあった。ここまで育成するのは本当に苦労したんだ」

「だろうな。軽く見ても、リザードンよりレベルが10は離れてる。きずな現象がなければ勝負にもならなかっただろーよ」

「そうでもないさ。レベルだけが全てじゃない。戦い方次第で、自分よりも強い相手にも勝てるのは、まさにこれまで君が証明してきたじゃないか」

 

 言ってくれる。それがどれだけきついことか、こいつも良くわかっているだろうに――無意識に、帽子のつばを掴んで半回転させる。ここからが、本番だ。

 

「サトシ、ここからが本当のバトルだ。僕は一切手加減しない。全力で来い!」

 

 そう言って、シゲルはカメックスに『ハイドロカノン』を指示する。こちらも、『ブラストバーン』で迎撃した。

 前回のセキエイ大会の開幕と同じ、究極技同士のぶつかり合い。しかし、セキエイ大会では勝っていた火力が、今度はまるで相手になっていなかった。水圧に負けるように、炎はかき消されて水の究極技がリザードンに直撃する。

 

 全力ではないとはいえ、きずな現象を発動して尚、特殊攻撃力が負けているだと……?

 

 リザードンはまだまだとばかりに立ち上がるが、実際はかなりのダメージを受けていた。

 何せ痛みがダイレクトにフィードバックされるのだ。ミリ単位まで正確にダメージはわかる。ブーバーンから受けたダメージもあって、もし次に直撃を受けたら戦闘不能にされかねない。それだけの火力があった。

 

 ほのお技がダメなら他の技とばかりに、『じしん』をお見舞いするも、お得意の『こうそくスピン』で、カメックスは空中へと回避していく。

 そのまま『ハイドロポンプ』と、お得意のコンボが来るのはわかり切っていたので、リザードンを空中へと逃がした。いくらカメックスが強くとも、空はこちらのフィールドである。

 

 予想通り、『ハイドロポンプ』を撃ってきたので、自慢の機動力を駆使して、回転によって鞭のように振り回される『ハイドロポンプ』をかわしていく。

 いくら『こうそくスピン』の追加効果で素早が一段階上がっているとはいえ、それでもスピードはこちらが勝っている。この機動力こそ、俺達の生命線と言っても過言ではない。そのまま懐に潜り込んで『ドラゴンクロー』を叩きこもうとすると、カメックスも回転を停止して体をこちらに向けた。

 

 そのまま『メガトンパンチ』で、こちらの『ドラゴンクロー』と打ち合っていく。

 数発打ち合うと、カメックスも重力で地面に落下していったが、しっかりと背中の砲台はこちらに向けて追撃を許さない。落下しながら放たれる『ハイドロポンプ』をかわして真っすぐ地面に突っ込むが、その頃には既にカメックスは地に足を付けて体勢を整えていた。

 

 リザードンの拳に雷が宿る。うちには三色パンチの使い手が山のようにいるのだ。当然、リザードンだってその教えを受けており、『かみなりパンチ』を習得している。

 タイプ一致の『ドラゴンクロー』でも、向こうの防御を崩せなかったが、苦手なでんき技ならダメージは避けられないはずだ。上から叩きつけるように『かみなりパンチ』をお見舞いするも、『こうそくスピン』の回転でパンチを弾いてダメージを最小限にされる。

 

 パンチが弾かれて体が流れた瞬間を逃さず、シゲルは『ハイドロポンプ』で追撃をかけてきた。回転した状態から発射される『ハイドロポンプ』が、リザードンの体を叩きつけようとしてくる。

 

 リザードンと気持ちを一つにし――絆を結ぶ。

 

 その瞬間、リザードンが纏っていた炎の繭が弾け飛び、背中に出来た炎の四枚羽が爆発するように燃え上がっていく。

 その衝撃が『ハイドロポンプ』を一瞬蒸発させ、リザードンを離脱させる隙を作った。完全なるきずな現象。これが本当のきずなリザードンである。

 

「……まだ力を隠していたのか」

「切り札は先に見せるな。見せるなら奥の手を持て」

「誰のセリフだい?」

「漫画のキャラだよ!」

 

 もうこれで全部だ。これが通用しなかったらもう本当にどうしようもない。

 再び、高速でリザードンがカメックスとの距離を詰めて、『かみなりパンチ』で攻撃して行く。シゲルも『こうそくスピン』で防御するが、こちらの火力は先程よりも上昇していることもあって、今度こそ上から『かみなりパンチ』を叩きつけた。

 

 そのまま『じしん』で追撃をかけようとするも、『ハイドロポンプ』の噴射を利用してリザードンにタックルするようにぶつかって技を阻止してくる。

 リザードンもすぐに体勢を立て直すも、その頃にはカメックスも立ち上がっていた。互いに見つめ合うと『メガトンパンチ』と『かみなりパンチ』で殴り合いを始める。上空で互いの拳をぶつけ合っていた先程までとは違い、今度はどちらが先に倒れるかの我慢合戦だ。

 

 弱点ということもあり、リザードンの方が押しているように見えるが、その前の究極技の一撃でダメージを受けているせいもあって状況は不利だった。ダメージを受け流しているからまだ立っていられるが、このまま続けば先に倒れかねない。

 

 当然、戦っている本人はそれが良くわかっているようで、カメックスのパンチが引いた瞬間に体を一回転させ、尻尾の炎をカメックスの顔面にお見舞いした。

 オレンジリーグでカイリューにやった技である。あの時は目に炎が入ったことで隙を作ったが、カメックスはギリギリで顔を甲羅の中に引っ込めたようで攻撃を回避してきた。しかし、十分な隙は出来ている。

 

 その隙を突いて、リザードンが飛び上がった。

 

 もう体力も残り少ない。上空からの必殺の一撃で勝負をつける。シゲルとカメックスもまた、こちらの攻撃気配を感じ取ったようで、体とキャノンをしっかりとこちらへ向けていた。これが本気の究極技合戦だ。

 

 完全なきずなリザードンになったことで、『ブラストバーン』が専用技の『ブラスターバースト』に変化する。リザードンの口と、背中の炎の四枚羽からチャージされる五つの炎が、カメックスに向けて順次発射されて行った。

 

 対するカメックスも、再び『ハイドロカノン』で迎撃してくる。『ブラスターバースト』の初撃は貫通されるも、二発目は威力が並び、三発目で押し返していく。四発目からカメックスに攻撃が届き、最後の五発目もまた完全にカメックスに直撃した。

 

 究極技五連撃である。『まもる』ですら防御は不可能で、『ハイドロカノン』ですら三発打ち消すのが限界だった。

 ぶっちゃけ、三発打ち消しただけでも十分化け物だが、残りの二発をまともにくらった以上、もう立ってはいられないだろう。

 

 リザードンが地面に着地する。シンクロしている俺も確かな手応えを感じていた。立ち上がるのは無理だ――そう思った。

 

 しかし、爆風を突き抜けるように、カメックスが『こうそくスピン』でこちらに向かってぶつかってくる。

 すぐに反撃しようとしたが、『ブラスターバースト』は、絶大な威力の代わりに反動は究極技より大きいようで、リザードンがその場から動けずに『こうそくスピン』の直撃を受けた。

 

 そのまま、リザードンが壁に叩きつけられる。だが、カメックスは回転を止めない。このままリザードンが倒れるまで技を続けるつもりなのだろう。

 

「カメックス! まだ力が残っているなら、『ハイドロカノン』だ! 無理なら『ハイドロポンプ』でもいい、リザードンにとどめを刺すんだ!!」

「リザードン! カメックスも瀕死だ! まだ体が動くのなら拳を握れ! 『かみなりパンチ』でも『ドラゴンクロー』でもいい、上から叩け!!」

 

 カメックスも限界のようで、回転しながら『ハイドロポンプ』を出すも、水圧は見る影もなかった。しかし、リザードンも限界なこともあって大ダメージである。

 それでも、無理矢理拳を作って振り下ろす。『かみなりパンチ』を出す余裕はなかったようで、得意の『ドラゴンクロー』だったが、カメックスが地面に叩きつけられた。

 

 同時に、きずな現象が解除され、リザードンが倒れる。だが、カメックスもまた起き上がることが出来ずに戦闘不能になった。

 審判によって、リザードンとカメックスの戦闘不能が宣告される。審判員がビデオで戦闘を再確認するが、どうも互いに意識を失ったのは同時だったようで、引き分けという結果が伝えられる。

 

「引き分け? 確か、リーグのルールでは引き分けの場合のことは書いてありませんでしたね」

「まぁ、ポケモンバトルで引き分けってそうそうないしな」

 

 基本的に『だいばくはつ』や『みちづれ』を使って相打ちになっても使った側が負けになるし、今回のように同時に戦闘不能になるということはまず起きない。それ故に、引き分け時のことは想定されていなかったのだろう。

 

 まぁ、無難なのは再試合だろうが、向こうにもスケジュールがあるだろうしどうなるかな。

 

 とりあえず、俺はもう疲れてろくに動けないので、シゲルが審判にどうするのか追及しているのを見ていたのだが、VIP席からタマランゼとかいう爺さんがワタルとカントー四天王を引き連れて降りてくる。

 その爺さん曰く、俺とシゲルは二人ともチャンピオンリーグに行くだけの力があり、ここでどちらかを落とすのは勿体ないという。もし、こちらが良ければ、決着はチャンピオンリーグで付けたらどうかと提案された。

 

 俺とシゲルも決着をつけたい気持ちはあったが、別にどちらかを蹴落としたい訳ではないし、決着は後でつければいいというのもその通りだったので提案を受け入れることにする。

 

 こうして、リーグ史上初の同時優勝でジョウトリーグシロガネ大会は幕を閉じた。

 

 

 追記。ずっと後ろで首を傾げていたラティも、俺が優勝したとわかると大喜びで飛び跳ねていた。タケシも「おめでとう」と素直に称賛してくたが、カスミさんはいつも通り「優勝はいいけど、引き分けじゃちょっと締まらないわね」とひねくれたことを言っている。「たまには素直に褒めてくれ」と返すと、「おめでと」と短い四文字を素直に返された。何か照れるな、やっぱカスミさんは捻くれてた方がいいわ。

 

 

 

 




 原作との変化点。

・カメックスが超強化された。
 レベル68。下手な四天王よりも強い。セキエイ大会時代より10以上レベルが上がっている。リザードン絶対倒すマン。

・リーグ初の同時優勝。
 本来、ニューサトシが勝って終わりの予定で書いていたら、気付いたら同時優勝していた。ふしぎ。



 現在ゲットしたポケモン

 ピカチュウ Lv.56

 ピジョット Lv.52

 バタフリー Lv.52

 ドサイドン Lv.55

 フシギダネ Lv.52

 リザードン Lv.57→58

 ゼニガメ  Lv.52

 キングラー Lv.52

 カモネギ  Lv.52

 エビワラー Lv.53

 ゲンガー  Lv.53

 オコリザル Lv.53

 イーブイ  Lv.51

 ベトベトン Lv.52

 ジバコイル Lv.52

 ケンタロス Lv.52

 ヤドラン  Lv.51

 ハッサム  Lv.52

 トゲキッス Lv.47

 プテラ   Lv.52

 ラプラス  Lv.51

 ミュウツー Lv.71

 バリヤード Lv.52

 イワーク(オレンジ諸島の姿) Lv.48

 カビゴン  Lv.46

 ニョロトノ Lv.46

 ヘラクロス Lv.44

 メガニウム Lv.44

 マグマラシ Lv.43

 ラティアス Lv.30

 ヘルガー  Lv.44

 ワニノコ  Lv.43

 ヨルノズク(色違い) Lv.43

 カイロス(部分色違い) Lv.44

 ウソッキー Lv.43

 バンギラス Lv.55

 ゴマゾウ  Lv.30

 ギャラドス(色違い) Lv.34


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。